翌週、月曜日の放課後。オルコットとの対決の日。
「遅い!」
「全く、何をしているんだ!?」
アリーナのピット内にて俺専用のISがこない状況にイライラする千冬姉と箒。
まあ、来ない理由は俺は知っているからイライラしないがあの2人は完全に爆発寸前だ………。
とりあえず俺は刺激しないように少〜しだけ距離を取っている。
「お、織斑くん織斑くん織斑くんっ!」
パタパタと走りながら山田先生がやってきた。
まるで2人の怒れる鬼神に捧げる生け贄になりに………。
「あ、あの織斑くん………怒らないで聞いてくださいね……今日来る予定だった専用機が来ません」
「「はあ?」」
山田先生の言葉に反応する千冬姉と箒。
「あ、あのですね。先方の手違いで今日では届かないとの事で無理なんです」
「「ああん!」」
とっさに理由を述べる山田先生だが更に火に油を注ぐ始末になる。
「ひっ……で、ですから織斑くんは訓練機でお願いします……」
そう言って恐怖から逃げようとする山田先生の両肩にガシッと掴む2人の腕が伸びた。
「まあ、待て山田先生。もう少し詳しく話を聞かせてくれないか?」
「私も気になりますので教えてくれますか?」
山田先生を逃すまいと2人の鬼神が降臨した。
「ひいいいっ!!わ、私も知らないんですよ!来ないので問い合わせたら今日は無理だと言われたんですぅ〜」
2人の鬼神に恐怖を感じたのか山田先生は半泣きになりながら説明した。
「そうかそうか……では上半身と下半身を切り離しておこうか」
そう言い何処から出したかわからないがIS用のブレードを取り出して構える千冬姉。
「なら私は頭から真っ二つにします」
そう言って何処から出したかわからないが木刀を取り出して構える箒。
「な、何でそうなるんですか―――!!?」
2人の理不尽さに号泣するしか出来ない山田先生、逃げ出そうにも恐怖心からか腰が抜けてわたわたとするしか出来ない。このままでは話が進まないので2人を宥める事にした………。
でも、正直に言おう!今の2人には本当に近付きたくない!しかし、このままでは惨劇が待っているので震える心にムチを打って間に入っていった。
「2人共落ち着いてください。山田先生に八つ当たりしても状況は変わらないですよ」
「だがしかし……」
「これでは一夏が不利ではないか……」
俺は2人を刺激しないよう丁寧に仲裁に入ったがどちらも不満顔だ。
「俺としては訓練機の方が好都合だよ」
「何?どういう事だ?」
「専用機の方が勝率は高いんじゃないのか?」
俺の言葉を聞いて千冬姉と箒は疑問顔を浮かべていた。
確かにオルコットは専用機持ちだが決して勝てない相手ではない。
なのでここは―
「どっち道、ぶっつけ本番での専用機よりは多少動かしている訓練機の方が俺はやりやすいよ」
「まあ、確かに……」
「それも一理あるか……」
どうやら、俺の理由に納得して貰えたようだ。
例え、ここで専用機を起動しても勝てる確率はほぼゼロに近い、相手は代表候補生に専用機では正直分が悪いからな。
「仕方ない。山田先生訓練機を2つ持って来てくれ…………五秒でな」
おおぅ、千冬姉の無茶振り炸裂だな。
「む、無理ですよ!?それに2つ同時に持ってくるのは大変なんです!」
「私は持ってこいと言っているんだ。その重たそうな2つの物を切り落とすか?」
ブレードを肩に乗せていい笑顔で告げる千冬姉。
本当にいい笑顔だ…………色んな意味で………。
「ヒイイィィッ!?持って来ます!!」
千冬姉の脅しに屈した山田先生はさっきよりも猛スピードで訓練機を取りにいきました。
山田先生、ごめんなさい。そして御愁傷様です。
俺はこっそりと謝りながら訓練機が来るのを待つ事にした。
結果、五分も掛からずに持って来たが山田先生は燃え尽きかけていたので感謝したら、泣きながら喜んでいた。
よっぽど怖かったんだな………。
まあ、あれくらいは序の口なんだけどな………。
前に俺が千冬姉の弟だからといい理由で絡んできた連中がいたがその当時はいちいち反応せずに受け流していたがある日、俺は身に覚えのない盗みの疑いを掛けられた。
弾や数馬が俺の身の潔白を証明しようと猛抗議したが覆らなかった。
最悪な事に当時の担任は完全な女尊男卑に染まりきっていたので俺を犯人として処分しようとしていた。
この時の俺は知らなかったが犯人は俺に絡んできた連中が俺を陥れようとして引き起こしたいわばでっち上げに近い事だ。
当然、親代わりである千冬姉が呼び出されて担任からねちねちと言われる始末に………。
担任の顔を殴りたかったが千冬姉の立場まで悪くなってしまうので必死に堪えていた。
とりあえず解放され、帰り道に千冬姉から俺が犯人なのかを聞かれたが俺は正直にやっていないと答えた。
すると千冬姉はそうかと呟き、そのまま別れてこの日は帰って来なかった。
しかし次の日に担任が土下座をして俺に謝って来たのだ。
しかも、泣きながら顔をぐしゃぐしゃにして………。
俺は訳が解らずに首を傾げていると違う先生が理由を教えてくれた。
あの後、真犯人を引き連れて千冬姉が職員室に殴り込みに行ったのだ。
犯人達である、絡んできた連中達をボコボコにして、連れて来たので担任はおろか他の先生達は皆引いていた。
千冬姉は担任に対して、お前の目は節穴かとブレードを首元に突き付けて怒りを露にしていた。
担任は証拠もないのに脅して犯人をでっち上げるなと抵抗するがそこは束さんがぬかりなく証拠映像を流して結局、抵抗は無意味に変わる。
完全に怒れる鬼神と化した千冬姉は担任をボコボコにして俺に土下座して謝らなければ一族ごと消滅させると言い担任の机を真っ二つにして、いい笑顔で告げていき。
そのまま帰っていったそうだ、あの後担任は恐怖に怯えてしまいそのまま違う学校に移ったそうだ。
あの件以来、俺の学校では千冬姉を怒らせてはいけないとの共通認識が生まれたそうだ…………。
今、思えば恥ずかしいのと嬉しいのと複雑な感情なんだよな…………。
そう思い返して、訓練機の前までやって来た。
「えっとですね。『打鉄』と『ラファ―ル・リヴァイヴ』の2つがあります。どちらにしますか?」
山田先生がそう説明して、選ぶように促してくる。
確か試験の時は打鉄だったな………。
そう考えてラファ―ル・リヴァイヴに目線を向けた。
確かフランス製で扱いやすいんだよな………。
そこでふとフランスに旅行もとい遊びに行った時の事を思い出した。
そこで金髪の女の子と出会い一緒に過ごし厄介事を解決したんだっけな………。
〇〇〇元気にしてるかな?
連絡はしているがあれから会えてはいないからな………。
懐かしさを感じながら俺はラファ―ル・リヴァイヴを選択した。
「ではどうぞ」
山田先生に補助して貰い、ラファ―ルを装着した。
「一夏、気分はどうだ?」
「大丈夫です。問題ありません」
千冬姉が心配そうにしながら俺に聞いてきた。
「そうか………勝ってこいとは言わん。自分の出せる力を出してこい」
「織斑くん頑張ってください」
千冬姉と山田先生が激励の言葉をかけてくれる。
「一夏。もし勝てたら褒美をやろう」
「褒美って何だよ?」
「それは……勝ってからのお楽しみだ」
箒からの褒美内容は気になるが今は目の前の事に集中しないとな。
「箒、いってくる」
「ああ、健闘を祈る」
俺は箒に声をかけてピット・ゲートに進み、3人に見送られながらオルコットの待つアリーナステージ内に飛んでいく。
さあ、試合開始だ。
〇〇〇は大体想像つきますよね。
次は戦闘描写上手くいくかな?