僕【篝 春人】は昔から音楽が、好きだった。別に親が音楽をやっていたわけではない。ただ純粋に自分の感じたことを歌にするのが好きだった。5歳の時にピアノを習い始めた。コンクールとかでも賞を取ったりした。僕の母親は、僕を産んでからすぐに亡くなったそうだ。父と二人暮らしだったが、特に悲しいということはなかった。そして十歳になった誕生日に父が、とあるバンドのライブに行こうと誘ってきた。今までクラシックくらいしか聞いたことがなかったので楽しみだった。そしてそのライブで見たものは衝撃的だった。ステージ上を駆け回り、歌い、演奏している。今までに見たことがない世界だった。自分もそうなりたいと思った。家に帰る道で父に初めて心の底から頼みごとをした。ギターが欲しいと。うちは自分で言うのもあれだが裕福だったので、翌日すぐに買いに行った。15歳になってDTMを初めて作った曲を動画サイトにアップすると、3日で50万回も再生された。父にそのことを報告しようとその日はずっと玄関で待っていた。だが父は帰ってこなかった。子供をかばってトラックに轢かれたらしい。僕は親戚に引き取られるようになった。僕は必死で頼み込んで、そのまま父と暮らしていた高層マンションに高校から一人暮らしすることになった。1活払いで買っていたので金銭は問題なかった。遺産もある。父の遺品を整理してると倉庫から大きなケースが出てきた。ケースの中からはギターケースと【春人へ】と書いてある手紙が出てきた。そして手紙を読む。
『春人へ お前がこの手紙を見てるってことは父さんはもう死んでると思う。置いて行って悪いと思うが夢だけは絶対諦めないでくれ。それで結婚して家族を作ってほしい。結婚はいいぞー。子供だってかわいいし、何より自分の帰る場所になる。こんな親で済まないが、これが父さんの最後の願いだ。父さんはいつもお前を見守ってるからな。父より』
涙があふれてきた。これまでは父さんを心配させたくないから泣かないようにしてたが
「もう泣いてもいいよね?父さん。」
それから三十分ほど春人は泣き続けた。そしてギターケースを開けた。そこにはずっと春人が欲しがっていたBacchus T-MASTER EWC/SAKURAが入っていた。このギターの特徴は指板に桜模様のインレイが埋められている所だ。
高校一年になった春人はネットで有名になり、顔を隠してメジャーデビューした。
そしてこれから春人の新しい人生が始まる。