「じゃあギター取ってくる。」
蘭にそう言って、マンションのオートロックを開けてロビーに入る。...やっぱり蘭がついてくる。
「蘭、部屋までついてくるの?」
「え、そうだけど。」
(えーそんな当たり前みたいに言われても)
俺が困った顔をすると
「...だめ?」
蘭が、上目遣いで聞いてくる。
(販促すぎる。)
冬華で慣れてると思ってたが、俺もまだまだらしい。
「いや全然。」
蘭が少し笑ったような顔をして
「ならよかった。」
俺は蘭に頼まれたら何も断れないだろう。そんなことを考えつつ15階に向かう。ドアの前について鍵を開ける。
「中、入る?」
俺がそう聞くと、蘭は小さく頷く。リビングで待っていてもらい部屋に T-MASTER EWC/SAKURAを取りに行く。
ギターケースに入れてリビングに戻る。
「もしかして春人ってお金持ち?」
蘭がそう聞いてくる。
「いやこの家はもともと親と住んでて、親が死んだ時に俺がもらった。楽器は全部俺の金で。」
蘭が驚いた顔をする。
「ここに一人で?」
「そうだ。」
もうすぐ愛華が増えるけど。
「でも楽器だけでもすごい値段じゃ?」
「いや、ちょっとした仕事をね...」
その言葉で沈黙が訪れる。
「何やってんの?」
「...言えない。」
「...何で?」
鋭い視線が刺さる。
「なんでも。」
すると諦めた顔で
「そう。そりゃ、ハルヒトって名前で顔隠してる意味ないもんね。」
「そうそう。ホント顔隠してる.........何で知ってるの?」
(やばいやばいやばい!!どーしよー。バレテルー。)
「やっぱりね。だって声一緒だし。」
あきれ顔で言ってくる蘭。
「...」
「はぁ、誰にも言わないわよ。」
「ほんとか?」
「ほんとほんと。」
「よかっt「ただし」」
蘭が俺の言葉を遮った。ということは何か要求があるということ。
(やっべー、何だろ?!金かな?)
「ギター教えてくれたら。」
「...そんなんでいいの?」
「じゃあご飯付きで。」
「それ親御さんになんか言われない?」
蘭の顔が一瞬、引き攣る。
「...大丈夫。」
(図星か)
「俺的にはお金は俺が出すが、親御さんが心配するだろ?」
「...じゃあお父さんを説得して。」
(何を言い出すんだ、こやつは)
「いやそれは「これが条件」えぇ~。」
そんなことを言われては、どうしようもない。
「...わかったよ。明日の帰りに行くよ。」
蘭の表情が明るくなる。
「じゃあ、行こ。」
蘭の言葉で本来の目的を思い出した。
「そうだな。」
そしてマンションを出て『SPACE』に向かった。
「篝春人だ。よろしく。楽器はアコギ、エレキ、ベース、ドラム、キーボードができる。よろしく。」
Afterglowの前で自己紹介させられた。そして全員に自己紹介された。そしてひとまず演奏を聴くことにした。
「じゃあ、聞いてください。『That Is How I Roll! 』」