カリキュラムを読み終えて家に帰ろうとする魔理華はおそらく緑谷出久という名前の男子のことを考えていた。
すごいパワーを持っているが、反動で体を痛めるリスクがある個性、まるで発現したばかりの個性でそれを使いこなせていないような感じだった。
「おーい、お二人さーん、駅まで?待ってー」
誰かを呼びかける声が聞こえ、声のする方を見た。
ボール投げで無限を出した女の子が飯田と緑谷を呼び止めていた。
「麗日お茶子です。えっと、飯田天哉君に緑谷...デク君!だよね」
「デク!?」
たまたま近くにいた魔理華は三人の話をこっそり聞いていた。
「え?体力テストの時、爆豪って人が『デクテメー』って」
「あの、本名が出久(いずく)で、デクはかっちゃんがバカにして」
「蔑称だったのか......」
「あぁそうなんだごめん!でもデクって、頑張れって感じで好きだ私」
「デクです!」
「緑谷君!?」
爆豪が言っていたデクは蔑称であることがわかり、魔理華は少し疑問を感じた。
(......爆豪の驚きよう、今まで出久さんの個性に気づかなかったの?)
「おーい、待てよなー」
「あなたは、上流さん。どうしたんですか?」
「いや、一緒に帰ってもいいかなーってな」
「あの、私も......」
魔理華を呼び止めた上流に続いて、手和と永鬼がやってきた。
「うん、いいよ。一緒に帰りましょう」
魔理華は高校での初めての友達が出来たのが嬉しくて少し笑った。
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魔理華が家に着くと修哉が昼ごはんの用意をしてくれ、一緒にご飯を食べた。
「魔理華、入学式はどうだった?」
「それが、入学式の代わりに個性把握テストをしたんです」
「個性把握?ああイレイザーさんが担任だったんだ。誰か除籍処分になったか?」
「えっ、なんで修哉さんが除籍処分について知ってるんですか?」
「時々雄英高校から修理の依頼を受けることがあるから大体は知っている。去年は酷かったぞ、クラス全員除籍処分になったからな」
「ブッ!?クラス全員除籍処分!?除籍は嘘じゃなかったの!?」
「ん、どういう事だ?」
魔理華は体力テストのことを話した。
「なるほど、除籍を合理的虚偽で誤魔化したか。その除籍の条件が最下位になった奴ってわけか......」
修哉は少し考えて答えを導き出した。
「おそらく、その最下位の子を除籍したくなくなっただろうな。そいつが将来すごいヒーローになりゆる才能を持っているに違いないって」
「すごい、ヒーロー」
「ああ、今のそいつは最下位だったが今からメキメキと成長すると思うぞ」
「..................」
「ん、どうした?」
「私も、成長できるのでしょうか?」
「その信念が本物であり、努力をすればなれるさ」
「..................」
魔理華は本当にそれでいいのかと悩み出した。
「俺からいえば信念は地面に刺さった棒だな。その棒は時に殴られ、切りつけられ、そしてへし折られるなど理不尽な目に合うこともある」
「けど、折られただけで終わりって訳じゃない。棒は傷ついた所を直し、折られた場所をくっつけ固定すろこともできるんだ」
「その信念が夢から現実になるまで真っ直ぐ立っていれば、お前は立派なヒーローになれる」
「それに、今まで雄英に合格するまで信念は真っ直ぐ立ってただろう」
修哉はそう言うとニコリと笑った。
「......そうですね、修哉さんがなれるって言ってるから絶対なれますね」
「いやぁ、俺はそこまで凄い奴じゃねーよ」
そんな話をして、修哉たちはいつも通りの一日を送った。
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雄英高校の午前の授業は必修科目から始まる。
「じゃ、この英文のうち間違っているのは?」
(普通だ......)
大体の生徒はそう思っていた。けど魔理華は違った。
(えっと間違っているのは、3番?いや1番?どれなのぉ......)
魔理華はあまり勉強はできない方で一生懸命目の前の問題に苦戦していた。
お昼は雄英高校の食堂があり、とても美味しいそうだ。けど魔理華は違った。
(修哉さんのお弁当、もう食べられなくなっちゃった......)
魔理華はどんな一流の料理より修哉が作ったお弁当が食べたくて仕方なかった。修哉は『一流の食堂があるんだし、そこで食ってけ』と言ってお金を渡した。中学にいた頃が懐かしかったと思っている。
「魔理華ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だろ、多分な」
ちなみに魔理華の周りに手和や永鬼、上流が集まって食べているが魔理華はそれに気づかずにいた。
そして午後となり、ヒーローとしての授業、ヒーロー基礎学が始まる。
「私があぁ、普通にドアから来た!」
「「「おおおぉぉぉ!」」」
「オールマイトさんだ、魔理華ちゃんオールマイトだよ!」
「うん、そうだね」
「?どうした、No1ヒーロー オールマイトが来たのにその反応は?」
「私にとってのNo1ヒーローは別の人だからね」
「右に同じー」
魔理華の言ったことに上流は賛成した。
「早速だが今日はこれ、戦闘訓練!」
待ちに待ったヒーロー基礎学の最初の授業が戦闘訓練だとわかり、生徒たちの顔が変わった。
「そしてそいつに伴って、こちら!」
オールマイトが指差すと壁から番号が振ってあるカバンが出てきた。
「入学前に送ってもらった個性届けと応募に沿った誂えたコスチューム」
生徒たちは歓喜の声を出した。それもそのはず、自分が想像していたヒーローコスチュームが出来て、それが着られるのだから。魔理華もコスチュームがどんな風に出来ているか楽しみだった。
先生から着替えたらグラウンドβに来るよう指示を受け、まずは更衣室に向かった。
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グラウンドβに着いた生徒たちはゆっくりとヒーローとしての実感を楽しむかのように歩いていった。
魔理華のコスチュームは緑のレザーマントを羽織っていて、マントの中は白のスーツを着ていた。一応修哉のコスチュームを参考に描いてみたがスーツの白が気にいっていた。
昔敵(ヴィラン)だった頃の自分の服装が黒一色のマントと服を着ていたからスーツの白はそんな自分を打ち消してくれるものだった。
今回の訓練の設定はヴィランがビルのどこかに核兵器を隠し持っていてヒーローがそれを探しているということになっていて、ヒーロー側は核兵器の回収かヴィランを捕まえることで勝ちとなり、ヴィラン側は制限時間までに核兵器を守りきることかヒーローを捕まえることで勝ちとなる。お互いの個性を使った戦い方を見るにはうってつけだった。
対戦相手と組み分けはクジで決まり、魔理華が引いたクジと同じ人を探した。
「あ、あの!もしかして、Aのクジを持っていますか」
「ええ、持っているけどあなた」
「僕は緑谷出久です。よろしくお願いします!」
魔理華と組む相手は緑谷出久だった。
次回予告
「緑谷さん、爆豪さんとはどんな関係なの?」
「え、どんな関係って言われても」
「昔何があった?なんで爆豪さんはどうしてあなたを嫌っているの?」
「えっと......」
「ねえ、どうなの?」
(初めて女子に言い寄られてる!)
次回 喧嘩の始まり
「と、とにかく!更に向こうへ!」
「
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キャラ設定
名前
年齢 15歳
趣味 日記
特技 知恵の輪を解くこと
好物 たこ焼き
外見 オレンジ色の硬めの髪質 童顔
性格 少し臆病
個性 手袋
両手から特殊な液体を出して手袋を作り、自由自在に操れる。操れる範囲は半径10mまで、手袋の力は本人の力と同じ。最大で15組でそれ以上作ると操り難くなる。作ってから5分経過したり、本人が指示すると手袋が粉々に消滅する。
魔理華の高校で最初の友達。ヒーローになるために雄英に入ってみたものの、みんなの個性がすごかったり、みんなの性格がすごかったりといろいろ圧倒されている。今はしっかりしようと頑張っているが自分の凄さに本人は気づいていない。