私を助けたのはとある店長兼ヒーローだった   作:水被り

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長い間遅れてすいません。


No24 チャンスをどうする

騎馬戦が終わり、最終種目に上がる1位から4位のチームが発表された。

 

一位は(とどろき)焦凍(しょうと)八百万(やおよろず)(もも)上鳴(かみなり)電気(でんき)飯田(いいだ)天哉(てんや)のチームで緑谷(みどりや)から10000000P(ポイント)を奪い取ってなったのだがどう奪取したのかは見ていなかった。

 

二位は瀬呂(せろ)半太(はんた)芦戸(あしど)三奈(みな)切島(きりしま)鋭児郎(えいじろう)を率いた爆豪(ばくごう)勝己(かつき)のチーム、一度はポイントを取られてしまったが取り返すことができて二位の座を得た。

 

三位は心操(しんそう)人使(ひとし)のチーム。制限時間ギリギリで魔理華(まりか)たちからハチマキを奪ってののし上がり、急などんでん返しに司会のプレゼント・マイクや一部の観客は驚きの声を上げていた。彼と協力していた人は同じ普通科の江亜呂(えあろ)皆無(かいむ)目立(めだち)可憐(かれん)と魔理華たちがよく知っている矢那雲(やなぐも)上流(あがる)であった。

 

最後の四位に入ったチームは緑谷のチームであった。10000000P(ポイント)麗日(うららか)茶子(ちゃこ)無重力(ゼログラビティ)発目(はつめ)(めい)の発明品、常闇(とこやみ)踏影(ふみかげ)黒影(ダークシャドウ)を十分に発揮でき、最終種目に上がることができた。

 

騎馬戦の結果発表が終わると昼の休憩時間となり(みな)は食堂へと向かっていった。

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

「本当にごめんね......」

 

「もう気にしなくてもいいのよ、相手もよくわからない個性を使ってきたんだから私も怖いと思ったのよ」

 

一緒に騎馬戦で協力したもの同士でご飯を食べている魔理華たち、青山はここの食事が口に合わないからと自分が持ってきたご飯を持ってどこかにいったために魔理華、手和、永鬼の三人で集まっていた。落ち込んでいる手和を(なぐさ)める魔理華、永鬼はご飯を食べながら上流を探しているのか辺りを見回している。

 

「おーい上流、こっちの席空いてるぞ」

 

上流を見つけた永鬼はここに来るように大きく手を振った。やってきた上流は怒っていると分かるほど表情が出ており、魔理華たちがいるテーブルに着くと持っていたお盆を強く置いた。

 

「よかったじゃないか。最終種目に出場できるんだから......」

 

「よくねえよ!!!」

 

永鬼が上流の出場が出来たことを喜んで話そうとしたが上流はそれを否定した。魔理華のいるテーブルがしばらく静かになり、上流が口を(ひら)いた。

 

「俺は何もしてない(・・・・・・)何も知らない(・・・・・・)、こんな俺に最終種目に行く資格なんてねぇ!」

 

確かにあの時の上流は様子がおかしかった。上流は自分が何をしたのかわかっていない。彼は自分から人の役に立ちたいが他の人に頼りにならないと意地でも役に立とうと暴走する子。自分が知らない間に使われていたことに腹が立っていた。それが嫌だと魔理華は理解して何も言わなかった。

 

「それにあいつら一つもお礼をしてないんだぞ。一人は無視するし、もう一人はヘラヘラ笑って、最後のやつに至っては変な動きして完全にバカにしてるだろ!」

 

上流は怒りの原因みたいなことを話すと魔理華に目を向けて言った。

 

「頼む、俺の代わりに最終種目に出てくれ!」

 

「............えっ!?」

 

「お前ならあの心操のやつらに勝てる、やってくれるよな!」

 

「ちょっと、そういうのは得点が多かった手和ちゃんに頼めばいいじゃない」

 

「いいよ魔理華ちゃん、騎馬戦の作戦は魔理華ちゃんが考えたんだから魔理華ちゃんが出るべきだよ」

 

「じゃあ、永鬼さんなら」

 

「永鬼が出ても個性発動に必要なボールがなきゃ実力が出せない、だから頼めるのはお前しかいない!」

 

上流が話したのは魔理華に出場の可能性だった。魔理華は目的の3位以上になるのに必要な最終種目に行く権利、だが魔理華はそれを誰かに譲ろうとした。譲ろうとするもすぐに正論を言われてしまい、魔理華が出場することになることになった。

 

「とにかく最終種目はお前が行ってくれ、頼んだからな!」

 

話を終えると上流は昼食(ちゅうしょく)のトンカツ定食を食べ始めた。最終種目に出れる魔理華は心の中で迷っていた。自分はこのままでいいのか、自分は出場できる資格はあるのか、そんなことを考えてしまう魔理華にはあの言葉が頭から離れない。

 

『おまえ、まさかと思うが黒魔女なのか?』

 

魔理華は紫髪の男の子の言う通り自分は黒魔女だった、(ヴィラン)の黒魔女だった子、そんな自分がヒーローとしての資格があるのか自身に疑問を抱いていた。自分にとってそれが自分を(しば)(かせ)となっている。魔理華はそれを理解しているそれでもこの枷は外れない。

 

そして、一番に気にしているのは手和であった。あの時の最後に相手の個性にかかったのは魔理華で手和はタイムアップまで自我があった。手和は魔理華と紫髪の男の子、心操とのやりとりを見て聞いていた。

 

友達の関係が崩れる、それどころか(ヴィラン)として警察に捕まってしまう可能性があった。手和に限ってそんなことはない、でもその先がどうなるかが怖くて聞けない。

 

「魔理華さん、手和さん、お話がありますの」

 

「八百万さん」

 

魔理華がそんなことを考えていると八百万百が自分たちのところにやってくると魔理華と手和を人気(ひとけ)のない場所に案内した。

 

「実は午後からこの服を着て応援合戦をするので準備してください」

 

八百万が見せた服はチアリーディングの制服だった。雄英高校の正式であるのか雄英のロゴが載っていた。この服を着て応援するのは恥ずかしいということは少し頬を赤らめた手和の顔を見て当然だとわかり、自分がおかしくないことを認識した。

 

「ちなみに誰からの指示なの?」

 

相澤(あいざわ)先生からの言伝ですが?」

 

「そう、なら仕方ないわね」

 

八百万から制服を受け取ると魔理華たちは更衣室に向かっていった。

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

「ちゃんと、着れてるよね」

 

魔理華は鏡で確認して着替えを終えると更衣室から出ようとした。すると自分のロッカーからスマホのバイブ音が聞こえ、ロッカーを開けてスマホを見ると修哉から電話だった。

 

「魔理華ちゃん、どうしたの?」

 

「手和ちゃんごめん、先に行ってて」

 

「......うん、わかった」

 

手和は更衣室から出ると更衣室には魔理華しかいない一人の空間になった。魔理華はスマホを手に取り電話に出た。

 

「もしもし、魔理華大丈夫か?落ち込んでないか?」

 

「はい大丈夫です、修哉さんは今どこにいますか?」

 

「俺は雄英体育祭の警備で来ている。お前の活躍はしっかり見ていたぞ」

 

「そうなんですか、あっさりハチマキ奪われて情けないですよね」

 

「いやそんなことはない、相手が対人型の個性の奴らみたいだからな。しょうがないと思うぞ」

 

魔理華は修哉の話で気になることを聞き返した。

 

「......対人型?」

 

「あぁ、人間にしか効果がない個性のことだ。俺みたいな修復する程度の個性は普通に使ったら戦闘には使えないだろ?個性は相手や状況で効果が変わる。お前からハチマキを奪った奴らはヒーロー科試験で落ちた、仮装ヴィランに個性が効かなかった奴らだろうな」

 

「そうなんですか」

 

「俺もヒーロー科試験に落ちて体育祭で成り上がったからわかる。あいつらもヒーローになりたくて必死なんだ。」

 

修哉の話を聞いて誰もが必死に順位に、素晴らしい成績を取ろうとしている。誰もがヒーローになるために上がろうとしている。自分にもその気持ちがある、だから上流からの願いは逃したくない。けれど昔のことを思うと自分のヒーローになりたい意思が揺らぐ。他のみんなにないものが自分の心にあり、それにいつも怯える自分が出来ている。それを変えるためかどうか魔理華はある事を話した。

 

「私、実は最終種目に出れるかもしれないんです。クラスの一人から代わりに出てくれって言われて。けど私、前はヴィランだったんですよ、犯罪者だったんですよ」

 

「こんな私でも、本当にヒーローになれるんですか?」

 

携帯からは何も聞こえず沈黙が続いた。そして電話の奥から修哉は口を開いた。

 

 

「だからこそ、お前は最終種目に出るべきだ。お前にとってのヒーローってなんだ?」

 

「............」

 

「それがないんならお前は最終種目に出て確かめるんだ。お前がなりたいのは人々の笑顔を絶やさない平和の象徴か?無駄な行動をしないで無駄な犠牲を増やさずに助ける合理的なやつか?」

 

「............」

 

「ヒーローは一括りにまとめられた職業の肩書きに過ぎない。ヒーローに必要なのは意思、自分を駆り立てるエンジンだ。いろんなヒーローにはいろんな意思がある。お前が見てるのはヒーローという肩書きだけだ。」

 

「......ッ」

 

魔理華はヒーローになろうとした切っ掛けを思い出した。自分は(ヴィラン)だろうと助ける、誰も手を伸ばしてくれなかった子供を救う、そんな自分が知っていたヒーローを(くつがえ)すそんなヒーローに憧れ、なろうと努力して今自分はここにいるのだと。

 

「お前は焦ってるだけだ。自分の持っていた肩書きに、とっくの昔に捨てた肩書きに怯えただけだ。今のお前はヒーローの卵だ、そんなお前をこの体育祭で見せつけてやれ、新しいヒーロー私がくるとな」

 

「お前もまだ未熟、この体育祭でいろんな相手と戦って経験を積んで自分を磨くんだ」

 

「わかりました!」

 

修哉との電話で体育祭の再出場を決意した魔理華は手和たちの所に急いで行こうとした。

 

「いたっ!」

 

「あぅ!」

 

更衣室の扉を開けると先に行っていたはずの手和が待っていた。勢いよく出た魔理華は手和とぶつかり、二人ともぶつけた所を手で押さえてた。

 

「大丈夫魔理華ちゃん?来るのが遅かったから......」

 

「ごめんね、ちょっと電話に出てて......」

 

魔理華は八百万のみんなと合流しようと向かっていくと手和は魔理華の手を強く握り、その場から動かなかった。手和は魔理華と目を合わせ、魔理華に問いかけた。

 

「魔理華ちゃんが、(ヴィラン)だったのは本当なの......?」

 

いつか来ると思っていた手和の質問、いつか知られると思っていた自分の過去、いつか起こると思っていた運命。それが今、ここで起こった。

 

魔理華は手和の質問に素直に答えた。

 

「うん......、私はこの高校に入る随分前にむしゃくしゃしていて(ヴィラン)みたいなことをしてたの。でもね、今は違う!(ヴィラン)としてのことはやめて新しい自分に、なりたい自分になろうと思ってここに入学したの......」

 

「..................魔理華ちゃん」

 

「何......?」

 

「魔理華ちゃんは昔は悪いことをしていたみたいだけど、今の魔理華が優しくて、ヒーローになろうと頑張っていて、そしてみんなと仲良くなっているだよ。」

 

 

 

「私は魔理華ちゃんを裏切ったりしない。昔がどうであれ魔理華ちゃんはヒーロー試験(あのとき)にはもうヒーローだから、私は魔理華ちゃんを(ヴィラン)なんて思わないよ」

 

魔理華にとってすべての自分を受け入れるは直崎修哉(なおさきしゅうや)だけだったが、受け入れてくれる人がもう一人できた。それが雄英での生活で今までにない喜びの瞬間だった。昔の自分の存在を否定しない人ができた。それだけでまた心が軽くなる。

 

「............ありがとう」

 

この時どう言えばいいのかわからない、少し恥ずかしながらも感謝の気持ちを伝えた。

 

「あっ、早く行かないとみんな待ってるから」

 

「うん」

 

二人は一緒にみんなの所に向かう。

まっすぐな廊下を走っていった。

二人は同じ道を進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

「いよいよ始まった最終種目」

「爆豪くんと轟くんの快進撃で会場は盛り上がっていく」

「そして私の相手は」

次回 爆・撃・戦

「更に向こうへ、plus(プルス)ultra(ウルトラ)


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