洗面所で歯を磨き顔を洗い終えた私は食堂に着いた。
食堂のキッチンには朝ご飯の用意をしている修哉さんがいた。
「お、来たか魔理華。朝ご飯今持ってくるな」
私はいつもの席に座って、修哉さんは私の前に朝ご飯とカフェオレを置いてくれた。
今日はハムエッグトーストだった。
私は大きく口を開けハムエッグトーストを頬張った。
焼けたパンを噛むとサクリと音が鳴り、噛めば噛むほど小麦の味がしてくる。
次に来たのは主役ともいえるハムエッグだ。
焼いたハムの味と白身の味、二つの味が混ざり合い美味しく感じた。
食べ進めると半熟の黄身の濃厚な味が加わり、さらに美味しいものへと変わった。
カフェオレを飲むと優しい苦みとほのかなミルクの甘みがした。
口に残っていたハムエッグの味が流されていき、すっきりとさせていく。
このカフェオレはいつも修哉さんがブレンドしていて毎朝いつも飲んでいる。
あの時、初めて修哉さんのカフェオレを飲んだ時は本当に嬉しかった。
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「とりあえず飯でも食いな。お前、腹減ってるだろ」
並べてあったのはスクランブルエッグとソーセージとパンとカフェオレだった。
私は遠慮なんか気にせず無我夢中で食べた。
親戚に預けられから普通にご飯を食べることはなかった。
敵(ヴィラン)をやっていた時もただ生きるがために食べてた。
久々に『美味しい』ということを、普通にご飯を食べていると感じられた。
「余程腹が減っていたみてえだな。まだ食べたいなら作ってやるけど」
私は首が取れるかと思うほどに頷き、それを見た修哉さんはにっこりと微笑んだ。
三皿ほどおかわりをして私は満腹感に浸っていた。
「ところでお前、どうして路地裏で倒れてたんだ」
やられた、優しかったのはこのことを聞くためだったのかと私は思った。
相手の考えに気づいた私は敵(ヴィラン)だということを悟られないよう黙秘した。
相手も私の答えを待ち続けた。
「まあ、何も言いたくないならいいけど」
そして相手の方から諦めてくれた。
諦めてくれたのはいいけど、次は何が来るか私は警戒を続けた。
「なあ、もし行くところがなかったらここに住むか?」
最初はこの人が何を言ってるのか分からなかった。
どうしていきなりここに住むかなんて聞くのかしら?
「俺はヒーローの資格免許を持っているから一応俺はヒーローなんだ」
ヒーローだとわかった私は後ろに下がり、いつでも逃げれる体制をとった。
あとは逃げれるタイミングを待つだけ...。
「だけど、俺はヒーロー活動に関しては興味ない」
えっ...どういうこと?私は驚きを隠せられなかった。
「人間は善と感じれば善、悪と感じれば悪と決めつけるもんだ。それを覆すことは難しい。ヒーローといえばヒーロー、敵(ヴィラン)といえば敵(ヴィラン)。一般人はそういうだろう」
「正義だの悪だの俺は知らねえ、困っている人は助ける。それが人の道ってものだ」
「例え、助ける相手が敵(ヴィラン)の真似事をするヤツでもな」
この人は最初から私のこと知っていて、わざと聞いてきたみたいだ。
「助けたい人を助けられないのがヒーローなら俺はヒーローをやめてやるさ!」
この人はヒーローとは違う、あのオールマイトに似ているようで似ていない正義を持っている。
ヒーロー殺しみたいな思想を持っているわけではない。
私はこの人に私のヒーローというものの根底を変えさせるものを感じた。
「俺のことを信じないならそれでいい、けどこれだけは約束する」
「俺は絶対に、お前を守ってやる!」
この人なら信じられると私はそう思った。
「わかりました、住んでみます」
「そうか、じゃあまずはここに住むについての説明だが三食寝床付きで土日の日の俺がいない間の店番と商品の手入れと電話の受け答えをしてくれれば家賃はなしだ」
「は...はい、わかりました」
「ところで名前聞いてなかったな。言いたくないならいいけど」
「いえ大丈夫です。私の名前は魔理華、七咲魔理華です」
「魔理華か、いい名前だな。次に仕事の時の服は...」
その日から私の人生は大きく変わった。
毎日美味しいご飯を作ってくれて、服などの必要品も用意してくれたりした。
時々ゲームで遊んだり仕事で起きたことなどを話したりして楽しんだりした。
あの人は...修哉さんは私を本当の家族のように慕ってくれました。
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私は修哉さんに初めて会ったときのことを思い出しながらカフェオレを飲んだ。
気づくと朝ご飯は全部平らげていた。どうやら無意識に食べていたようだ。
「食べ終えたんなら食器は自分で洗えよ。さっき仕事の電話がきたから店番よろしくなー」
「はい、わかりました。何時ごろに戻ってくるんですか?」
「1時間半ぐらいだ。仕事の依頼が来たら記録しろよ」
「わかりました。頑張ってきてください!」
今の私にとってここは帰るべきところであり、新たな人生の始まりの場所であった。
そして修哉さんから聞いた”あの言葉”、”あの言葉”のおかげで今の私がいる。
私を家族として迎え入れて私の人生を変えてくれた。
これ以上の幸せはない、このままで十分だ。
これ以上の幸せはない。その時の私はそう思っていた。
これ以上の...
次回、新キャラクターのお話を書きます。