とある少女の救済神話 【完結】   作:カリーシュ

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裏ルート:一章 最弱の魔法少女
裏ルート:第1話


―見滝原市

 

sideキュゥべえ

 

「……確かに、それだけの『因果』がある存在なら、一度で十分なエネルギーが確保出来るね」

 

 

とあるビルの屋上―

 

他の個体からの『連絡』―異常に高い魔法少女の素質を持った少女を発見した、と言う内容が共有される。

不幸な事にその少女を確認した個体は殺されたようで、距離の関係で、巴マミからグリーフシードを回収する役割を担っていたボクが次の観測手として指定された。

 

「この町は『ワルプルギスの夜』の進行ルート上にある。 その少女に対する情報が少ないのは問題だけれど、一般的な第二次性徴期の少女の感性なら簡単に誘導出来、る……」

 

『連絡』している最中だというのに、それを途絶えさせる程の異常な光景が目に入る。

 

 

 

 

 

 

――星が(・・)堕ちてきていた(・・・・・・・)

 

 

 

 

―『上位存在』の計算では、この惑星に堕星が起きるのは数百年後の筈―

 

 

計算違い? あり得ない。

 

急な軌道変化? 可能性は少ない。

 

 

「…ま、関係無いか。 この惑星が滅んだとしても、精神疾患を患(感情を持)った種族は他にも存在する」

 

わざわざこの惑星を守ることで消費するエネルギーを考慮すれば、行動を起こす事は無駄にしかならない。

 

先ほど確認された『鹿目まどか』を利用するにしても、計測可能な限りでの落下速度を考慮すれば、時間が足りない。

 

ならばボクらがすべき事は、あの星の観測でしかない。

 

 

 

 

 

 

 

――観測すればする程、異常な隕石だった。

 

「……直径、質量、共に非常に小さい。 だと言うのに、大気圏で燃え尽きない……?」

 

既存の科学的視点から、『未確認物質』の可能性が発生する。

 

他の個体との視覚共通を利用して、『上位存在』にデータを転送――

 

 

「―いや速過ぎないかい?!」

 

 

さっきまでは夜空の点だったのに対して、今ではハッキリとした落下地点を計算が可能な程接近している。

 

ちなみに計算結果は―

 

ここ(見滝原市)。 しかも、丁度このビル。

 

発生する被害は、速度が光速を超えている時点で計算不可能()

 

こうしている間にも、さらに近づいて…………?

 

 

「……卵?」

 

 

肉眼での視認が可能な程接近した事で、明確な形状を観察することが出来る。

 

その形状は正しく、楕円形の、卵のような形だった。

 

 

 

 

 

 

―ズガァァァァァァァァァァァァァアアアン!!!

 

 

 

「キュっっ!?!?」

 

その『卵』が、ボクがいるビルの屋上に着弾した。

爆発音や衝撃波が周りにある物を薙ぎ払い、鉄筋コンクリートに深いヒビを刻む。

 

―が、それだけ(・・・・)だ。 想定していたような大破壊は起きない。

 

 

 

「………一体、何がどうなっているんだい? 訳が分からないよ」

 

コロンブスの卵のように、少し斜めってこそいるが直立する物体に近づく。 どういった原理なのか、空気熱から計算すれば、その物体の表面温度は非常に低かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この時、もし、『ソレ』に近づかなければ――

良くも悪くも、未来は大きく変わっていただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故なら、『ソレ』の中身は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボク達ですら知ることが出来なかった、外宇宙からの異物だったのだから――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ピ、シ

 

「……キュ?」

 

物体の表面に、一筋のヒビが入る。

それに続き、滑らかだった表面が、部分的に、線状に凹み―

 

 

ピシピシピシピシピシピシピシピシピシピシピシピシピシピシッッッ

 

 

―まるで、翼で包んだような形に変わり―

 

 

 

―ズ、ズズズ―

 

 

 

 

 

ゆっくりと、『殻』がズレる。

 

『殻』は、正しく『翼』で、内包されていた『ソレ』が、確認出来る様になる。

 

 

 

 

 

深い緑色の髪。

 

病的なまでに白い肌。

 

黒いワンピース。

 

第二次性徴期前の小学生の様な華奢な体型。

 

 

 

地球人の少女に似た外見の『ソレ』が、膝を折り、丸まった状態で現れる。

殻は、ある程度縮小―それでも数メートルある―して、骨を組み合わせた様な翼として、『ソレ』の背中から生えていた。

 

 

「……一体、これは………?」

 

 

恐る恐る、2、3歩近づく。

瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―ォォォォオオアAAアアアアアアアァァァaァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァaァァァァァァァァァァァァaァァァァァァaaァァァaァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアAァァァaァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアAアアアアアアアアアアAAアアアアアAアアアアアアアアアアアAアアアアァァァアアアアAアアアアアアアアアアアアアアアaァァァァァァaァァァァァァァァァAAAAAアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアッッッ!!!!!!!!!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ソレ』が咆哮する。

丸まった両足は勢いよくビルを蹴りつけヒビを致命的なモノにし、腕を翼を、盃の様に広げて。

 

 

……一頻り咆哮した『ソレ』は、腕をダランと垂らし、翼は虚しく空を掻く。

 

ゆっくりと、けれどハッキリと開かれた瞳は、深海の様に蒼く、黒く、碧く―

 

 

 

 

 

 

 

――一条の光すら無いほど、濁った瞳だった。

 

 

 

 

 

 

 

あの『目』は、見たことがある。

 

魔法少女が魔女に変わる寸前。

 

ソウルジェムが、グリーフシードへと切り替わる直前の――それを更に酷くしたもの。

 

 

更に、ボクらに付随された能力が、ハッキリとした結果を出す。

 

――魔法少女としての高い適性。 それも、『鹿目まどか』すら超えるほどの。

 

優先順位が切り替わる。

 

目の前の『コレ』を魔法少女にして、これ程までの『絶望』のエネルギーを回収出来れば、それだけでノルマを軽々と上回る程のエネルギーを入手出来る。

 

そうと決まれば、先ずは相手を探らないと。

 

 

「……君は、一体――?」

 

【…………………aa?】

 

 

濁った瞳が、ボクを見据える。

 

何故か、それだけで、

 

 

【…………………キュゥべえ?」

 

「?!?!」

 

 

瞳に、光が射した。

深海の様な色の瞳はそのままに、歳相応の『目』でボクを見つめ返してくる。

 

「……て事は、ここはまどマギんトコか。 つかビルヤバ。 どーなっとるんコレ?」

 

どーなっとるん? はボクの台詞だ。

 

翼を何度かはためかせ、細かな砂利を払う様な仕草をしたあと、ビルの縁まで歩いて行く。

 

 

――ボクが『キュゥべえ』だと知っている以上、恐らく魔法少女のシステムを知っているだろう。 問題はどこまでかということだk

 

「おーいそこの詐欺師の鑑」

 

「全部知ってるって台詞だよね、それ」

 

「? ま、いいや。 ここどこだい?」

 

……明確に狙って落ちて来た訳じゃなさそうだね。

 

「……ここは地球、日本の見滝原市。 と言ってもキミに意味が理解出来r―

……あれ?」

 

一瞬目を離したら、消えていた。

慌てて少女の立っていた縁から下を覗くと―

 

 

 

―ガシッ

 

 

 

……がしっ?

 

「はい確保ー」

 

「………え? 飛ん、えぇぇ!?!」

 

翼を羽ばたかせて飛んでいた。

その形状(骨の塊)でどうやって揚力を得ているんだい!?

 

「気合と根性とその他諸々」

 

「アバウト過ぎる!?」

 

「―ところでキュゥべえや?」

 

ボクを両手でしっかりホールドしたまま、更に上昇する。

 

少女の態度と行動に、感情が存在しないハズのボクの中に、漠然とした嫌なモノ(不安)が広がる。

 

 

 

 

 

「―絶叫系、特にフリーフォールって好きかい?」

 

「……………はい?」

 

言うが早いが、ゴゥッッ!! と凄まじい音を立てながら急降下……っ!?!?

 

 

「シ○キ・ウ○ゥンドゥの目がぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

 

「それ絶対駄目なヤツぅぅぅぅぅ!? ていうかそれ言いたかっただけだよね!?!?」

 

しかもこれの何処がフリーフォール(自由落下)?! 思いっきり地表に向けて羽ばたいてるよね!?!?

 

「ボケーっとしてると舌噛むぞー」

 

「はぃっっイダァ!?!?」

 

今度は急上昇。 まるで向きだけ180度変えた様に急に切り替わった所為で、思いっきり舌を噛んでしまう。

 

「か・ら・の〜――

急降下ぁっ!!!」

 

「ぎゅっぶいぃぃぃぃぃぃぃ!?!?」

 

今度は螺旋状に回りながらの急降下ぁ――

もう辞めてぇ……!

 

「フハハハハハ! あなたが吐くまでっ! タ○テラごっこを辞めない!

逝くぞ〜、急・上・昇!!」

 

「きゅっぷいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー、楽しかった!」

 

「」

 

……ボクが解放されたのは、あれから10分後の事だった。

人間で言う半規管と前庭に相当する部分を思いっきり揺さぶられ、けれど取り込んだ物体と言えばグリーフシードくらいしか無く、それが原因で戻すことも出来ず、失神してようやく止まったらしい。

 

けれど、未だその犯人はボクの腹部の下にいる。

……正確に言えば、ボクが彼女の頭上に乗せられている、だけど。

 

「……ね、ねぇ、キミ。 一体何の為にあんな事を―」

 

「へ? さっきキュゥべえ答え言ってたジャン」

 

「ホントにさっきの台詞を言いたいが為にボクは巻き込まれたのかい!?」

 

「いや、絶叫系なんだから悲鳴を上げてくれるいけn、じゃ無くて客がいないと」

 

「今完全に生贄って言いかけたよね?!」

 

「気にするな!」

 

「気にするよぉぉぉ!?」

 

アハハハハハ(・・・・・・)、と歳相応の笑い声を上げて、深夜の街を歩く。

 

こんな外見の少女がこんな時間帯に歩けば、当然下心のある人間が近づいてくるのは当然―

 

「ねぇk

『ドゴォッッ!!』

―っっ???!!?」

 

 

………当然なんだけど、こっちの方が異常者だったね。

 

「話しかけられた瞬間に股間に向かって蹴り上げは酷いと思うよ?」

 

「一撃で昇天させたんだから、まだ慈悲深い方ジャン」

 

「まぁ、確かに一撃で気絶してはいたけど――」

「感触的に多分片方潰れたケド」

 

「鬼!? 悪魔!? 鬼畜過ぎる!?」

 

「いやさ、こんなか弱い幼女をこんな大人数で囲う方が鬼畜だと思うケド?」

 

「キュ?」

 

言われてやっと気がつけれた。

近くの物陰から、さっきこの少女に瞬殺されたヒトと似た様な人種が、十人単位で屯ろしていた。

 

……全員、青い顔をして股間部を抑えていたのは、言うまでもないだろう。

 

「さて、さぁて」

 

ボキバキと指の関節を鳴らしながら、そんな一団に近づく少女。

 

何をする気だい? 想像は簡単だけれど。

 

「妖怪『首置いてけ』改め『タマ置いてけ』が猛威を振るうだけジャン♪」

 

「……慈悲は?」

 

「ナイ」

 

うん知ってた。

 

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