とある少女の救済神話 【完結】   作:カリーシュ

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裏ルート:第2話

sideキュゥべえ

 

 

少女の『タマ置いてけ(カツアゲ)』がひと段落ついた所で、ボクらはネカフェに転がり込んだ。

 

ちなみに代金は、少女が狩ってきたタマ(財布)からである。

 

「……ところでさーキューべー。 アンタ、私と一緒にグータラしてていいワケ?」

 

「おかしいな、ボクはキミに無理矢理連れまわされた記憶があるよ?」

 

「タワ○ラごっこの後は捕まえてた覚えが無いよ?」

 

ジュースをストローでちぅーと飲みながら器用に喋る少女。

 

「いやさ、キュゥべえって、脅迫同然の迫り方で女の子を魔法少女にする契約を結ばせていとも容易く行われるえげつない奇跡の代償で絶望させて感情エネルギーを貪るのがお仕事っしょ?」

 

「そうだよ」

 

「ワォ即答」

 

実際、『騙した』だとか『裏切った』とか言われるけれど、キミたちの確認不足が招いた事態だよね? ボクらは聞かれた事(・・・・・)には正直に答えているというのに。

 

「……いやいや、故意の不告知でキュゥべえの方が罪に問われるからな? クーリングオフ期間作れよ」

 

「それだとエネルギー回収効率が落ちるんだよ。

そうだ、ねぇキミ。 キミには叶えたい夢とか、無いのかい?

あるのなら――

 

ボクとk「いーよー」

最後まで言わせてぇぇぇ!?

 

……………へ?」

 

あっさり肯定の返事が返ってくる。

 

「………本当にいいのかい? そこまで魔法少女について知っていて、それでも契約を結んでくれるなんて、初めてのケースなのだけれど?

それほど、キミはその『願い』を叶えたいのかい?」

 

「あー……その願いの件なんだけどさ。

………キープって出来る?」

 

「『キープ』………?」

 

「先送りってこと。

実は記憶の――エピソード記憶ってヤツ? が一部吹っ飛んでるっぽくてね」

 

言いながら、指先で頭をトントンと叩く少女。

 

「その吹っ飛んだ範囲で、何か、強烈に、『忘れちゃいけないハズのナニカ』がある筈なんだよ。

アンタの『奇跡』は、その『ナニカ』を思い出した時の為に取っておきたいんだ」

 

「………まあ、そういうことならいいよ」

 

「言ったな? 言質とったからな? 奇跡は契約の時限定とか後から言うなよ?」

 

「言わない。 ボクは正直だからね」

 

「正直モンは自分でンなこと言わないよ」

 

言ってる間に『契約』を完了させる。

彼女の魂を『ソウルジェム』と呼ばれる宝石状の物に置き換え、将来的に魔女になる少女―

 

 

『魔法少女』へと変えていく。

 

 

「――はい。 契約は完了したよ」

 

「………あり? 煌びやかな変身シーンとかは?」

 

「魔法少女の個体的特徴は叶えた奇跡に影響される。 だから、キミの場合は『魔法少女のタマゴ』という状態が近いね。 魔法そのものは使えても、あらゆる面で通常の魔法少女に劣るし、固有能力も存在しない」

 

「それが『先送り』の代償ってか?

ま、いいか」

 

そして、ボクに向かって手を伸ばして―

 

「言い忘れてたけど、私は『クト』。 これから宜しく頼むよ」

 

「こちらこそ。 キミからグリーフシードを回収する係に決定された訳だしね」

 

その手に、前足を乗せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………後から考えてみれば、この『契約』は、ボク(・・)にとっての悪魔――いや、『邪神の契約』になった訳だけれど…………

このタイミングで気づけという方が無理だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでさーキューべー」

 

「なんdきゅっぷいぃぃぃ!?」

 

ゴスッ!!

 

いきなり頭部に手刀が炸裂する。

 

「何するのさ!?」

 

「……なんとなく? アハハハハハハ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………結局その後、スイッチが切れた様にミノムシ状態で爆睡したクトに付き合って、ネカフェの個室で一夜を明かした。

 

 

その朝。

 

 

「――ふぁ〜ぁ。 オハヨーキュゥべえ」

 

「ハイハイおはよう。 女の子がそんなだらしない顔したら駄目だよ?」

 

「うるへーアンタは私の妹か? マジでカワイイからな!?」

 

「その妹さんと契y

「殺す」

まさかのガチトーン!?」

 

ネカフェを後にして、公園の水飲み場で濡らしたハンカチで顔を拭う少女に、ふと気になった事を問う。

 

「……そう言えばキミ、昨日宇宙から堕ちて来てたよね? なのに順応早過ぎないかい?」

 

「え? 宇宙?

………あ、そういう事か。 色々あったって事で」

 

意味の分からない事を呟きつつ、ボクを肩に乗せたまま昨晩の様に街を歩くクト。

スタイル的には、某電気ネズミを連れたトレーナーに近い。

 

「んー……なーなーキュゥべえ? そっちの情報網で良い具合の場所ってある?」

 

「良い具合の場所……?」

 

「流石に毎日ネカフェ泊まりは確実に補導されるしさ。 早い話アジトが欲しい」

 

「ふむ………」

 

良い具合の場所、か…………

 

「……隣町の廃教会はどうd

「無理心中からのバーニング(炎上(物理))やらかしたヤバイリストトップクラスの事故物件なら無しの方向で」

ワガママだなぁ」

 

「ンな所に住むとか幾ら残機とSAN値があっても足りんわ」

 

「ざんき? さんち?」

 

「気にするな!」

 

結局、魔女を探すついでにいい感じの所があれば、そこを拠点にする、ということで落ち着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………のだけれど。

 

「…魔女、居なくね? キュゥべえの言ってたレーダー(ソウルジェムの反応)以外にも、私の方でも気配探ってるけど一体もヒットしないとかあり得るの?」

 

拠点には廃アパートの一室を選び(無断)、クトがまた『タマ置いてけ』で小遣いを荒稼ぎして、細々とした雑貨を買い込んで――と、大分動き回っているのに、一度も魔女と遭遇しない。

 

「……元々、この辺り一帯はマミの縄張りだからね。 オマケに最近この街にやって来た正体不明の魔法少女(・・・・・・・・・)もいるし。 粗方狩り尽くされているのかもしれない」

 

「oh、マジすか」

 

その場で綺麗なorzポーズを決めるクト。

 

「……しょうがない。 明日また出直すか。 部屋の掃除とかしたいし」

 

「それもそうだね。 ソウルジェムの穢れは、普通に生活する分にはあまり溜まらないし」

 

「それな」

 

他愛も無い会話を続けながら、ボクらは帰路に着くのだった。

 

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