とある少女の救済神話 【完結】   作:カリーシュ

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最早『ソレ』を縛るモノは何も無い

封印は既に意味を成さず、星辰が揃う夜


『狂気』が

『絶望』が

『苦痛』が

『厄災』が

『混沌』が

『嘆き』が

『懺悔』が

『憎悪』が

『憤怒』が

『悲哀』が

『怨嗟』が

『恐怖』が

『終焉』が

世に溢れる


そこで『邪神』は、独り、静かに、嗤う(涙を流す)







共通ルート:第4話

sideほむら

 

バラララララララララッ!!

 

狙いをロクに付けずに発砲。 セレクターは当然フルオート。

 

《■■■■■■■■■■■》

 

身を屈めて、超低空バックステップで距離を離されるのを、トリガーを引ききったまま追う。

 

まずは、まどかを巻き込まない様に場所を変えないと――

 

 

弾が切れた瞬間、手早くリロードしながら反撃に備えて相手を注意深く観察する。

目に見える武器は、左手のサブマシンガンらしき銃。 種類は不明。

 

 

《……■■■■■■■。 ■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■…………》

 

 

なぜか撃たずに更に距離を開ける使い魔。

 

近距離戦闘は苦手なのかしら?

 

 

一気に踏み込み、銃口を突きつけ―

 

キンッ

 

「……そういう訳でもないようね」

 

《……■■■》

 

いつの間にか右手に握られていたナイフで、銃口を逸らされる。

 

力の向きに逆らわず、その力も利用して横に跳ぶ。

 

 

ここで初めて、相手の銃が動く。

一瞬で上がった銃口から弾が連続で吐き出される。

 

 

時間停止――は、ダメ。

 

 

「くっ!!」

 

今まで相手の攻撃を避けるのに能力を多用していた所為か、咄嗟に判断出来ず盾で受け止める。

 

 

叩き込まれる衝撃を堪え、何とか相手を視界に入れる。

 

反動で暴れる銃からは泥が剥がれて、その銃身が露わになる。

銃の後上部に円柱―おそらくマガジン―がついている、珍しい形の銃。

 

……見たことない形ね。 少なくとも自衛隊・米軍が使っている種類ではないし、安さに特化した不良品(コピー銃)でもないようね。

 

 

スコーピオンのバレルの先端を盾の下に押し当て、引き金を引く。

 

こちらの反撃に素早く反応しサイドステップで躱されるのが、銃そのものを投げつける。

 

《!?》

 

グリップの底を打つける事で防いでる間に盾に手を入れ、新しくスコーピオンを引き抜く。

 

《! ■■■■■■■■?!》

 

ナイフを腰周りに収刀した右手が、まるで困惑しているかのように漂う。

 

その隙に投げ飛ばしたスコーピオンに飛びつき、ついでにマグ(マガジン)も換える。

 

《……? ■■? ■■■■■■■■■■■■、■■■■■■?

――『■■』■◾︎!》

 

今更慌てた様子の使い魔に、一気に全弾を叩き込むつもりで撃つ。

 

回避動作も出来ていない。

 

よし、もらった――

 

 

 

 

 

《――■■■■■(■■■■■■■)――■■■(■■■■■■■)!》

 

「?!? なっ――

まさか、こいつも時間系の能力を?!?!」

 

使い魔が、急にこれまでの二倍の速度で動き(・・・・・・・・)始める。

あっと言う間に射線からは逃げられ、肩周り(ショルダーホルスター)から巨大な拳銃が飛び出――

 

『――止めるんだ、ほむら!!』

 

「!?! キュゥべえ?! いきなり何よ?」

 

『あの銃は絶対に撃たせちゃ駄目だ!! 抜いた瞬間、異常なエネルギーの流動を感知した!! あの銃撃が着弾した想定の影響をざっくりと演算したけど、掠ってもキミが死にかねない!! 外しても、結界に与えるダメージが未知数だ!!』

 

「!? あのバカ!! 使い魔になんて武器持たせてんのよ?!?」

 

幸い、抜銃そのものが使い魔にとって思わずといったものだったからか、何故か元々入っていた弾を別のものに再装填していた。

 

『……あ、あれ? 異常流動が、収まった……?』

 

「危険なのは弾丸みたいね。

……どちらにせよ、喰らいたくはないけど」

 

弾丸の再装填の時、弾倉を変えるのではなく、銃身の根元で折って、そこから弾を1発入れていた。

 

 

大型ハンドガン並の大きさで、中折れ式の装填、尚且つ装填数は1。

私の知っている限り、該当するのは、一部のソードオフショットガン、グレネードランチャー、それと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――競技用拳銃(コンテンダー)

 

 

 

 

 

競技用拳銃だとしたら、警戒するのは構造の単純さ故の高精度の精密射撃と、高い耐久性。

銃の種類によっては、それこそ大口径ライフル弾が飛び出してきてもおかしくない。

 

そんな銃の顎が、こちらを見据える。

 

「っ!!」

 

慌てて両手のサブマシンガンを投げつけ、伏せる。

 

 

 

――ッダァンッッ!!!

 

 

 

金属塊を2つ貫いて、死神の鎌が頭上を通り過ぎる。

 

……か、貫通したってことは、散弾とか、スラッグじゃないわね。

間違いなく、競技用拳銃。

 

 

弱点は、再装填に時間がかかること。

 

一気に勝負を付けようと、AT4を出し――

 

 

ガガガガガガガガガガガガガガッッ!!

 

「キャッ!!」

 

さ、サブマシンガンを忘れてたわ……

 

今の掃射でロケランは破損。 撃ったら暴発するわね。

 

 

今の隙に相手はリロードを済ませているでしょうね。

 

分かっているだけで敵の武器は、競技用拳銃一丁、サブマシンガン一丁、ナイフ、後は正体不明の加速術。 おそらく、時間系魔法。 相手の実力を考えれば、まだ手札を隠してる。

 

 

 

どの手を打つ?

 

サブマシンガン――繰り返しは時間だけで十分よ。

 

マグナム――サブマシンガン相手に撃ち負ける。

 

ショットガン――倍速回避→コッキング中に拳銃でズドン、で負けるわね。

 

マシンガン――加速持ちにはショットガン以上に避けやすいでしょうね。

 

グレネードランチャー――論外。 ショットガンと同じ運命を辿るわ。

 

ナイフか警棒での近接戦――練度からして、一瞬で負ける。

 

 

……そうだわ!! この手なら――

 

 

 

油断なくこちらに拳銃の銃口を向けたまま躙り寄る敵。

 

私の足元には、使用不可能のロケラン。

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の手には、手榴弾。

閃光でも煙幕でもなく、破片を撒き散らすマークⅡグレネード。

 

 

親指でピンを弾き、ポイッと、足元に捨てる。

 

 

《――?!? ■◾︎、■■■◾︎!!

■■■■■(■■■■■■■)――■■■(■■■■■■■■)◾︎!》

 

敵が再度加速する。

逃げるのを確認する前に、急いでその場に伏せる。

 

マークⅡはその特性上、爆発より外殻が飛び散ることによる殺傷能力が優れている。

近距離での回避は実質不可能。

だけど、私の足元には、金属製の盾が転がっている。

いざとなれば、一瞬だけ時間を止めて破片の軌道の隙間に潜り込めばいい―――へ??

 

 

 

《■■■■――■■■■◾︎!》

 

 

 

な、なんで、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――自分からこっちに来てるのよ?!?! しかもさっきより倍は早いし?!?!

 

コツン、と手榴弾が地面に当たる音がするのと、使い魔が金属塊を踏み越えるのは同時だった。

 

 

 

――ドッドッガァァァンッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……い、今の爆発は、一体………?

 

手榴弾は何度も使ったことがあるけど、あんな強い爆発は起きないはず。

 

焦げ臭い匂いに顔を顰めつつ、思わず瞑っていた目を開けると、視界は真っ黒。

 

重い物がのしかかっている感じがしたから、退ける、と、――

 

 

「…………………え? えっ、え???」

 

 

そこにいたのは、血を流す、男の人(・・・)

 

魔法少女姿のクトが着ていたような、黒のロングコートは爆風の影響で見るに堪えないほどボロボロ。

 

所々、見覚えのある『泥』がスーツに付き、蠢いている。

 

 

「……この泥、使い魔の中身は人ってこと?

それに…………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この人とは何故か、初対面じゃない気がする。

 

 

 

 

 

ふと振り返ると、細かい金属ゴミと化した、AT4。

 

「……うっかりしていたわ。 まだ中身のあるランチャーを捨てるなんて」

 

 

視線を落とす。

 

 

「……なんで、私を助けたのかしら? 私は魔法少女。 爆風で死ぬ可能性は少ないわ。 結界から追い出すことを目的とするなら、貴方は逃げるべきだったはず」

 

《―――》

 

 

 

 

 

――男の人は、応えず。

 

ただ疲れ切った顔の遺体が、転がるだけだった。

 

 

 

 

 

 

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