――けれど、『
嘗て、彼女が救おうとした者がいたことを
嘗て、彼女を救おうとした者がいたことを
sideさやか
動画とかみたいに、身体の中心に剣を構える。
相手は、クトと同じくらいの身長。 なのに、あたしの身長より大きな槍を片手で構えてる。
《………》
余裕の表れか、手招きしてるし。
「――っ、はぁぁぁぁぁッ!!」
一気に距離を詰める。
何故か反応しない使い魔に向けて、剣を振る。
よし、まずは一撃――
――スカッ
「……へ?」
……なんで? なんで、剣が当たらな――
《■■■■■■■■■■■■。 ■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■》
「? 何言ってるか分かんないけど、負けるもんか!!」
1発が当たらないなら、数を増やすまで!
左手にも剣を作って、バツ字に斬りかかる。 これなら、
《■■■、■、■■■■■■》
ッブォンッッ!
「!? は、はや、」
でっかい槍がブレたと思ったら、剣に叩きつけられる。
丁度交差したところで当てられたみたいで、ダメージこそないけど、後退させられる。
その間に使い魔は、追撃するでもなく、口元の泥を引き剥がしてる。
あたしは、眼中にないってわけ!?!
そう怒鳴ろうとして、
《■◾︎――フゥ。
これで通じる?》
「!?!?」
うそ、なんで、なんで、
《驚くような点があった? あなたから見れば、わたしは初対面――いや、どうでしょうね。 顔は知っているかもしれないわね》
――なんで、あたしと、
「――声が、同じなの?!?」
《あら、そんな些細な事で驚いていたの?》
さ、些細なことって……
《そんな事より、あなたにはやるべき事がある筈よ。
そう――
―――わたしを、斃すという『運命』が!!》
バサッッ!!
背中の泥を吹き飛ばし、悪魔のような翼が姿を表す。
「っ、」
《緩いわ。 本気を出しなさい!》
上段に斬りかかるも、翼を一度羽ばたかせるだけで強烈な風が吹き荒れて、飛ばされないように堪えるので精一杯。
《その程度? いいえ。 あなたはわたしではないけれど、わたしはあなたよ。 それとも、ただの勘違いだったかしら?》
「っ、なめるなぁッ!!」
両手の剣を、投げつける。
回転しながら迫った剣は、
《つまらないわね。 あまり巫山戯るようなら、潰すわよ》
当たる前に、1発の光弾で弾かれる。
……これじゃあ、どうしようもない。
なら考えろ。
マミさんならどうする?
杏子ならどうする?
ほむらならどうする?
――クトなら、どうする?
「――! 試す価値は、ある!!」
右手に出した剣の柄を握りしめて、魔力を流す。
《……ふぅん。 何か思いついたようね》
「うん。 降参するなら今だよっ!!」
《冗談!》
魔力を流す。
流し込んだ魔力は、もう完成している剣の内側を流れて、外側に溢れる。
外に出た魔力は、空中で固まって、新しい刀身を精製する。
――あたしの『剣を生み出す』魔法は、手に直接か、地面に生えるようにしか取り出せない。
マミさんみたいに、空中にいっぺんに出すことなんて出来ない。
クトみたいに、宙に浮かばせることなんて出来ない。
だったら――
《……成る程。 一種の蛇腹剣ね》
「あんたは見た感じ、早くて、
《リーチを長くした、と。
………くふっ、ははは、あははははははは!》
突然大笑いし始める使い魔。
《確かにわたしは早いわ。 でも遠距離戦は不得手では無い。 寧ろそっちがメインかしら。
それにわたしは、力も強いし、近距離戦も得意よ? 多少小細工を弄した所で、わたしには勝てないわ》
「……簡単に言えばリアルチートじゃないですかヤダー」
……ダメだ、考えれば考えるほどドツボにハマる。
少なくともマトモにやりあったらマズイってことは断言出来る。
《……待ち草臥れた。 そろそろこちらから行くわよ?》
「!!? も、もう当たって砕けろ!!」
真っ直ぐに空中を突進して、右手を振り下ろす使い魔。
なんとか防ごうと、両手で握る剣で受け止める、けど――
「うぐ、ぐぐぐぐぐ………」
《ほらほら、まだ片手よ? どうするのかしら?》
「ちっくしょー!!」
刃に直接触っているどころか、力までかかってるのに、そのまま押し切られそう………ッ!
「う――あああああああああああっっ!!」
《お? いいわよ、その調子その調子》
剣を滑らせて、前に倒れこんでなんとか受け流す。地面に激突した手は、簡単に手首まで埋まって、どれだけの力が込められていたのか、暗に示してた。 当然、蛇腹剣は壊れてた。
《それ、次よ!》
「?!! うっ!!」
左手はさっきと同じ振り下ろしで、右手で横に薙ぎ払うように構えられる。
直撃は受けちゃいけない、だからって防ごうにも両手で受け止めてやっとだし、避けるにも相手の動きが――
ギギィィィンッッ!!
「!!? ぐぁっ!」
片手づつに持った剣を盾にして、致命傷だけは防ぐ。
それでもあたしは吹っ飛ばされる。
「ま、まだまだ………っ!」
《まだまだ、ね。 そろそろ手札が無くなってきた頃じゃなくて?》
剣を杖にして、立ち上がる。
どうすれば、どうすれば――
相手は慢心して、こっちの様子を見てる。
……槍は、どこに行ったの?
気になって、辺りを見渡す。
刃毀れして、錆びて、黒い汚れがこびりついた剣やら刀やら槍が、まどかの言うとおり、お墓みたいに突き立ってる。
あいつの持ってた、紅い槍は、無い。
槍が無いなら、あいつの武器は、あの身だけ。 なら、
「これなら、どうだッ!!」
弾幕なら!!
地に剣が突き立っているイメージをして架空の柄を握ると、すぐに投げつけるって動きを、何度も繰り返す。
そこら中にモデルがあるんだから、ミスしようがない!!
《このわたしに弾幕戦? あっははははは!!》
相手は防ぐことも弾くこともせず、剣を避け続ける。
「はぁぁああああああああ!!」
《単調、単純よ!
弾幕というのは、こういうのをいうのよ!!》
剣の雨を潜り抜けながら、その両手から大きな紅い光弾が幾つも放たれる。
「え、ちょ、それなんてチート?!」
《あら、こんなのeasyよ?》
「基準がおかしい!!」
動きはそこまで早くないから、なんとか走って避ける。
追っかけてくるってわけでもないし、案外簡単かも――
《後方注意よ》
「前言撤回! どこが簡単だぁ!?!」
狭い空間を跳ねるゴムボールみたいに、ある程度の距離を進むと向きが突然変わる。
しかも変わる方向が、追っかけてきてるじゃなくてランダムっぽいから、尚更やりにくい!
……これって、時間が経てば経つ程詰むやつじゃ。
「だ、誰か、助けて――」
あ、視界が真っ赤になって――
「――ティロ・フィナーレ!!」
横からのレーザー砲が、紅い光弾を掻き消す。
「――今の弾幕、その翼………貴女は『記録』にいなかったわよね。 私の予想、外れたのかしら」
「マミさん!!」
とても頼りになる、1つ年上の先輩がライフルを構えて、そこにいた。
撃っては捨て、撃って捨てで残りの光弾を処理すると、改めてあたしの隣に立つ。
「マミさん、あいつ、変なんです! 私と声が同じで」
「そうなの? やっぱり何かしらの共通点が……いやでも、もしそうだとしたら……」
《―――来い》
マミさんが何か考え込んでいると、使い魔の手の光弾が伸び、槍になる。
「あら? 随分流暢に話せるのね。 私が相手をした彼女は、随分喋りにくそうだったわよ」
《そう。 それで、あなたはわたしを愉しませてくれるのかしら?》
「ええ」
……やっぱり、マミさんってすごいな。 あいつにあんな自信満々に――
『美樹さん。 ちょっといいかしら?』
『?! は、はい!』
急に、あいつと睨み合ってるマミさんから念話が来る。
この距離なら直接の方が早いんじゃ…?
『……他の子に念話で話しかけてみてくれないかしら』
『はい! えっと――』
きっと、何か考えがあってのことなんだろうな。
『キュゥべえー。 聞こえるー?』
……………
…………………あ、あれ?
『キュゥべえ、まどか?』
…………………………
『杏子? ほむら?!』
な、なんで返事が、
ま、まさか、みんな、
『だ、誰でもいいから返事をして!! まどか! ほむら! 杏子!』
「――うるさい! いきなり大声で呼ぶな!」
………きょう、こ?
「無事だったの?!」
「どういう意味だよ!?」
《……そんな。 精霊に英霊だぞ?! なんで、こんな、》
なにやら驚いている使い魔を放って、マミさんが声を張り上げる。
「……もしかして。
ちょうどよかったわ。 佐倉さん! 暁美さんに今のことを伝えて!!」
《ッ!! させるかッ!!》
慌てた様に槍が飛ぶけど、すぐに撃墜される。
「さ、美樹さん! やりましょう!!」
「はいっ!
っでも、あたしにはあいつに通用する攻撃が、」
「大丈夫よ。
だって、
「? ?」
「そうよね?
――クト」
―――え?
「ええええええええ?!?」