とある少女の救済神話 【完結】   作:カリーシュ

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――けれど、『邪神(少女)』は思い出す


嘗て、彼女が救おうとした者がいたことを

嘗て、彼女を救おうとした者がいたことを







共通ルート:第5話

sideさやか

 

動画とかみたいに、身体の中心に剣を構える。

 

相手は、クトと同じくらいの身長。 なのに、あたしの身長より大きな槍を片手で構えてる。

 

《………》

 

余裕の表れか、手招きしてるし。

 

 

「――っ、はぁぁぁぁぁッ!!」

 

一気に距離を詰める。

何故か反応しない使い魔に向けて、剣を振る。

 

 

よし、まずは一撃――

 

 

 

 

 

――スカッ

 

 

 

 

 

「……へ?」

 

……なんで? なんで、剣が当たらな――

 

《■■■■■■■■■■■■。 ■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■》

 

「? 何言ってるか分かんないけど、負けるもんか!!」

 

1発が当たらないなら、数を増やすまで!

 

左手にも剣を作って、バツ字に斬りかかる。 これなら、

 

《■■■、■、■■■■■■》

 

 

ッブォンッッ!

 

 

「!? は、はや、」

 

でっかい槍がブレたと思ったら、剣に叩きつけられる。

 

丁度交差したところで当てられたみたいで、ダメージこそないけど、後退させられる。

 

 

その間に使い魔は、追撃するでもなく、口元の泥を引き剥がしてる。

 

あたしは、眼中にないってわけ!?!

そう怒鳴ろうとして、

 

 

 

 

 

 

 

《■◾︎――フゥ。

これで通じる?》

 

「!?!?」

 

うそ、なんで、なんで、

 

《驚くような点があった? あなたから見れば、わたしは初対面――いや、どうでしょうね。 顔は知っているかもしれないわね》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――なんで、あたしと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――声が、同じなの?!?」

 

《あら、そんな些細な事で驚いていたの?》

 

さ、些細なことって……

 

《そんな事より、あなたにはやるべき事がある筈よ。

そう――

 

 

 

 

―――わたしを、斃すという『運命』が!!》

 

 

バサッッ!!

 

 

背中の泥を吹き飛ばし、悪魔のような翼が姿を表す。

 

「っ、」

 

《緩いわ。 本気を出しなさい!》

 

上段に斬りかかるも、翼を一度羽ばたかせるだけで強烈な風が吹き荒れて、飛ばされないように堪えるので精一杯。

 

《その程度? いいえ。 あなたはわたしではないけれど、わたしはあなたよ。 それとも、ただの勘違いだったかしら?》

 

「っ、なめるなぁッ!!」

 

両手の剣を、投げつける。

 

回転しながら迫った剣は、

 

 

《つまらないわね。 あまり巫山戯るようなら、潰すわよ》

 

 

当たる前に、1発の光弾で弾かれる。

 

 

……これじゃあ、どうしようもない。

 

 

なら考えろ。

 

マミさんならどうする?

 

杏子ならどうする?

 

ほむらならどうする?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――クトなら、どうする?

 

 

 

 

 

 

 

「――! 試す価値は、ある!!」

 

右手に出した剣の柄を握りしめて、魔力を流す。

 

 

《……ふぅん。 何か思いついたようね》

 

「うん。 降参するなら今だよっ!!」

 

《冗談!》

 

魔力を流す。

流し込んだ魔力は、もう完成している剣の内側を流れて、外側に溢れる。

 

外に出た魔力は、空中で固まって、新しい刀身を精製する。

 

 

 

 

 

――あたしの『剣を生み出す』魔法は、手に直接か、地面に生えるようにしか取り出せない。

マミさんみたいに、空中にいっぺんに出すことなんて出来ない。

クトみたいに、宙に浮かばせることなんて出来ない。

 

だったら――

 

 

 

《……成る程。 一種の蛇腹剣ね》

 

「あんたは見た感じ、早くて、武器()を持ってるってことは遠距離は苦手。 でもあたしには、遠距離武器は無い。 だったら、」

 

《リーチを長くした、と。

………くふっ、ははは、あははははははは!》

 

突然大笑いし始める使い魔。

 

《確かにわたしは早いわ。 でも遠距離戦は不得手では無い。 寧ろそっちがメインかしら。

それにわたしは、力も強いし、近距離戦も得意よ? 多少小細工を弄した所で、わたしには勝てないわ》

 

「……簡単に言えばリアルチートじゃないですかヤダー」

 

……ダメだ、考えれば考えるほどドツボにハマる。

 

少なくともマトモにやりあったらマズイってことは断言出来る。

 

《……待ち草臥れた。 そろそろこちらから行くわよ?》

 

「!!? も、もう当たって砕けろ!!」

 

真っ直ぐに空中を突進して、右手を振り下ろす使い魔。

なんとか防ごうと、両手で握る剣で受け止める、けど――

 

 

「うぐ、ぐぐぐぐぐ………」

 

《ほらほら、まだ片手よ? どうするのかしら?》

 

「ちっくしょー!!」

 

刃に直接触っているどころか、力までかかってるのに、そのまま押し切られそう………ッ!

 

「う――あああああああああああっっ!!」

 

《お? いいわよ、その調子その調子》

 

剣を滑らせて、前に倒れこんでなんとか受け流す。地面に激突した手は、簡単に手首まで埋まって、どれだけの力が込められていたのか、暗に示してた。 当然、蛇腹剣は壊れてた。

 

 

《それ、次よ!》

 

「?!! うっ!!」

 

左手はさっきと同じ振り下ろしで、右手で横に薙ぎ払うように構えられる。

 

直撃は受けちゃいけない、だからって防ごうにも両手で受け止めてやっとだし、避けるにも相手の動きが――

 

 

ギギィィィンッッ!!

 

 

「!!? ぐぁっ!」

 

片手づつに持った剣を盾にして、致命傷だけは防ぐ。

それでもあたしは吹っ飛ばされる。

 

「ま、まだまだ………っ!」

 

《まだまだ、ね。 そろそろ手札が無くなってきた頃じゃなくて?》

 

剣を杖にして、立ち上がる。

 

どうすれば、どうすれば――

 

 

相手は慢心して、こっちの様子を見てる。

……槍は、どこに行ったの?

気になって、辺りを見渡す。

 

刃毀れして、錆びて、黒い汚れがこびりついた剣やら刀やら槍が、まどかの言うとおり、お墓みたいに突き立ってる。

あいつの持ってた、紅い槍は、無い。

 

 

槍が無いなら、あいつの武器は、あの身だけ。 なら、

 

「これなら、どうだッ!!」

 

弾幕なら!!

 

 

地に剣が突き立っているイメージをして架空の柄を握ると、すぐに投げつけるって動きを、何度も繰り返す。

そこら中にモデルがあるんだから、ミスしようがない!!

 

 

《このわたしに弾幕戦? あっははははは!!》

 

相手は防ぐことも弾くこともせず、剣を避け続ける。

 

「はぁぁああああああああ!!」

 

《単調、単純よ!

弾幕というのは、こういうのをいうのよ!!》

 

剣の雨を潜り抜けながら、その両手から大きな紅い光弾が幾つも放たれる。

 

「え、ちょ、それなんてチート?!」

 

《あら、こんなのeasyよ?》

 

「基準がおかしい!!」

 

動きはそこまで早くないから、なんとか走って避ける。

追っかけてくるってわけでもないし、案外簡単かも――

 

《後方注意よ》

 

「前言撤回! どこが簡単だぁ!?!」

 

狭い空間を跳ねるゴムボールみたいに、ある程度の距離を進むと向きが突然変わる。

しかも変わる方向が、追っかけてきてるじゃなくてランダムっぽいから、尚更やりにくい!

 

……これって、時間が経てば経つ程詰むやつじゃ。

 

「だ、誰か、助けて――」

 

あ、視界が真っ赤になって――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ティロ・フィナーレ!!」

 

横からのレーザー砲が、紅い光弾を掻き消す。

 

「――今の弾幕、その翼………貴女は『記録』にいなかったわよね。 私の予想、外れたのかしら」

 

「マミさん!!」

 

とても頼りになる、1つ年上の先輩がライフルを構えて、そこにいた。

撃っては捨て、撃って捨てで残りの光弾を処理すると、改めてあたしの隣に立つ。

 

「マミさん、あいつ、変なんです! 私と声が同じで」

 

「そうなの? やっぱり何かしらの共通点が……いやでも、もしそうだとしたら……」

 

《―――来い》

 

マミさんが何か考え込んでいると、使い魔の手の光弾が伸び、槍になる。

 

「あら? 随分流暢に話せるのね。 私が相手をした彼女は、随分喋りにくそうだったわよ」

 

《そう。 それで、あなたはわたしを愉しませてくれるのかしら?》

 

「ええ」

 

……やっぱり、マミさんってすごいな。 あいつにあんな自信満々に――

 

『美樹さん。 ちょっといいかしら?』

 

『?! は、はい!』

 

急に、あいつと睨み合ってるマミさんから念話が来る。

この距離なら直接の方が早いんじゃ…?

 

『……他の子に念話で話しかけてみてくれないかしら』

 

『はい! えっと――』

 

きっと、何か考えがあってのことなんだろうな。

 

『キュゥべえー。 聞こえるー?』

 

……………

 

 

…………………あ、あれ?

 

 

『キュゥべえ、まどか?』

 

 

…………………………

 

 

『杏子? ほむら?!』

 

な、なんで返事が、

 

 

ま、まさか、みんな、

 

 

『だ、誰でもいいから返事をして!! まどか! ほむら! 杏子!』

 

「――うるさい! いきなり大声で呼ぶな!」

 

………きょう、こ?

 

「無事だったの?!」

 

「どういう意味だよ!?」

 

《……そんな。 精霊に英霊だぞ?! なんで、こんな、》

 

なにやら驚いている使い魔を放って、マミさんが声を張り上げる。

 

「……もしかして。

ちょうどよかったわ。 佐倉さん! 暁美さんに今のことを伝えて!!」

 

《ッ!! させるかッ!!》

 

慌てた様に槍が飛ぶけど、すぐに撃墜される。

 

「さ、美樹さん! やりましょう!!」

 

「はいっ!

っでも、あたしにはあいつに通用する攻撃が、」

 

「大丈夫よ。

だって、彼女を斃す必要は無い(・・・・・・・・・・)んだから」

 

「? ?」

 

「そうよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――クト」

 

 

―――え?

 

 

「ええええええええ?!?」

 

 

 

 

 

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