とある少女の救済神話 【完結】   作:カリーシュ

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――だから、光よ


その独りぼっちの『少女』を、

己の浅はかさと罪の意識に歪んだ『少女』を、救い出せ

『光』と『闇』

『生』と『死』

『正義』と『悪』

『創造』と『破壊』

『奇跡』と『呪い』

『希望』と『絶望』

『少女』と『邪神』


二つに引き裂かれた少女に、祝福を

運命すらを狂わせる少女に、救済を







共通ルート:第9話

sideほむら

 

 

 

 

 

――左右から、まるで互いに引き寄せあっているように迫る双剣、それも3対を魔力を籠めたマグナム弾の銃撃で弾くと、背後から迫る刺突を絡め取って防ぐさやかに向けて放たれた矢を盾で防ぐ。

 

「こなくそぉぉぉぉぉっ!! とぉりぃやああぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

「さやか、まだなの?! この使い魔、2体揃って銃撃が効きにくいから、あなたが頼りなのよ!!」

 

「そう言われても、さやかちゃんも大ピンチなもんでぇっっ!!」

 

両方ともただ撃つだけじゃ平然と銃弾を剣で防ぐし! 私が今相手取ってるちっちゃい方は弾に魔力を付与しないと当たってもダメージ無いし!!

私は魔法を時間操作に全振りしてるから、やりにくいのに!!

 

それに、さっきから念話で呼び掛けているのに、まどかとキュゥべえが応えないのも気になるわ。 見に行きたいけど、――

 

 

《■■■■! ■■■■■■■■■■■■?!》

 

「くっ!!」

 

もう幾つ目か分からない、ボロボロの中華剣の連撃を銃身を機構や弾の籠ったマガジンまで食い込ませて使用不能にして、動きの止まった一瞬の隙を突いて蹴り飛ばす。

 

強引に距離を開けると、何処からともなく取り出した弓矢の射撃が飛んでくるし! ああやりにくいわ!!

 

 

「ほむぅぅぅぅぅっ!! ほむぅぅぅぅぅっ!!」

 

「ほ、ほむら、落ち着いて! 色々と台無しになってるから!?」

 

 

 

 

 

《――■■■、■◾︎■■■■■■■■◾︎》

 

《……■■■。 ■■■■■■■■■■■、■■■■■■。 ■■■■■■!》

 

《■◾︎■■!》

 

何か考えでもあるのか、直剣を装備している方の使い魔が小さい方をかばうように立つ。

 

 

「……さやか、」

 

「分かってる。 デカい方を引きつければいいんでしょ?」

 

「えぇ」

 

「うし、それじゃもいっちょがんばりますかぁ!!」

 

2本の軍刀を交差させて直剣の一撃を防いでいるさやかを背に、使い魔に真っ直ぐ突っ込む。

至近距離で散弾を叩き込めば――

 

 

■■■■(■■■■・■■)!!》

 

 

使い魔もただでやられる訳では無いようで、周囲に何本もの剣が浮かび、その切先が私に向けられる。

 

でももう、今更止まれない。

この一瞬で、決める!!!

 

 

「はぁ――ああああああああああああああああああっっ!!!」

 

《◾︎■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■◾︎◾︎!!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―――OoaAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!】

 

「!!?」

 

魔女が突然、咆哮する。

血を流すだけだった単眼は閉じられ、黒い触手には新たに生えた深緑の触腕が絡みつき、潰していく。

想定外の事なのか、使い魔の動きすらも止まる。

 

い、一体、何が起きて――

 

 

 

 

 

 

 

「――ほむらちゃん! さやかちゃん! よかった、間に合ったんだね!」

 

「まどか!?

―――まどか?!?」

 

危険な場所に来てしまった、大切な友達を守ろうと注意を割いて――その手に持っているモノに、思わず二度見してしまう。

 

そ、その突撃槍は、

 

 

「――クトの槍?! どっからとってきたの?!」

 

「クトちゃんに手渡されたの!」

 

「はぁっ?! ちょっ、タイム! どゆこと?!」

 

 

ナイスよさやか、よく聞いてくれたわ!!

 

 

「それが、私もよく分かんなくて……

あ、でも、この槍を魔女の乗ってる銀杯の根元に刺せばいいみたいだよ!」

 

「? ? ?

ほむら、意味分かる?」

 

「さっぱりよ。

――ただ、風向きが変わったことは分かるわ」

 

ショットガンを盾にしまいながら、そう応える。

 

 

 

 

 

「――ヒィ、ヒィ、 や、やっと追いついた……

まどか、ボクの足は短いんだから、置いてかないd――

きょ、強化版の使い魔?!」

 

「多分大丈夫よ。 ねぇ」

 

《■、■■■■■■■■■■■◾︎■◾︎◾︎■■■》

 

同じく剣を虚空に溶かした使い魔が、歩み寄って―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投擲した剣が、使い魔とも違う、錆臭い怪物の眉間に突き刺さる。

 

《■■、■■■■■■■!》

 

《■、■■■■■■■■、■◾︎■■■■■■■》

 

「……そうね。 急がせてもらうわ」

 

なんとなく、『さっさと行って終わらせてこい』みたいな事を言われた気がしたから、返事をする。

 

《……!

――■■、■■■。

■■、■■■■■◾︎■■■■■■■■◾︎■?》

 

「……ええ。

それじゃ、行くわよ!!」

 

追加で湧き出てきた怪物を使い魔に任せて、私はまどかをお姫様抱っこして駆ける。

背後でキュゥべえを肩に乗せたさやかが何やら騒いでるのは無視する。

 

「ちょ、ほむらちゃん?! 私、自分で走れるよ?!」

 

「こっちの方が早いし安全だわ」

 

「で、でも――」

 

うんヤッパリマドカハカワイイワマドカマドカマドカマドカマドカマドカマドカ(若干SAN値喪失中)

 

 

 

 

 

 

 

「――あら、随分と仲良しね」

 

「おいほむら?! ちょっと瞳孔開いてるけど大丈夫かよ!?」

 

途中、同じく使い魔と戦っていたマミたちと合流する。

 

………まどか??

 

 

「ぷしゅー」

 

「ま、まどかぁ?!」

 

こんなに顔を真っ赤にして、こんなに動悸が激しくなって!

毒物反応に近いものがある気が――槍の影響=クトの所為ね! おのれクトォ!!

 

「いや流石にそれは無い」

 

 

 

 

 

「――で、どういう状況よ?」

 

「それが――」

 

方法は不明だけれど、クトと接触出来たまどかが、クト本人から渡された突撃槍を持っていたこと。

まどか曰く、その槍を杯に刺せば、なんとかなるらしいことを、伝える。

 

「つまり……どういうことだ?」

 

「そんなの私が聞きたいわよ。

でも、ゆっくり考える時間は無いようね」

 

 

――視界の一部、空間に直接ノイズが幾つも走り、そこから強烈な錆の匂いが漂う。

やがて使い魔とは全く異なる『ナニカ』が、滲み出てくる。

 

 

 

「……魔女から魔力供給を受けてない。 クトとは完全に無関係な存在だ!」

 

「みたいだな。 アタシたちも襲われたよ」

 

「そんなに強くなかったから、囲まれなきゃ簡単に倒せるわ。 一応気をつけてね」

 

あ、使い魔が見当たらないと思ったら、斃されてたのね……じゃなくて。

 

「なら任せていいかしら」

 

「ええ!

それじゃ鹿目さん、クトをよろしくね」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

――銃声が鳴り、鎖が擦れる音がする度に異形の叫びが響くのを背に走る。

 

行き先を塞ぐように魔女の触手が振り下ろされるけれど、優先的に触腕に潰されていく。

 

「……いける。 いけるよ! この調子なら、」

 

「……だといいわね――ッ!?」

 

 

 

 

――ドガガガガガガガガガガッッ!!!

 

 

 

 

直感的に横っ飛びに跳ねると、翡翠色の鎖が鞭の様にしなりながら降り注ぎ、地面を抉る。

また邪魔ね!!

 

 

「!! 結界に揺らぎ――それもアフォーゴモンが現れた時のものに近い。

間違いなく神話生物だ!」

 

チッ、最悪のタイミングで最悪の邪魔が現れたわね。

 

仕方ないわ。 なんとかやり過ごさないと――

「ほむら! まどか! 行って!!」

「!? さやか?!」

「さやかちゃん!!」

 

僅かに焦燥している間に、さやかが1人で飛び出してしまう。

 

「無茶よ、戻りなさい!!」

 

「ッ、ヤダねっ!!」

 

鎖鞭に長く伸びた剣が絡み、一瞬でもぎ取られるもすぐさま新たに剣を現界させて構える。

 

 

「あたしはもう逃げない! ただ目の前で起きることを眺めてるのはもういやだッ!

あたしはあたしらしく、シンプルに、

救い(正義)を邪魔するコイツらを、たたっ切る!!」

 

「あーもう! ボクだってやってやる! 幸い魔術の跡は見えるから、不可視の攻撃が来たらボクの指示に従って!」

 

無茶だわ!

敵は恐らくアフォーゴモン。 さやかの実力じゃ瞬殺されてしまう。

私が参戦しても勝てない相手なのに!

 

「さやか――」

 

「ッ――早く、行けぇぇぇぇぇぇええ!! はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

一閃を躱し、地面に突き刺さった鎖を足場に、神話生物に向けて駆け上がる。

 

くっ、こうなったら私に出来るのは、一刻も早くこのバカ騒ぎを終わらせることね!!

 

 

「まどか、飛ばすわよ。 しっかり掴まってて!!」

 

「う、うん!」

 

幅広な大剣を適当に一振り見繕って、ちょっとオーバーな量のC4を下敷きにして蹴り倒す。

すぐさま起爆。 剣で爆風を受け、波に跳ね飛ばされたサーファーの様に宙を進む。

 

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!? こ、こんなの、聞いてないよぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!」

 

「―――よし、上手くいった……!!」

 

 

 

若干賭けだったけど――魔女の目の前に滑り込むことに成功する。

 

同時に、翼の生えた、人間を軽く数人吞み込めそうなほど巨大な醜悪な顔面の蛇が複数体、ノイズと共に現れる。

 

「チッ、いい加減しつこいわよ!!」

 

まどかを優しく降ろすと、盾からM60(マシンガン)を引き摺り出して、腰だめに持つ。

 

「――さ、蜂の巣になりたいやつから来なさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideまどか

 

 

――魔女の乗ってる銀杯に触れるまで走る。

 

近付いていくと力強く脈動する槍の先っぽを表面に押し付けて、力一杯押し込む。

まだ自分を許し切れてないのか、上手く刺さらないで、小さな傷しかつけられない。

 

 

「……ねえ、クトちゃん。

クトちゃんはさ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――正義の味方に、なりたかったんだよね」

 

応えるみたいに、槍が一瞬、強く光る。

 

 

 

 

 

 

 

――『あらゆる絶望を、敵を、悲劇を壊す力が。 最強の力が欲しい』

 

それが、『記録』にあった、クトちゃんの最初の願い(原点)

 

 

 

 

 

「――なら、泣かないで。 終わりになんて手を伸ばさないで。

これまでの希望を信じてきたその時間を、忘れないで、最後は笑顔でいてほしい。

 

 

 

――希望を抱く事は、その夢は、

間違いなんかじゃ、ないんだから!!

 

 

 

 

 

――あなたが覚えている限り、あなたはひとりぼっちなんかじゃないんだから!!!!

 

 

 

 

 

だから、だから――

 

 

 

 

 

スルリと槍が杯に刺さると、ガラスが割れる音がする。

 

結界が金色にヒビ割れて、白い、淡い、温かいものが地面から溢れ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――あなたの夢見る理想郷を、叶えてよ!! クト―――!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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