とある少女の救済神話 【完結】   作:カリーシュ

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裏ルート:第7話

sideキュゥべえ

 

―マミの部屋

 

 

「……それで? 話ってなにかしら?」

 

クトが三度目の虐殺を済ませた後―

 

取り敢えず安全だと判断したのか、ボクを呼び寄せてから、「ちょっち話があるんだけど、いいか?」

と交渉(?)したことで、マミの部屋まで戻って、第一声がそれだった。

 

「うむ、その前に1つ。

マミは魔法少女のシステムを、どれ位理解してる?」

 

「………貴女たちの、さっきの会話の内容程度よ」

 

「じゃあ話は早い。

マミ、」

 

クトは、とびっきりの笑顔で、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――私と組んで(契約して)、ダークヒーローになってよ!」

 

「……………………………………………………はい?」

 

こんなことをのたまうのであった。

 

 

 

………って、いうか、

 

「本来のボクのセリフをパクらないでほしいな」

 

「ツッコミ所違くね?

まあいいや。 ならば言い換えよう。

――変身!」

 

ビシッ!っと、足を肩幅に開き、左手は突きの溜めのように握り込んで腰の部分に。

そして右手は、指先まで伸ばしきった状態で、身体の中心線をクロスするようにしていた。

 

分かり易く言えば――アレだ。

 

いつかの昼過ぎに、ボクがクトの心の闇の一部を見る前。

その時にクトが読もうとしていた小説(ラノベ)の表紙に描かれていた、銀髪アホ毛のキャラのとっていたポーズそのものだ。

 

そのポーズのまま、右手の薬指にはまった指輪形態のソウルジェムから、暗い碧と深緑の光(というか、質量を持った闇?)が溢れ出し、クトを覆い隠す。 ソレが内側から弾け飛ぶと―

ロングコートにマフラーを巻いた(魔法少女の姿の)クトが、ドヤ顔で立っていた。

 

「――邪教に染まりし撲殺少女 クト☆マギカ、只今降臨!

星辰が揃いし夜に深淵の闇は封印から解き放たれ、中途半端な暗闇は狂気にまみれた断末魔をあげながらのたうち回る他なくなるだろう!クククッ!

 

「…………………………」

 

ああ、マミもポカーンとしちゃって。

それよりキミ、やってて辛くないかい? とってもイt『ァ"??』ハイ黙ってます。

 

「では、再度問おう。 死の運命にあった光の魔法少女 巴マミ!

運命に抗いし道無き道を踏破するため、私の元へ―

共に窮極の混沌の中心(ダークネビュラ)へと行かぬかね?!」

 

ビシィッ! っと、これまた何処かで見たことあるポーズを決めながら、更には精神干渉を応用した能力で天井にプラネタリウムを―

それも、地球からでは絶対に観測出来ないの星空が、投影されていた。

 

 

「………………幾つか、いいかしら?」

 

「なんなりと答えよう、選ばれしヒトよ」

 

「………貴女の言う『闇』は、一般人に対してどういった対応をするのかしら?」

 

「私の存在は、決して万人に受けわせぬ。 世の中には無知は罪とほざく愚か者も居るが、同時に知らぬが仏という諺もある」

 

ふむふむと頷くマミ。 なんでこれで会話が成立するんだい? わけがわからないよ。

 

「………貴女の目的は?」

 

「ククッ! 邪神の気紛れに理由を求めるか、ヒトよ。

強いて挙げるならば、お前の友が、私に救いを求めた。 故、私はその範囲は確実に救うと決めた。 それまでの事だ」

 

「そう、分かったわ。

 

 

 

 

 

 

――それで? 私は何をすればいいのかしら?」

 

「了承した!?」

 

突然クトがイタイ言動を始めたと思ったら、気がついたらマミが仲間になっていた。

な、何を言っているのかわからないと思うけど、ボクにもわからない。

ただあれは、幻覚とか、催眠術とか、そんなちゃちなものじゃない。

もっと恐ろしい、邪神の力の片鱗を味わった気分だよ……!

 

「……そっちも大概ネタに走るようになったな」

 

「誰のせいだと思ってるんだい?

それにしてもマミ、もうちょっと熟考してもいいんじゃ―」

 

「いいのよ。 彼女(クト)が魔女でも、敵対する魔法少女でもないなら、それだけで共闘する理由としては充分よ。 何より、クトは私と同じ匂いを感じるわ」

 

匂い………

あぁ、ティロフィナ仲m(中二by)

タァン!

 

 

「………キューベーキューベー、女の子の読心術舐めないほうがいいぞ? 特定の分野限定とはいえ、お辞儀さんの開心術を平然と上回るからな」

 

………短銃が出てくる前に聞きたかった事実だね。

それとクト、お辞儀さんって誰だい?

 

 

「ま、匂い云々は1度水平線の彼方まで投げ飛ばすとして、組むメリットはそれだけじゃないからな」

 

「「?」」

 

「………オイ待てベテラン、まさかそれだけの理由で決めたんじゃないだろうな?」

 

「し、失礼ね! それ以外にもちゃんとした理由があるわよ!」

 

「あーハイハイ『正義の味方』ね。

………話を戻すぞ」

 

変身を解き、座り直してから改めて話し始める。

 

「まずこの街の魔法少女全体の問題として、ハッキリいって数が多過ぎる。 2週間しない内に襲来する『ワルプルギスの夜』相手には寧ろ足りないが、それとこれとは話が別だ」

 

「多過ぎる? 私と貴女、暁美さんの3人だけじゃないかしら?

それに『ワルプルギスの夜』?

どうしてそんな大物がこの街に現れるって分かるのかしら?」

 

「魔法少女の数は、マミが死んだと誤認したインキュベーターが呼ぶ佐倉杏子と、美樹さやかも参加するだろうからな。 計5人になる。

ワルプルギスは、――すまん、信じてくれとしか言いようがない」

 

「5人の魔法少女………グリーフシードの供給、足りるかしら?

それに、誤認したインキュベーターって、じゃあそこにいるキュゥべえは?」

 

「あれは特別。 ちょっち事情があってな。

で、問題は、やっぱりグリーフシードの量だ。 譲り合いになっても奪い合いになっても、どちらにせよロクなことにならない。 一応手は考えて無い訳じゃ無いけど………」

 

クトが珍しく言い淀む。 どうしたんだい?

 

「……解決策は2つ。

1つ目は、根本的に魔法少女の数を増やさない。 美樹さやかの契約を全力で妨害する。 佐倉杏子には盛大に遅刻してもらう。

ただ、ただでさえ戦力不足だってのに、そこから更に戦力を削るような行為はなぁ………」

 

「……何で美樹さん限定の話をしているのかしら? 鹿目さんや、それ以外の子が魔法少女になる可能性は?」

 

「鹿目まどかが魔法少女になった時点で負け確だから。 何せまどかを助ける為だけに時間遡行やらかしてる人がいるしな。 それ以外は……

キュゥべえ?」

 

「エントロピーを凌駕する程の因果が絡んだ人材は、この街にはもうその2人しかいない。 遠方の魔法少女が現れない限り、追加は無いと考えていいだろう」

 

「ま、来たとしても、そっちまで面倒見る余裕は無いな。

で、2つ目だけど………

私のソウルジェムをグリーフシードとして扱う」

 

「………は? それじゃあ、貴女が魔女に―」

 

「それなら大丈夫だ。 なんでかよく分からんけど、限界極っきわでキープするよう出来てるっぽいから。

――それに、仮にヤバくなったとしても、私は『邪神』だぞ? この程度の呪いなら幾らでも抑え込めるわ」

 

ケラケラと笑うクト。

 

「………えっと、クト? 流石にそれは冗談じゃ、」

 

「こればっかりは冗談じゃないんだなぁ」

 

バサッと、普段は収納しておけるらしい骨翼を展開する。

 

「……………………………………………………へ?」

 

「言い忘れてたけど、私、魔法少女になる前から人間じゃ無いから。 ガチのバケモノだから」

 

「」

 

フリーズするマミ。

骨翼でゆったりと部屋の空気を掻き混ぜるクト。

 

うん、こう言うのを未知との遭遇って言うんだなー。

 

 

 

 

 

「…………………くぁwせdrftgyふじこlp☺︎£☆♪€Σ@€♡!?!?!?!?!?」

 

「人間の言葉でおk?」

 

「そもそもどうやって発音したのさ?」

 

テンションがハイになったのか、泡を吹きながら両腕で机をバンバン叩き始めるマミ。

これには流石のクトも若干引いていた。

 

「……お〜いマミさんやー………?」

 

 

 

 

 

―ガシッ!

 

 

 

 

 

「………嫌な予感」

 

「デジャビュだね」

 

テンションの上限が壊れたままのマミに両肩をガッチリホールドされたクト。

今更のように冷や汗が出てるけど、もう遅い。

 

ゆっくりと、深く息を吸ったマミの口から飛び出したのは――

 

 

 

「―人型宇宙人って実在したのね!

いつどうやってどうして地球に言語はどうやって習得したのかしらそもそも基本的な外見は人間そっくりね環境が似た星から来たのかしらそれとも変身憑依ねえ種族はなんて言うの母星はなにか特殊な能力とかあるのかしらそっちの言語はどんな感じ他の個体は食文化はしかもその翼骨っぽい何かで出来てるけど軟骨部分は何も無いのに繋がっているかのように浮いてるわねどうやっているのかしら?!?!?!?!」

 

「ひっ!?」

 

鼻息荒く目を爛々と輝かせながら、ここまでノンブレスで言いきった。

クトも今度は若干と言わず、思いっきり引いていたが、両肩を掴まれているから逃げられなかったようだ。

 

「………と、取り敢えず、一旦落ち着こうk

「これが落ち着いてなんていられるもんですか!!!!!

観れば観るほど人間そっくりね細部や内臓器官ってどうなっているのかしら外見からしてやっぱり雌個体なの今までの魔女との戦いで武器を使わず純粋な力だけでねじ伏せていたけど筋肉とかどうなっているのかしらそれともなにか私たち魔法少女にも使えない魔法かしらああぁ聞きたい事は一杯あるのに口も頭も追いつかないwtrあえzいkrwtsnstmnnこtえtとりま脱げぇぇぇ!!!!!」

 

「ヒェェっ!?!? ちょ、おま、きゅ、キュゥべえ、ヘルプ! ヘルプ!!」

 

完全にイッちゃっ(暴走し)てる状態でクトのワンピースに手をかけるマミ。

クトも予想外過ぎて対応仕切れないのか、必死に手を伸ばしてきたけど――

 

「………クト。 そうなったマミは、もう、どうしようもないんだ。

ま、頃合いを見て戻ってくるよ」

 

そう言って、部屋を後にする。

 

 

中から、

「このっ、裏切り者がぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!

え、ちょ、マミさ、そこはっ――

う、うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――」

 

って感じの、クトの素の悲鳴というある意味珍しいものが聞こえてきたけど、無視することにした。

 

 

取り敢えず、合掌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―3時間後

 

そろ〜りと、マミの部屋の前まで戻る。

耳を澄ませて………

 

 

 

よし、あの精神衛生に悪過ぎる音は聞こえないね。

 

コッソリ部屋に侵入………リビングには居ないようだね。 何処かに出かけたのかな?

 

……いやな予感がするけど、一応、他の部屋も確認しておこう。

 

ドアを開け……? 何か引っかかってるね。

これは……服?

それも、黒のワンピーs――

 

 

 

 

 

……………よし、出よう。 今すぐこの部屋から脱出するんd

「……キュゥべえか?」

 

「キュっっ?!?!

く、くくくクトかい?」

 

真っ暗な部屋の中から、起伏を感じられない、平坦な声が聞こえてくる。

だというのに、なぜか恐ろしいものを感じる。

 

地雷原を歩くような気持ちで、奥に進むと………

 

 

クトは、マミと一緒に布団に包まっていた。

 

 

ただし、どうみても事後の状態で、一切の光を失った目だったけど。

 

 

「………その、クト? 大丈夫…そうには見えないけど、無事、かい?」

 

その返答は、

 

 

 

「……………………女同士っていうのも…………アリ、なんだな…………」

 

といったものだった。

 

 

「……クト? 戻ってくるんだ!

クト!? クトォォォーーーーっ!!?」

 

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