FGOのマスターの一人   作:sognathus

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久しぶりの投稿と思ったらまたジャンヌオルタの話


ご機嫌斜め

「いい加減に機嫌直してくれないかなぁ?」

 

「は? アンタは私が機嫌が悪いように見えるっての?」

 

「えっハイ」

 

「へぇ~……?」

 

ことの発端は全く心当たりがない。

だからマスターは今こうして困り果てていた。

何故ジャンヌオルタはこんなに機嫌が悪いのか。

マスターはまるで気まぐれな猫を相手にしている気分だった。

その猫のように見えているジャンヌオルタは今、マスターの率直な返事に更に機嫌を悪くしたようで、口元は笑っているのに目はとても据わり、眉間にもシワを寄せていた。

だからマスターは考えるしか無かった。

マスター(契約者)としてサーヴァント(彼女)を従える身としてなにか不備があったのでは、と。

 

「もしかして、最近オルタを頼ってないから、とか?」

 

「そうね。確かに最後にアンタと一緒に仕事をしたのは大分前ね。でも訊いていいかしら? なんでそれが私が機嫌を損ねている原因だと思ったの?」

 

「そりゃサーヴァントとして活躍の場がなかなか来ないからストレスとか……?」

 

「うん、まぁ言いたいことは解る。でも違うのよね。別に私はそんなに活躍とかしたいとは思わないし。寧ろやたら頼りにされるのは返って鬱陶しいとさえ思うわ」

 

『アンタ以外にはね』

 

「は?」

 

何か聞こえたような気がしたが気の所為だろうか。

マスターは確かに何か凄く小さな呟きを聞いた気がしたが、それは耳に聴こえた音というより頭に響いた想いという感覚に近かった。

彼がサーヴァントのマスターという仕事をこなしているせいか、時折こうした普通の感覚では表現し難い体験をすることがマスターには時折あった。

 

(なんか人の心の声を暴いている気がして気分が良くないんだよな……。だけどもし今感じた声がオルタのものだとしたら……)

 

「ちょっと、人が話している時に視線が上の空なんて良い度胸ね」

 

「っ」

 

どうやら僅かの間物思いに耽っていたらしい。

オルタの怒りの感情が混じった声でハッと正気に戻ったマスターは焦った様子で頭を掻きながら彼女に謝罪した。

 

「申し訳ございません。素直に言い訳させて頂きますと、何か聞こえた気がして……」

 

「はぁ?」

 

「いや、良いんだ。注意が逸れてしまっていたのは事実だから」

 

「…………」

 

「それで、そのオルタが怒ってい――」

 

「怒ってない!」

 

(メンドくさ!)

 

「……少々不快な気分になられているように見える事についてなのですが」

 

「…………」

 

「オルタ、遊びに行こう」

 

「えっ」

 

「そういえば思い出したんだ。俺、オルタに日頃の貢献に対して感謝の気持ちとして今度遊びに行く約束をしていたのに、それをすっかり忘れていたことを」

 

勿論そんな事実はなかった。

だがマスターは確信していた。

恐らく彼女の性格上こちらからお詫びとして今から埋め合わせをさせてくれと言っても、生来の気難しさが災いしてなかなか「では行こうか」となるまで時間がかかるだろうし、素直に謝ったとしてもそれが一番厄介な選択となるであろうことを。

だったらオルタの予想外の行動をして彼女の意表を突くのが一番だ。

かなり賭けに近かったが、突然のマスターの提案と突きつけられた既成事実にオルタは満更でもなさそうな反応を見せていた。

 

「そ、そうね……確かにその約束をしていた……? わ! やっと思い出せたようね」

 

「はい、本当に申し訳なく思います。今日は何でも言うことを聞くから」

 

「えっ、な、なんでも?」

 

『なんでも~』

 

気軽に言ってはいけない常套句だとは理解していてもこの時のマスターにそれを言ってしまったことに対する後悔はなかった。

ここが一番肝心なところなのだ。

ここが一番気を抜いてはいけないのだ。

ここが一番の攻めどきなのだ。

体力的に負荷がかかる荷物持ち、常に小言を聞く等、予想される苦しい要求は多々予想されたがマスターは何れのものにも応え、耐え抜く覚悟だった。

しかし、意外にも最初にオルタが要求してきたのはとても楽なものだった。

 

「えっ」

 

差し出されてきた白い手を見てマスターは思わず驚きに声を漏らす。

そんなマスターに対してオルタは何も言わない。

ただただ自分の手を出しだして無言で手を握って、つまり手を繋げと恥ずかしそうな顔で要求していた。

 

「はい」

 

素直に返事をしてマスターがオルタの手を握ると、彼女は満足気に頷いてそのまま歩きだした。

 

「さぁ行くわよ。言っておくけど、この手、私が良いと言うまで離してはダメよ?」

 

「勿論俺がトイレに行きたいという時は離してくれるよね?」

 

冗談半分、本当にトイレに行きたい時の保険として言質を貰うための問い掛けであったが、不幸なことにそんなマスターの打算を見透かしたようにオルタは意地悪い笑みを浮かべて言った。

 

「さぁ?」

 

「えっ」

 

「まぁ考えておいてあげるわ」

 

「えっ、か、考えてって……。そんな、まさか一緒に着いてきたり、まさか漏らせとか言わない、よね……?」

 

完全に予想外の反応に青褪めるマスターを面白そうに見るオルタは言った。

 

「それはアンタ次第ね」

 

「……どうかお手柔らかに」

 

「ふふっ、どうかしら?」

 

普段より心做しか縮こまったように見えるマスターにオルタはここぞとばかりにしてやったりといった顔をするのだった。




お久しぶりです。
短いです。
ジャンヌオルタはやっぱり題材として優秀。
いや、単に俺の執筆スキルが低いだけですね。
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