本編の箸休めとして外伝集を作ったはいいですが正直こちらが進むとは思えません。思い付きです。
ちなみに本作はTwitterで呟いた妄想的なお話を加筆、修正しまとめたものとなっております、ご了承ください。
ここから本編。
ドアをノックする音が聞こえる。今日は生憎の雨、しかもこの季節では珍しく気温も低い。そのせいで外には出ずに寮で大人しくしていたのだが、こんな気候でも自分に用がある物好きがいるとは。しまわずに包まっていた布団に渋々別れを告げ、玄関へと向かいドアを開く。
「こ、こんにち――っくしゅ。」
そこには見慣れた天使の凍えた姿があった。何故こんな天気なのに自分を訪ねてきたのか。その理由を問うと、レミエルは苦笑いしつつ答える。
「ほ、ほんと……何でこんな天気なんでしょうかね。」
何処か求めていた答えとは違うものが返ってきたようにも思えたが、レミエルの二度目のくしゃみでその思考は止まる。一先ずは温めてあげなければ。
―――
ドア一枚を隔てた先からシャワーの音が聞こえてくる。レミエルの服は雨で多少では済まないほどに濡れていた為、それを乾かす事も兼ねてバスルームを使う事を薦めた。寮故に狭いものなので服はリビングに干すことにしたのだが、衣服を見ると何かを庇っていたのか、背中の辺りが心なしかより濡れているように見えた。シャワーの音が止まり、そろそろ出てくるだろうと判断し乾かした服を手に取ったところでふと気づく。レミエルの着ていた服は"全て"リビングで干してしまっている。バスルームには干せるスペースが無かったため、風呂場に入る直前にレミエルがドアの隙間から投げ込んできたのだ。つまり――
「ぁ、ぁのぅ……。」
弱弱しい声が風呂場から聞こえた。
―――
結局ドアの隙間から恐る恐る服を手渡し、何とか事なきを得た訳だがどうにも動悸が止まらない。隙間から垣間見えたレミエルの裸体の一部が鮮明に目に焼き付いてしまっているのだ。
「あの、お邪魔でしたしょうか……。」
感情を悟られまいとなるべく目を合わせないようにしていたところ、レミエルが恐る恐る訪ねてきた。邪険にしていると思われたのだろうか、咄嗟に弁解をする。
「そ、そうですか、邪魔でないのなら……よかったです。」
誤解を解くことは出来たものの、沈黙が続く。茶を入れて来ようかと席を立つと、レミエルが唐突に声を荒げる。
「あの、お、お紅茶に合う物を持ってきているのですが!」
レミエルは玄関口で雨から庇っていた物であろう紙バッグを差し出した。紙バッグを開くと、その中から丁寧に包装された、お世辞にも綺麗とは言えないクッキーが姿を現した。
「苺さんに教わって作ってみたんです。……綺麗じゃないですけれども。」
そんなことはない、と励ます。レミエルの顔に笑顔が浮かんだ。淹れた紅茶を添えて、レミエルのクッキーを口にする。ほんのり甘く、少し苺の風味がそこから感じられた。美味しい、純粋にそう思った。
「そうですか……よかったぁ。」
形としては決して完璧ではないが、そこにも味がある。どこかレミエルとの日々が思い出され、懐かしみながらその味を噛みしめた。
「あ、あの。ところで今日が何日か……分かります?」
そう尋ねられ、カレンダーに目をやる。今日の日付は14日。――2月14日だ。
「……やっと気づいたんですね。」
今日がバレンタインデーであることがすっかり頭から抜けていた。つまりこの手作りのクッキーは――
「はい、私からのバレンタインのプレゼントです。」
曇天すらも晴らしてしまいそうなほどの、天使の笑顔がそこにはあった。
―――
「ところで、さっき私の裸……見えました?」
……。
「――責任、取ってくださいね?」
のわわーるです。
いや、正直これをちゃんとした形で残すかは悩みに悩んだのです。ただ自分のしたい事はなんだと問いかけたところ帰ってきた答えは「欲望に忠実になれ。」だったので結局まとめることにしました。
別の外伝を書くかは前述の通り未定です、今作で終わりかもしれません。
その気になったらまた作品としてまとめますので、期待しないでいいので待たなくても大丈夫です。
それではこのあたりで!
ありがとうございました!