「んじゃ、入ってくれ」
学校から歩くこと15分程度。住宅街の一角にある雄二の家に到着した。ちなみに三上さんは居ないのでいつものFクラスのメンバーで雄二の家へ訪れた
「「「「「「お邪魔します」」」」」」
雄二の家は二階建ての一軒家なので、中も結構広いんだろうね。
「なぁ雄二。家には誰もいないのか?」
「ああ。学校出る前にも言ったように親父は仕事で、おふくろは高校の同級生たちと温泉旅行らしい。だから何の気兼ねせずゆっくりしてくれ」
「そう言えば、前に来た時も雄二の家族は留守だったよね」
「ああ。その方が都合がいいからな。色々と」
「「??都合?」」
今の言葉に疑問を持ったが、とりあえず雄二の指示を待つか~。そんな彼は、なぜか晴れやかな表情でリビングのドアを開ける
すると・・・
「・・・・・・・・・・・!!(プチプチプチプチ!!)」
居間には一心不乱にプチプチを潰している女の人の姿があった
「・・・・・・・」
パタン
何も言わずに戸を閉める雄二
「ゆ、雄二・・・・?今の、山ほどあるプチプチを潰していた人って──」
「・・・・・・赤の他人だ」
「さ、坂本の母親なの・・・・?」
「随分と凄い量を潰していたんだが・・・・」
「う、うむ。あれほどの量。費やした時間はおそらく一時間や二時間ではきくまい」
「・・・・・凄い集中力」
「坂本君のお母さんはそういうお仕事をされているのでしょうか?」
「一心不乱でやっていたね・・・・」
「恐らく、精神に疾患のある患者が何らかの手段でこの家に侵入したに違いない。なにせ、俺のおふくろは温泉旅行に行っているはずだからな」
これは珍しいなー。雄二がここまで苦しい嘘をつくとは。すると部屋の中から、雄二いわく赤の他人の声が聞こえてきた
『あら・・・?もうこんな時間。さっき雄二を送り出したと思ったのに』
え?まさか八時間近くもあの作業を続けていたの?
『続きはお昼を食べてからにしましょう』
しかもまだ続けるつもり!?何て集中力だ・・・
「おふくろっ!何やってんだ!?」
耐え切れず、遂に雄二が踏み込んだ
「あら雄二。おかえりなさい」
「おかえりじゃねぇ!なんで家にいるんだ!?今日は泊まりで温泉旅行じゃなかったのかよ!?」
「それがね、お母さん日付を間違えちゃったみたいなの。7月と10月って、パッと見ると数字が似ているから困るわね」
「どこが似ているんだ!?数字の形どころか文字数すら合ってないだろ!?」
「こら雄二。またそうやってお母さんを天然ボケ女子大生扱いしてっ」
「サラッと図々しい台詞をぬかすな!あんたの黄金期は十年以上前に終わっているはずだ!」
「あら、雄二のお友達かしら?」
「だから人の話を聞けぇっ!」
・・・・何このやり取り・・・・
「す、すげぇ・・・」
「うん・・・」
この怒濤のやり取りの速さに僕らは固まっていた。ど、どう反応したらいいのかな?
「皆さんいらっしゃい。うちの雄二がいつもお世話になってます。私はこの子の母親の雪乃と言います」
雪乃さんは優しげな雰囲気で僕達に挨拶する。というか、一つ驚くことがある
「さ、坂本の母親って……若過ぎない!?」
「とても子を産んでおるとは思えん・・・」
「・・・・・美人」
「まるでお姉さんみたいですね~」
「「・・・・(コクコク)」」
「み、皆、とりあえずおふくろは見なかったことにして、俺の部屋に来てくれ……」
「う、うん。それじゃ、お邪魔します」
頭を下げて、とりあえず雄二の部屋に向かうことにする
『皆さん、後でお茶を持っていきますね』
何て良い母親なんだ・・・・。少し天然だけどね
「ここが俺の部屋だ。入ってくれ」
二階に上がって雄二の部屋に入ってみると、中は意外と綺麗に片付けられていて結構広かった
「そういえば、雄二の部屋にいくのも久しぶりだね」
「え?アキたちはしょっちゅういってないの?」
「それはな、このバカの家だったら色々と都合が良いんだよ」
「確かに・・。家族用のマンションで一人暮らしですもんね・・・贅沢です」
「食生活を除けばね」
「そこは自業自得だよ?」
「そうだな。それに続けられるかもわからないんだろ?」
僕らがそういうと明久は呻いていた。事実を述べたまでなんだけどなー
「とりあえずやろうと思ったが、俺の部屋では狭すぎたか・・・参ったな・・・」
この場にいるのは全員で八人。座って雑談するならいざ知らず、道具を広げて勉強するとなるとちょっと広さが足りないな
「居間とかできないのか?」
「ダメじゃないが、おふくろがいるからな。勉強にならない可能性が高い」
雄二が心底嫌そうな顔をする。確かに目の前であんな面白いやり取りをされたら、勉強に集中できんだろうね・・・
「もうっ。ダメですよ坂本君。お母さんを邪魔者扱いして」
「そうは言うがな姫路。お前はあのおふくろと一緒に暮らしていないからそんなことが言えるんだ。四六時中一緒にいると、ツッコミどころが多過ぎて──」
Prrr! Prrr!
?雄二が反論していると、突然部屋に電子音が鳴り響いた。誰かの携帯の着信音?
「あ、ウチの携帯ね。ちょっとゴメン」
島田がスカートのポケットから携帯電話を取り出して耳に当てる。急用でもできたのだろうか?
「もしもし?あ、Mut──お母さん。どうしたの?・・・うん。・・・うん。そう。わかった」
一分もしないで通話を終え、島田は携帯電話をポケットにしまった。
「美波、何かあったの?」
「うん・・・。今週は仕事が休みだからって母親が家にいるはずだったんだけど・・・ちょっと急な仕事が入って家にいられなくなったみたい」
「あれ?ってことは葉月ちゃん一人だけになってしまうんじゃ・・・」
「そうね。だから、悪いけど今日はウチは帰るわ。勉強はまた今度ね」
残念だが仕方がない。まだ小学生の女の子を家に一人にしておくのは可哀想だしね
すると・・・
「待て島田。それなら、場所をお前の家に変更しないか?」
雄二が島田を引き留めた。
「え?ウチの家?」
「確かに、それが良いかもな」
「うん!皆知らない訳じゃないしね」
「丁度雄二の部屋は手狭だったところじゃし」
「葉月ちゃんとも会えますしね」
「・・・・なんなら、夕飯を作る」
皆がそれぞれの意見を言うと明久が代表として聞いていた・・・
「美波さえ良かったら、どうかな?」
「そ、そうね・・・」
ん?イマイチ乗り気じゃないみたいだが、何かあるのかな?
「じゃ、じゃあ、ウチの家にしましょうか……」
少し考えた後、島田から承認が下りる。これで一安心だね!
「ただし!絶対にウチの部屋に入っちゃダメだからね!」
島田は明久の目を見てそう言った。被害は全部あっちに行きそうだから心配ないね
「よしっ!そうと決まれば早速移動だ!チビッ子も一人じゃ寂しいだろうからな!」
雄二が背中を押さんばかりの勢いで玄関においやる。よほどここで勉強したくないのだろう
皆が靴を履いている間、雄二は居間に入っていって雪乃さんに声をかけていた
『おふくろ。ちょっと出掛けてくる。夕飯は昨日の残りが冷蔵庫にあるから、それを温めて食べてくれ』
『あら、もう行っちゃうの?お茶を用意しているところなのに』
『悪い、ちょっと事情が変わったんだ。・・・ところで、その麺つゆのボトルは何に使うんだ?』
『麺つゆ?あらら・・・・。てっきり、アイスコーヒーだとばかり・・・』
『おふくろ・・・。色や匂いで気づいてくれとは言わないから、せめてラベルで気づいてくれ・・・』
なぜだろう。雄二は家にいる方が学校にいる時より疲れて見える気がするんだけど・・・・
そんなこんなで、島田の家へむかう事が決まった
ここまで読んでいただきありがとうございます!これからも宜しくお願いします!
活動欄であることを書いてますので、機会あれば目を通してください!必ずまた復帰しますので!