西村先生の謎の話し合いにより、死屍累々の教室で、数少ない生存者たちの元に集まる僕ら
さて、耳防いでいた僕らには何があったのか全くわからないので、姫路が最初に質問した
「あの、明久君。何があったんですか?皆さんとても苦しそうなんですけど・・・」
「えーっと、なんていうか、言葉の体罰と言うか、精神攻撃を受けたというか・・」
「まったく、どうせまたくだらないことでしょ」
「まぁ、脱走したい気持ちは分かるけどね」
「お前なら分かってくれると思ったぞ!!心の友よ!」
ジャイアンが僕に思い切り背中を叩いてきた。あまりの力に背中が痛かった・・・
「そうは言うがな、島田。俺達の席は脱走を考えても仕方がないくらい酷いもんだぞ」
明久らの席は日当たり良好を通り越し過剰と言える。カーテンすらついてないこのクラスでは防ぐ手段もないから、本当につらいしね
「そうなの?ウチの席はそこまで暑くないからよくわからないけど」
「私も風が入ってきてくれるので結構大丈夫です」
「俺達の席は日当たり最高で風通し最悪のワーストポジションだしな。本当に酷いぞ?」
ジャイアンがため息つきながら言っていた。あぁ、彼らの言葉で例えを分かりやすく言うなら
「どのくらい酷いの?」
「「「明久の成績ぐらい(かな?)」」」
「人間の耐えられるレベルじゃないわね」
「でも、確かにこの席は雄二の成績くらい酷いんだよ。さっきペンのアルミの部分に触ったら軽く火傷しちゃったしね」
あれ?然り気無く明久は雄二の成績を悪口言っていたね・・・
「火傷したの?どれどれ?」
「あ、いや。そこまで酷いものじゃないんだけど」
島田が明久の手を取るなんて、火傷の心配をしてやってるみたいだね
「なんじゃ島田。お主、随分と明久に優しいではないか」
「そうです。美波ちゃんは明久君に近すぎます!」
そんな二人の様子を見て、秀吉と姫路が言った。秀吉はからかい半分で、姫路は嫉妬なのかな?
「べ、別に、別にアキに優しいってワケじゃ・・・!ただ、怪我をしていたらウチが殴るときに手加減をしなくちゃいけないからってだけで・・!」
怪我していても殴るのは殴るの!?もう少し言葉を選べば明久の好感度だって上がっただろうに・・・
「でも、僕も美波は優しいと思うよ」
「え・・・?あ、アキまで何を言ってるのよ」
おっ?明久がそう言うと島田が赤面となった。続きは何を言う!?
「面倒見がいいし、細かいところに気がつくし、妹想いだし。それに、動物に愛情を注ぐことができるし………(ボソボソ)」
「アンタまだそれ誤解していたの!?」
?明久がなんて言ったかは聞こえなかったが、島田の反応からしてロクなことじゃないだろうね
「聞きなさいアキ!アンタは誤解しているけど、ウチはオラウータンになんか興味はなくて、本当にウチが好きなのは――」
「「「好きなのは?」」」
何故、島田が急にオラウータンとか言い出したのかはわからんが、とりあえずそれは放置。好きな人というF男子には重要な話題に、倒れていた奴等も含めて、教室中の視線が島田に集まった
「チンパンジーなのよっ!」
島田が衆目の前で大胆な発言をした。
「・・・嘘をつくにしても、もう少しマシな選択肢はなかったんだろうか?
「そ、そうだったんだ。それは、その・・・誤解してて、ごめんね・・・」
信じた!?今のあからさまな嘘を信じたのか!?それは人としてどうな――
「そ、そうよ・・・ウチは別にオラウータンが好きってわけじゃないんだから」
否定しない!?え?まさか本当にチンパンジーが好きなのか?こっちが間違ってたの?
「じゃがまぁ、確かにこの席は暑いのう。お主らが脱走を企てるのも無理はないかもしれん」
「そういえば、秀吉はおとなしくしてたよな。脱走の話は聞こえなかったのか?」
「いや、聞こえてはおったが・・・ワシの席はお主らの席よりも涼しいからの。微睡んでおったら誘いに乗り遅れたのじゃ」
いくら明久達よりマシだとしてもこの暑さの中でよく居眠りができるなー。それに、あの西村先生に居眠りがバレないというところがすごい!起きていると見せかけて眠るっていうのも演技力の賜物なのか?
「なんじゃ。ワシが脱走に乗らんのはまずかったかの?」
「いや。まずくはないよ。ただ、いっつも一緒につるんでるバカ仲間としては、いないと寂しいなって思っただけで」
確かに、こういうことに関しては、明久、雄二、ムッツリーニ、秀吉。この四人のバカ仲間以外は誘いにくい。どこか違う気がするからねー
「そうじゃったか・・・」
「嬉しそうだね?秀吉」
「うむ。正直なことを言えば、バカ仲間と言ってもらえるのは嬉しいぞい。最近のお主らはワシを女と見ておるように思えたからの。外見が姉上に似ておるという部分以外はどうでも良いのかと、少々気にしておったところじゃ」
「秀吉もおかしいなところ気にしてるね」
「いや、最近のワシの扱いを鑑みれば決しておかしくはないと思うのじゃが?」
明久が笑い飛ばすと、秀吉は納得がいってないようで口をとがらせた
「確かに秀吉は可愛いと思うけど、それだけでこうやって一緒にいるわけじゃないからね。一緒に遊んだり、勉強したりして、秀吉の中身の良いところを一杯知っているから、こうして一緒にいるんだよ」
明久の言う通り、見た目で友人を選ぶなんて、おかしいことだ。んん?でも、明久は秀吉を男扱いしてないよね?
「っ!」
「ん?どうしたの秀吉?」
「こ、こっちを見るでないっ」
そう言うと、何故か秀吉は隠れるようにこちら背を向けた。なんか気に触ること言ったのかな?
「ねぇ、瑞希・・・木下ってずるいよね・・。女の子みたいに扱われてるクセに、こういう時だけ異性を意識させないであんなこと言って貰えるんだもの」
「ですよね・・・。私、頑張っているのが虚しくなってきちゃいます」
「瑞希はまだいいわよ。ウチなんて、頑張った結果がチンパンジー好きの女子高生なんだから」
姫路と島田は溜め息混じりに何かを愚痴りあっていた。
あそこの空間が悲哀が満ちていて悲しいんだけど・・・
「んむ?ところで、ワシを女として見ておるという部分は否定されなかったような気がするのじゃが?」
「あはは。別にそんなことは口にしなくてもわなるでしょ?」
「何を何故明言を避けるのじゃ!?ええい!お主はワシを異性と思っておるのか、きっちり『はい』か『いいえ』で答えるのじゃ!」
「はエス」
「むぅ・・・。二つが混ざってどちらかわからんような返事――ではないぞい!?さてはお主ら、『はい』と『イエス』を混ぜおったな!?やはりワシを女と思っておるじゃろ!」
「ところで雄二、ムッツリーニがかなり危険な状態に見えるんだけど」
「答えるまでもないと言わんばかりにスルーされておる!?」
いつもなら休み時間には皆と一緒に集まるか、カメラをいじっているムッツリは、今日はぴくりとも動かずじっとしている
「ムッツリーニの想像力は常人の比じゃないからな。さっきの恐ろしい話を聞いただけで鉄人とブラジル人の暑苦しいレスリングが脳内で鮮明な画像になって浮かび上がったんだろ」
「・・・・それは」
「ひとたまりもないな・・・・」
安らかに寝てね?・・・ムッツリーニー・・・
ここまで読んでいただきありがとうございます!次回も宜しくお願いします!