ムッツリーニーの状態を聞いた僕らはとりあえず、そっとすることを決めたのだ。許してね?ムッツリーニー・・・
「にしても・・暑いなー・・・」
「こんな環境だから仕方ないかもしれないけど・・」
「汗が引かないなー」
「お陰で勉強する気が失せるよ」
「「「「「明久のはいつもの事だ!」」」」
「皆酷いね!?」
明久は皆の言葉に涙こぼしていた。いや、いつもと言うのもおかしいのかもね?でもまぁ、畳と卓袱台は結構気に入ってるが、今は暑苦しさを増すオプションに見えてしまう。夏が暑いのは当然だが、流石に限度がある
「なによアキ。アンタ、この間の期末試験はずいぶんとやる気があったみたいなのに、今はもういつも通りに戻っちゃったの?」
「この前のは姉さんを撃退する為だったから例外だよ。元々あまり勉強は好きじゃないからね」
明久のテストの結果は散々だったため、玲さんは日本に住むことになったらしい。今は引っ越しの準備のために一旦両親のところに帰っているそうだ。お土産を買ってきてくれるらしいので楽しみだなー
「それに、この前の試験はもう一つ理由があったからな」
明久と同じく、勉強する気に翳りを見せている雄二が言う
「もう一つの理由って、試験召喚獣の装備のリセットというお話ですか?」
「うん。僕や雄二の装備はめちゃくちゃ弱いからね。新しい装備になればもっと強くなると思ったんだけど・・」
「テストであんなミスをしたからねぇー・・・」
「うぅ・・・せめて金属の武器が欲しい」
確かに木対金属じゃ圧倒的に不利だ
「そういえば、二人の武器は全科目80点アップで好きな武器を作ってもらえるんだよね?」
「もう武器も頼んできた」
「同じく」
「へぇ、よかったじゃねえか。何を頼んできたんだ?」
「ふふ、新しい武器は【ジャンボ砲】って名前さ!」
「「「「名前からして不吉?!!」」」」
失礼だなー。あっ、特徴能力改造したのは内緒にしょう
「まぁ、あの結果では明久の装備は変わらんじゃろうが、雄二はどうなのじゃ?おぬしは去年の振り分け試験からかなり点数が向上しておらんかったかの?」
僕の話が終えた後に、秀吉が雄二に聞く
「ん?そういやそうだな。周りの連中の点数ばかり気にしてあまり自分の点数や装備を気にしてはいなかったな」
「雄二は指揮を取る立場だもんね。あまり自分が直接戦う場面を想定しないよね」
「ああ。俺の装備が向上するよりも周りの連中が強くなる方がよっぽど勝負がやりやすいからな」
自然にそんな考えが浮かぶんだ、雄二は根っからの指揮官肌なんだろうね。それを皮切りに皆も色々と結果報告をして伸びた者のいれば伸びなかったものもいた
「なぁ、それならさ一度召喚獣しょうぜ?」
「皆のがどう変わってるのか楽しみだし確認もできるじゃない??」
「そうだな。戦力の把握は試召戦争に必要不可欠だ。幸いにも西村先生もいることだし、召喚許可を貰って確認しよう」
「そうだね。すいませーん、西村先生〰️」
黒板近くのパイプ椅子に座りながら教室の様子を見ていた西村先生を呼ぶ。すると先生は怪訝そうな表情をしつつこちらにやってきた
「どうした吉井。お前が俺を呼ぶなんて珍しいな」
「すいません。ちょっと先生にお願いがあったもので」
「お願いだと?おかしなことじゃないだろうな」
「はい。ちょっと召喚許可を貰いたいだけなんです」
「「(あれ?先生明らかに今厄介な事になったって顔していなかった?)」」
「あー、いいか吉井。お前は監察処分者だ。人よりもずっと力があり、しかも物や人に触ることのできる召喚獣を持っている。そんな危険なものをみだりに呼び出すことは感心できんぞ。そんな余計なことを考えずに――」
いつもなら堂々と答える先生なのに、今日は歯切れが悪い。何かあるのかな?
「西村教諭。ワシらは別に悪巧みをしておるわけではないぞい」
「ただ、純粋に召喚獣の装備がどうなっているのかが気になるだけですよ?」
秀吉とジャイアンの助け船が入る。明久、雄二が何を言っても信用しないが、秀吉や僕やジャイアン、姫路や島田が言えば無視はできないはずだ
「いや、しかしだな、木下、剛田。試召戦争でもないのに召喚獣を呼び出すというのはあまり良いことではないぞ」
やはりこれは何か隠してるんだね・・・。先生は隠すのが良くも悪くも下手くそなんだ
「鉄人。何をそこまで隠している。俺たちの召喚獣に何か不具合でもあったのか?」
「いや、何でもないぞ坂本。それよりそろそろ休憩も終わりだ。席について次の授業の準備をするんだ」
鉄人って呼ばれたのに文句を言わないなんて、かなり稀な光景だ。この様子を見て姫路たちも様子がおかしいことに気がついたようだ
「西村先生。私たちの召喚獣に何かあったんですか?」
「ウチらの召喚獣なら物に触れないから呼び出してもいいですよね?」
「さて。授業を始めるぞ」
二人を無視して教壇に戻ろうとする。すると・・・
「こうなったら許可なんて要らねぇよ、起動。明久!!」
雄二の呼び声に反応して白金の腕輪が起動する。白金の腕輪の機能は召喚フィールドの作成。つまり、教師の許可なしで召喚ができるようになる
「OK!試獣召喚《サモン》!!」
学ランに木刀をで身を固めた召喚獣が出てくるんだが――
「あれ?なんだか僕の召喚獣が・・・?」
「おいおい、明久のクセになんだか妙に贅沢な装備になったな。これは甲冑か」
「剣まで持ってるわね。今までとは全然違うじゃない」
「それに、随分と背が高くないですか?」
現れた明久の召喚獣は、白銀の甲冑に身を包み、一振りの大剣を携えた騎士だった
「明久の癖に豪華なんて生意気だ」
「確かに・・」
「それどう言うこと!?」
「「事実だろ?」」
雄二とジャイアンさんが口揃えると明久は落ち込んでいた
「しかし、なんだか明久の召喚獣はかなり強そうに見えるね」
「いやはや、こいつは凄いな。試召喚戦争が本物の戦争みたいになりそうじゃないか」
「そうじゃな。コレならば本物の人間とさして変わらんからの」
今までと違い、今回の召喚獣は俺たち自身が武器を持っているみたいだ
「顔も明久君そっくりですね。今までの可愛い感じと違って、今度のは凛々しいです」
「え?そ、そう?」
「姫路も酔狂なヤツだな。こんなブサイクのどこがいいんだか」
「あ痛っ」
パコン、と雄二が明久の召喚獣の頭を小突く。すると、叩かれた頭は首から離れ、ゆっくりと重力に従って畳の上に落下した
「「「「「・・・・・・」」」」」
絶句する僕らの前を、胴体から離れた召喚獣の首が静かに横切る。生首は何度も畳の上で回転すると、近くの卓袱台の脚にぶつかり、こちらを見た状態で動きを止めた
・・・・え?
「「き、きゃぁぁぁぁーー!!?」」
島田と姫路の悲鳴が教室に響いていた・・・
こ、これは・・・!?
ここまで読んでいただきありがとうございます!次回も宜しくお願いします!