店長の暴走が収まり、僕らは息を整えていた。たった数分でとれだけ体力奪われたのかわからないけど・・・なんとか収まって良かった
「なんとか収まったけど・・・どうしょうか?」
「どうするもクソも、店長がこんなじゃ何もできないだろ。『本日臨時休業』とでも書いて入り口に貼っておこう」
「だね。幸い店に被害はなかったのは良かったけれど・・僕ら素人五人ができるのはたかが知れているよ。今日は諦めるしかないね」
僕の言葉に雄二達もゆっくりと頷いていた
「うむ。バイトはまたの機会じゃな」
「仕方ないな。また他のバイトを探すとするか」
「・・・残念」
「え? ってことは、バイト代は――」
「出ないよ。働いてないのだから・・」
「そっか・・そうだよね・・・」
僕の言葉に明久はものすごく落ち込んでいた。まぁ、お金がピンチと聞いてるわけだけどこれを機会にお金の使い方をきっちりしないとね
じゃないと、玲さんがまた明久の家に住むことになる。なんでも、玲さんは今海外にまた戻っているらしい。玲さんが海外に帰るときいたとき明久が喜びすぎてお仕置きされたときいている
ーーカランコロン
「いらしゃいませっ」
・・・へ?明久何してるの?
僕が状況つかめない中、入ってきたのは
「良かった、あいてるみたい。時間潰す場所なくて困ってたのよね~」
「ほんと、助かったね」
明久の言葉を返事と勘違いして、OL風のお姉さんが二人お店の中に入ってくる。それを聞いた僕らは真っ青になりがら明久に問い詰めた
「(おい明久!何を勝手に招き入れてるんだ!?)」
「(ご、ごめん!わざとじゃないんだ!ちょっと頭の中でシュミレーションをしていたらタイミングよくお客さんが来ちゃったから・・・!)
「(困ったのう。もはや追い返すこともできぬような雰囲気じゃし・・)」
「(・・・店長が目を覚ますまで何とかするしかない)」
「(やってしまったのは仕方がないよ)」
「(だな・・・。まぁ、メニューを限定したらなんとかなるかもしれないな。できるだけやってみるか。明久と秀吉とのび太はウェイター、ムッツリーニはキッチンを頼む。俺はドリンク関連を担当する)」
「「「「(了解!)」」」」
雄二がカウンターに入り、ムッツリーニは裏手のキッチンへと姿を消す。僕と明久と秀吉はウェイターなのでホールに残る
「ワシが最初に行くから、お主らは次に客が来た時の準備を頼む」
「「了解」」
僕らの返事に秀吉はで入口で待っているお客さんに声かけた
「二名様ですね?それでは、こちらへどうぞ」
本日一組のお客さんを連れて窓際の席に向かう秀吉。お客さんが席にかけたところで一旦その場を離れ、お冷をトレイに載せて再びその場へと向かう
「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
丁寧に頭を下げてカウンターへ戻ってくる。得意の演技で乗り越えるのは流石の秀吉だ・・・
「流石秀吉。違和感が全くなかったよ」
「うむ。舞台じゃと思えばどうということはないからの。むしろ観ている人数が少ない分余裕があるくらいじゃ」
「よし。僕も頑張るぞ」
「僕もがんばるとするか」
「その意気じゃが・・あまり気負いすぎるでないぞ。緊張は身体の動きや滑舌に影響を与えるからの」
なるほど。確かに緊張したらうまいことしゃべれないと言うのは納得だ
ーーカランコロン
どうや第二のお客さんが登場だ。さて、これは僕がいくべきか明久がいくべきか
「(僕が先に行くね)」
「(健闘祈るよ)」
明久は出入口に待ち構えているお客様に声かけた
『いらっチャッ!』
「「(あ、噛んだ・・・)」」
「「「「っ!!」」」」
お客さんが必死に笑いにこらえてくれるけとでも、その優しさは逆につらいよね・・・お客様は四人の女性で来店していた
『いらっチャ――・・・・(ダッ)!』
『あっ!キミ、案内は!?』
『大丈夫だよ!私たち全然笑ってないから!』
『もう一回だけ頑張ってみて!』
『ファイトだよ!!』
明久はあまりの恥ずかしさに猛ダッシュしていた。そんな明久は聞こえてないのか顔真っ赤にしてこちらに戻ってきた
「な、なんじゃ明久!?なにゆえダッシュで戻ってくるのじゃ」
「失敗しても逃げちゃダメだよ!?早く戻らないと失礼だからね!?」
そう言ったら明久君はお客さんのところに戻ってお詫びを入れた
『す、すみません。ちょっと気が動転してしまいました・・・』
『気にしないで。誰にでも失敗はあるから』
明久が頭下げて謝るとお客さんは笑顔で許してくれた
『それでは、こちらのお席へどうぞ』
お客さんを窓際の席へ誘導する明久。どうやら秀吉が教えてくれたポイント2『転ばない』は大丈夫みたいだ。明久がメニューとお冷を出して、注文が決まるまで離れて待機した・・・
「・・・お疲れ様」
「・・・うん」
明久はあまりの失態に落ち込んでいた・・・僕もやらかしそうでこわいな・・・
「む、そろそろ注文が決まったようじゃな」
最初に入ってきたお客さんの様子を見て秀吉が先程のお客さんの方へと近づいていく
『ご注文はお決まりでしょうか?』
『エスプレッソとレモンティーと季節のシャーベットを二つ下さい』
『畏まりました。エスプレッソとレモンティーと季節のシャーベットをお二つですね。少々お待ち下さい』
メモを取って、秀吉が戻って先程の注文を雄二に話していた
「エスプレッソ一、レモンティー一、シャーベットを二じゃ」
「あいよ」
「・・・(コクリ)」
秀吉が注文を告げる雄二とムッツリーニが動きだしていた。うん、連携はいい感じ!
「明久、君の接客していたお客さんがメニュー決まったよ?」
「あ、ほんとだ。行ってくるよ」
「うん。いってらしゃい」
明久は今度こそ失敗しないようにと気合い入れて、先程の四人の女性に注文を聞きに行った
『ごチュッ!』
『『『『ゴホッ!?』』』』
お客さんが噴き出した水が、店内に鮮やかな虹のアーチを描いた・・
お客さんに罪なく明久に罪あり・・・
『・・・・ご注文は、お決まりですか・・・』
正直ここまでくればもはやいたたまれない・・・
『私はホットココアとチーズケーキを。頑張って』
『私はオレンジジュースとホットケーキで。頑張ってね』
『私はミルクティーとモンブランを。頑張って下さい』
『私はアップルパイ。頑張りなさい』
『は、はい。ありがとうございます・・・』
明久が簡単にメモを取り、雄二とムッツリーニに告げる。
「ホットココア、オレンジジュース、ミルクティー、チーズケーキ、ホットケーキ、モンブラン、アップルパイを一つずつと、頑張ってを四つ」
「・・・なんでお前は客に励まされているんだ?」
「・・・早速何かあった?」
「・・・今の明久にそれ以上は触れてあげないで・・・」
その後、明久は出来上がった料理を持っていったがその時お客さん達に『よくできたね』と誉められた時、明久君はとても切ない顔になったのは、ここだけの話だ・・・
ここまで読んでいただきありがとうございます。次回も宜しくお願いします