「明久・・・・やはり、ここに入るのはやめとこう」
「なにいってるのさ!雄二!早く中に入るよ!」
「頼む!ここだけは、Aクラスだけは勘弁してくれ!」
目的の桃源郷は、我らが宿敵のAクラスに【メイド喫茶『ご主人様とお呼びなさい!』】という名前で存在していた
「A組はなんでこの名前にしていたんだろ?」
「うん……」
僕の言葉に三上さんは同意していた。おかしいよね、普通はこんな名前を思い浮かばないと思うのだけど……
「いくら霧島さんがいるからって渋るなよ。僕らからすれば大事なことなんでしょ?なら行かないと?」
「坂本君。女の子から逃げ回るなんてダメですよ」
「でもな・・・」
後ろから女子たちも追いついてきた。それでもなお渋っているあたり 自分の身の危険を感じているんだろう
「雄二、これは敵情視察なんだ。決して趣味じゃ…」
「・・・・(パシャパシャパシャ)」
隣で指が擦り切れんばかりにムッツリーニがシャッターを押している
「何をしているんだい?ムッツリーニ」
「・・・・人違い」
当の本人はカメラ片手に否定のポーズをとるが、三上さんは引いていた。うんごめんね?うちのクラスが迷惑かけた・・・
「どう見ても土屋でしょうが。ここで何しているの?」
「・・・・・敵情視察」
最近の敵情視察はカメラでローアングルからとることを指すのか?そんなわけないだろうけど。
「ダメじゃないかムッツリーニ。盗撮なんてしたら。撮られている女の子達が――「・・・・一枚百円」・・2ダース買おう――可哀想だと思わない」
「ちゃっかり買ってんじゃないか!?」
「ハッ!!」
「・・・・撮り終えたので教室に戻る」
そういって明久に写真を渡して教室に戻っていった・・・ムッツリーニーはいつか捕まりそうで怖いな・・・
「やだな~。もちろん処分するに決まっているじゃないか。それよりそろそろお店に入ろうよ」
「あ、そうですね。入りましょうか」
「そうそう、はやくいこうって・・・これ男の足しかないじゃないか!チクショー!」
「吉井君。ちょっといいですか?」
「アキ、ちょっといいかしら?」
さっきの話を聞いていたせいで姫路と島田からどす黒いオーラが立ち始めた
「三上さん、行こうか」
「そうね。行きましょ?」
「お帰りなさいませ。お嬢様」
「うわ・・・凄く綺麗だわ・・・」
確かに霧島さんは綺麗だった。長い黒髪にエプロンドレスの白がよく映え、黒のストッキングが彼女の美脚を更に際立たせている。同姓が羨んでも仕方のない麗しさだ
「それじゃ僕らも」
「はい。失礼します」
「お姉さん、きれ~!」
「本当ね・・・」
明久は姫路と島田と葉月ちゃんを連れて中に入る。すると、霧島さんは僕と三上さんと同じもうに・・・
「おかえりなさいませ、ご主人様にお嬢様」
と出迎えてくれた
「お帰りなさいませ。ご主人様。お嬢様」
「ちっ」
雄二もようやく観念したのか渋々と入っていった。そんな雄二に霧島さんはいつものように対応し…
「おかえりなさいませ。今夜は寝かせません、ダーリン」
ちょっとアレンジして出迎えた
「霧島さん、大胆です」
「ウチも見習わないとね」
「あのお姉さん、寝ないで遊ぶのかな?」
「いや、見習うところがおかしいわよ?美波。葉月ちゃん、あと十年は待ちなさい」
島田はどこを見習おうとしていたの?三上さん!葉月ちゃんのナイスカバー!
「ね、お兄ちゃん、お客さん一杯だね~」
葉月ちゃんの言う通り、この教室はほかのクラスと比べ、席が埋め尽くされていた。意外にも男性客だけじゃなく女性客も結構多いな
「では、メニューをどうぞ」
「ウチはふわふわシフォンケーキを」
「あ、私もそれでいいです」
「葉月もー!」
「それじゃ僕は水で、付け合わせに塩があればうれしいかな」
「僕はアイスコーヒーで」
「私もアイスコーヒーでお願いします」
次々に注文していく中、雄二は・・・
「じゃあ俺は・・・」
「・・・御注文を繰り返します。」
霧島さんが遮るように声を出す。
「・・・シフォンケーキが三つ、アイスコーヒーが二つ、 水一つメイドとの婚姻届が一つ。以上でよろしいでしょうか?」
「全然よろしくねえぞ!」
「では、メイドとの新婚生活を想像しながらお待ちください。」
そういいながらつかつかと厨房のほうに戻っていった
「明久!俺はどうしても召喚大会で優勝しなくちゃいけないんだ!」
「ま、まぁそうだね」
雄二から並々ならぬ気合が見られるが明久たちとは目的は異なっているだろう。雄二からすれば結婚=死と思っているだろうし
「ところで葉月ちゃん。ここで噂を聞いたって言ってたけどどんな感じだった?」
「え~とね、葉月ここで嫌な感じの二人がおっきな声で話してたよ~」
葉月ちゃんが元気よく言うと外からドアが開いた音が聞こえた
「おかえりなさいませ、御主人さま」
「おう二人だ。中央の席空いてるか?」
「はい。席にご案内いたします」
「あの人達だよ。さっき大きな声で「中華喫茶は汚い」って言っていたの」
そういって指さした方向を見ると予想通り例の常夏コンビが入ってきた。やっぱり原因はあの二人だったか・・・すると、三上さんはあの二人を見て嫌そうな顔していたので聞いてみたら・・・
「あの丸坊主の人が私のお尻さわっていたわ・・・」
ピシッ!
「の・・・のび太?」
明久が引いているが関係ない・・・三上さんのお尻をさわった?なんだろ?このイライラ感は・・・落ち着こう
「それにしても、ここの喫茶店は綺麗だな!」
「そうだな。さっきいった2‐Fの教室なんて酷かったもんなぁ!」
「テーブルが腐った箱だし、虫が湧いていたもんな」
中央の席で大きな声を叫びあう二人。完全に営業妨害だ!これ以上悪評を広められたらFクラスの評判は落ちる。それだけじゃなく、もしこれが姫路の両親の耳に入ろうもんなら即転校につながる。すると明久が常夏コンビを止めようと立ち上がったところを雄二に止められた
「落ち着け!今お前がキレたらどうにかなる話ではないだろ?」
「でもここでただ指をくわえてみているだけなんて」
「とりあえず頭を使おう。ただやみくもに突っかかったら危険だ。まずはどうやってあいつらに気づかれずに近づくかだよね」
「そうだな・・・おい翔子」
「・・・・何?」
霧島さんが急に現れた上に注文とってまだ数分しかたっていない。時々彼女が忍者の血を引いているのではないかと疑いたくなるような出現の仕方だ
「あいつらここに来たのは初めてか?」
「・・・さっき出て行ってまたはいってきた。話している内容もずっと変わらない」
霧島さんがその質問には嫌そうな顔しているからAクラスにかなり迷惑かけているみたい
「そうか・・・すまないがメイド服を貸してくれないか?」
「わかった」
雄二の当たり前のように申し込みに彼女はそれに承諾してくれた。しかしこのやり取りを見るとこの二人本当におにあ・・
すっ・・・ぬぎぬぎ・・・
「霧島さん!?ここで脱いじゃダメです!」
「そうよ!ここはケダモノがたくさんいるのよ!」
「わ~。お姉さん。胸おっきいです~」
「葉月ちゃん、そういう事をここで言っちゃダメよ」
あろうことかその場でメイド服を脱ぎ始めた霧島さんを女子全員(葉月ちゃんを除く)が止めにかかったのだ
「・・・雄二がほしいって言ったから」
霧島さんが顔を赤らめて話した。言葉の内容が飛躍しすぎです
「お、おれがほしいのはメイド服のほうで予備があったら貸してくれって意味だ。」
「今持ってくる」
霧島さんは残念そうな顔で厨房に戻っていったのだそんな中、常夏コンビはあいかわずでかい声で喋っていたのだ
「あの店、出している食べ物も相当やばいんじゃないか?」
「言えてるな。食中毒を起こさなければいいけどな」
「2-Fには気を付けろってことだよな」
そしてそんなことをしている間にも悪評が伝わり始めている
「雄二。なんでもいいから早く連中を」
「いいから少し待ってろ。姫路に島田、後は三上だな。櫛とか化粧道具持ってないか?」
「は、はぁ。持っていますけど。」
「すまないが貸してくれないか?」
雄二がそう言うと姫路さんはポケットから小さなポーチを取り出して雄二に渡した。なんとなくすることはわかったぞ。でもいったい誰がするんだ?
「すまねぇな。後で返す」
「・・・雄二、これ」
霧島さんも更衣室からメイド服を持ってきてくれた
「あぁ済まない。」
「・・・これで貸し一つ。」
「だ・・・そうだ」
そういって僕のほうを見る。何を求めているんだ?まぁ、明久に目のアイコンタクト取ったら決まった
「分かった。今度一日雄二を好きにしていいよ?ただしやり過ぎないようにね?」
「分かった・・・野比は良い人・・・」
雄二が叫んでるけど気にしない。うん、この間の仕返しなんて思ってもないよ?うん釘も指したし問題ないはず
「ところで雄二。メイド服と化粧道具で何するの?」
「・・・着るんだ」
そりゃあメイド服は着るものだからそれ以外の用途はないけど・・・。主語がないぞ
「だってさ。姫路さん」
「え?わ、私がきるんですか?」
「馬鹿言うな。姫路が行っても攻撃できないだろうが」
確かに姫路が行ったところで注意できないよな。行っても何も言えずに戻ってきそうだし
「それじゃ美波?でもその服だと胸がぶべらぁっ!!」
「ツギハ・・ホンキデ・・・ウツ」
明久の一言で島田から並々ならぬ殺意が芽生えている。その姿は阿修羅も泣いて逃げだしそうな迫力だ
「島田もだめだ。顔が割れてしまうだろ。三上もだめだ」
「まさか・・・」
明久が恐る恐る聞くと・・・
「おまえが着るんだよ、明久」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
「僕は絶対嫌だよ!!雄二かのび太が着ればいいじゃない!」
「こんなガタイした女子がいるか?」
「それに僕達は一回こいつらに関わったしね」
僕らは彼らに交渉(物理)をしたため、幾ら女装をしてもばれる可能性が高い。それなら唯一関わっていない明久にやってもらうのが適任だ
「僕は絶対に嫌だ!!」
「それだったらあっち向いてホイで決めよう。そしてその勝負では絶対言い訳しない」
「いいだろう。受けてやる!!」
「「最初はグーじゃんけん」」
明久:パー
野比:グー
僕の負けか
「あっち向いて!!」
そういうと明久は僕の顔めがけて人差し指を突き出してきた。おそらくよけたときに向いた方向を誘うっていう魂胆だね?だけど甘い!!
「ホイ!」
バシャッ
「ぐわっ!」
野比:左
明久:上
「何!?」
僕はさっき届いた水を明久にかけて視界をつぶしたところで向けた指と異なる方向に首を向いた。卑怯だって?僕だって女装されるのは嫌なんだよ?それに先仕掛けたのは向こうだから正当防衛!
「己。なんと卑怯な!!」
「先に明久がしたことは何?それを棚にあげる気?」
「・・・・よしっもう一回!!」
先に姑息な手を使っておいて何もなかったことにする気か?
「「最初はグーじゃんけん」」
明久:チョキ
のび太:グー
よし、さっきの仕返しだ!!
「「あっち向いて!!」」
「あ、彼処に凄く可愛い人がいるよ」
そういって僕は明久に向けて指を出した瞬間、外の方に目を向けた
「ふっいくら僕がバカでもそんな小細工は・・・」
チリーン
「へっ?」
「ホイ!」
のび太:下
明久:下
「僕の勝ちだね?」
そういって僕は落とした小銭を拾った。実はわざと小銭を落として明久の気をそらしたのだ。でもただそれだけだと気は逸れない。一度、明久の気が緩んだところでやらないといけないため、あんな嘘をついた
「そんな手はあるか!これは無効試合だ!」
「最初に仕掛けたのはそっちでしょ?敗けは敗け!」
僕がそういうと明久がおとなしく項垂れるように落ち込んでいた
ここまでよんでいただきありがとうございます!次回も宜しくお願いします!