明久side
僕は今、雄二とジャイアンと3人で姫路さんの手料理が気になり行動を起こしていた。本当ならのび太も気分転換で連れていこうとしたけど、今ののび太は何を言っても同じ返事しかないからそっとしている・・・大丈夫かなー
「それじゃ、開けるよ?」
僕の言葉にジャイアンと雄二も無言で頷く。姫路さんに気付かれないようにこっそり扉を開けて中の様子を窺う。 調理室の中からは姫路さんが動き回る音が聞こえてきた。
「(まだ始まったばかりだな?)」
「(そのようだね・・・)」
ジャイアンの言葉に僕は頷いていた。良かった・・・まだ調理を始めたばかりのようで、特におかしな点は見当たらない。 姫路が棚からボウルを二つ取り出して何かを入れているのが見える
「(この状態だと問題なさそうだな) 」
「(そうだね。ゼリーくらいなら大丈夫かもしれないね)」
「(大丈夫だと逆に困るんだがな)」
くっ!僕も食べるかもしれないのに、雄二は食べないからそんなこと言えるんだ!!でも何に困るのか気になるから聞こうとすると姫路さんの声が聞こえた
『えーっと・・・まずは、ココアの粉末をコーンポタージュで溶いて――』
ん?姫路さん。君は一体何を作っているんだ?
「(か、彼女は何を作ろうとしているの!? いきなりゼリーから遠く離れた何かになっているような気がするんだけど!?)」
「(静かにしろ明久。姫路に見つかるぞ!)」
いや、この状況を見て落ち着いていられないだよ!!ジャイアンも彼女の行動に混乱している。 そしておもむろにオレンジとねぎを取り出しーー
『オレンジと長ネギ、どっちを入れると明久君は喜んでくれるでしょうか・・・?』
「(迷わない!その二つの選択肢は迷わないよ姫路さん!)」
「(おそらく貧弱な食生活を送るお前の為に栄養価に重点を置いた特別料理を作ろうとしてるんだろうな・・・味を度外視して) 」
「(そんな!?気を遣わないで普通でいいのに!)」
「(彼女にとって普通がこれなんだろう。彼女の優先順位で味は栄養より下なんだろうな) 」
そ、そんな!?
『あとは、隠し味にタバ――』
「(これ以上は聞くな明久!食えなくなる)」
「(待って!せめて最後に入れられたのが 『タバコ』なのか『タバスコ』なのかだけでも確認させてよ!)」
そうじゃないと僕の命に関わる!!!頼む!確認させてくれ~!
「(ほらいくぞ明久!)」
「(い・・イヤだぁ!)」
僕は雄二に首根っこを掴まえてズルズルと引きずられ、僕達は調理室を後にした。誰か姫路さんの手料理教えてー!!
ジャイアンside
調理室を後にして俺達は新校舎の三階にやって来た
「よし。それじゃあ、このまま新校舎三階をうろつくぞ。暇そうにな」
坂本の提案に俺は正直驚いた。時間がないのに何故?俺の思ったことは明久も同じ気持ちななのか坂本に質問していた
「え?時間がないって言ってるのに目的もなくうろつくの?」
「BクラスとDクラスに俺たちが何も知らないというアピールをするためだ」
なるほど・・・つまり
「俺達が作戦を立てているって悟らせないためか?」
「そうだ。それに、DクラスがBクラスに対して敵意を抱いているという ムッツリーニの偽情報が伝われば、BクラスはDクラス戦も想定する必要が出てくる。 そこで俺達が動きに気づいて黙って点数補充に勤しむべきだろさ」
「・・・」
「あ・・明久?」
話がついていけず明久は処理落ちのしたパソコンのようにフリーズしてしまった
「仕方ないから今回は俺は俺が説明するぞ。よーく聞け」
俺は順を追うようにゆっくりと説明した
①Bクラスは俺達Fクラスに宣戦布告する気でいる。現在は点数補充を行っていて、俺たちが気づけば即、試召戦争をするつもり
②次にDクラスはFクラスに対して開戦するかしないかで内部争いをしている。今のところ開戦派のトップの清水が戦意を失っているため非開戦派の平賀に分がある状況
③今のFクラスはBクラスに宣戦布告されればまず勝ち目はない。だから、Dクラスに宣戦布告される必要がある。目的は戦後に用意される回復試験を受けるために時間だ。
④最後に、現状とこれからどうするか。現状はBクラスからFクラスへの宣戦布告を遅らせるために、『DクラスがBクラスを狙っている』という偽情報を流した
「ここまでは理解できたか?明久」
「う、うん。ジャイアンってそんな賢かった?」
「・・・正直坂本の説明のを聞いてもギリギリでしか理解できなかったから思い付いて喋った」
俺が苦笑いで言うと坂本がまとめを言ってくれた
「まっ、分かりやすく言えばBクラスに対してはFクラスに戦意が向けられていることを気づいていないことをアピ-ルし、DクラスにはFクラスとの試召戦争の判断材料にしてもらうということ」
分かったか?と確認するように明久に問いかける坂本
「うん。それで、のんきに廊下を歩くってただフラフラ歩き回っていればいいの?」
「まあ、そうだな」
やっと理解してくれて助かる・・・
しかし・・
「仮に始まってものび太は全く機能しないと俺は思うぞ?」
「だろうな・・・。のび太に関することは女子の二人にどうにか三上を説得させてくれたらいいんだが・・・多分、今、のび太があれな以上は三上はもっと機嫌悪いだろうな・・・」
「え?そんなに?」
「下手したらのび太抜きでしないとダメだからな。とりあえずおいとこう」
明久の疑問に坂本が答えてくれたようにのび太抜きで作戦たてることになるだろうな・・・
「そうか。ねぇ、なんかゲームしない?」
何を突然・・・いや、待てよ?好機か。敵を油断させるためにはいいな!坂本も頷いていたし明久が何をするのか?って聞くと・・・
「んじゃ、英単語クイズでもやるか。英単語を言うからその意味を答えるんだ。語問のうち一問でも答えられなかったら負けだ」
・・・・・英語はダメだろ・・・自信ねぇ
「この際勝ち負けは関係ないが、少しの勉強と思えばいいだろ?」
まっそうだな。俺が頷くと坂本は待っていたと言わんばかりの顔になった
「よし、それじゃ、罰ゲームは『負けた方が勝った方のいう事を何でも聞く』だ。それじゃあ、行くぞ!」
「え!?」
「ちょ・・ちょっと待ってくれ!ふざけるな!」
しかし、雄二は聞く耳を持たずに問題を出した
「まず明久から聞くぞ。"April"」
エ、エイプリル? やばい・・・全然わかんないが、えーとあれかな?いや、なんだって?
「ふっ、こんなの簡単だよ!」
何!?明久が・・・あの明久が分かっただと!?
「じゃあ、言ってみろ」
「道路に使われているアレだよね」
ごめん、いくらわからない俺でもそれは違うってわかる。明久が言いたいのはおそらくアスファルトだろう
「俺の勝ちだな」
「どうして最後まで聞かずにそんなことが言えるのさ!?勝負は最後までわからないはずだよ!」
「いや、お前が言いたいのはアスファルトだろ? 発音からしてエイプリルだから多分違うと思う」
「なら、剛田?お前は?」
ふっ、答えはあれだろ?
俺は自信満々に答えたのだ
「解雇!」
「聞きたい答えとは違う!答えは4月だ!」
俺の答えに坂本はつっこみを入れてきた。ほー、答えはそれなんだな。メモメモ・・・っと・・・
「嘘だ!!」
「いや、坂本のが答えあってるだろ?」
「・・・吉井、雄二と剛田の言っていることは本当。答えは4月で正解」
背後から音もなく霧島さんが現れた
「おぉ?!」
「ぶっ!?しょ、翔子!?」
「霧島さんがそう言うなら僕の負けでいいよ」
いや、どうあがいてもお前の間違いなんだから素直に認めろよ。そして素直に間違いを認めないと人としてどうかと思うぞ?
「それじゃあ、次は霧島さんの番だね?」
「・・・・・頑張る」
雄二の後ろに立っていた霧島さんが小さくコクンと頷く
「ちょっと待て、いつの間に来たんだ!?」
霧島さんを見て慌てふためく坂本。なんか斬新だな?俺からしたら
「問題を出し始めたあたりからずっといたじゃないか」
「・・・・・雄二が『何でも言うことを聞く』って言ったのが聞こえたから」
すごい局所的なところを聞いていたんだな。そして坂本への愛が深いんだな・・・
「それじゃ、霧島さんが出題者で雄二が解答者だね」
「・・・・わかった」
その動きに坂本は慌てて言った
「ま、待て!翔子が参加するなんて聞いていないぞ!?」
「まさか、あの雄二がまさか逃げるだなんてことしないよねぇ?」
「く・・・っ! じょ、上等じゃねぇか!きっちり答えてやらぁ!」
明久のわかりやすい挑発に乗り、坂本がやる気を出した。 なんか普段とは真逆で見てて面白い
「というわけで霧島さん、一問目をどうぞ」
「・・・・・うん。えっと──」
何かを思い出すように霧島が顎に手を当てる
「──"betrothed"」
ダッ(身を翻す雄二)
ガッ(その肩を掴む俺と明久)
「雄二、どこに行こうとしているのかな?」
「答えれるだろ?それに・・敵前逃亡者は・・・ダメだろ?」
「キ・・キサマラ・・・!」
俺達を恨めしそうに睨みつける雄二。今までにないほど殺意が込められている
「ねぇ?霧島さん。いきなりトドメっていうのも可哀想だから、問題を変えてあげてよ」
「・・・・わかった」
小さく頷いて霧島さんは明久の提案を呑む。 そしてそのことで胸をなでおろしている坂本。まぁ本来の目的が時間稼ぎなんだしこうもあっさり終わっては意味がないだろうな・・・
「 ・・・・じゃあ、"prize"」
「prize・・・【賞品】か?」
霧島さんは正解と小声で告げてから更に問題を出す
「・・・・"as"」
「【として】」
「・・・・"engagement ring"」
「【婚約指輪】」
「・・・・・"get"」
「【手に入れる】」
「・・・・・"betrothed"」
ダッ(身を翻す雄二)
ガッ(その肩を掴む俺と明久)
「放せお前等!後生だから放してくれ!」
雄二の悲痛な叫びがこだました。こんな坂本見てて面白い・・・!
「頼む、本当に頼む。今の一連の単語を聞いたなら俺の恐怖がわかるだろ!?」
「えっと、つなげると【賞品】【として】【婚約指輪】を【手に入れる】だね。霧島さんは勝ったら雄二に婚約指輪を買ってもらうつもりなの?」
明久の問いに霧島さんは頷いていたが俺は疑問におもったことを聞いた
「しかし、俺らは学生だろ?。指輪なんて買えるわけないだろ」
「・・・・あっ!?」
霧島さんが何かを落とした。これは・・・宝石店のパンフレット・・・
「・・・・・冗談」
そう呟いて、霧島さんは顔を赤らめ、恥ずかしそうにパンフレットを拾う。その様子に坂本が怯えていたのをみて明久が笑っていた
「あはは。雄二ってば、そんな僕らにしか聞こえないような小さな声で『ヤバい、ヤバい』なんて連呼されても困っちゃうよ?」
そして勝者は霧島さんと言うと坂本は抗議しょうとしたが答えれてないと言ったらおとなしくなった
「・・・翔子、さっき冗談って言ったよな?」
「・・・・うん。婚約指輪は冗談」
指輪は冗談なのか。まぁ学生なんだしそんな高価なもん買えるわけないしなー
「じゃあ、本気の方はなんだ?」
「・・・・それは──」
再び頬を染めて俯きながら霧島さんが呟く
「──人前じゃ、恥ずかしくて言えない・・・」
「なんだ!?俺は何をさせられるんだ!?」
人前だと恥ずかしくて言えないこと・・・なんだ?
「・・・・こんなところで言わせるなんて、雄二はいやらしい」
・・・・判決、坂本雄二の罪は明久に裁いてもらおう
「死ね雄二ぃぃーっ!」
「うおぉい!なぜ俺が狙われるんだ!?俺は何も言っていないだろ!?」
「黙れ!今朝聞いた『寝ている霧島さんに無理矢理キスをしたって話も含めて納得のいく説明をしてもらおう!」
「マジで!?即警察に通報だな!」
「違う!話の内容が変わっているぞ!?本当は──」
「・・・・キスだけじゃ終わらなかった」
「おい雄二。いくら籍を置いているからってこれ以上のことは・・・よし!Fクラスで記者会見だ!霧島さんとやり過ぎたことを報告だ!」
「誤解だ!というかお前は何でそんなことを真に受ける!そして、お前たちの思うことはしてない!ってか発言がアウト!」
知るか!反省はするが後悔はしない!
「嫉妬と怒りが可能にした、殺戮行為の極致を思い知れ・・・っ!」
明久がもの凄い勢いで坂本に襲い掛かる。
「うぉっ!?明久の動きがマジで見えねぇ!」
「・・・・キスの後、一緒に寝た。」
明久の動きがさらに加速される。こいつは水と調味料だけでなんでこんな機敏な動きが出来るんだ!?俺でも捉えきれないぞ!?
「ごふっ!バ、バカな・・・!明久に力で負けるなんて・・・!」
「・・・・とても気持ち良かった」
霧島さんの言葉で嫉妬心を煽り明久はさらに加速する
「更に分身──いや、残像か!?もうお前人間じゃないだろ!?」
「『殺したいほど羨ましい』という嫉妬心は、不可能を可能にする・・・!」
「それを勉強に活かせよ!?」
「嫌だね!そして雄二!くたばれー!!」
「上等だ!こうなりゃこっちも本気で相手してやらぁ!」
こうして西村先生(鉄人)が来るまで二人の死闘を俺と霧島さんは黙って眺めていた。見てて面白い・・・
誤字の報告していたいただいた方ありがとうございます!きちんと直しましたとおもいます!そして、ここまで読んでいただいてありがとうございます!次回もよろしくお願いします!