玲さんが僕らの小学校言い当てて戸惑っているなか明久が話題を変えてくれた
「ところで、姉さんは何をしに出掛けていたの?」
「夕食の買い物に行ってきました」
そういえば玲さんは結構袋を提げていたけど、そういうことだったのかー
「あれ?でも、随分と量が多いね」
確かに、どう見ても二人分とは思えない。保存用かな?
「いいえ。その量であっています」
本人もこう言ってるから、やっぱり冷蔵庫に入れておく為にまとめ買いをしたのかもしれない
「折角皆さんがいらっしゃったことですし、お夕食を一緒にいかがでしょうか?大したおもてなしはできませんが」
玲さんの問いに僕らはーー
「迷惑でなければ喜んで」
「俺もです」
「私も賛成です。皆と食べるのも楽しそうだと思うしね」
「そうだな。俺もそうさせてもらう」
「・・・御馳走になる」
「迷惑でなければワシも是非相伴させて頂きたい」
「ウチも御馳走になろうかな」
「じゃ、じゃあ、私も・・・」
全員が首を縦に振る。今日は賑やかな夕食になりそうだね
「それは良かったです。ではアキくん、お願いしますね」
「うん。了解」
明久が玲さんから材料が入った袋を受け取る。その事に姫路と島田が疑問の声をあげた
「え?アキが作るの?」
「うん。そうだけど」
「明久君って、お料理ができたんですか!?」
まぁ、普段の明久を見たら信じられないのわかるけど・・・
「ほら?明久がお昼に自分で弁当作ってきたって言うていたから信用してあげなよ?」
「そう不自然なことでもないだろう?俺だって料理くらい作るしな」
「まぁ確かに」
「・・・・紳士の嗜み」
「わ、ワシは、その・・・あまり得意では・・」
今さらりとムッツリーニの言葉をスルーしたね。いや、聞き流したんだろうけど
「ムッツリーニはともかく、雄二はやっぱり家で夕飯作って覚えたタイプでしょ?」
「おう。その通りだが……やっぱりってのはどうしてだ?」
「あはは。だって、雄二は家の中で一番地位が低そうだもん」
「んん?何をいってるんだ?お前?」
「え?何ってジャイアン・・・夕飯って、家の中で一番立場の弱い人が作るもんなんでしょ?」
「「「「「「「・・・・・」」」」」」」
僕らは明久を可哀想な目でみていた
「母の方針で家ではそうなっています」
「いやなに?そのパワフルお母さんは」
「なんとも言えない・・・」
「普通は立場に関係なく、作れる人が作るもんなのじゃがな」
僕らの言葉に明久は驚いていた
「え!?普通の家では違うの!?おのれ母さん!よくも今までずっと僕を騙し続けてくれたな!?」
・・・明久が騙されやすいだけだと思う
「んじゃ、ちょっと早いが先に夕飯の支度から始めるか。明久、手伝うぞ」
「僕も手伝うよ」
「・・・・協力する」
「なら俺も・・・」
「あっ!ジャイアンは切る作業頼んでいいかな!?」
僕は慌ててそう言うとジャイアンは「何でだ?」と???マークが出ていた
「家の台所詳しいのは明久だから、僕らは切るとかでいいとおもうよ?」
「うーん・・・まっそうだよな!よし!切る作業は任せろ!」
ふぅ・・・明久達は知らないと思うけどジャイアンの料理は・・・・ごめん。これ以上僕の口から言えないし教えれない
そう内心思っていると・・・
「あのっ、それなら私もっ!」
「「「「いや、女子は座ってていいから!!」」」」
「は、はぁ・・・。そうですか・・・」
そんなこんなで、結局まずは夕飯を食べて、それから皆でテスト勉強をするという運びになった
「明久。何か丁度いいサイズの鍋はないかな?」
「へっへ~。実はそっちの棚の奥に、パエジェーラが入っているんだよね」
「パエジェーラって、パエリア専用の鉄鍋だったか?それはまた、随分と珍しいものを持っているな。うちにはないぞ?」
「・・・うちにもない」
当然僕もジャイアンの家もない
「かなり昔に、母さんが貰ってきたんだよ。それで折角だからってパエリアを作ってみたら結構美味しくてさ。それ以来、僕の好物の一つだよ」
「なるほどな」
「だが、スペイン料理とはな。玲さんはてっきり日本食を御所望かと思ったんだが」
「一応、姉さんはなんでもいいって言ってたけど」
「・・・・この材料は、明らかにパエリア」
「だよなー?エビやアサリだけならペスカトーレとかも考えられたが、サフランがあるからな」
「そうだね。サフランを使う材料なんて、他に知らないし……あれ?ホールトマトなんか何に使うんだろ?」
明久の言う通り、ホールトマトの缶詰が入っていた
「これはたしか・・・ピーマンとタマネギとニンニクを使ったトマトソースで作るパエリアもあるんだよな?」
「え?トマトソース?」
「(こくり)・・・・イタリアで言うソフリットを使ったトマトソース」
「へぇ、何度も作ったことあるけど、それは知らなかったよ」
確かにこれは僕も知らなかった・・・んん?そういえば1つ可笑しいことがあるよね?
「何度も作っているのに、買ってきた材料が違った?それっておかしくないかな?」
「そう?たぶん姉さんがうっかりしただけじゃないかな。いつもは買い出しも調理も僕の仕事だったし」
「まぁ、そうかもしれないな」
うーん、どうも腑に落ちない。それならなぜ、ソフリットの材料をきちんと知っていたんだろか?
まぁ詮索はやめておこう・・・
「所で明久、今思ったのだけど?」
「うん?」
「お前はさ、お姉ちゃんがいるから本来の生活態度を隠してるのだろ?」
僕とジャイアンが言うと明久が作業しながら悔しそうに言った
「・・・よく分かったね」
「丸わかりだバカ」
エビを手に取って背わたを取る作業をしながら雄二が言う
「・・・・バレると、説教?」
こっちはムール貝をタワシで洗っているムッツリーニの台詞
「まぁ怒られるのはいいんだけど・・・」
「なんだ?怒られる以外にも何かあるのか?」
僕とジャイアンは話ながらアサリを砂抜きをして、殻を洗う
「うん。あまりにも生活態度が悪かったり、今度の期末試験である程度の点数を取れなかったりすると、姉さんがこっちに居座ることになっちゃうんだよ・・・」
「点数?もしかってさっきの減点?」
「うん。のび太の言う通りそれだよ・・・。あの点数分、振り分け試験の時よりも今度の期末試験の成績が上がっていないとダメなんだよね」
なるほど・・・・そう言うことだったのか
「だから、余計なことを言わないで欲しいんだ。学校の成績とか、僕の本当の生活とか、こ、この前の美波とのアレとか・・・」
「アレって、島田とのキスのこ──むぐっ」
明久が慌てて雄二の口を塞ぐ。雄二の声はよく通るから、玲さんに聞こえるかもしれない。
「(そういうのもマズいんだよっ!姉さんは不純異性交遊は完全アウトっていうお堅い人なんだから!)」
明久の声を聞きながらパエジェーラにオリーブ油を入れ、水分を取った白身魚を皮目から焼き、エビ、イカ、ホタテ、アサリを加えて白ワインを一気に加えて蓋をする
「なるほどな。まぁ、お前の一人暮らしは俺にも都合がいいし、黙っててやるか」
「・・・・協力する」
「俺様も協力するぜ」
「僕も力になれるなら」
「ありがとう、4人とも・・・!」
僕とジャイアンは明久のお礼を聞きながらタマネギとニンニクはみじん切りにして、トマトは種を取って角切りにする
「あのさ、雄二は家で毎日夕飯を作ってるの?」
「ああ、いや、毎日ってわけじゃない。一応、うちの母親も作るには作るんだが・・・」
「いいなぁ。そういう母親」
「ふっ・・・・放っておくと、ヤツは何を作るかわからんからな・・・」
うわ、遠い目になってる・・・
「のび太は料理できたの知らなかったよ」
「そういや俺も知る限り、そんなのはしなかったよな?」
「あははは、まぁ、昔色々な人を見て僕も料理できるようになった方がいいかなと思って少しずつしていたけど・・・」
「・・・・急に遠い目になった」
「料理の概念別の意味で壊されたのがあったね・・・・」
「ええ?な、なにがあったの?」
明久が恐る恐ると僕に聞くと、僕は小さく言った
「姫路の手料理・・・それも一年の家庭科の授業の時だよ・・・」
「「「・・・・・(ガクガク)」」」
「ん?何でコイツらは震えているんだ?」
「気にしないでジャイアン」
うん・・・・本人も目の前にいるからあんまり言わないけど、ジャイアンも恐ろしいからね?あれ?姫路とジャイアンの協力料理はどんなのになるのかな・・・
「さ、さて!そろそろ僕はお米炊くよ!ジャイアンも手伝って?」
「なら僕は野菜炒めでもするよ。玉ねぎ残ってるし」
「なら俺とムッツリーニはデザートを作る」
明久とジャイアンにパエリアを任せ、俺は余ったタマネギなどの材料を使い、野菜炒めを作る
そんな作業も終盤にさしかかった時・・・
「待った姉さん!どうしてお風呂の写真ばっかりなの!?そのアルバムは何の写真を集めてるのさ!?」
んん?突然どうしたんだろ?耳を澄ますとーー
『──そして、これが昨晩のアキくんのお風呂の写真です』
『『・・・・(ゴクッ)』』
『・・・・私がおかしいのかしら?この状況をみて』
『いや、ワシもなんとも言えんのじゃが・・・』
その様子に明久が暴れて抗議しにいこうとしていたのでジャイアンが止めてくれた
「おいおい、明久。鍋から目を放すなよ。吹きこぼれるだろう?」
「もうそんなことはどうでもいい!それよりもあのバカの頭をフライパンでかち割ってやることの方が大切なんだ!」
「料理をなめるな。いいからおとなしく鍋を見ていろ」
「離せーっ!雄二のバカーっ!ジャイアンも止めないで!!」
はぁ・・・・仕方ないな―
「姫路の手料理食べる?それとも・・ここで撃たれるお仕置きがいい?この間のあの事件からたまってるストレスは誰かに当てるのもありかな~?って思ってるよ・・・」
「「「!!・・・・(ピタ)」」」
「ね?料理は最後までしょう?じゃないと連帯責任で姫路の手料理を食べることにするよ?」
「わ、わかった!やるから!やるから!!」
「その選択は無かったことにしてくれ!!」
「・・・・(コクコク)」
わかればよろしい!わかれば・・・
「のび太・・・いい意味で良い性格になったな・・・」
ジャイアンの言葉は何を思って言ったのか聞かなかったことにしょう
こうして料理は問題なく完成へと・・・・
ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もよろしくお願いします!