摂氏0℃   作:四月朔日澪

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一週間も春休みをいただきました(いつも更新遅いだろ!)

さて、ついに麻知ちゃんが動きます。


布石

町の郊外にある丘、その上にお嬢様が集まる女子校がある。この学校にはかつて山城と彼氏・彼女の仲であった少女がいた。そしてその少女の前に絶対にいないであろうもう一人山城と一番付き合いの長い少女がいた。

 

「....あなたは?」

 

「山城滉一の幼馴染...っていえばわかるかな?@#?さん」

 

「山城くんの...その幼馴染さんがなんの御用でしょうか?私はもう山城くんとは...」

 

「ちょっとお話がしたいの。今から付き合ってくれる?」

 

@#?は少し考えた末、

 

「分かりました。ごめんなさい、今日はご一緒に帰れませんわ」

 

学友に一言謝り、この得体の知れない元彼氏の幼馴染に付き合うことにした。着いた店は前に山城に連れて行ってもらった喫茶店だった。確か一緒にパフェを食べた覚えがある。

 

「それでお話とは」

 

「単刀直入に言うね。コウくん...山城くんのことを嫌いになってほしいの」

 

「はい?」

 

「あんた、コウくんを振ったんだよね?確か親が厳しくて不純異性交友を禁止してるんだってね。コウくんから全部聞いた。でも、コウくんはまだあんたのことを忘れきれてないみたいでさ。コウくんが次に進め無くなってるわけなんだよね。だからさ、コウくんに『もう好きじゃない』って言ってくれないかな?コウくんのために、さ?」

 

「........それで本心は何なのですか?」

 

@#?は顔色一つ変えずに聞いた。

 

「チッ..何もできないお嬢様ってわけではないようね。....邪魔なのよあんた。そもそも私のコウくんを奪った時点で赦せない...それに自分の都合でコウくんを傷つけて..赦せない赦せない赦せない...」

 

「別にあなたに赦される必要はないです...それにいいじゃないですか。確かに私は山城くんと物理的には離れました。そして彼氏と彼女という仲でもなくなりました。でも、心は今でもつながっているはずです。あなたが言ったように山城くんは私に好意を抱き続けている。そして私も山城くんに好意を抱いている..形は異なっていても恋は続いているんです」

 

「ふざけるな!」

 

麻知は机を叩き、大声を上げた。

 

「心は繋がってる?恋は続いてる?よくそんなこと言えるわね..妄想もいい加減にしなさい!いい?もとよりコウくんは私のモノ。あんたが掻っ攫っていっただけ..そして運命を知りながらコウくんの純情を弄んだ、違う?私ならそんなことしない...何があっても離れないし、離さない..どんな手を使っても...コウくんの心も身体も私のモノなの。それを取り戻すにはあんたがコウくんのことを嫌う必要がある。そうすればコウくんは私のモノになる...ずっとずうっと...」

 

「話になりませんね」

 

@#?は伝票を持ちレジに向かう。

 

「私は今でも山城くんのことが好きです。それは純粋なものです。あなたとは違う。たとえ、もう接触も連絡もしていなくても...この気持ちは変わりません。それではごきげんよう」

 

「.....ふふっ、そうか連絡はしてない...か。それが聞きたかっただけなのよねぇ。それにしても、早川すみれ...あなただけは一生ユルサナイ」

 

************

 

「おはよう、山城」

 

「おはよう」

 

あれから丁度一週間がたっただろうか。麻知ではなく笹島との登下校、そして昼食も笹島の作った弁当を食べ始めて。麻知の補完...は少し失礼だがそんな役割を笹島がしているような気がする。しかし変わったことはそれだけではない。麻知が学校をここのところ休んでいる。今日もいなければ5日も休んでいることになる。病気だろうか?

 

「どうしたの?北方さんのことが心配?」

 

「あぁ。めったに休むことなんてないから心配で」

 

「そうなんだ。...まぁ私は邪魔者がいなくていいんだけどね(ボソッ」

 

「何か言ったか?」

 

「ううん。早く北方さんが戻ってくればいいね」

 

そして今日も麻知は学校に来ていなかった。放課後、見舞いに行こうと思った。そして、お昼ここのところ特に変わりない教室で笹島との昼食。

 

「美味しい?」

 

「おいしいよ」

 

「よかった...あのさ、山城....」

 

「ん?」

 

「放課後、屋上に来てくれるかな..?話があるの。」

 

「?まぁいいけど」

 

放課後麻知の家に行こうと思ったのだがまぁ笹島と話をした後でもいいか。別に教室でもいいだろうに..それとも他に聞かれたくない用..とかだろうか。授業中、なんだか笹島から視線を感じた。笹島を見るとこっちに気づいて頬を赤くして視線を離す..

 そうして放課後になった。言われた通り屋上に向かう階段を上っていくとそこには笹島ではない女子の集まりがいた。

 

「あんたが山城?」

 

「そうだけど」

 

「みのりなら外にいる。」

 

そう言われ扉を開けると笹島が一人屋上に立っていた。

 

「あ、山城。来てくれたんだね」

 

「そりゃ、呼ばれたから来ないわけにはいかないしな。それで話って?」

 

「.......そ、その...私、山城のことがずっと好きだったの!だから....だから..その....私と付き合って!」

 

え?

 

山城は固まってしまった。ただのクラスメイトだと思っていた笹島が自分のことが好きだったなんて...それじゃあ、これまでしてきたスキンシップは自分へのアピールだったというのか。これまで起きた出来事が走馬灯のように頭に流れ、色々なことを考えてしまう。

 

「私じゃだめ...?私前の彼女よりも北方さんよりもずっとずっと好きだよ?私、山城の理想の彼女になるからさ...私と付き合ってよ」

 

「........ごめん。」

 

「なんで....なんで...」

 

笹島はその場に座り込み泣いた...別に笹島に魅力がないわけではない。でも好きな人が俺にはいるんだ。だから断った。でも僅かに感じる罪悪感に耐えられず俺はその場を立ち去ろうとする...

 

「ちょっと待ちなさいよ。」

 

「何?」

 

「なんでみのりのこと振ったのよ」

 

「そうよ。みのりのどこがいけないのよ。説明しなさいよ」

 

「....俺には好きな人がいるから...中途半端な気持ちで笹島と付き合ったら笹島に失礼だから...」

 

「あっ、ちょっと...」

 

そして俺は静かに学校を出た。明日からどう笹島と接すればいいだろうか...朝迎えに来ることももうないだろう。

 

**************

 

「ふぅん....ゴミの分際でコウくんに告白なんてしたんだ。身の程知らずだね。最後に選んでくれるのは私だよね?コウくん?.....もしもしお姉ちゃん?そろそろお願いしてもいいかな?」

 

『いいぜ。でも、麻知本当にいいのか?そこまでする必要って』

 

「いいから..黙ってやってくれればいいの。」

 

『!?』

 

それは景子が初めて聞くすべてを凍らせるような冷たい声だった。

 

「それじゃあ、お願いね?お姉ちゃん、手は抜かないでね。コウくんにバレたら水の泡だから」

 

『ああ..』

 

pi...

 

「待っててね、コウくん。もうすぐコウくんを取り戻してあげるからね。そしたら一生私のモノ...」

 

学校から少し離れた場所で現場を見届けた麻知は黒く笑うだけだった。




閲覧ありがとうございました。

ずっと伏字にしていた山城の元カノ早川すみれっていうんですねぇ..
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