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こんばんは。政治改革が進められている民権党に未公開株収賄という急転直下の汚職事件が降りかかってきました。しかし、予算委員会での宮崎大蔵大臣など関与した民権党の議員の答弁は納得のいかないものでした。今夜の出来事です.....』
80年代初期、世界で石油危機により物価上昇と不景気、そして石油枯渇の幻想という最悪の自体が起きた。その後、財政赤字を作り続ける道路建設、ダム建設といった公共事業政策は悪と決めつけられ財政緊縮策がとられるようになる。その後、プラザ合意からの円高を受け金融緩和へと移行すると日本は未曾有の好景気を迎えた。そんな矢先で与党自由民権党が政治スキャンダルを起こしたのだった。
その頃、文加は1987年7月26日、健一との子供を出産をする。それが山城滉一である。その頃文加は30代半ば、交際から10年が経っていた。健一の夜遊びは文加が駅で見てからも続いたが彼女はあれから「お仕事お疲れ様です。」「京子ちゃんとの時間は楽しかったですか?」とネチネチとした嫌味を言った。滉一の妻、麻知と違う点は麻知であればすぐさま滉一を抑圧するであろうが文加の場合は健一を自由に泳がせて風俗まがいの痴女との交際を認めている点である。結論から言えば、目先のことよりもその先の半永久的な独占のため健一に「最後の時間」を与えていたのだろう。
1990年-滉一3歳
「ねぇ、ママなんでうちにはパパがいないの?麻知ちゃんのおうちにはパパがいるのになんで?」
「パパならいるよ。」
「えーでも家の中探してみたけどママ以外いなかったよ」
「『今は』いないけどちゃんといるよ」
文加は玄関に飾っている写真立てを手に取り滉一に見せる
「ママの隣にいるのがパパだよ。今は遠くでお仕事をしてるけどちゃんと滉一を見守っているよ。」
「そーなんだーだから家を探してもいないんだね」
「そうだよ。」
「コウくーん、一緒にあそぼー」
「あ、麻知ちゃん!ママ、麻知ちゃんとあそんでくるね」
「行ってらっしゃい。麻知ちゃん、滉一をよろしくね」
「はーい」
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい....
さてダーリンに会いに行こうかな♪」
文加は台所の床下収納の蓋を開けるとそこには階段が続いていた。お盆を持ちながら懐中電灯で前を照らしながら階段を下りていく。鉄扉の鍵を開錠したその先には9畳ほどの広さの地下室があった。文加が投資で稼いだお金で改築したものである。しかしその風貌は住宅というよりも拷問室であった。健一が椅子に縄で縛られ、足には重しのついた足枷が付けられていた。
「ごめんねダーリン、遅れちゃって。ごはんの時間だよ。」
文加はお粥の入った木椀を持ち、木匙を健一の口に近づけた。健一は食べようとはしない...というよりも生気を感じられなかった。
「ほら、お口あーんして?.......
それとも言うことが聞けないのかな?」
文加の冷たい声から防衛機能が働いたのか健一は僅かながら重く閉ざした口を開いた。
「よくできたねーはいあーん。よく噛んでくださいね。
ダーリン、滉一にガールフレンドができたんですよ。北方先生の娘の麻知ちゃん、とてもいい子で麻知ちゃんが滉一のお嫁さんになってくれたらなんて...ちょっと気が早いですかね。へへ...ダーリンが働いていた会社は今、未公開株を政治家に賄賂として渡したってことでバッシングを受けているみたいですよ。まぁダーリンをクビにした奴らのことなんてどうだっていいんですけどね。みんな地獄に落ちればいいんです。ダーリンもそう思いますよね?あ、そうそうダーリンが騙されてたあの女、借金がたたって余計にいかがわしいお店に身売りさせられたんですって。そのノーパンしゃぶしゃぶ?でしたっけ?の経営が立ちいかなくなったみたいで職を失って彷徨い迷って本当の娼婦に成り下がったみたいですよ。無様にも程がありませんよね..クスッ....だって私のダーリンを誑かしたんですからこれくらいの罰は受けてもらわないといけませんよね?
ごめんなさい。こんなこと聞いても
もう『分かりません』よね?」
未公開株の収賄に関しては民権党の議員は歩調を合わせて秘書が献金と収賄の判別もできず受け取ってしまった、私にも監督責任があるという答弁に終始した。そんな言い訳で国民は納得するわけもなく、民権党は参院選で歴史的大敗を喫すことになり衆参ねじれが起きた。そして、政治基盤の崩壊・政治不信・経済停滞が日本を襲うことになる...
2018年-
平成時代も終盤に入り、30年前を彷彿させる政治スキャンダルが世間を賑わしている。今回の場合はねつ造に近いものであるが第一次政権からの曖昧にする癖が凶となし、話はより大きくなっていく一方である。
そんな日本から離れた太平洋の島国では文加と健一が『介護』生活を送っている。
閲覧ありがとうございました。
次回から本編に戻ります。