摂氏0℃   作:四月朔日澪

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ご注文はうさぎですか?のシャロちゃんの誕生日を祝っていて仕上げてなかった!!


華氏1832℉

「起きて。コウくん朝だよ。」

 

「んー」

 

山城はリビングの椅子に座り意識も朦朧な状態で朝食を迎えた。

 

コトッ

 

「玉子焼きは甘いので良かったですよね」

 

「ん」

 

「味噌汁はこれくらいの濃さでいいかな?」

 

「ん」

 

「コウくんさっきから生返事ばっかり!」

 

ズズッ

 

「少し辛いかなぁ...」

 

「あっすいません。おばさま、次からは気を付けますね」

 

「なぁ、母さん」

 

「何よ?」

 

「なんで朝食を麻知が作ってるんだ?」

 

高校三年生の秋、受験期真っ只中であるが麻知は普段どおり山城の世話を焼いていた。母は相変わらず麻知に弁当や朝食を任せており「早起きしなくて済むわ」などのんきなことを言っていた。

 

「「?」」

 

「その何言ってんだこいつみたいに見てくるのやめろ。それに母さんが味噌汁なんて作ったことないだろ」

 

「失敬ね。愛情込めて作った時代もあったのに...まぁお父さんにしか作ったこと無いけど」

 

「おやじかよ!」

 

「いいじゃない。麻知ちゃんが作ってくれるんだから。それともお袋の味が恋しくなったの?」

 

「ごはんと海苔の佃煮のどこがお袋の味なんだ」

 

母はハッキリ言って料理が下手な方である。玉子焼きも炒り卵になってしまうし、シチューには何か分からない浮いている物体があったりするので下手に料理されるよりはましではあるが...

 

 

「麻知だって受験生なんだから負担かけさせるわけにはいかないだろ」

 

「別に負担になってないよ。(自分のことは)ついでにやっているだけだし」

 

「ほら」

文加は肩を竦めて言った。

 

「ほら、じゃないよ。全く...」

 

リビングに静寂が訪れる。山城は寝起きなので意に介さず朝食をとる。静寂を破るように文加が爆弾発言をしてきた。

「あっそうだHはもうしたの?」

 

「ブッガハッガハッガハッ....」

「コウくん大丈夫!?お茶持ってくるね」

唐突の母の言葉に滉一はむせる。

 

「ガハッ...急に何を言い出すんだ!」

 

「図星?」

「違う!」

 

「なんだつまんないの」

 

「まがいなりにも母親が息子が人の娘に手を出すことを認めるのかよ」

 

「麻知ちゃんなら全然いいわよ」

 

「私も...コウくんなら...」

 

麻知よ、もじもじするな...

なんか次第に外堀を埋められている気がする。

 

「いやいやいや。おじさん達!」

 

「お父さんは議員宿舎に住み始めたし、お母さんも研究室に閉じこもってるから」

 

麻知の父は市議会議員から県議会議員を飛び越えて国政選挙に打って出た。この頃、郵政民営化を問う選挙だったが総理の人気は圧倒的で案の定自由民権党は圧勝、麻知の父も当選を果たした。

 

「あ、そうそう。北方先生から麻知ちゃんを預かってくれって」

 

「へー......へ?今なんて?」

 

「麻知ちゃんが家に住むのよ」

 

「よろしくね...コウくん....♡」

 

**************

 

麻知との半同棲生活が始まり、麻知は殆どの家事を仕切っていた。山城は部屋は掃除しなくていいと行ったが、部屋にあるグラビア誌やプレイボーイ系の雑誌が切り刻まれていたり、墨塗りのようにマジックで顔が塗りつぶされていた。

だが山城はそのことについて何も言わなかった。麻知がしたという証拠はないし(掃除した形跡はなく部屋は汚かった)、問い詰めるということはそういう本を持っているという自白に繋がるからだ。

しかし、ある日元カノである早川すみれと撮ったプリクラ写真が荒らされていた。山城が映っている部分には何もしていないがすみれの顔に何か鋭いもので突き刺したような跡が残っていた。流石に山城も我慢ならなかった。

 

「麻知、ちょっと部屋に来てくれ」

 

麻知はエプロンを脱ぎ、2階へ上がる

 

「これ、麻知がやったんだよな」

 

「......そうだよ。」

麻知は滉一を見据え答えた。なぜか薄っすらと口角を上げて

 

「俺は入るなと言ったはずだ」

 

「掃除しなくていい、だったよね。掃除はしてないよ?ただ目障りだったから。彼女は私なのに...」

 

麻知は口惜しそうに言った。

 

「ともかく!もう黙って俺の部屋に入るな!」

 

「分かったよ。でも、このことはおばさまに言っておくね」

 

麻知は本を手に持っていた。それは自らが塗りつぶしたり、切り刻んだりしていた雑誌類だった。

 

「コウくんはこれがバレたらどうなるのかな〜」

 

麻知は雑誌をぶらぶらと揺すり、意地悪そうに山城に尋ねる

 

「悪魔め...」

 

「ふふっ......バラさないよう考えてあげてもいいけどなぁ」

 

何をすればよいかなど1つしかない。

 

「掃除してもとやかく言わないから...許してくれ」

 

「え?」

 

「だから...その......」

 

「違うでしょ?私はあの女のしがらみを断って欲しいだけ...それだけかな?あの女と映ってる写真...許して欲しいなら全部捨てて。」

 

なんで麻知はそんなに菫に固執するのだろうか。山城は手紙のは行った菓子缶以外のものを出して麻知の前で捨てた。後にその手紙が災厄をもたらすとは知らずに。

 

「これだけ?」

 

「これで全部だよ」

 

「もし、まだあったら許さないからね?」

 

「...これで全部だよ。」

山城は先ほどよりも強く言った。

 

「......うん!なら許してあげるねっあ、そういえばコウくん掃除しても何も言わないって言ってくれたよね?これからは隅々までキレイにするね。」

 

余計なことを言わなきゃよかった、そう感じた。

 

**************

 

『テリトリーを侵すことは許しませんからブチッザー...

 

〜〜

 

小娘の戯言なんて気にしない。一日の時間の中では確かに会社にいる、つまり水萌といる時間が長いだろう。しかし、累計で言えば子供の頃から滉一の幼馴染、妻である私のほうが長いのだ。

でも....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

滉一に手を出したらタダじゃおかない。地獄に堕としてやる




閲覧ありがとうございました。

UA90000ありがとうございます。
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