摂氏0℃   作:四月朔日澪

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お詫び・皆様を混乱させる表現があったため1話分を勝手ながら削除致しました。

ネタバレの構造についてTwitterで話題ですが、感情移入型は大学編見るのきついんだなぁ、と一応あと数話で一区切りつけます。
※隆俊って誰だよ?A.麻知の許嫁です。


侵略すること

アパートの前には似つかわしくない黒のセダンが停まる。中から隆俊がドアを開け、麻知は乗り込む。しかし、車は発進する様子がない。

 

「早く出してよ」

 

「その前に!」

 

「このアパートになんの用があったの?」

 

「あんたには関係ないでしょ」

 

「あるよ。言うまで車は動かさない。俺たちの間に隠し事はなしだ」

 

麻知は根負けしたようで素直に答える。

「..幼なじみの家よ。久しぶりに遊びに来ただけ」

 

「それって麻知ちゃんがずっと言ってる男かい?」

「そうよ」

 

隆俊はそれを聞いて目を閉じ、上を見上げるとしばらくして静かに口を開いた。

 

「なんか妬けるな....会いに行くか」

隆俊はシートベルトを外し、ドアを開けアパートの方向に歩き出した。

 

「ちょっと、待ちなさい!」

麻知は急いで外に出て許嫁を止めに入った

 

***********

ピンポーン

麻知が帰ったところで山城は眠りにつこうと思ったとき、ドアベルが鳴った。こんな夜中だから来客もあるわけが無い。麻知が忘れ物をしたのだろう。

 

「麻知か。忘れ物......」

 

「へぇ....あの女マチって言うのかぁ」

 

「......」

 

「どうしたんだ?コウ、私の顔に何か付いてるか?」

 

麻知ではなくひよりがいた。なんで家の場所を知ってるんだ...?

 

「どうやって家が分かって...」

「そんなことどうでもいいだろ。それで、なんで私以外の女を家に連れ込んでんだ?」

 

「お前には関係ないだろ」

 

「は?お前は私のものだろ?関係ない訳ないだろ。これって浮気...だよな?」

 

ひよりは山城の胸ぐらを掴んで迫る。

 

「それで。マチって誰だ?泥棒猫め。コウを横から奪おうとしやがって...」

 

「麻知は俺の幼馴染だ。」

 

「幼馴染だと?.....っ

 

『ちょっと待ちなさいよ!』

下から麻知の声が聞こえ、その後ダンダンという階段を上る音が聞こえてきた。そして上がってきたのは麻知ではなく、スーツを着てヘアワックスで黒髪をきれいに整えた若い若社長のような男だった。男は俺を見るなり走り、初対面でありながら殴りかかってきた。突然の事で防ぎきれずドアに頭をぶつけ倒れてしまった。

 

「テメェ麻知ちゃんをもてあそびやがって!立てよおい!」

 

「あっコウくん」

麻知が遅れて上がり、倒れている山城に気づくがすでに遅かったようだ。山城の下に駆け寄ろうとするが誰か分からない女が山城を介抱していた。

 

「おい、大丈夫か?コウ.....おめぇ、コウに何しやがる」

 

「彼女がいるのに麻知ちゃんにまだチョッカイ掛けやがって...」

 

「違う!私がコウくんに.....」

 

「え?」

 

「お願い。戻ってて、そこの女と話があるから。あとで話はするから...!」

 

隆俊は腑に落ちないようだったが、大人しく車に戻った。

 

「こいつがマチか.....丁度話がしたかったんだ」

 

「初めまして。北方麻知です。コウくんの彼女です」

 

「コウの『元』彼女か。私は藤橋ひよりだ。コウの彼女だ」

 

「ひより!?」

 

寝耳に水だった。ひよりとは勿論そんな中ではないがひよりは涼しい顔で堂々と放った。

 

「そうだろ?一緒に同じ釜の飯食ってんだから」

「誤解を招く事言うなよ!ひよりはバイトの先輩で俺たちと同い年なんだ」

 

「へぇ...その臭いだったのか。雌豚の臭いがすると思ったら」

 

「言うじゃねえか。泥棒猫のくせに」

 

「泥棒猫は貴女じゃないですか?私はコウくんの幼馴染で...」

「ふざけんな!!」

 

突然の大声に山城と麻知は驚く。気にせずひよりは話を続ける。

 

「泥棒猫はお前だよ!コウと私は幼い頃いつも一緒だった。お前よりずっと先に!でも、母親が亡くなって施設に預けられるようになって離れ離れになった。もう二度とコウに会えないと思った。そしたら去年コウと再会した。とても嬉しかった...けど、けど!コウは!!私の事なんて覚えていなかった...っ

そして、今日やっと分かった。私からコウを奪ったのはお前だ!この泥棒猫!」

 

「ひよりと....子どものときに..」

 

「そんなの口から出任せだよ。たとえ私より先に出会っていてもコウくんの正真正銘の幼馴染は私だよ。自信を持って言える」

 

「.....」

 

「..彼女っていうのは嘘だった。コウ、ごめん。でも今告白してもいいか?こいつがいる前で

..コウ、ずっとこの女の呪縛に囚われてていいのか?お前の人生、別に彼氏のいる女に縛られてていいのかよ!」

 

「......」「それに...」

ひよりは山城の耳元で囁く。

 

「このままじゃこの女が二股してる最低な女になっちまうんだぞ。コウが私の彼氏になれば、私もさっきの男もあの女も幸せに済むだろ?」

「!」

 

ひよりは山城から離れ、息を整え言った。

 

「コウ、ずっと好きでした。付き合ってください」

 

「...分かった」

 

「や...いやいやいやいや...うそうそうそうそうそうそうそ..コウくん!コウくん!!!!!....うう....っ」

 

泣き崩れる麻知を見て罪悪感がどっと湧いてきた。しかし、ひよりは「よそ見しないで...キス、して」とせがんできた。そしてその後に「こうでもしないとあの女諦めがつかないよ」と付け加えた。

麻知をよそにひよりの唇と自分の唇を重ねる。

 

 

なんでだろうか。

唇で暖かさも冷たさも感じられなかった。




閲覧ありがとうございました。
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