Hero×Heroine×Hundred   作:緑谷百

3 / 4
第三話

ー八百万自宅ー

 

 

~夕食時~

 

 

「お父様、明日からは電車で学校に通いますわ。

私はヒーローを目指してますもの。

皆さんと同じように経験を積まなきゃですわ。」

 

私は次々と運ばれてくる料理を

ナイフとフォークを使いながら

ひたすら食べ続けながら、

目の前でコーヒーを飲みながら

パソコンを叩いている父に話しかけた。

 

「ああ、それはそうなんだが…。

百の身に何かあったらと思うと…。

個性による露出も激しいし。

百ももう15歳だから、分かっていると思うけど、

“男はオオカミ”なんだよ。」

 

 

パソコンの手をとめて考えるように、

眉を八の字にしながら私を見た。

 

 

「あらあなた、会話が噛み合ってませんわ。

そんなに大事になさりたいなら、ヒーロー科なんて

行かせなければ良かったじゃないですか。」

 

 

母はハーブティーを飲みながら、

呆れた顔をしつつ、父を指摘した。

 

 

「一生懸命努力している娘の邪魔はできないよ。

百は人の為になる仕事をしたいから

ヒーロー科を選んだんだしね。

それは親として誇らしい事だよ。

今まで我慢させてたからこれ以上

百を束縛して嫌われたくないし…。」

 

 

 

「お父様を嫌いになる事なんてあり得ませんわ。

いつも感謝しておりますのよ。

それに、私の服は個性で作れますので、

破けても大丈夫ですわー!」

 

 

「そういう問題でわないのよ。

もう子供じゃないんだから、個性の反動とはいえ

人前で肌を晒すのはいけないことよ。

百が自分を大事にしないから、

パパだって子離れできないんだから…。」

 

 

 

「そうだよ!百は可愛いんだから、

もっと自覚しないとね!

変な虫がつかないように気をつけないと…

やっぱり車での送迎だけでなく、

携帯に盗聴器をつけるとか…

いっそのこと制服にGPS埋め込むか…ブツブツ」

 

 

ブツブツと自分の世界に入ってしまった。

 

 

「はぁ…、また始まりましたわ…。

百の事になるとすぐこうなるんだから。

…少し妬いてしまいますわ。

電車で通学するのは構わないけど、

よく周りを観察なさい。

後、電車の中では一人ガードをつけるから、

それが条件よ。」

 

 

母は満面の笑みを浮かべながら

有無を言わさない迫力で私に言った。

 

 

「お母様の言う通りにしますわ。

それでは私は明日の予習を致しますので…

ご馳走様でした!」

 

 

母の迫力に圧倒されながら、

逃げるように自室に向かった。

 

予習も早々に、シャワーを浴びながら

今日の濃い1日を振り返っていた。

 

 

(結局、学校の事話せませんでしたわ。

それにしてもお母様とお父様は

幾つになっても仲良いですわね。

私に嫉妬するのはやめて頂きたいですが。

…私にもそのような心から愛せる殿方が

現れるのでしょうか?)

 

 

様々な気持ちを織り交ぜ、

明日からの学校生活へ

期待に胸を膨らませていた。

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。