情報を求める。
彼は、今どこにいるのだろう?
情報を求める。
私は、何を成し遂げようとしている?
情報を求める。
この街に、何が起きている?
求めど求めど。
尽きることない知りたい欲望が、私を駆り立てる。
今、目の前には異変が転がっている。
森の端の道路でガードレールを外側から大きく歪ませ、今にも崖から落ちそうな人間を見つめる。
今の時代では、西洋の鎧など目にする機会はあまりない。
ゲームの資料のため、実物を見た事はあるがそれでもこれ程精巧な鎧を目の当たりにすることはなかった。
性別は女性。 金髪の髪と白い肌。
この女騎士の名前がセイバーというのは一目見て理解した。
求め、求め、求めたい。
欲望、それを糧にする戦士をふと脳裏に思い出した。
だが、彼は今取り込まれている。
データを取り返すには、サーヴァントというバグを取り除かなければ。
その為には戦士が必要だ。
人智を超えた幽霊に取り憑いたバグを除き、データを抽出するために。
だからこそ彼等を知っている者の力が必要だった。
全ての時を司り、全てを利用する戦士の力を。
......彼等が居なければ、私は存在していなかっただろう。
感謝しよう。
私を意のままに操った事を後悔させる機会をくれたのだから。
私はゲームマスターだ。
事象を意のままに操り、望んだ結末を迎えさせる。
その為に私は動く。
私はゲンムなのだから。
そう、私こそが檀黎斗。
全てを救済する神である。
だからこそ解放した彼の活躍を期待しよう。
私の貴重なライフを一つ削った、あの戦士を。
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【高速化!】
様々な機械が立ち並ぶ、工場エリア。
プレス機や裁断機、その他の大型機械がそこかしこに設置されている。
【高速化!】
ライドプレイヤーは、そんな機械の陰に潜んでいた。
しかし、周囲を飛び回る黄色い残像がライドプレイヤーを見つけるのは時間の問題だった。
【高速化!】
ライドプレイヤーは、機械の陰に身を潜めながら周囲に散らばる円形のカラフルな物体、エナジーアイテムを確認する。
『暗黒』『混乱』『透明』『ランダム』
ライドプレイヤーの頭部モニターには名称がそう映っていた。上手く使えば戦局をひっくり返すことができるのがエナジーアイテム。ライドプレイヤーは過去に説明された言葉を思い出す。
『エナジーアイテムってのにはコンボがある。マッスル化と高速化をとって短期決戦へ持ち込むとか、幸運とランダムで自分に有利な効果を選んだりとトリッキーな戦い方が出来る』
ライドプレイヤーは思考を張り巡らせて、複数の打開策を考えその中で一番勝ちが見える策を選択して行動することにした。
ライドプレイヤーはガシャットを一つ起動する。
【仮面ライダービルド!】
中のデータに含まれていたとある武器を呼び出す。
ガシャコンシリーズと同じく、対応したガシャットが有れば呼び出せる。ライドプレイヤーは『仮面ライダービルド』に秘められた武器、『ツインブレイカー』を選択する。
【高速化!】
ライドプレイヤーの視界に、黄色い残像が接近している。
金属を揺らし、機械を軋ませて。
ライドプレイヤーは深く息を吐く。勝つためのタイミングを待ち、逃さないように。
解き放つ瞬間を待ちわびる。
【マッスル化!】
【Ready Go!】
ツインブレイカーに、ライドプレイヤーは缶のようなアイテム『ラビットタンクスパークリングボトル』と呼ばれる物を取り出し、装着する。
炭酸の泡が弾ける音が反響する。
ツインブレイカーにエネルギー充填、そして最大限にまで達した。
【Let's Blake!】
ツインブレイカーに取り付けられた、白いノズルから三色の泡が溢れて出てくる。赤色と白色と青色。それがライドプレイヤーから工場エリアの地面を徐々に満たしていく。
敵も謎の現象に近寄れず、足を止めているのがライドプレイヤーにははっきりと分かっていた。
そして地面を覆い尽くすとなれば、対処法は一つ。
【Kimewaza!】【伸縮化】【ジャンプ強化】
【Perfect Critical Combo!!】
泡の出所を空中から攻撃するしかない。
敵の足が必殺の威力を込めて伸びていく。ゴムのように薄くしなやかに、鞭の如く苛烈な速度を含んでいる。
ライドプレイヤーは、分かりきっていた。
敵が空中にいることを。
自身がわざと居場所を知らせていることを。
【Ready Go!】
【Vortex Blake!】
それがライドプレイヤーの勝利の法則だ。
【仮面ライダービルド】から呼び出したのは、『ツインブレイカー』だけではない。刀身が
既に
なら、ライドプレイヤーは振り翳すだけだった。
兎と戦車の成分が含まれた泡は龍の息吹により、破裂していく。
内包されていたものは、破壊力として変換されて工場エリア全体を揺さぶっていく。
敵の必殺と己の必殺。
ぶつかる瞬間、景色は白み。
爆発的衝撃に互いの姿の輪郭は崩壊する。
◇
「ちょ、ちょっと手を離しなさい!」
遠坂の言葉で我を取り戻し、繋がれていた手を離す。
ほのかな暖かさが手の平から消え失せていく。
辺りを確認すると、誰も追って来ている感じは無かった。とりあえずは安全な地帯へ移動は完了したといえる。
乱れてきていた呼吸を整えようと深呼吸をする。
腐葉土の独特な匂いが脳を満たしていく。遠坂も顔を赤くしているけれど呼吸が乱れていない所を見ると、まだ走る体力はありそうだ。
「......なによ」
目を尖らせ、若干低い声で疑う遠坂。
ーーーいや、遠坂は流石だなと思っただけだ。
「当たり前よ。こんな運動は遠坂家として朝飯前なんだから」
ーーー魔術師ってそんな所まで鍛えているんだな。ゲームとか魔法使い系って賢いけど運動が苦手ってのが定番だろ。
「ゲームと一緒にしないでくれる!? 運動が出来なきゃ魔術が効かない相手にどう立ち向かうのよ」
当たり前の事だった。魔術しか使えないのであれば、それを突破された時に自衛手段が無い。実に合理的な発想だった。
けれど、か弱い女性ってものには程遠いストロングな女性というのは男子の面子を潰しかねないのではと、心の中で思っておく。
瞬間。
森の奥から光が漏れる。遅れて大きな音が轟いた。
とても嫌な記憶が薄く景色と同化する。あれはそれによく似ていた。足が、身体が、思考がその方角を見る。
セイバーが飛ばされていった方角と合う。
ーー-遠坂、セイバーの所へ早く行こう。まだ遠くはない筈だ。
「......いいけど。なんだか悪い予感がするわね」
ーーーああ、俺も胸が騒いでる。
「なら、飛ばしていくわよ。しっかりついてくるのよ、しっかりと」
◼️
おーい。
「......ゲーム病を発症している。やはり君は設定通り人間ということなのか?」
おーい。あ、駄目だこれ。完全に話聞いてないパターンだよ。
「成る程。『鎧武』か。この世界の法則の鍵は見えた。あとはヒロインの一人である遠坂 凛にある事を確認しなければならないのだが」
......檀さん? 聴こえていますか? 聴こえているなら返事してくださいよ。今、そんな事してたらまた追っ手が来ちゃいますよ。
「さて、ビルド。いい報告を期待しようじゃないか」
セイバーから目を離し、先程から騒ぐ自称天才を見る。
どうやら目的は達成出来たようだ。流石、仮面ライダーなだけはある。
「ってさっきまで無視してる振りだったの。性格が悪い」
「私は神だ」
「......その一言に意味を詰め込まないで下さい。ま、報告しますよ」
ビルドの報告によれば、あのレーザーターボが持っていた『仮面ライダービルドガシャット』と『ブランクガシャット』を取り戻せたものの、『ドクターマイティXXガシャット』は巨漢を従えていた少女に取られた。恐らくはイリヤス・フォン・アインツベルンという少女のことだろう。
「何故ドクターマイティを取り戻せなかった。君の事だ、何かアクシデントでもあったのか?」
「ま、命からがら脱兎の如く逃亡って奴ですよ。何せ謎の仮面ライダーが居ましたから」
謎の仮面ライダー?
やはり我々というイレギュラーに対して、その対処法があるということか。
「何か特徴的なものが無かったか? 戦法や使っているアイテムなどに」
「特定のエナジーアイテムを引き寄せて戦闘を有利にしていました。後パーフェクトパズルという音声も真っ黒いガシャットから聴こえてましたよ。形状は通常のガシャットからかけ離れていましたけど」
それはパラドが使用したデュアルガシャットだ。
しかし黒色のデュアルガシャットは無い筈だが。もしやプロトタイプのガシャットを使用しているということか?
「......パラドが居るという事か。ならば、宝生永夢を探す手掛かりにも繋がるかもしれない」
回収の連絡はまだしないでおこう。
確認する事がまた増えたのは、僥倖というべきか。
「それでどうします? もうソウゴ君に連絡した方が良いんじゃないですか?」
「いや、まだだ」
森の方角から何者かの気配がする。
どうやら追っ手がやってきたようだが、それにしてはおかしい。
「ホームズさん、目的地に到着します。ええ、気をつけますよ」
鈴のような高い声に混じる、硬い金属質の独特な足音。ガチャ、ガチャと忙しなく反響するそれは、静かな森の中で存在感を増していく。
存在感が最大限に高まり、道路の頼りない街灯に照らされ姿が露わになる。
パラドと思わしき人物では無いのは、一際目立つ大盾が示していた。
他にも目立つものといえば、身体を補助する機械が所々身に付けられていることだ。
「君は......ふらりとこちらに立ち寄った人じゃなさそうだよね」
「あなた達は、ここの人間ですか?」
ここの人間ということは、私がバグスターであることも、この世界の人間であるかどうかの判断がついていないという訳か。恐らくは仮面ライダーということさえ分かっていない。
「私の名は檀黎斗神。ゲームマスターだ」
「えっと......すみません。ゲームマスター? って何ですか」
何、ゲームマスターを知らないのか!?
成る程ゲームには疎いということか。彼女からは理知的な雰囲気がある。ゲーム自体を知らないという可能性があるな。
「ゲームマスターっていうのは、ゲームを管理する者ってこと。つまりこの世界というゲームを統べる神様を自称していると彼は言いたかった訳」
だが、神というのは本当のことだろう?
「そしてそこの青年は桐生戦兎。自称天才物理学者だ」
「自称じゃない。天才物理学者だってーの。で、君は?」
少女はゴーグルらしき機械を外し、薄紫色の瞳がこちらを見る。微かに透けたアメジスト。その奥には確固たる意志が存在している。
経験により磨きあげられた宝石というのは、いつ何時でも欲しく感じる。
「えっと......マシュ・キリエライトと申します。桐生戦兎さんと檀黎斗さんは『神だ』............檀黎斗神さんは何故ここに居るのでしょうか?」
ああ、そういうことか。
私が居る理由など分かっているだろう?
「君には関係のないことではないかな?」
《檀さん、それはダメですって。もっと穏便に......》
「いいえ。あなた達はアルトリアさんをどうするつもりなんですか?」
やはりアルトリアか。
ここまでゲーム設定通りだとしたら、マシュという存在は我々と同じイレギュラーという訳だ。
「それこそ君には関係のないことだが?」
《あるでしょうよ》
「答える気は無いということですね。ならば、質問を変えます。あなた達は私達の敵ですか?」
マシュという人物はこの世界に何をもたらすのか。
見極めてみせよう。私はゲームマスターなのだからな。
【GACHOON】【MIGHTY ACTION X!】
「敵の味方は敵であるというのもある。しかしながら君は貧相で力の無いただの一般人だ、我々の闘いに口を挟める覚悟はあるか?」
「......っ!」
《あーもう。仕方ないな!》
【KAMEN Rider Chronicle!】【カメンライダービルド!】
ゲームエリアの展開と共に、大盾を構えるマシュキリエライト。
「変身」【GASHATT!】
《えっと、確かこれで良いんだよな》【GACHAaaN】
【BUGGLU UP!】【ハザード Level UP!】
【Rider Chronicle......】
ホログラムが投影され、私の姿を変えていく。
仮面ライダーゲンムへと私は再構成される。
【MIGHTtttY ACTIOooooN X!】『wooo』
【アーユーレディ?】《えっと、ビルドアップ!》
【スティール ム―ンサルト! ラビットタンク! イェーイ!】
そして、ホログラムに挟まれたビルドが私の横に並び立つ。
本来の音声とはかけ離れた不正な音声。
ライドプレイヤーレベル3ビルドゲーマーではなく。赤と青の装甲を纏う、私の知る仮面ライダービルドがそこには居た。
「ゲーマドライバーは何処で手に入れた?」
「さっき森の中で拾ったんだけど」
入手経路も不正であることは変わりないが、今はマシュとの戦闘に集中するとしよう。
「ま、改めて仮面ライダービルド。作る形成するのビルドだ、以後お見知り置きを」
「仮面ライダーゲンム。君にはこのゲームがクリアできるかな?」
「シールダー、マシュ・キリエライト。行きます!」
コンテニューをしてでもクリアしてやる。残りライフは2だがな。
仮面ライダービルド&ゲンム。
そしてマシュ・キリエライト。
EXTRAはEXTRAを連鎖させる。
次回、『魔王と救世主 2004』
See you next EXTRA Stage?