Fate/extra game   作:セトリ

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祝え!
ライダーとカルデアの運命的な出会いを!

さて、前回までのextra gameを振り返るとしよう。

聖杯戦争が行われている冬木市。
そこにはサーヴァントと呼ばれる英雄の影、英霊が7騎。
様々な思惑が蔓延る中、連れ添うマスターと夜な夜な人知れず戦っている。

では私が気にしている人物とサーヴァントを紹介しよう。

『ルーラー』仮面ライダーレーザーと『フォーリナー』仮面ライダーゲンム、マスター上条茂夫の三人。

上条茂夫は穂村原学園の保険医として勤務しているごく一般の男性。
ランサーとアーチャーの戦いに巻き込まれた学生、ランサーが衛宮士郎を殺す現場を見てしまった彼は仮面ライダーレーザーである九条貴利矢を召喚し、契約を結びアーチャーとランサーを退けている。

仮面ライダーレーザー、仮面ライダーゲンム。
彼らは本来の歴史ならば仮面ライダーになる力を失っている。
我が魔王、仮面ライダージオウが仮面ライダーエグゼイドの力を受け継いだためにエグゼイドの歴史そのものが消えてしまったからである。

なぜ彼らが仮面ライダーの力を保持し続けているのか。
なぜ彼らがサーヴァントのエクストラクラスを得ているのか。

ヒントは時代のズレといえばいいでしょうか。

この時代に来た我々は仮面ライダーゲンムの記憶と力を持った檀黎斗と出会い、新世界を創世した仮面ライダービルドはビルドの力を奪われて......おっと、これはまだ語っていない話でしたね。

ではこの話はまた今度しましょう。

少し私も出掛ける用事がありまして。

【WOZ!】



2016:ライダータイム2004

煌々と輝く炎の壁。

ビルドのダイアモンドとフェニックスを使用し、分断されたマシュとディルムッド。

 

「......やられましたか」

 

ディルムッドは分断した意味を推測し、逃げるためにこの方法を使ったのだと状況を解析する。

ディルムッドは崖下の森を観察する。

 

「......安易な方法で逃げてはいないそうですね。マシュ嬢、少し頼みがあります」

 

マシュに耳打ちをして、炎の間際に立たせる。

ディルムッドは後ろに下がり、10m程の距離を開ける。

 

ああ、マシュの盾を使い炎の盾を類い稀な跳躍力で跳び越える訳ですか。では私も出るとしましょうか、我が魔王の頼みですから。

 

「跳び越えても無駄ですよ。マシュ・キリエライトとディルムッド・オディナ」

 

マシュの横へ突然で現れてみれば、咄嗟にディルムッドの方へ後退される。顔を見れば大変驚かれている様子。突然知らない人間が自分の名前を呼びながら現れたとあれば、それも当然でしょうか。

 

「......あなたは誰ですか?」

 

マシュは至極当然な質問を私に問い掛ける。

では、場を盛り上げていきましょうか。

 

「我が魔王仮面ライダージオウの忠実なる臣下ウォズ」

 

魔王?とでも言いたげなマシュとディルムッド。

しかしながら、自己紹介はまだ終わってはいない。

 

「そして、未来の仮面ライダーである」

 

【beyondriver】

 

ビヨンドライバーを腰に当て、ベルトが射出され腰に固定されたことを音で確認して変身のキーアイテムであるウォズミライドウォッチをレバー一体型のスロットへ装填する。

 

【action!】

 

装填完了が確認され、立体エネルギーフィールドが形成されていく。

マシュ達は変身を阻止する為に武器を手に動きだしていた。

距離が詰まる前に、ミライドウォッチの天面のボタンーーリューズを押し内部の機構を露出させ、レバーを前に倒す。

 

【TOUEI!】

 

ミライドウォッチのパワーがビヨンドライバーへ書き記される。

アーマーが形成され、もう一つの私の姿が浮き彫りになっていく。

 

「変身!」

 

【future time】

 

身体に沿うようにライドアーマーが装着され、銀色の強化外皮が我が身を包み込む。

 

【SUGOI JIDAI MIRAI! KAMEN rider WOZ! WOZ!】

 

アーマー装着が完了したことを告げる音声と共に、視覚モニターが鮮明に映る。黄色の剣の切っ先を我が身に突き刺そうとしている。

右手を突き出し、ドライバーから1.5m程の棒状の武器を転送していく。

 

【JIKAN DE spear!】

 

そして武器に取り付けられた非ボタン型液晶コンソールに表示されたアイコンの一つへ触る。

 

【YARISUGI!】

 

ジカンデスピアーの槍モードが選択され、棒の先に槍の穂先が出現する。

 

「はっ!」

 

剣を弾き、次いでくるもう一振りの剣を武器の長さを利用し、ぐるりと周囲を薙ぎ払うように振り被り強制的に後へ回避させることで未然に防ぐ。

 

【TUESUGI!】

 

間髪入れずに杖モードを選択。

穂先が変形しフック状の鉤爪を出す。そして、コンソールの一番上のアイコンを触り、四つあるアイコンの列を上の一方向へ素早く三回なぞる。

 

【finish time!】【FUKASIGI magic!】

 

アスファルトをジカンデスピアーで叩き、地面という情報を歪ませる。そこにあるのは、私という存在を隠すために白煙を一面に吹き出す心優しいアスファルト。

当然私がこの有利な状況を活用しない訳はなく、マシュ達の後ろへ回り込み腕部のホルダーに装着されているミライドウォッチの一つを外して起動させる。

 

【QUIZ!】

 

最低限の手での無力化は難しいとはいえ、この力は使うしかあるまい。

 

【fashion passion question! futurering QUIZ! QUIZ!!!】

 

仮面ライダークイズの力を宿すライドアーマーへ上書きし、再装着させる。さらに強化された視覚モニターが煙の中のマシュとディルムッドの輪郭を強調して表示する。

私は彼らに向けて高らかに宣言する。

 

「問題、仮面ライダーは倒すべき敵である。○か×か?」

 

 

「いくぞ、ビルド!」

 

ゲイツがベルトに付いているウォッチを操作して一回転させる。

それに合わせて俺もガシャットを左腰のホルダーに装填し、ドリルブレイカーの鍔元のスロットにタートルフルボトルをセットする。

 

【OMEGA time burst!】

 

ゲイツが高く跳び、呼び出したゴーストを右足に収束させて空中キックの姿勢になったのに合わせてボタンを押しトリガーを引く。

 

【ライダー クリティカルフィニッシュ!】【Vortex Break!】

 

亀の甲羅状のエネルギーを撃ち出したのをウォッチボディの効果で停滞させ、ダイヤモンドボディで殴りダイヤモンド化させてゲイツのキックに合わせて停滞を解く。

 

【ズキュキュキューン!】

【アクション ロボッツ クリティカル フィニッシュ!】

 

黒いエグゼイドは橙、青、黄の色が輝く剣の形をしたものを呼び出しロボットの腕に似たエネルギーを撃ち出す。丁度俺が撃ち出したダイヤモンド甲羅を弾くかのような軌道を描く。

このままでは撃ち負けてしまうのは分かっている。

だから、俺は叫ぶ。

 

「いけ! ゲイツ!」

 

初めて会った気がしない仮面ライダーに向かって、叫ぶ。

ゲイツは裂昴の勢いでダイヤモンド甲羅へ向かって空中キックを押し込むように繰り出す。

 

「うぉぉぉおお!!でぃああああぁぁぁぁぁぁ!」

 

着弾点にて爆発。強い空気振動が発生している。

豪炎が巻き上がる時間は秒にも満たないが、ライダーダブル協力アタックは決まったと確信していた。

 

【ジャジャジャキーン!】

【マイティーブラザーズ! クリティカルフィニッシュ!】

 

聞き慣れない電子音声を聴覚センサーが捉える。

咄嗟にドリルブレイカーのフルボトルをタートルからロボットへと変更する。

 

すると、爆炎の中から赤い物体が飛んでくる。

それをしゃがんで躱すしか方法は無かった。

 

「くそっ! だったら!」

 

仮面ライダービルドのデータを使い、紫の銃ネビュラスチームガンを呼び出す。そして紫色のフルボトルを装填する。

 

【Crocodile!】【Ready GO!】

 

ネビュラスチームガンの銃口に溜まったエネルギー。

狙いを付けて放つ。ただそれだけでいい。

 

なのに、黒いエグゼイドの姿を見るだけで肩を並べた瞬間を思い出す。

 

エグゼイドは容赦なく敵を屠るような奴だったのか?

 

世界を救う為に俺と共に戦ったエグゼイドをそうだと言い切れる自信は無かった。いや、複数の平行世界があると分かっているからあのエグゼイドがこのエグゼイドと同一人物の可能性は低い。

だから信じたい。

だからこそ救いたいのかもしれない。

俺を、桐生戦兎を創り上げてくれた一人だから。

たとえ、姿形が一緒の別人だったとしても仮面ライダーの名において絶対に救いだしてみせる。

エグゼイドーーーー宝条永夢、あんたを!

 

【Funky Break!】【Vortex Break!】

 

【Crocodile!】

 

トリガーを引き絞り、二発のエネルギーを放出する。

鰐と鋼のベストマッチが一つの銃弾となってエグゼイドの剣にぶつかる。拮抗する力。もう一つ同じような力を加えれば!

 

「なら、これだ! フルボトルバスタァァア!」

 

両手剣としての破壊力と大砲としての破壊力が組み合わされた、史上の傑作をガシャットから呼び出し、フルボトル装填口へ4つのフルボトルを装填する。

 

【Rabbit】【Tank】 【Dragon】 【Lock】

 

【Ultimate Much DEeeSU】

 

今出せる全力を注ぎ込み、フルボトルバスターをエネルギーごと斬りかかる。俺の横には万丈、いや仮面ライダークローズが居た。

 

『戦兎、俺の力を貸してやる。ぜってぇ負けんなよ!』

 

幻覚というのは分かっていた。

けれど、如何にもあいつが言いそうな台詞だからそこに居ると思うことにした。それだけで両手に力が入る。

 

『俺達のだろうが、筋肉馬鹿。協力、絆、絶大ィ! 誰が俺らを止めて見せるつもりダァ! ぶっ壊してやれッ!』

 

一海、仮面ライダーグリスの激励が飛んでくる。

もう一歩足を出すことが出来た。

 

『葛城、行け。愛と平和の為に!』

 

幻徳、仮面ライダーローグの発破。

仮面ライダーは愛と平和、ラブ&ピースを胸に戦う戦士の称号だ。

決してただ戦うだけの機械じゃない。

 

剣を纏うエネルギーを放出する。

全ての想いを乗せて、俺はフルボトルバスターを黒いエグゼイドへ斬りかかる。

 

袈裟切りと袈裟切り。

伴うエネルギーのぶつかり合いはこの世とは思えないほど綺麗で、眩い光の応酬だった。

均衡は保たれたまま、引くことも押すことも出来ない。

ただただ力の塊が個を主張するように火花を飛び散らして、終わりの瞬間までをカウントダウンする。

 

「うぉぉおおおお!!」

 

黒いエグゼイドが更に力を入れる瞬間に、想いを込めて叫ぶ。

この行為に何も意味はない(ただの筋肉馬鹿)。しかし腹を据えるにはもってこいのルーチンだ。

 

「『いけぇぇぇぇええええ!』」

 

バキリと物質が割れる音が微かに聞こえてくる。

どちらの武器が割れた音かどうかなんてのは分からない。

ただ言えるのは、自分自身だけが頼りだってことだ。

 

【Ultimate Much Break!!】

 

自分の武器が移動した感覚を元に、思いっきり地面まで降り下ろす。

純粋な破壊エネルギーの奔流は黒いエグゼイドへ全て注ぎ込まれる。黒いエグゼイドの輪郭がブロック状にぐらつき、闇夜に溶けていくのが視界の端に映る。

 

途切れ途切れに吐いた空気がとても痛い。

身体にダメージがきている。手足に力が抜けてもう一歩も動けそうにもない。思えば、あの戦いから一回も休憩をしていない。だから動けないのだろうと思考する。

 

「ごめん、後は頼む......」

 

ビルドを構成していたデータが歪み、霞み消える。

データのアシストが無くなった身体は鉛よりも重く、アスファルトの上に物理法則の下重力に従って張り付く。

 

俺は視界に映る、金髪の女性......アルトリウス王の擬人化とされている姿を脳に焼き付け、繋げるのが限界な意識を放り投げた。

 

 

 

 

『サーチホーク! 探しタカ・タカ!』

 

常盤ソウゴと藤丸立香は森の中を不思議な機械、『タカウォッチロイド』と呼ばれるものの後を尾けていた。

縦横無尽に飛び回り、けれど追いつける距離と速度。二人は体力を競い会うように走っている。

 

常盤ソウゴのすぐ後ろの位置にいる藤丸立香は一つ疑っているものを問い質す。

 

「ねぇ、やっぱりあれってタカ『カンド』ロイドじゃないの?」

 

その質問は常盤ソウゴに既視感を与えた。

 

先程話していた仮面ライダービルドの物語も、常盤ソウゴにとっては未知だというのに藤丸立香という少年は詳細に語っていた。

 

仮面ライダーというものに対して詳し過ぎるとして常盤ソウゴは目の前の少年に対して警戒する。

 

「それって......仮面ライダーオーズのことを言ってるの?」

 

常盤ソウゴは自分が知る限りの仮面ライダーオーズの物語を思い出してみる。

 

アナザーオーズの力を使い世界征服を企んだ檀黎斗王。

その野望を阻止するのに協力してくれた火野映司、泉比奈。託されたオーズライドウォッチとオーズタジャドルコンボライドウォッチ、そしてタカウォッチロイド。

 

カンドロイドというのは理解出来なかった常盤ソウゴだったが、とりあえず相槌をして話を進める事にした。

 

「オーズの事も知ってるんだ。仮面ライダーオーズ、欲望の王。俺の一番好きな仮面ライダーなんだ。なんたってね......」

 

喜色を浮かべて語り始める常盤ソウゴの知らない仮面ライダーオーズの物語。

その中には火野映司やら、泉比奈やら聴き覚えのある人物の名前があったもののアンク、鴻上ファウンデーション、真木博士など聴き覚えのない名称や名前が飛び交っていた。

 

常盤ソウゴの頭が膨大な量の情報に溺れてかけてオーバーヒートを起こす寸前、先行していたタカウォッチロイドは急に旋回してソウゴの頭に乗る。

 

「どうしたの? 何か見つけた?」

 

タカウォッチロイドはとある一点の方向を見つめて頭を軽く突く。

常盤ソウゴはその一点を見つめてみた。

淡い月光の映す木々が開いた場所の中央に居座る漆黒の人形。それが纏う邪気が常盤ソウゴに茂みに隠れる選択肢を選ばせた。

 

藤丸立香も直感から同じく隠れる選択肢を選び、様子を伺う事にした。

 

「......あれは、一体何だ?」

 

常盤ソウゴは漆黒の人形を注視して見てみる。

全身がモノクロであり、頭はモヒカンで目の部分が眼鏡に似たバイザーを付けている。その奥には黄色く瞳が輝いており、上半身を包むアーマーもゲイツリバイブ剛烈に似たマッシブで強固そうな形状をしている。

 

腰の方を見ると円形のギアがついた機械が黒い機械に刺さっている。

形状からガシャットと判断したソウゴは懐から携帯型のガジェットを取り出す。

 

「こういう時は......これを使って暗視ズームして録画すれば」

 

展開した画面を通してガシャットを見る常盤ソウゴ。

横からその光景を眺めていた藤丸立香は、ソウゴへ呟くように言葉をかける。

 

「......それって?」

 

「ファイズフォン(テン)。便利だよ、これ」

 

「......え? ファイズフォン? 形変わりすぎてない?」

 

「遠い未来の物、だからね」

 

じゃあ何で遠い未来の物を持っているんだよというツッコミを寸前のところで喉の筋肉を使い飲み込んだ藤丸立香であった。

 

常盤ソウゴは画面に映るガシャットの文字を詳しく見る。

 

「パーフェクトパズル、ノックアウトファイター? 確かガシャットギアデュアルだっけ、何でここに?」

 

観察をする中、変身をしていた黒い人型は鎧を細かいブロック状に変化させて霧散させていく。その中から出てくる人物もいる訳であり、常盤ソウゴはその顔を見て、固唾を呑む。

 

アナザーエグゼイドを倒すための手掛かりを与えてくれた人物。

常盤ソウゴを王様になることを応援して、ライドウォッチを譲ってくれた人。

レジェンドライダーとして、忘れることはない名医。

常盤ソウゴは思わずその名を口から溢す。

 

『「何で、永夢(上条)先生がここに......!』え?」

 

覚えのない誰かの声、重なることのない言葉が重なってしまう。

常盤ソウゴは誰かの声の出処が、画面のズームの先に二人の、赤毛の少年と黒髪ツインテールの少女を映しているのに気づく。

 

「衛宮士郎......最悪、遠坂凛もいる。いくよ、藤丸さん。俺が飛び出したら、サーヴァントを呼んで。 出来る限り防御寄りの宝具持ってるのを」

 

素早くファイズフォンXを懐に仕舞い、変身する為の道具、大型の腕時計に似た機械、ジクウドライバーを腰に当てベルトを射出させる。

 

藤丸立香は耳元のデバイスを一回叩き、ノウムカルデアとの通信を開く。

 

『会話は全て聞いてます! マスターはジャンヌさんの召喚を! デバイスを二回連続でタップしてください、霊基トランクが転送されます!』

 

指示通り二回タップ。すると、一瞬の青い光と共に藤丸立香の眼前へ霊基トランクが出現する。

 

当然、少年と少女、宝条永夢に似た人物も光に気付く。

 

「今度は何だよ!」

「嘘......何で穂群原の生徒がここに!?」

「へぇ......君たちも居たんだ」

 

三者三様の反応を横目に、常盤ソウゴは隠れていた茂みから飛び出しながらライドウォッチを起動する。

 

ZIーO!(ジオウ!)

 

Rスロットに素早く差し込み、天面に取り付けられたボタンを叩きベルトの回転ロックを解除して、僅かに右側へ傾いたベルトを手首のスナップを効かせながら弾く。

 

「変身!」

 

常盤ソウゴの周囲の空間が一回転する。

カチリとハマるように戻った景色は、祝福の鐘を鳴らす。

 

【rider time】

 

祝え、魔王の誕生をと。

 

【KAMEN rider!ZIーO......】

 

時計盤を模した仮面にライダーという言語を付け加えた戦士。

仮面ライダージオウ。

全てのレジェンドライダーの力を受け継いだ、時空の王。

 

「さぁ二人を守るよ! カルデアマスター、サーヴァントを!」

 

藤丸立香はトランクへ魔術回路を開き、魔力を注ぎ込む。

右手の簡易令呪の一画が消失し、召喚陣を地面に展開する。

 

起動するための呪文は要らない。

時を満たすは、かつての聖杯探索(グランドオーダー)にて刻まれた縁。

藤丸立香自身に刻まれた絆が、英霊を呼び出す。

 

「お願いします! ジャンヌ・ダルク(・・・・・・・・)さん、来て下さい!」

 

強い願い。

虚空から時を超え、藤丸立香を助けんと駆けつける英霊が一騎。

召喚時特有の蒼き雷光を纏いながら、エーテルを特定の人物へと変化させる。

 

流れるような長い金色の髪。温和な、思わず見惚れてしまうほどに純真な顔立ち。手に持つは白き旗。

 

歪なる百年戦争を、自身の別側面と対峙し、藤丸立香と共に撃破した聖女。その旗を振りかざせば、万全の防御を得られ、あらゆる攻撃を弾き返す。百年戦争の英雄。ジャンヌ・ダルク参上。

 

「マスターの命にて参りました。さぁご命令を!」

 

藤丸立香が命令するは一つだけ。

仮面ライダージオウと共に二人を守ってくれと。

ジャンヌ・ダルクは歯切れよく肯定、と声を重ねて答える。

 

もう一つの声。

ジャンヌダルクの影から瓜二つの顔が現れる。

流れるように長い銀色の髪。敵意を剥き出しにした、思わず見る者を凍えさせる程歪み切った笑みを顔に浮かべる。

その手に持つは黒き旗。

 

「面白いことをこの私に黙ってやろうだなんて、意地の悪いマスターだこと。私は私で勝手に動かしてもらうわ、いいわね」

 

ジャンヌ・ダルク・オルタ。ついでに参上。

 

「もう一人のジャンヌ・ダルクもいることをお忘れ無きよう」

 

「分かった、やり過ぎないようにね!」

 

ともかくも二人の聖女は魔王と並び立つ。

赤毛の少年衛宮士郎、黒髪ツインテールの少女遠坂凛の前に。

 

「.......これ、夢でいいのよね。きっと............すっごく頭が痛い」

 

「遠坂。気をしっかり持て......俺も、頭が追いつかないから」

 

魔術師の世界での常識的に二騎のサーヴァント召喚は、人間の身では到底行えない。それもジャンヌ・ダルクと呼ばれた英霊が別側面と共に並び立つというのは、やはり常識的ではない。

 

「大丈夫ですか、お顔の色が悪いですよ」

 

遠坂凛は後ろから声がかけられて、振り向いた。

癖っ毛の強い黒髪が特徴的な、クリッとした大きい純粋な瞳の穂群原学園の制服を着た青年が心配そうに見つめていた。

 

その横に、純白に緑と赤のリボンが添えられた槍を持つ、5、6才程の銀髪の幼女も居る。

 

幼女ーーーーーー

遠坂凛は勘付いてしまった、勘付いてしまうことは必然だった。

 

ああ、きっとこの子もサーヴァントなんだろうなと。

 

「......ええ大丈夫よ、逆に気分が良くなったわ」

 

「それは良かった」

 

遠坂凛は目の前を見ることに集中した。

既にその事に辿りついた衛宮士郎の事をほんのちょっぴりだけ感心したことは語らないでおこう。

 

 

閑話休題。

 

 

常盤ソウゴは生のジャンヌ・ダルク達を見た興奮を抑えながらも目の前の敵を見据える。

 

「へぇ、君達は俺を楽しませてくれるのかな?」

 

宝条永夢に似た敵は、黒いガシャットギアデュアルを反時計回りに回し起動させる。

 

【Knock Out Fighter】

 

静かに名乗り上げられたのは、烈火に燃え上がる戦士。

モノクロのワイヤーフレームが広がり、敵はガシャットの起動ボタンを押す。

 

「変身」

 

【......Hit Knock Out Fighter】

 

身体をモノクロの鉢巻を巻いた戦士の絵が透過し、変身を完了する。

肩に付けられていた装甲を拳に纏い、臨戦態勢へ移行する。

 

「じゃあ、ステージセレクトだ」

 

【Stage Select】

 

ステージセレクトの操作を行い、戦いに相応しい場所へと移動しようとしたが、中々移動する気配がない。

 

【level up! EXーAIiiiiiD】

 

おかしいと思い、目の前に立ちはだかる者の姿をもう一度見た。

黒と白と相反した色相を纏いながらも、その顔は双子のようにそっくりな聖人サーヴァント二騎。

肩にガシャット形状のアーマーを纏い、ガシャコンブレイカーのブレイカーモードのような形状のハンマーを肘まで一体化させ、顔にはエグゼイドと文字が描かれた仮面を装着した戦士が居た。

 

「ステージセレクトはさせない!」

 

「へぇ、そう来なくちゃ。ああ、あんたが俺の力と同じなのか、確かめないとなぁ」

 

来い、と手首を動かして挑発する。

常盤ソウゴ、仮面ライダージオウエグゼイドアーマーは両腕を包むガシャコンブレイカーブレイカーを構える。

 

「ジャンヌさん! ジャルタさん! いくよ!」

 

誰がジャルタよ!という黒い聖女の旗が、戦士の纏う烈火の拳と鐘の音に似たぶつかり合いが冬木市の森の中で響きあう。

 

それは出会いを告げるのか、戦いの幕開けを告げるのか。

 

まだまだ冬木市の夜は明けない。

 

いや、冬木市というデータはまだ物語を綴る事を始めていない。

 

 




ーーーー実を言うと物語はまだ始まっていない。

しかし、いくつもの物語は交わり、新たな物語を綴る。

それらを神は見届けるであろう。

次回、「2016:アーマータイム2004」

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