Fate/extra game   作:セトリ

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アーチャー。
 原作を見た方なら御存知の通り、守護者として死後を売り渡し世界の守護者として英霊の座へと至ったサーヴァント。
 そこへ至る道程はかつてないほどの地獄。至ったその先も地獄。理解できるのは、自分ただ一人。しかし、最初の地獄を分かり合える人が居たら。というもしもの物語で進んでいきます。
 運命は定められたものだとしても、邂逅は始まっていく。
 仮面ライダーレーザーと呼ばれた男と出会うことで、わずかながらに既知の物語から変わっていきます。それはやがて大きな歪みとなり、異なる結末を辿ることでしょう。蝶の羽ばたきが不規則に動くのを捉えられないのと同じように、誰にも分からない結末が待っています。
 


邂逅するディフェンダーズ

 

全力で校庭を、廊下を、階段を駆け上がる。

彼女は持てるだけの全力を振り絞り脚を疾く動かした。

浮かんでいた言葉は迂闊だった。それだけが彼女の頭の中の回路を埋め尽くす。

なんであんな場所にいた。なんで人避けの結界が効力を発揮しなかった。なんでランサーを油断して取り逃がしてしまった。

なんで。なんで。なんで。なんで。

重大なことが起きてしまってはもう終わりだとその先を想像したのか、彼女の脚が震えていく。

のこのこと部外者が首を出して命を狙われたのならば、運が無かっただろうと諦めて後処理に向かうだろう。あのチラリと見えた緋色の頭は、穂群原学園の生徒。それも同学年代の、有名なアイツの可能性が浮上していた。

逃げているだろう人物を自分が知っている可能性が大いにあるという意味合いを、彼女は感じ取っていた。

だからだろうか、神は現実は甘くないと言ってくれた。

 

「嘘でしょ......」

嘘ではない。

これは決して嘘ではない。

穂群原学園、2年C組の衛宮士郎が深緑の廊下に倒れていた。

その胸から夥しい量の血が流れている。あれは、応急処置ではもう難しく、医療の知識がない彼女でも悟ってしまう。

致命傷だ、後1、2分で物言わぬ人に成り果ててしまうだろうと。

 

「手持ちの石で何とかいけるかも......」

懐からピンポン玉大のルビーを取り出す。

銀の装飾に彩られ神秘的な輝きを濾さえたそれは、ビーズ状の鎖が一輪取り付けられていた。僅かに銀が擦れる音が廊下にやけに大きく響き渡る。

「ーーーー」

彼女が紡ぐは、治癒の願い。

彼女の喚起する希望の光は、幾何学模様に張り巡らしていく。

そして、聖なる願いに紅玉は乱反射する。衛宮士郎の口内にそれを戸惑いなく放り込んだ。銀装飾は外れて咽喉に入り、更に彼女は紡ぎ始める。

「ーーーー」

これは到底一般人では成し得ない奇跡である。

普通の人間が見れば、トリックを成し遂げたマジシャンを目にして「どうやってできたんだ」と言い放つだろう。

医者が見れば「インチキだろ」とも言うだろう。

心臓が、独りでに穿たれた孔を塞さぎ機能を復元するというのは、魔術と言わなくてどうする。それを易々とこなした齢十六の少女は、何者といえばいいのか。ーーーきっと、魔術師と呼べばいい。

 

「ふう」

 

ようやく生死の峠を越えて、彼女は自分の胸に手をそっと置く。

遅れて、赤い外套が廊下に飛び降りてくる。コンクリートの壁や廊下を物ともせず、すり抜けるように着地している。まるで幽霊のようにとも言えるが、彼は英雄としての役割を担う幽霊。語るその名は英霊。英雄の影であり、聖杯の呼び水に誘われた7騎の内の一人である。

 

「凛。周辺の気配は探ったが、ランサーは既に撤退している」

 

「そう」と、凛と呼ばれた彼女は左右に高く纏めた二房の髪を僅かに揺らした。意識がまだ戻らない衛宮士郎の身体を左肩に抱き上げる。赤い外套は少し肩を竦ませたが、彼女の歩く後ろをついていく。

 

「もう少し淑女らしく」と赤い外套は小言を中断した。

彼女はそれだけでも気に障ったのか、階段のある曲がり角の前で足を止めて赤い外套の方へ振り向く。食いかかる勢いで「何よ」と赤い外套の顔を見上げる。白銀の眉に、後方に纏め上げた白銀の髪。

廊下の方へ睨みつける緋色の瞳は、警戒の色を示していた。

 

「アーチャーどうしたの?」

彼女の疑問は人のような機械音声に紛れていく。

『ステージセレクト』と、闇夜に輝く黄色い閃光はたった一つの人型を縁取り、緩やかに消えていく。

青き瞳に棘のモヒカンを額に携え、大きな銀のエアロゾルを取り付けられた不恰好な仮面。胸にはレトロゲーム機のリモコンのボタンのような赤、青、黄、緑の小円。横にはオレンジのゲージが伸びている。

黒いボディスーツに銀色のラインを走らせ、黄と銀のアーマを手足の要所に身に付け、腰には蛍光色の装置が目立っていた。

 

それを一目で例えるならば、世紀末がデジタル擬人化したような特徴的な格好をした不審者だと彼女は思った。

 

「あれ何、アーチャー」

 

私にも分からないーーーー。赤い外套を身に纏うアーチャーと呼ばれた男性は、一際奇妙な人物の登場にただただ困惑の深いため息を吐くだけだった。

 

 

 





サーヴァント・マテリアル2

《ステージセレクト》
ゲーマドライバーの機能の一つ。キメワザスロットホルダーにガシャットを何も挿さず、銀のボタンを押すことで発動できる。
展開済みのゲームエリアに居る生命体なら、引き込むことが出来る。
ゲームエリアを改変し不干渉の空間を作り上げるその機能は、まさに未来を何歩先行けば実現できるだろうかと考察できる。
ステージセレクトはゲームエリアを展開する以上、変身状態でなければ使用できない。
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