高嶋叶吾は勇者である   作:宇津田

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今回2000文字も書いてないのですが、区切りをよくしたいので、ここで投稿します。



第18話

「え・・・」

隣に座っている東郷さんが驚いた表情をする。

「ど、どうして高嶋君が勇者に・・・」

「驚くよね、男が勇者になってるなんて」

「違うわ!大赦からは敵が襲ってくるなんて聞いてないって風先輩が言っていたわ。また私達は戦わなくちゃいけないの?高嶋君まで巻き込んで・・・」

「東郷さん達はもう戦わなくて大丈夫だよ。これからは僕一人で戦うから」

「高嶋君一人・・・。そんなの無理よ!死んでしまうわ!」

「勇者は僕一人だけど、心強い味方が他にも居るから大丈夫だよ。それに今、皆は勇者に変身するための端末を持っていないから戦えないよ」

「大赦に頼めば届けてくれるわ」

「それは無理だよ。友奈ちゃんを除いた四人は大赦の信頼を失っているから」

「そんな・・・。どうしてまた敵が・・・」

理由は簡単だ。

一瞬理由を言うのに戸惑いを感じるが、ここで言わないと東郷さんにきちんと向き合っていないと思った僕は言った。

「東郷さんが最後の戦いで壁を壊したよね。それが原因となって、バーテックスの再生速度がとてつもなく早くなってるんだって。だから近いうちにまた攻めてくるんだって」

「わ、私のせいじゃない・・・。私のせいで、また戦いが・・・。どうしてこうなってしまうの?」

そう言うと東郷さんは、顔を下に向け、泣きながらごめんなさい、ごめんなさいと繰り返すようになってしまった。

泣かないで、東郷さん。

僕は皆に笑顔で過ごしてもらいたいから勇者になったんだ。

東郷さんの手を握り、目を合わせ、僕の思いを伝える。

「今回敵が攻めてくることは東郷さんが原因かもしれない。でも散華の事とか大事な情報を言おうとしなかった大赦が悪いと僕は思う。だってそれで結果的にこの事態を引き起こしてしまったから。だからね、東郷さんは悪くないよ」

まあ、西暦の頃の人類が一番悪いと思うけど。

「それに僕が東郷さんと同じ立場だったら、同じことを考えていたかもしれない。皆がこれ以上傷つかずに済む方法として正解の一つだと思うからね」

「だからこれ以上自分を責めないで、東郷さん」

「たか、しま君・・・」

東郷さんがゆっくりと顔を上げ、目を合わせてくれる。

涙は止まっていた。

「それにね、今回敵と戦うことは悪いことだけじゃないんだよ。だって友奈ちゃんのことを助けに行けるから」

「え?そ、それはどういうこと?だって友奈ちゃんはここに居るわ」

「うん。身体はここにあるよ。でも魂は今別の場所にいるんだ。それを今回の戦いの時に、僕が直接そこに行って、ここまで連れて帰ってくるよ」

「本当に?」

「本当だよ。僕を信じて」

「信じるわ。だってあなたは私にとってかけがえなの無い親友だもの」

「僕もだよ。それじゃあ、僕はそろそろ行くね。訓練して戦えるようにならないと」

そう言って僕は席を立ち、ドアに向かう。

「高嶋君!」

ドアの取っ手を掴むと東郷さんが声を掛けてくる。

「友奈ちゃんをお願い。それと、高嶋君も無事に帰ってきてね」

「絶対友奈ちゃんと一緒に帰ってくるよ。じゃあ、またね」

病室を出て、仮面をつける。

そして病院を出る。

入口の近くに黒塗りの車が停まっている。

そして一人の大赦の人間が車の脇に立っていた。

事前に聞いていた迎えの人だろうと僕は思い、声を掛けた。

「僕の迎えの方ですか?」

「はい。訓練場所までお連れしろと受けております。お乗りください、叶吾様」

そう言ってその人は、車のドアを開けてくれる。

「ありがとうございます。でも僕のことは名字で呼んでください。あなた方に下の名前で呼ばれるのは苛つきますので」

「失礼しました、高嶋様」

僕を乗せた車は走り出した。

訓練場所となっている、勇者部で合宿したあの砂浜へ。

 

 

 

 

今日は戦いの時に、精霊達が展開していたバリアを出せるよう、防御の訓練をした。

初めての訓練だし、ちゃんとした変身をしたことがなかったので変身出来るか心配だったけど、問題なく出来てよかった。

最初はバリアを出せる練習だから痛い思いをしなくてよかったけど、バリアの硬度を上げる所からが大変だった。

何度かは瀕死になったし。

怪我を治しては怪我をして。

身体は痛くて辛いし、力をコントロールするために精神的に疲れる。

でもこれに慣れていかないと、バーテックスとの戦いには勝てない。

頑張らないと。

明日は攻撃の練習だ。

早く寝ないと。

 

神世紀300年 10月1日

 

 

 




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