高嶋叶吾は勇者である   作:宇津田

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第2話

突然だけど、結城さんはスキンシップが少し、いや結構過剰であると僕は思う。

学校ではクラスメイトに話しかけることに抵抗がある僕を、手をつないでクラスメイトの会話に混ぜようとしてくれたり、何か嬉しいことがあれば抱き着いてきたり、体で表現することが多い子なのだ。

僕自身、友達がいなかったので、友達同士がどれぐらいのスキンシップをするのか知らなかったので、このようなものなんだなー、ぐらいにしか感じていなかった。

逆に初めてできた友達がこんなにも仲良くしてくれてうれしいと考えていた。

しかし、男の子と女の子が一緒にお風呂に入るのはさすがに違うような気がするのは気のせいなのかな・・・

今僕と結城さんは、結城さん家のお風呂に一緒に入っている。

結城さんの家は僕の家の後ろでとても近くだったことが、初めて一緒に帰ったときに分かった。

なので、家族ぐるみで結城さんのご家族と仲良くしてもらっている。

僕の両親は、大赦勤めで朝早くから夜遅くまで仕事をしているし、休日に仕事に行くことも多い。

当然、僕が家で一人のことが多いので、そういうときに結城さんの家にお邪魔していたりするのだ。

僕としては初めての友達の結城さんと長く一緒にいられるのでとてもうれしい。

今日も両親の帰りが遅いので結城さんの家で夕食をごちそうになってしまった。

結城さんのご両親に申し訳ないので今度何かお礼をしなければ・・・

と考えていたら、結城さんがいきなり

「きょう君も一緒にお風呂入ろうよ!」

いきなりこの子は何を言ってるんだ!僕男の子なんだよ!

僕は何も言えずにアワアワしていると、強引にお風呂場に連れていかれてしまい、結局一緒に入ることになってしまった。

結城さんの身体は女の子なのに結構筋肉質な身体をしており、さすがお父さんに武術を教えてもらっているだけはあるなと思った。

あまり胸とかは見ないようにしないと・・・

そんなことを考えつつ、結城さんの身体を直視しないようにお風呂のイスに座り、ドキドキしつつ髪を洗っていると

「お背中流しますよ~!」

「ひょわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「背中流すの上手だってお父さんに褒められたんだ。任せて!」

「と、友達同士でお風呂に入ったりするの?!」

「女の子同士ならよくあるよ」

「僕、男の子なんだけど・・・」

「大丈夫!私は気にしないよ。もしかして、きょう君は嫌だった?」

「ぼ、僕は嫌じゃないよ・・・」

「ほんと!よかった~。やっぱり友達と仲良くなるには裸の付き合いが大事だしね」

どこでそんな言葉を知ったんだろう?

もう考えることはやめよう・・・

そんな話しつつ結城さんは背中をタオルでごしごししたあとシャワーで流してくれる。

「結城さん、背中洗うの上手だね~。気持ちいいよ」

「褒めて貰えてうれしいよ。さ、身体冷えちゃうから湯船に入ろ?」

考えることを放棄した僕は素直に従って一緒に湯船に浸かる。

「そうだ、きょう君、私のこと苗字じゃなくて、名前で呼んでほしいな」

「えぇ!」

友達が結城さん以外にいない僕はまだ下の名前で呼び合う友人なんていないので僕にはハードルが高すぎるよ・・・

裸の付き合いをしている時点で恥ずかしがることではないような気がするけれど。

「私、親友には下の名前で呼んでほしいんだ。嫌かな?」

そのように言われると、僕の心の中では恥ずかしさよりうれしさが何倍にも膨れ上がる。

自分には友達は今のところ一人しかいない。

その友達に親友と思っていられている。

これ以上うれしいことはない。

目の前にいる『親友』に最大限の感謝を込めて、その子の名前を呼ぶ。

「ゆ、友奈ちゃん」

「!やっと名前で呼んでくれるようになったんだね、きょう君!」

友奈ちゃんがよろこんで抱き着いてくる。

「ゆ、友奈ちゃん、あんまりくっつくと・・・」

肌と肌が触れ合い、鼓動が早くなっていく。

お湯に浸かっている状態なので、緊張のあまり、のぼせてしまい・・・

「あれ、きょう君、どうしたの?きょう君!?」

 

 

 

そんなこんなで友奈ちゃんと出会ってから楽しい日々を送っている。

人見知りで髪の色が他とは違う僕でも、友奈ちゃんが普通に接してくれるお陰で今回の学校では特にいじめなどは起こらず、学校でも楽しく過ごすことが出来た。

男なのに友奈ちゃんに力で負けてしまう僕は、友奈ちゃんのお父さんに武術を指導されたり、裁縫や料理が得意なので友奈ちゃんに料理を振る舞ったり、友奈ちゃんのぬいぐるみを作ってプレゼントしたり、学校以外でも充実した生活を送っていた。

楽しい時間は過ぎるのが早く、僕たちは小学校を卒業し中学入学を控えた3月下旬に、また新たな出会いがあった。

 

友奈ちゃんの家のお隣に急遽大きな和風屋敷が作られ、その家に僕たちと同い年の女の子がいる家族が引っ越してきた。

友奈ちゃんはもう挨拶を済ませて、得意の町案内をしたらしい。

僕も連れていってもらった桜の名所では、その子も息を飲むほど感動していたという。

今日も友奈ちゃんはその子と出掛ける予定らしいけど、何故か僕も一緒に行くことになっているらしい。

「友奈ちゃん、待って、まだ心の準備が・・・」

「きょう君は初めて会う人のときは、いつもおんなじこと言ってるよ」

「大丈夫、東郷さんは少し奥手な所があるけどとってもいい子だよ。きょう君も友達になれるよ!」

「僕、友奈ちゃん以外とはあまり話せないし、初めて会う人とは緊張しちゃってダメなんだよ・・・」

「私の直感だと、東郷さんときょう君は結構話せると思うよ。最初の一歩が肝心なんだよ」

「で、でも・・・」

「あ、東郷さん!おーい!」

友奈ちゃんが手を振る先に、車椅子に乗った女の子がいた。

髪は綺麗な黒色で、足はすらっとしていて、顔だちも同年代とは思えないほど大人びている。

まるで日本人形が目の前にいるかのようで、大和撫子という言葉が似合う女の子だった。

第一印象が大事だと思うが、そんなの僕には当然無理で挨拶すらなにもせず、友奈ちゃんの後ろで隠れていた。

「おはよう!東郷さん!」

「おはよう。結城さん」

2人を見る限り、数日の間で距離が近くなっていると思われる。

さすが友奈ちゃん、友奈ちゃんのスキンシップで溶けないコミュニケーションの壁はない。

「ほらきょう君も挨拶しないと」

「うぅ・・・」

緊張しながら、そして勇気を出して、言葉を振り絞る。

「おお、おはようございます。結城さんのお友達の、高嶋叶吾と言います。よ、よろ、よろしくお願いします」

「あなたが、結城さんが話していた人なのね」

「友奈ちゃんから何か聞いていたんですか?」

「ええ、裁縫と料理が得意で、よく人見知りでもじもじしているから女の子みたいなお友達がいるって」

「お、女の子みたいって・・・少しショックです」

友奈ちゃんの方を見ると、ご近所の方といつの間にか世間話をしていた。

「あとね、気遣いができる男の子だって聞いてるわ。私の名前は東郷美森と言います」

「私、両足が不自由で、もしかしたら迷惑をかけてしまうかもしれないけど、友達になってくれますか?」

「っ!はい!こちらこそよろしくお願いします!」

僕は、また新しい友達ができた。

そのことがうれしくてつい涙が出そうになったけど。

僕と東郷さんは、中学校に入学してから、『結城友奈ファンクラブ』を設立したり、歴史について語り合うほどの親友になっていくことは、まだこのときは知らない。

 

 

 

 

そして中学入学と同じ時期に、大赦からの命令で、僕は1つのお役目を果たしていくことになる。

 

 

 




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