この度ルビィちゃんヒロインの小説を書かせていただくことになりました。
それだけです、読んでください。
――第1話「紅玉との出会い」
紅玉(Ruby):ダイヤモンドに次ぐ硬度の赤色が特徴的な宝石である。
紅玉は決して振り向くことはない。なぜその紅玉は振り向かないのか。
男に絶対に
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僕とその少女の初めての出会いは入学式が終わった次の日の春のことだった。
蒼く輝く空と新入生の入学を祝うように咲き誇る満開の桜並木。
冬の寒い風はすでに消え去っていて風が柔らかく、そして包み込んでくれるような季節だった。
つい昨日その恩恵を受けたばかりの僕だったがまた別の場所でその恩恵を再び受けることになるとは。
今僕がいる場所は私立浦の星女学院を目指すバスの中。バスから見える景色は僕が通っている沼津にある高校と同じようにたくさんの桜が咲いていた。
沼津よりも自然が豊かなこの内浦という町をバスに揺られながら眺めていた。
なぜ男子である僕が女子高を目指しているのかというと古くからの幼馴染と出会うためだ。
メールが届いたのはつい昨日の事、そのメールの内容は『ズラ丸が私と同じ高校に入学してたのよ! 懐かしいでしょうからぜひ会いに行ってあげなさい我がリトルデーモン』と綴られていた。
メールを送ってきた女の子は津島善子ちゃん。自らのことを堕天使と名乗っている、少しだけ頭のねじが外れちゃっている女の子。
中学生の時、周りのみんなは善子ちゃんのことをおかしいとかダサいとかくすくす笑っていたけれど僕は全くそんなこと思わなかった。
だって周りの人がやろうとすると絶対にためらってしまうことを平然とやってのけるんだから。
好きなことは好きのまま、包み隠さずに自分の好きを前面に出していて僕はすごいと思う。なかなかできることじゃない。
……まぁ僕もさすがに堕天使っていう設定についていくのは無理なんだけど。
そしてそんな善子ちゃんにズラ丸と呼ばれている女の子は国木田花丸という名前の女の子。
今から会いに行く女の子がその子。お寺の娘であり幼稚園の頃から聖歌隊に所属していた。
聖歌隊に入隊するように勧めたのは僕で歌が好きな花丸ちゃんにはぴったりだと思ったから勧めてみた。体験に行った次の日に『おら聖歌隊に入隊するずら! 勧めてくれてありがとう!』なんて眩しい笑顔を僕に向けてきてくれて勧めてよかったなぁって思った。
小学校に上がる時に善子ちゃんと僕は同じ学校、花丸ちゃんだけは別の小学校に行ってしまって約10年ほど顔を合わせていなかったため、今も聖歌隊に属しているかはわからないけどまだ続けていてくれたらうれしい。
なんだか会うのが楽しみだな、とか全然昔と違ったらどうしようかな。なんてそんな昔のことを考えていたらゆらゆらと揺れていたバスが『次は浦の星女学院前』というアナウンスを告げた。
その声でハッと我に返った僕は降車ボタンを押した。お金を払ってバスを降りると周りに学校のような大きな建物が建っている様子はなかった。
きょろきょろと辺りを見渡していると、近くに坂道があり平地と接している面に看板が立っていた。
【この先浦の星女学院】
ま、まさかこの坂道を上った先に学校があるというのか……。
意を決して坂を上り始めた僕ははぁはぁと息を切らしつつも足を何とか前に運びながら上った。
数分歩いたその先に見えたのは目指していた浦の星女学院高校。校舎はそこそこ大きく正門に立つと目の前には学校のシンボルが高々と掲げられていた。
僕も沼津の高校が終わってからこっちに向かってきたため、ここまで来る途中にすでに帰っている生徒も多かった。坂を上っている途中、僕が男ということもあり何人かこちらを見てきたけど不審がられることもなかった。
不審がられなかったのはよく女の子っぽい顔だって昔から言われてたからそのおかげとかじゃない……よね?
まぁ今更僕の顔が女の子っぽいのにくよくよしていられないしそのおかげでここまで捕まらずにこれたんだからポジティブにいこう。
「おーい!」
部外者が校舎内へ入ってしまってはそれこそ不審者扱いされてもおかしくないので正門の前で暇つぶしに携帯をいじっていると遠くから声がした。
茶色の栗毛をふわふわと揺らしながら上にはカーディガン、下はスカートに黒タイツといった格好で現れたのが僕の幼馴染の一人、国木田花丸ちゃんだ。
黒タイツ愛好家の僕からしたら花丸ちゃんの格好はまさにどストライク。少しむっちりとした足に張り付くようなタイツ、まさに完璧だね。
よくもまぁ幼稚園の時からこんなに育っちゃって……。胸のほうも。
おっと、これ以上考えていたら理性が吹っ飛びそうだ。
「やぁ花丸ちゃん、久しぶりだね、幼稚園以来だ」
僕は何とか花丸ちゃんに対するいやらし……親が見るような目を辞めて花丸ちゃんに挨拶した。
「久しぶりずら! 裕ちゃん変わんないね、少し不安だったけどすぐわかったずら」
そういって花丸ちゃんはニコッと笑って言った。
10年ぶりに見せてくれたその笑顔に少しドキッとしたものの変わらないその笑顔に安心した。
「そういえば善子ちゃんは? 見当たらないみたいになんだけど」
「善子ちゃんは今日学校に来てないずら、なんだか昨日の自己紹介で自分は堕天使だとかりとるでーもん? にならない? とか言ったあと気まずい空気のままにげてったずら」
入学前に善子ちゃんは堕天使から卒業してやる! なんて話していたけどやっぱり無理だったのか……。まぁそんなところも善子ちゃんっぽいんだけどね。
そういえばメールに少し違和感があったのはこれが原因だったのか、同じ学校に通っているのに会いに来なさいじゃなくて会いに行ってあげなさいだったからなんだかおかしいなぁって思ってたんだよね。
「アハハ……。そうなんだ」
「全く、そのせいでまるが善子ちゃんに今日のプリントを届けなきゃいけなくなったずら。堕天使とやらはわがままずらね」
花丸はそういってるけど顔はなんだかうれしそうでそんなところも微笑ましかった。
「花丸ちゃーん! お待たせ!」
久しぶりの再会を楽しんでいると遠くのほうから声がした。
その声の主は赤い髪を両側で結んだツインテールと呼ばれる髪型をした女の子。ふりふりと髪を揺らしながらこちらへと近づいてくる。
花丸ちゃんよりも身長が少し大きいもののどこか小さく見えたその女の子。
「あっ! ルビィちゃん! 大丈夫だよ、全然待ってないずら」
花丸ちゃんが反応して口にした名前はルビィという名前。宝石の名にふさわしい髪の毛の色を持っているなというのが第一印象だった。
次に持った印象はなんだか少しだけ怖いな、という印象。きれいな碧眼の目をしていたけど、なんだか力強かった。硬い意志というか絶対に崩れない牙城を見ているかのような。
そんな僕の視線に気づいたのか、ルビィちゃんの視線が花丸ちゃんから僕に移ったときハッとした顔をしてルビィちゃんは花丸ちゃんの後ろに隠れた。
「ルビィちゃん、大丈夫ずらよ、この人はマルの友達ずら。怖い人じゃないよ」
そういって花丸ちゃんは赤毛の女の子を安心させるような声で言った。
「よろしくね、ルビィちゃん。僕は神城裕紀。花丸ちゃんとは幼稚園の時から幼馴染なんだ。花丸ちゃんと同い年なら高校1年生かな?」
僕もなるべく怖がらせないような優しい声でルビィちゃんに話しかける。
ルビィちゃんはニコッと笑って僕に話しかけた。
「ルビィ男の人は苦手なのでこれからはしゃべりかけないでくださいね」
衝撃の一言だった。脳天に雷が落ちたかのような衝撃。まさかこんな弱弱しい女の子からこんな言葉が発せられるなんて。
そのまま立ち尽くしてしまい僕は声を発することさえできなかった。
「じゃあ花丸ちゃん、ルビィ行くね。また明日学校でね!」
「う、うん。また明日」
そういってルビィちゃんは僕の目の前から去っていった。花丸も少しびっくりしていたようでルビィちゃんに対する返事が少し遅れていた。
やっぱり普段からそんなことは言わない子だったか。
「裕ちゃん? 裕ちゃん!」
「あぁ、ごめん花丸ちゃん、何かな?」
「裕ちゃん動揺してるのがわかりやすすぎずら。ルビィちゃんはね、男性恐怖症だからあんな風に言ってしまったんだと思うずら。普段はもっといい子だからこれからゆっくり仲良くなっていったらいいずらよ」
呆然と立ち尽くしている僕に花丸ちゃんが話しかけてきてハッと我に返ると僕にそんな言葉をかけてくれた。
でも男性恐怖症と聞いて僕は少しだけ違和感を感じた。
男性恐怖症ならあんな風に言ってくるだろうか。普通なら僕を怖がってその場から何も言わず逃げたりそのまま花丸ちゃんの後ろに隠れたりするのではないのだろうか、と。
ルビィちゃんはそのまま立ち去ってしまったので真相はわからないままだった。
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善子ちゃんが学校を休んだということで花丸ちゃんと一緒に沼津へ今日の学校で配られたプリントを渡しに来た。
バスに揺られている途中僕は頭の中がどうしてもルビィちゃんのことでいっぱいだった。
なんで男性恐怖症なんだろう、とか昔に何か男性を嫌う出来事でもあったのかな、とか。
花丸ちゃんから話しかけれても上の空で、何度もそれを繰り返してしまった。
花丸ちゃんは『裕ちゃんは女ごころがまったくわかってないずら。だからルビィちゃんにあんなこと言われるんだよ』なんて機嫌を損ねてしまったし、そんな言葉を言われてしまって僕自身も少しだけ傷ついてしまった。まぁ持ってたお菓子を花丸ちゃんに渡して許してもらったけど。
善子ちゃんの家に到着するとなぜ学校を休んだのか教えてくれず部屋にも入れてくれなかった。
インターホンの前で『プリントはポストに入れておいてちょうだい、ご苦労様マイリトルデーモンたち』なんて言われて結局追い返されてしまった。
花丸ちゃんはそのまま書店に行くらしく善子ちゃんの家でお別れした。そのまま書店について行ってもよかったんだけど、気になることが多すぎてそれどころじゃなかった。
家に着いた後もなんで善子ちゃんは学校に来ず家にすら入れてくれなかったのか。なんで僕はルビィちゃんに話しかけることすら許されないのか。
考えても考えても答えは出るはずもなく、そのまま時間だけが過ぎていった。
このまま時間を無駄にするのも癪だし、解決できそうなことは解決しようと思い善子ちゃんに連絡を入れてみた。
するとすぐに返信が来た。
『私また堕天使が顔を出してしまったのよ』と、一言だけ。
そういえば花丸ちゃんがバスの中でそんなことを言っていた気がしなくもない。
たしか自己紹介で厨二病発言をしてしまったのだとか、そのせいで静まり返った空気に耐えることができなくなってたまらず教室を飛び出してしまったらしい。
まぁそりゃあ初対面の人からしたら何を言っているんだ。っていう感じにはなるとは思うから静まり返っちゃうのは仕方ないと思うけどね。
善子ちゃんの謎も解決したので次にルビィちゃんについて聞いてみることにした。すると善子ちゃんは『へぇ、人見知りはするとは思っていたけどまさか男が嫌いなんてね、ちょっと意外だったわ。でも私とルビィは昨日で会ったばっかりで何もわからないからこれ以上は言えないわ』とだけ返信が来た。
中学まで善子ちゃんと一緒の学校だったし善子ちゃんがルビィちゃんのことを知らないのは当たり前だよな。と冷静に考えて納得した。
結局そのあとも進展がないままだらだらと善子ちゃんと世間話をしていた。
一番ルビィちゃんへの理解が深い花丸ちゃんは機械音痴で携帯も持っていないし。
お寺の電話番号もわからないしで行き詰ってしまった。
これ以上考えても仕方ないのでそのまま僕は目を瞑って眠りにつくことにした。
週に2話か3話の投稿を予定しています。
次回もどうぞよろしくお願いします。