作:ナメクジ

2 / 2


ここ数日の記憶が一切ない。

 

なんでかと聞かれても、心当たりすら何一つとしてない。

 

だが、昨日の事は断片的に覚えている。

 

シマが若干ゃ風邪をひいていた俺の看病をしてくれていたのだ。

 

2日前から結構な風邪を患っていたからそこからずっとお前に付き添っている的なニュアンスの事を、シマに顔を合わせてもらえずに言われた。

 

顔を合わせてもらえなかったところにとんでもないデジャヴュを感じた。

 

まーーーーた俺シマの地雷踏んだのかよ〜風邪ひいてた俺なにしてんの〜無理〜やめて〜セクハラ紛いのことでもしたんか俺こら〜

 

ホットケーキ作ったついでにキスした時も顔合わせて貰えなかったしほんともうこれ詰んだ気がする。

 

まぁ、シマに看病してもらったおかげで今日の俺は絶好調なわけだ。世界は今日も輝いていたりする。

 

そして、俺と入れ替わりでシマが風邪を引いた。

 

今朝、シマが涙目(可愛い)で俺のことを睨みつけながら「ひょのせいだ…絶対ひょのせいだ…けほっ」と嘆いていたので、本当に2日前の自分が何をしでかしたのか気になった。

 

シマに聞いても教えてもらえない。

 

風邪を移すような行動をしたということは、恐らくあれだ。

 

シマの顔面間近でクシャミでもお見舞したんだろう。

 

本当に申し訳ない、汚い唾と鼻水飛ばしてすまん。

シマって潔癖症だったっけ(違う)

 

「ごめんなさい、ほんと、許して」と頭を下げてシマに謝罪する。めんご。

 

毛布にくるまり顔を火照らせしんどそうなシマは

「私の看病してくれたら許す」

と、お慈悲の言葉を投げかけてくれた。

 

やっぱシマ優しいわ、好き。

 

今日明日は、シマに尽くすか。

 

俺はシマがいる部屋をあとにして、キッチンに粥を作りに行った。

 

 

 

 

 

ー2日前ー

 

 

風邪、ひいた。

 

頭がグラグラグラグラと放送事故したテレビ画面のように揺れ、ているような気がする。

 

身体が重い。

きつい、しんどい、鼻が痛い。呼吸がつらい。

 

視界がぼやける。良く見えない。目を開けてられないほどの頭痛に襲われる。

 

身体はとても寒いのに、頭が異様なほど熱い。

 

「__!大丈夫!?」

 

誰かに肩を掴まれた。

 

重い瞼をあけると、白いものが目の前にある。

 

この白いのは多分シマ、だ、ろうか。シマだ。

 

「大丈夫だよ。こんなん寝りゃすぐ治る」

 

「呂律全然まわってないじゃん……顔真っ赤だ、汗もひどい」

 

俺はちゃんと言ったはずなのに相手に届かなかった。酷い耳鳴りとシマの声が混ざって少し気持ち悪い。

 

 

いきなり、ひんやりとしたものがおでこに当たった。

 

シマの手だった。

 

こいつ、こんなに冷たかったっけ。

 

 

「あっっっ…つい………40超えてるんじゃないのこれ……酷いな…」

 

 

シマがなんか言ってる。よく聞き取れない。

 

 

おでこに当たる手が気持ちいい。

 

思わずでかい息が漏れる。

 

「季節外れの風邪だろうね…風邪薬持ってくるから、ここのソファから動かないでね」

 

思考は元気だが、身体がとことん限界だったようだ。

 

座っていた身体を押され、なんの抵抗すらできずにソファに沈んだ。

 

身体に一切力が入らない、起き上がれない。

 

頭が揺れる。

 

 

シマにもやることがあるだろうに。

たかが俺の看病に付き合わせることはいただけない。

 

「シマ」

 

上手く言えただろうか。

 

「どしたの」

 

ちゃんと聞こえたのか、気付いたらシマが横にいた。瞬間移動か。すごいなシマ。

 

「俺、わりと元気だからやることやっていいよ。俺のこと気にしないでいいから」

 

「…?氷が欲しいの?冷たいもの…体震えてるけど、頭は冷やした方がいいのかな」

 

 

ダメだこれ伝わってない。

 

そんなに、俺の呂律やばいのか。

 

「はい、氷枕。首の後ろ置くから頭持ち上げるよ」

 

あとシマ行動早くないか。

 

俺の脳みその回転速度が落ちてるんだ。やべーわ

 

 

 

 

 

 

「…馬鹿は風邪ひかないって自分で豪語してたのに、フラグ回収はやいよ」

 

シマが呆れながらぼやいた。

 

 

なんでか知らんがカチンときた。

 

こうなったらシマに風邪移してやろうか、そうガキみたいな思考が出てきた。

 

 

「? どうしたの、まだ何か欲しいのある?」

 

 

風邪を移すにはどうするんだったか。

 

「!?」

 

掴んで引き止めていたシマの手を、無理に引っ張って上半身を屈めさせた。

 

近くなったシマの頭の、首の後ろに手を回す。

 

全然腕に力が入らないのに、シマはさっきのでよろけた。シマ貧弱すぎんよ

 

「ちょ、近」

 

風邪移しやすいのってキスだっけ。

風邪ひいたやつの唾液だの体液を摂取させりゃいいんだろ。

 

視界がぼやけてやばいことになっているが、こんだけ近けりゃ鼻の穴の位置だってわかる。

 

「風邪移してやるよ」

 

「どういうこ」

 

と。言い終わる前に、間抜けに開いた口に自分の口を合わせた。

 

脳みそがぐらつく。

 

だがそんなことは気にしてらんない。

 

「!?」とパニックになっているシマに口を閉じられないように、こっちから舌をねじこんだ。

 

唇だけのじゃ風邪移らないだろ。

 

離れようとするシマに対して、腕に力を入れて抵抗した。

 

ねじこんだ舌を、シマの舌と無理やり合わせる。

 

「んぅ」

 

情けない声が聞こえた。

 

シマの身体が強ばった。

 

あの、なんだ。唾が出るとこあるだろ。ベロのすぐ下にあるあそこ。そこを狙って舐めにかかった。

 

舌をもぐらせ、歯の裏を歯茎をなぞるようにして舐める。意外と顎が疲れるこれ。

 

水音は聞こえない。多分今の俺の耳が老人並みに悪いからだろう。

 

歯をなぞって、舌を合わせて、頬の内側を舌でなで

 

もうどっちの唾液かわかんないくらい口の中かき混ぜた気がする。

 

舌を動かす度にシマの身体が面白いぐらいはねて反応して楽しい。

 

俺の息が続かなくなったので、一旦口を離す。

 

 

「ぷぁ、」と小さく声が漏れた。

 

 

シマの顔を見ると、

 

可愛そうなくらい顔を赤くして、涙目のくせに目を見開いてひどく驚いた顔をしていた。

 

 

微かに震えた口に、「ひょの馬鹿野郎」と言われるより先に

 

もう一回舌をねじ込みにいった。

 

 

 

 

 

 

そして、冒頭に戻る。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告