弊カルデアの日常・・・? 作:しろけむり@マスター
「マスター。話がある。」
そう話しかけてきたのはアルトリア・ペンドラゴン[オルタ]セイバー。
略してセイバーオルタだった。
話しかけられたのは午前中に周回が終わり、
立香がノウム・カルデアの食堂にてエミヤ手製の洋食Bセットを食べている時だった。
「何かな?オルタ。」
タマモキャットお手製のチーズバーガーセットをトレーに乗せてセイバーオルタが目の前の席に座る。
「いやなに、私の本気を見せてやろうと思ってな。」
「本気?どういうこと?」
「突撃女に聖杯を5個使ったらしいが、私に更に5個使わせる価値があると教えてやる。そう言っているんだ。」
そういってチーズバーガーを一口。
「ああ、そうだ。私を倒せたら、褒美をやろう。
無理難題をこなした殿下に良い褒美を与えるのは王の務めであろう?」
そう言ってコーラを一口。
そのまま完食し、トレーの返却口に向かう。
「午後2時に第四シミュレーターに来い。」
出入り口で叫ぶとそのままほかの部屋に向かう。
現在時刻は午後0時半。
1時間半のうちにサーヴァントの編成を決め、声をかけてこないといけない。
少しだけ冷めてしまったスープを飲みながら、頭の中で編成を考え始める
(取り合えずマーリンとジークフリートさんかな。後はアーチャーが一人くらい欲しいなぁ。)
サーヴァントのいる階層に降りてきた立香。
真っ先に向かうはキャスターの区画。
「マーリンいるー?」
・・・反応はない。ある程度覚悟していたことだ。なぜならば、最近マーリンが周回作業を嫌がるのだ。
これではカルデアの夢火を使った意味がないじゃないか。と一人ごちりながら、マーリンを探す。
見つからない。おそらく幻術を使ったのであろう。
「今回は多分高難易度なんだけど」
「早く言ってくれればよかったのに。」
周回ではないことを告げると、幻術を解いて姿を見せる。
ちょろい(確信)
「1時45分に第四シミュレーターなんだけど」
「大丈夫だよ。任せてくれたまえ。」
一人目を確保し、次に向かうは共同遊技場。
中央には大型モニターと炬燵があり、そこに目的のサーヴァントがいた。
「巴さん。ちょっと今いいかな?」
「はい。なんでしょう。」
「実は、かくかくしかじかで。」
「なるほど、実に興味深いのですが、その時間だとすでに所用*1がありまして」
「そうか。無理行ってごめん。」
「お力添えできず申し訳ありません。」
「こっちが無理言っただけだし。ごめんね。じゃあまた。」
(これは不味い。火力が足りるか怪しいのに・・・)
(先にジークフリートに会いに行こうか。)
セイバー区画の一室。ジークフリートに割り当てられた部屋を訪ねる。
「ジークフリート。居る?」
「ああ」
ジークフリートが部屋から出てくる。ジークフリートの奥に見える扉からはきれいに整頓された部屋と
メディアが作成したと思われるジーク君の人形を抱いたジーク君が見える。
「急にごめんね。時間大丈夫?」
「ああ、彼とは今別れるところだったんだ。」
「ジーク君もごめんね」
「大丈夫だ。もうここを去る予定だったのでな」
「で、実は、かくしかで。」
「それは大変だったなマスター。振り回される大変さは知っているのでな。」
「俺が協力できるならさせてもらおう。」
「ありがとうジークフリート。1:45に第四シミュレータにきてね。」
そう告げると、立香は足早に去り、
階層を上がって食堂に戻る。
机を拭いていたに声を掛けられる
「どうしたのだ?ご主人。間食にはまだ早いと思うぞ。それともキャットの昼食が食べたくなったのか?」
「キャット。実はエミヤに用があって。」
「なるほど。確かに先ほど黒い騎士王に喧嘩を売られておったな。キャットの包丁捌きを見せてやろうぞ。」
タマモキャットは数歩下がると、どこから取り出したか3本程度の包丁をジャグリングし始める。
「いや、エミヤに用があって。」
「うむ?料理長か?呼んできてやろう」
テーブル拭きも途中にキャットはキッチンへ向かう
「料理長、我らがご主人が呼んでいるわん。」
「ん?ああ、ありがとう。包丁でジャグリングするのはやめてもらえないかな。」
「投げ銭はニンジンでいいぞ。」
カウンターの向こうで額に手を当て、ため息をついているエミヤが見える。
しゃがんだかと思うと数本のニンジンをキャットに手渡す。
「ああ、マスター。そちらに向かおう。」
エプロンを解きながらエミヤがカウンターから出てくる。
「で?用事は何かな?マスター。ある程度察してはいるが。」
「まあ、察しの通りセイバーオルタなんだけど。」
「それなら問題はない。何時に向かえばいい?」
「1時45分位かな」
「そうか。それまでに向かおう。」
その後、立香は二人のサーヴァントを誘った後、シミュレータに向かう。
時刻は1時50分。
参加するサーヴァント達に作戦を伝え、準備も終わった。
準備室にアナウンスが入る
「10分前だから部屋のロックを開けるよ。
中でアルトリアペンドラゴンオルタが待機しているよ。
使用可能時間は2時から30分ほどだね。」
扉の左にある電子ロックが[LOOK]から[OPEN]へと変わり、
扉の下部にあるランプが赤から緑へと変わる。
「行こうか。」
扉の先にはグランドオーダーの最初期。ファーストオーダーにて見た、
冬木の大聖杯。それが安置されている地下の大空洞だった。
セイバーオルタが真正面にいる。
セイバーオルタは本気の現れなのか、バイザーをつけている。
「来たか。」
「ああ!」
「行くぞ!マスター!」
上段に剣を構える。黒い光が聖剣を包む。
「エミヤ。ジークフリート!令呪をもって命ずる。宝具を開帳せよ!
マーリン。二人にスキルを!」
「了解。マスター 『I am the bone of my sword… 』」
「行くぞ。マスター 『邪悪なる竜は失墜し…』」
マーリンの援護もあり、エミヤが先に宝具を発動する。
「『
同時に周囲の風景が平原と、墓標のように剣が突き刺さった風景へと変化する。
オルタを囲むように数多の剣が投影され、連続して襲い掛かる。
「はぁっ!『
おそらく、魔力放出と風王鉄槌の複合技。一つ残らず剣の向きが変えられ、
魔力放出によって無理やりではあるが、体を一回転しながら薙ぎ払うように宝具が展開される。固有結界外にいたマスターたちには被害がなかったが、
エミヤには、少なくない被害があった。
ローアイアスによって減衰されたとはいえ、聖剣の一撃をくらったのだ。無理もないことだろう。
しかし、本来想定されていない動きというのは必ずしも隙を生む。
「『
マーリンの『英雄作成』によって強化された『幻想大剣・天満失墜』がオルタに直撃する。
「ぐうぅっ」
魔力放出により、無理やり回避するが、完全にはよけきれず、セイバーオルタの右半身に直撃する。
剣を構えなおし、ジェット噴射の勢いでエミヤと切り結ぶ。
無尽蔵に近い魔力を持つセイバーオルタの魔力放出によって勢いのました剣戟は、エミヤ*2の二刀流という利点を完全に潰したものだった。
もちろんただやられるままとはいかない。
ジークフリートも攻撃に参加する。
ジークフリートが切りかかるのを見て、
エミヤが下がる。
ジークフリートが接近。
エミヤが固有結界で多少なりともこちら側寄りに舞台を整え、
後方射撃を行う。
本来の想定通りの状況になったところだった。
「ジークフリート。」
「何かな。騎士王」
キィン!と硬質な音がなる。ジークフリートの切り上げにオルタの剣が跳ね上げられる
「貴様の剣は、何度も見ている」
セイバーオルタが笑みを浮かべる。何度も戦線を共にしているが故の弱点。
隙をカバーして動くことが多いが故にセイバーオルタはジークフリートの隙を熟知している。
上段から再び、切り下ろす。今度はセイバーオルタが宝具を開帳しながら。
「『
「後は頼んだ!『
0距離からの宝具を受けたジークフリートはダメージが限界に到達したのか、シミュレータから離脱する。
しかし、置き土産と言わんばかりに、バルムンクと悪竜の血鎧を爆発させる。
数回もんどりうった後に、セイバーオルタが立ち上がる。
パキリ。バイザーが割れて落ちる。
鎧も、前面にかけて大きく破損し、腹からは血を流している。
しかし、一度鎧を魔力へ還元し、再度魔力を鎧として纏う。
そんな隙を見逃すはずもなく、セイバーオルタとジークフリートが切り結んでいる最中に用意し、
二人の周囲に突き刺したいくつもの投影宝具をエミヤが爆発させる。
「喰らえっ!『
先ほどとはランクの差こそあれど、数はその差を覆す。
爆発を魔力放出の伴ったジャンプでかわす。
もちろん無傷とはいかない。脚部周辺の鎧の破損状態は特に酷く、そこでなくとも、ほとんどが破壊されている。
魔力放出の伴ったその行動は壊れた幻想の爆発の範囲外に逃げることとしては大正解だっただろう。
しかし、エミヤは近接戦を主体としているがゆえに忘れられがちなのだが、彼は弓兵である。
故に、上空に飛び上がることは彼にとって格好の的である。
放たれた
事実その矢はセイバーオルタに突き刺さる。
が、そのようなもの無いも同然だと言わんばかりに、風王鉄槌と魔力放出。
序盤で防御に使ったそれを、此度は移動のために使う。
「よくやったぞ弓兵。受けるがいい『
避けることができない距離からの宝具。
「後は頼んだぞ。マスター」
ジークフリートの後を追うように、エミヤもシミュレータから退場する。
エミヤの固有結界が解ける。二人の戦果は上の上。
もっと削れないと立香は思っていたのだ。
さあ、第二ラウンドだ。
周囲の風景が変わる。灰色の丘から霧の中へと。
魔力放出で霧をどかす。
この霧は不味い。そう直感が言っている。
ダウィンチには特異点fの対セイバーオルタ戦を再現するよう言った。
立香はそこまで想定していなかっただろう。
ここまで都合のいい事態になるとは。
『
恐ろしいのは、この宝具により、『
最大限発揮されることであろう。
(対魔力で防げるか?)
そんなことを考えながら周囲の警戒を続ける。
直感に従い。突き刺すように剣を振る。
「ぐっぅ」
当たった感触がある。しかし、この接触により、情報抹消が発動したのか、
セイバーオルタは彼女関連の事象を忘れてしまう。
直感が告げた方向を薙ぎ払うように宝具を開放する。
「『
その方向とは真逆。自身の背後から幼子の声で詠唱が聞こえる
「私たちは、炎、雨、力、殺戮をここに。『
体が吹き飛ぶ。
魔力放出で無理やり体制を整え、
姿を現したジャックに突っ込む。先ほどの攻撃を治すために、鎧は魔力に還元した。
無尽蔵に魔力があるとは言え、最大出力は決まっているのだ。
しかしここでまた、判断ミスをする。
宝具を開帳せずに切りかかる。
もちろん耐久が低いサーヴァント相手なら問題ないのだが、
二つほど勘違いをしていた。後はマーリンしかいないと。そして、マスターは遠い位置にいると。
「ガンド!」
セイバーオルタの動きが止まる。そして、
「オーダーチェンジ!」
目の前の幼き暗殺者が入れ替わる。
「最後の令呪をもって命ずる。
目の前のサーヴァント。紅閻魔が宝具を発動する。
葛籠に閉じ込められ、上へ吹き飛ぶ。
「ああ、私の負けだ。マスター。」
はっきり言ってギリギリの戦いだった。
もしも、エミヤが早々に脱落したら。もしもシミュレーションの設定が夜ではなかったら。
そんな綱渡りの上での勝利だ。
[アナウンスだよー。第四シミュレータ稼働終了するよー。]
無機質な部屋へと戻り、脱落したエミヤとジークフリート、セイバーオルタもいた
セイバーオルタが口を開く
「とりあえずご苦労だった。」
「ところでご褒美って何ですか?」
「まずはサーヴァントたちにだ。」
セイバーオルタが一人一人にポチ袋を手渡す。
「中身はQPでちか。」
「お年玉。というやつだ」
「ありがとうございます。」
「感謝が言えるのはえらいな。」
セイバーオルタはジャックの頭を撫でる。
「アルトリア?なんで私だけ1QPなんだい?」
「貴様にはそれで十分だろう?」
マーリンを適当にあしらい、マスターに向き直る。
「マスターは今晩マイルームに行こう。そこでだ。」
セイバーオルタが笑みをこぼす。それはジークフリートに見せた凶暴なものではなく、優しいものだった。
時刻は既に夜9時。
大浴場に入ってから部屋に戻ると、ドレス姿*3のセイバーオルタがベットに腰かけている。
「どうかしたか?マスター。夜に行くと言っただろう。」
「いや、まさか先に来ているとは思わなくて」
「まあいい。ほら、来い。」
セイバーオルタが膝をポンポンと叩く。
「ゑ?」
「わからないのか?膝枕をしてやると言ったんだ。」
おずおずと頭をのせる。戦闘時とは違い短いスカートの為、ひんやりとした柔肌が頬に触れる。
「ゆっくり眠るといい。疲れているだろう。」
頭を撫でられる。
「うぁ・・・」
脳みそが溶けそうだ。風呂に入って火照った体には彼女の冷たい体温がちょうどいい。
「おやすみだ。マスター。」
その言葉に返すことができぬまま意識が落ちる。
目が覚めたら隣で寝てたとかなんとか。
流石絆10だぜ・・・
感想、評価どしどしください。