サトシのイッシュ冒険記 ~真実の救世主~   作:純白の翼

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EP8 クーデレの蔦蛇

次のジムがあるシッポウシティを目指し、旅をするサトシ。カノコタウンでトウヤ、サンヨウシティでメイが仲間に加わり、一行は賑やかになった。

 

「ああ、腹減った~」お腹を擦るトウヤ。

 

「もう、結構歩きましたからね」メイもちょっとヘトヘトになっている様だ。

 

「じゃあ、丁度昼頃になるし、ここでメシにするか!」

 

サトシの提案により、昼食をとることになった。トウヤは食器並べをして、元々プラズマ団では雑用の仕事が多かったメイはサトシの料理の手伝いをした。

 

今日のメニューはナポリタンだ。そしてサトシは、ポケモンフーズも用意した。

 

「どんなポケモンフーズを使ってるんですか?サトシさん?」

 

「これ、オレの手作りなんだ」

 

「大丈夫なのか?」トウヤが聞く。

 

「ああ。ちゃんと、ブリーダーやってる友達から教わったんだ」

 

サトシのポケモン達は皆美味しそうに食べている。この事から、味や栄養面は文句の打ちどころがないと言えるだろう。

 

昼食を食べ終え、今度は木の実を使ったパンケーキでもやろうかと思ったサトシ。30分かけて作った。このパンケーキも、トウヤとメイには大好評だった。ポケモン達には、ポフィンを作ってやった。

 

「残りは保存しておくかな?」

 

これ以上は食べられないので、ラップにかけようとする。だが、パンケーキを1体のツタージャが美味しそうに食べていた。

 

「え?ツタージャ!?」メイも流石に驚いた。

 

「野生のツタージャなんて始めて見たよ!目つき悪いけどな。でも、シューティーのツタージャよりは優しそうだぜ」

 

ツタージャを見て感想を述べるトウヤ。目つきの悪さは元からだと言いたかったが、人間に言葉が通じるなんて余程の事が無い限りないというのも知っているので、黙った。

 

「本当に何でツタージャがここにいるんだろう?」サトシが言った。

 

「ツタージャって、非常に頭が良いポケモンなんだ。トレーナーのレベルが低いと、そのトレーナーを半殺しにして見捨てるって聞いた事があるなあ」

 

ツタージャの生態についてサトシに説明するトウヤ。

 

「じゃあ、このツタージャはトレーナーを捨てたポケモンってとこか?」

 

《大体は正解よ》ジト目でサトシを見ながら頷くツタージャ。

 

*

 

その頃、ヒウンシティでは……

 

「ヘックシュン!」

 

「ジャノ!!」

 

シューティーがくしゃみをした。相棒であるジャノビーもだ。

 

「誰か僕の噂をしているのか?それよりも、アローラなんて観光地としてしか価値のない田舎者出身のデューンって男を見つけないと!この僕をコケにした事を、あいつに後悔させてやる!」

 

スカイアローブリッジでバトルを申し込んだシューティー。デューンがアローラ出身と言った瞬間、田舎者と言ったのだ。

 

これによってデューンをプッツンさせた上に本気にさせ、ジュナイパー1体で6タテされたのだ。ジャノビーに至っては、ジュナイパーのZ技で瞬殺された。

 

「クソ!どいつもこいつも!!!最初はカントー!次はアローラ!!イッシュこそ至高なんだ!何でそれが!!田舎者共には分からないんだ!!!」

 

ヒステリックに叫びながらゴミ箱を蹴り飛ばし、再びデューンを探し始めるシューティーであった。

 

*

 

ツタージャは、興味深げにメイ、トウヤ、サトシの順に見た。

 

《この子はトレーナーにもなってない様ね。素質はそれなりにあるようだけど、残念ね。論外だわ》

 

ツタージャがメイを見た感想はそれだった。続いてトウヤ。

 

《悪くは無いわね。驚いてはいるみたいだけど、目に怯えは無いわ。まあ、妥協点と言った所かしら?》

 

最後にサトシだ。その瞬間、ハッとなった。

 

《何なの?このトレーナーは。少なくとも、そこら辺のトレーナーとは明らかに格が違う!見ただけで分かる。今まで、どれだけの修羅場を潜り抜けて来たのかしら?そして、どんな困難が来ても、それをものともしない勇気と覚悟がある!私の前のトレーナーと大違いだわ……彼ならば、きっと……》

 

ツタージャの表情がキッとなった。完全に戦闘モードに入ったのだ。

 

「何か目の色が変わってないか?」

 

「ター……ジャ!」

 

ツタージャは大量の木の葉を周囲に展開する。

 

「な、何ですか?」

 

「これは……リーフストーム!?」

 

草タイプの技の中でも最強クラスの技、リーフストームだ。サトシに襲い掛かる。

 

【さあ、見せて貰うわよ!貴方の力を!】

 

【サトシに攻撃するな!!】ピカチュウが電気ショックでリーフストームを掻き消した。

 

【やるわね。流石、歴戦の戦士って所かしら?あなたのトレーナーも何か指示を出そうとしたけど、あなたの方が早かったようね】

 

【僕のトレーナーを攻撃しようだなんて、僕にボコられたいって言ってるようなものだって認識させてもらうよ】

 

ピカチュウ対ツタージャのバトルが始まった。

 

「ピカチュウ、10万ボルト!」

 

【食らえ!】

 

10万ボルトを放つピカチュウ。

 

【10万ボルト?これ、どう見ても雷とかを超えている威力でしょ……】

 

呆れながらも、竜巻で迎え撃つツタージャ。だが、大幅に威力が下がったとはいえ、10万ボルトが競り勝った。

 

【10万ボルトが勝った!?なら……】

 

ツタージャはある技を使った。それは、炎を形作った。

 

「トウヤお兄ちゃん」

 

「何だ?メイ」

 

「ツタージャって炎タイプの技使えましたっけ?」

 

「イヤ、そんな筈はない。普通なら覚えない技を覚えているのか?」

 

「トウヤ。それは違うぜ。1つだけある。かなり特殊だけど」

 

「サトシ?」

 

「恐らくあのツタージャ、目覚めるパワーを使ったんだ。オレのピカチュウにも覚えさせたんだけど、氷タイプなんだ。結果的に、地面タイプや草タイプ、ドラゴンタイプとも互角に戦える様になったんだ」

 

「確か、ポケモンの個体差ごとに、タイプが変わる技ですよね?」

 

「ああ。そうだぜ、メイ」

 

目覚めるパワーを使った炎と10万ボルトは相殺された。

 

【トレーナーがトレーナーなら、ポケモンもポケモンって所かしらね?でも、だからと言って負けるつもりは無い!】

 

ピカチュウ目掛けて蔓の鞭を繰り出す。

 

「蔓の鞭を伝いながら、電光石火!」

 

【君の同族とバトルして、蔓の鞭による対処法は既に立てるんだよ】

 

電光石火でツタージャの背後に回るピカチュウ。

 

「アイアンテール!」

 

【僕が電気やノーマル技だけしか使えないと思ったら、大間違いだからね!!】

 

【私だって、苦手なタイプに勝つ為の努力はして来たわよ!】

 

ツタージャは負けじと、アクアテールを使った。アイアンテールとアクアテールの攻撃が、幾度となくぶつかり合う。

 

「竜巻に炎タイプの目覚めるパワー、アクアテール。あのツタージャ、とんでもなく強いぞ!」

 

「トウヤお兄ちゃんは捕まえないんですか?」

 

「今のオレの力量じゃ、あのツタージャをゲット出来たとしても完全に力を引き出せるかどうかの自身が無い……それに、どうもツタージャは苦手なんだよな」

 

ツタージャは欲しいが、サトシに興味を持ったので、恐らくだが彼がゲットする可能性が高いだろう。

 

バトルの場面に戻る。次第にツタージャの方が押されて行った。

 

【やるわね。それじゃあ、これはどうやって対処するのかを見せて貰うわよ!】

 

ツタージャはメロメロを使った。メロメロは、ピカチュウに迫り来る。

 

「ピカチュウ、地面にアイアンテールだ!!」

 

鋼鉄と化したピカチュウの尻尾が大地に叩き付けられた。それは壁となり、メロメロを掻き消したのであった。

 

「相当強いな!お前!」

 

【サトシと同意見さ!】

 

【そう……《こんなに楽しいバトルは始めてよ。いつまでも続けたいけど……そうも言ってられないわね》】

 

ツタージャは再びリーフストームを使う。だが、その規模、威力共に先程のそれをはるかに上回っている。

 

「リーフストームの威力が上がっている!?普通、使ったら特攻が下がって威力は無くなる筈なのに……」

 

「ツタージャの特性って深緑だろ!?なんでリーフストームの威力が上がってんだよ!」

 

これには、流石のトウヤも驚きを隠せなかった。

 

「リーフストームの中へ突っ込め!」

 

【オーケー!任せて!!】

 

【嘘でしょ!?】

 

リーフストームの中に入ったピカチュウと、それを指示したサトシに対して、ツタージャは驚いた。だが、リーフブレードで一気に勝負に出ようと決意した。

 

「そのリーフストームで出来た竜巻の中に身を任せながら、アイアンテール!」

 

鋼鉄の尾と草の刃が火花を散らしながら次々と衝突する。だが、ピカチュウの方が終始押しており、ツタージャは防戦一方だ。

 

【マズいわね。向こうは確かに草の竜巻でダメージを受け続けているのに、全く倒れる気配がない】

 

そうしていると遂に、ガードが崩されてツタージャは吹っ飛ばされた。

 

【幾ら防御力が上がっていても、これじゃあどうにもならない。それに……ここに来て静電気なんて】

 

ツタージャはもうフラフラだった。

 

【これで最後かしら?】

 

ツタージャは、三度リーフストームを放った。先程よりも規模が大きくなっている。

 

「また大きくなったのか!だけど、諦めるつもりなんて無い!」

 

【そうだ!勝つのは僕達だ!】その時、ピカチュウが謎の力を纏った。

 

「行くぜピカチュウ!これがオレ達のゼンリョクだ!最大パワーで10万ボルト!!!」

 

【食らいいいいいい、やがれええええええええええっ!!!!】

 

だが、それは10万ボルトではなかった。正確には、10万ボルトから超巨大な電気エネルギーが生成されたのだ。10万ボルト、いやボルテッカーをも凌駕するその電気技はリーフストームに激突する。

 

【何なの?この技は?】

 

リーフストームを簡単に打ち破り、ツタージャに直撃した。

 

【完敗だわ……】

 

だが、そんなに悔しくはなかった。それと同時に、サトシとピカチュウの強さと絆が羨ましくなった。自分も、トレーナーさえ違っていればこんな強さを得られたのではと。

 

「オレたちの勝ちだな。ツタージャ」

 

サトシが話しかけてきて、オボンの実をツタージャに渡した。ツタージャはそれを受け取って食べた。そして、サトシをじっくりと見る。

 

「どうしたんだ?」

 

【私は……】蔓の鞭で、サトシのバッグから空のモンスターボールを取り出す。

 

「え?まさか……」と、トウヤ。

 

【この人間なら、信頼出来るわね】

 

手でタッチして、ボールの中に入った。

 

1…2…3…ポン!

 

「ツタージャ……ゲットだぜ!」

 

【ゲットだぜ!!】

 

こうしてサトシに、また仲間が増えた。

 

「ゲットしちゃった。あのツタージャを……」

 

「オレなら負けてたな」

 

改めてサトシは凄いなと思ったトウヤ。だが、いつか追い抜いて勝ってやるという決意を胸に秘めた。

 




サトシのポケモン
ピカチュウ♂
ガバイト♂
ミジュマル♂
マメパト♀
ポカブ♂
ツタージャ♀



トウヤのポケモン
ポカブ♂
サンダース♂
ワシボン♂
ミジュマル♀
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