サトシのイッシュ冒険記 ~真実の救世主~   作:純白の翼

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EP9 理想と怒り

シッポウシティを目指すサトシ一行。道中、かなりのバトルを行って来た。この時に、トウヤのポカブがチャオブーに、サトシのマメパトはハトーボーにそれぞれ進化した。そして途中、サトシは幼稚園の園長からタマゴを受け取った。この時、ポカブをメイに預ける事にした。

 

「もうすぐかな?」ライブキャスターで場所を探るトウヤ。

 

「次のジムに向けて、特訓をしないとな!」サトシは、次のジム戦に意気込んでいる。

 

「シッポウジムは確か、ノーマルタイプを専門にしてるんだぜ、サトシ」

 

「ノーマルタイプかぁ……」

 

この時、コガネジムのアカネ、トウカジムのセンリの事を思い出したサトシ。両者共に強かった。自分でさえも、1回は敗北した程だった。多分、サンヨウジム以上に強いのだろうと感じる。

 

「頑張って下さいね!」メイが応援の声を掛けた。

 

「ああ!絶対に勝って見せるさ!」

 

3人が歩いていると、こちらに2人の男女が近付いて来た。少年の方はメガネを掛けており、どことなく知的な印象を受ける。少女の方は、ベレー帽を被っていて、どこかマイペースに見える。彼らを見たトウヤの反応は、大いに驚いていた。一方でメイは、まだサトシとトウヤ以外の人間には心を開いていない為か、サトシの後ろに隠れた。

 

「チェレン!ベル!」

 

「久しぶりだね、トウヤ。まさか、2人の旅仲間がいるなんて」

 

そう言ってチェレンは、トウヤが向けて来た拳を見て、拳を出して優しくぶつけあう。

 

「ヤッホー!トウヤ!」

 

「トウヤ。この2人は?」

 

「メガネかけてる方がチェレン、ベレー帽被っているのがベルだよ。ほら、前に言ったろ?オレやシューティーよも少し早く旅立った同期が2人いるって話をさ!」

 

「この2人が……オレはサトシ。マサラタウンから来たんだ!」

 

「宜しくね!サトシ君!私はベル!この子が、パートナーのチャオブーよ!」

 

ベルは、ポカブの進化系をボールから出した。

 

【トウヤのチャオブーの時もそうだが、確かにポカブの面影がある……】

 

【ガバイト。それは僕も同感さ!】

 

サトシの今の手持ちの中でも、最強格の2体が会話をしていた。

 

「僕の方こそ……そして、この子達が僕のポケモンだよ」

 

チェレンはそう言って、2体のポケモンを出した。どことなくミジュマル、ツタージャを彷彿させるポケモンだ。

 

「フタチマルとジャノビーか!」トウヤが叫ぶ様に言った。

 

「宜しくな!チェレン!ベル!!」

 

サトシとチェレンが握手をした。ベルはそこに、手を優しくポンとおいた。

 

「それで、あなたは?」ベルが優しくメイに聞く。

 

「…………メイです」おずおずとメイが答える。

 

「ベル。メイは、ちょっと訳アリで人と接するのが苦手なんだ」

 

トウヤがメイに助け舟を出した。

 

「分かった。メイちゃん。ゴメンね」

 

取り敢えず、自己紹介が終わった。

 

「サトシ君。トウヤが世話になっている様だね」

 

「いいや。オレは何にもしてないよ!それに、トウヤとメイとの3人旅は楽しいんだ!」

 

「それでさ、2人共。何しに来たんだ?」

 

「そうだったね、本題に入ろうか。ベル」

 

「ええ。サトシ君とトウヤに、アララギ博士から渡し忘れたものがあったから、それを届けて来るように言われたの!」

 

ベルは、2人にバッジケースを差し出した。

 

「バッジケース!何か忘れてるかと思ったら!」

 

「あはは……」サトシは苦笑いした。

 

「僕達のお使いはこれで終わりという事になる。ライモンシティまでのバッジはゲットしたは良い物の、ホドモエの跳ね橋は上がっていて通行出来ない。今はポケモンを鍛える傍ら、図鑑の完成を目指そうと思ってね」

 

「じゃあ行くねトウヤ!また会ったら、バトルしましょう!」

 

「ああ!じゃあな!」

 

チェレンとベルはサンヨウシティ方面に向かって行った。

 

「じゃあ行こうか」トウヤが声を掛ける

 

「だな」

 

*

 

そしてシッポウシティに到着した。

 

「独特な街ですね」シッポウシティを見通したメイの感想はそれだった。

 

「如何にも、アトリエの町って感じだよな!芸術性があって良いんじゃないかな?」

 

意外にも芸術に関心を持っているトウヤであった。

 

「ここまでで沢山バトルして来たしな。ポケモン達もヘトヘトだし、ポケモンセンターへ行こうぜ!」

 

サトシ、トウヤ、メイはポケモンセンターに向かう。ジョーイに、全てのポケモンを預けて回復するのを待った。その間、ジム戦の情報を集める事にした。

 

1時間後、ポケモンを受け取ってから集めた情報を共有し合った。

 

「ジムリーダーが使うポケモンは2体らしいぜ、サトシ」

 

そんなわけで、シッポウジムに来ると、その入り口には帽子を被った男がいた。Nだ。

 

「……」メイは咄嗟にトウヤに後ろに隠れた。

 

「やあ、サトシ君、トウヤ君」

 

「Nさん……」

 

「あなたは相変わらずみたいですね……」

 

「まあ、そうだね。ボクはね、誰にも見えないものが見たいんだよ。ボールの中のポケモン達の理想に、トレーナーという在り方の真実を」

 

「……」3人は黙って聞いている

 

「その果てに僕が望むのは、ポケモンが完全となった未来。その為に、人からポケモンを解放する。例え、それが大きな犠牲を払う事になろうとも……」

 

「犠牲を対価に成り立つ理想や真実は、オレには要りませんよ」

 

「……そうか。ポケモンとの信頼関係が極めて高い君達、特に人間の身勝手な理由で捨てられたポケモンを仲間に加えたサトシ君なら共感してくれると思ったけどね。良いさ。今すぐに理解しろなんて言わないよ。それより、ボクのトモダチで未来が見る事が出来るか。君で確かめさせて貰う」

 

ポケモントレーナーのNが勝負を仕掛けて来た。Nはチョロネコを繰り出した。

 

「ポカブ、君に決めた!」

 

「猫だまし」

 

サトシがポカブを出して早々、猫だましで怯ませるチョロネコ。

 

「ポカブ、大丈夫か?」

 

「カブ!」

 

「チョロネコ、乱れ引っ掻き!」

 

「火炎放射で牽制しろ!」ポカブの技は、チョロネコを近付かせなかった。

 

「ニトロチャージ!」

 

サトシは、隙を突いてポカブに指示を出す。

 

「早い!しかも背後に回られた!やはりイッシュのトレーナーとは別物レベルの強さだ!」

 

「今だ!熱風!!!」

 

チョロネコは、至近距離で技を受けて戦闘不能に。Nは思わず顔を歪めた。

 

「ゴメンね。もどって。マメパト!」

 

Nはチョロネコを戻し、マメパトを繰り出す。

 

「もう1度熱風!」

 

「風起こし!」2つの技が衝突する。熱風が若干押していた。

 

「電光石火」

 

「ニトロチャージ!」

 

接近戦でぶつかる。取っ組み合いのような状態になった時、Nが動いた。

 

「睨み付けてから、もう1度電光石火!」

 

マメパトはポカブを睨み付けた。防御力が下がっただけでなく、ポカブも若干怯えてしまった。マメパトは電光石火の一撃を叩き込む。ポカブに与えられたダメージはかなり大きく、戦闘不能直前だった。だが……

 

「カブウウウウウウウウウッ!!」ポカブが炎を纏った。

 

「ニトロチャージ!?いや違う!猛火の特性が現れたのか!」

 

「電光石火で近付いて!」

 

「ポカブ、火炎放射!!」

 

桁違いに大きな火炎放射を放つ。マメパトはそれに直撃し、戦闘不能。ポカブの方も、既に満身創痍だった。

 

「お疲れ様ポカブ。ゆっくり休んでくれ。ハトーボー、君に決めた!」

 

「……オタマロ!!」

 

サトシはハトーボーを、Nはオタマロを繰り出した。

 

「水鉄砲!」

 

「風起こしで水を纏え!」

 

オタマロの放った水鉄砲に対し、ハトーボーは風起こしで水を吸収する。技を利用されるなんてと、Nもオタマロも驚いた。

 

『今までトレーナーとバトルして来たけど、サトシ君はそれまでとは全く別物レベルの強さだ!』

 

「もう1度風起こし!オタマロにぶつけるんだ!」

 

「オタマロ、連続で輪唱を頼むよ!」

 

輪唱は、使う度に威力が上げる技だ。これを利用して、水を纏った風起こしを相殺した。が、オタマロの目の前にハトーボーがいた。

 

「しまった!さっきの攻撃は、フェイクだったのか!」

 

「ハトーボー、新しい技を行くぞ!燕返し!」

 

ハトーボーの攻撃が決まった。オタマロが戦闘に不能になる。

 

「お疲れ様。ドッコラー、宜しく」

 

そのドッコラーも、サトシとハトーボーの連携の前に敗れ去った。勝者、サトシ。

 

「……まだ未来は見えない……」

 

どこかサトシを甘く見ていたと反省するN。敗北を認める。

 

『これは教訓だ。サトシ君を並の一般トレーナーだと過小評価したボク自身への、教訓。イヤ彼は……もう、その領域すら超えている可能性が極めて高い』

 

「今のボクや、トモダチでは、全てのポケモンを救う事は絶対に不可能。世界を変える為の数式は解けない。ボクには力が必要なんだ。誰もが納得する力を。君達を納得させられる力を!」

 

「Nさん……」

 

『N様……』メイはトウヤの後ろでNを見ていた。

 

「その力はわかっている!英雄と共にこのイッシュ地方を建国した力!伝説のポケモン、理想を司る黒き竜『ゼクロム』!ボクは英雄となり、ゼクロムとトモダチになる!英雄になれた時、キミ達3人にも、僕の考えが分かると良いね」

 

Nは立ち去った。

 

「おい、あの人。もうイッシュのトレーナーじゃ勝てないんじゃねえのか?まとも対抗出来るの、サトシだけだったし」

 

もしバトルしたのが自分だったらと思うと、とゾッとしたトウヤ。

 

「トウヤ。だったら、お前もそのレベルにまで這い上がれば良い。オレもそれに協力するよ。それに、きっとNさんは強くなるさ。もしも戦うことになってもオレは戦う。あんまりそう言うのは望まないけど……トウヤの力も必要になる」

 

「絶対に……強くなってやる!」トウヤは決意を新たにした。

 

だが、そんな空気を壊す者はすぐに現れた。

 

「予測も出来ないなんて、これだから田舎者の穢れた血の血統は……」

 

現れたのは、シューティーだった。サトシ達を嘲笑っている。正直、サトシとしては彼に対して余り良い印象は持ってない。トウヤが敵対心剥き出し、メイも不快な表情をしているから、冷静でいられるだけだ。

 

「さっきの男の人は、そこの田舎者と同等だ。いずれ追い抜かれる。強い者だけが生き残り、弱い者はその糧となる。基本中の基本だろ?」

 

「あなたは何も分かってない……」メイが勇気を出して反論する。

 

「トレーナーにもなってない君が何を言ってるんだい?あの男を倒すのは最強の僕だ!」

 

「サトシさんはバトルは日々成長する。さっきN様とのバトルでも、まだ余力を残していた。少なくとも、N様よりも弱いあなたに負ける要素なんて無い」

 

「なっ!お前に何が分かる!そこにいるのは、田舎の冴えなさすぎる駄目トレーナーだ!!」

 

シューティーはメイに殴りかかろうとする。メイは目を瞑った。

 

だが、彼女に拳が降りかかる事は無かった。トウヤが自分の額で受け止めていたからだ。

 

「!?」

 

「おい……」

 

「な、何だ!田舎者の不純物の分際で!」

 

「オレの妹に手を出すとは言い度胸じゃねえか!」

 

トウヤはシューティーに腹パンした。シューティーは蹲る。

 

「野蛮な……」

 

シューティーはトウヤを見る。これまでにない程の本気の怒りの眼をしていた。その志ある目を、シューティーは恐れた。

 

「正直言って、お前の方が醜くて、野蛮で、浅ましいな。いい加減認めろ。どう足掻いたって、お前じゃあサトシには勝てないって事を」

 

『僕がサトシに勝てないだと!?そんな事が……』

 

「もう良いよトウヤ」サトシが制した。

 

「サトシ」

 

「オレは自分の事を悪く言われようが気にしない。だけど、メイに危害を加えようとしたんだ……それだけは、絶対に許さない!」

 

「ほざけ!今度こそお前に勝って、僕が正しい事を証明してやる!!」

 

サトシとシューティーのバトルが始まった。

 




サトシのポケモン
ピカチュウ♂
ガバイト♂
ミジュマル♂
マメパト♀
ポカブ♂
ツタージャ♀



トウヤのポケモン
ポカブ→チャオブー♂
サンダース♂
ワシボン♂
ミジュマル♀
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