這いつくばってお辞儀します。これからも宜しくお願いします。
シューティーはハトーボーを繰り出した。
「よし、オレは……」
出て来たのはツタージャだった。
【サトシ。私、こういう奴は嫌いなのよ!絶対に負けないって約束するから出させてくれないかしら?】
「ツタージャ……」
「ハッ!こんな状況でツタージャを出すなんて基本がなってないね!」
「分かった!思う存分やってこい!」
【元からそのつもりよ!】
「瞬殺しろハトーボー!燕返し!」
「竜巻でハトーボーを飲み込め!」
確かに相性やスペックだけを見れば、シューティーのハトーボーの方が上だ。だが、サトシのツタージャは野生に戻ってから常に格上の相手と死闘を繰り広げて来た。よって、サトシの手持ちの中ではピカチュウ、ガバイトに次いで戦闘能力は高い。少なくとも、そこら辺のポケモンよりは経験は豊富なのだ。結果的にではあるが、中間進化系ともある程度互角以上に渡り合える様になっている。
竜巻はハトーボーを飲み込んだ。
「未進化の癖になんて力だ!ハトーボー、さっさと脱出だ!」
「目覚めるパワー!」
ツタージャの目覚めるパワーのタイプは炎タイプだ。それを竜巻にぶつけると、炎化した。竜巻のダメージに加え、炎によるダメージも受けるハトーボー。
「サトシさん、時々えげつない事しますよね」
「機転が人一倍優れているんだろうな」
何とは脱出できたものの、殆ど余力は残っていない。
「ツタージャ、アクアテール!」
【恨むのなら、見た目と未進化と言うだけで私を弱いって評価したあなたのトレーナーを恨む事ね】
ハトーボーは倒れた。
「クソォ!何で勝てないんだ!ヒトモシ!」
トウヤ、メイ、サトシ一行のポケモン達は思った。ツタージャは激怒している。黒いオーラを纏っているのだ。シューティーのポケモン、終わったなと心の中で彼らは合掌した。
当然、ハトーボーを倒しただけでツタージャの怒りが収まる筈が無かった。続いて出て来たヒトモシは勿論の事、プルリル、パニプッチ、ドッコラー文字通り彼女のストレス発散の為のサンドバッグとなったのだから。それに引き替え、ツタージャはほぼノーダメージだ。
「ツタージャ1体で、僕のポケモンを殆ど……嘘だ!まぐれだ、まぐれに決まっている!進化系の力を見せてやれ!ジャノビー!!」
シューティーはジャノビーを繰り出した。
【調子コクんじゃねえぞ!未進化の分際で!】
【それはこっちの台詞よ!】
ツタージャとジャノビーのバトルが始まろうとした。
だが、ミジュマルが出て来た。
【ツタージャ、悪いけどジャノビーとのバトルはオレがやる!譲ってくれないか?】
【負けるのは無論、サトシに恥を掻かせる様なバトルをしたら承知しないわよ】
【恩に着るぜ!】
ツタージャからミジュマルにバトンタッチした。
【ツタージャ……イヤ、今はジャノビーか】
【ミジュマル……俺様をバカにしているのか?】
【別に。オレは至って真面目だ!負けるつもりなんてねえよ!】
「リーフブレード!」
【くたばれ!】
「シェルブレードからの凍える風だ!」
【任せろ!】シェルブレードが氷の刃と化した。
「行くぜミジュマル!」
【オウよ!】
「【アイシクルブレード!!!!!】」
アイシクルブレードとリーフブレードがぶつかり合った。力ではジャノビーに軍配が上がっているが……
「アイシクルブレード!?それに互角だと!?こんなの基本じゃない!」
「どうして互角なの?」メイがトウヤに聞く。
「ミジュマルはホタチで斬るポケモン。刃のセンスは元からあるんだろうな、種族的に」
「ミジュマル、アイシクルブレードでリーフブレードを受け止めるんじゃない!受け流すんだ!」
【分かったぜサトシ!】
【受け流すだけじゃ勝てないぞ!】
「そして懐に入り込んで……」
ミジュマルは、ジャノビーの後ろに回り込み、懐に接近。
「キツイ一撃をぶちかませ!」
【サトシのベストパートナーはオレだ!電気ネズミから、その座を引きずり下ろすんだ!ここでお前に負けたら、それすら遠退くぜ!】
ジャノビーにアイシクルブレードの一撃を叩き込んだ。効果は抜群だ。
「ならば……」
「ミジュマル!アクアジェット!」
「グラスミキサーだ!」
ジャノビーはグラスミキサーを発動した。対して、ミジュマルはアクアジェットを出した。だが、攻撃する為ではない。グラスミキサーの射程距離から遠ざかる為だ。
「凄い凄い!」
「避けただと!?『どうして僕のやろうとしている事が……でも、逃げろなんて一言も言わなかった!何故だ!?基本、常識じゃないぞ、こんなの!!』」
「ミジュマル、もう1度アクアジェット!『攻撃だ!』」
「居合い切りで迎え撃て!」
だがジャノビーは動けなかった。ミジュマルの気迫、そしてサトシ同様の志ある目の前に怯えて何も出来なかったのだ。だから、アクアジェットの直撃を受けた。
「何をやっているジャノビー!」
【すまないシューティー】
「次はちゃんと当てろ!エナジーボール!」
「ミジュマル!『危ない!ホタチで弾け!』」
ホタチでエナジーボールの軌道を変えた。よって、エナジーボールは不発に終わった。
「『攻撃に隙が出来た』ミジュマル!アクアジェットで近付け!」
ジャノビーの直前でアクアジェットを解除する。
「リーフ……」
「遅いぜシューティー!シェルブレード!!」
最後はミジュマルの攻撃が決まった。ジャノビーは限界が来て倒れる。よって勝者、サトシ。
「マジで勝ちやがった。完全勝利だな」トウヤが小さく呟いた。
「お疲れ様ミジュマル」
ミジュマルに労いに言葉をかける。シューティーは茫然としていた。
「サトシさんポケモンセンターへ行きましょう!」
「ああ!連戦だったからな!」
3人は、そんなシューティーを無視してポケモンセンターに向かった。
「僕は間違えていない!!僕は正しいんだ!もっと。もっと力を!!田舎者も!田舎者の血が混じった不純物も!!誰にも負けないくらいの力を!!」
シューティーの目は、完全に怒りや憎しみ、嫉妬に染まってしまった。サトシとトウヤを完封なまでに叩きのめす為に。次の目的地は決まっている。現在、持っているバッジは3つ。ライモンシティだ。
*
そして、ジム前の博物館に来たサトシ一行。
「ジム挑戦ですか?」
「「はい!」」
サトシ、トウヤが力強く言った。
「そうですか。それでは奥にいるママに会ってください」
そう言った館長が示す先は、更に奥の図書館の様なところだった。
「はぁい。ようこそシッポウジムへ。私はここのジムのリーダーアロエさ。さぁ。やろうか。まずはフィールドを見つけてもらおうか。さて。何処に隠してあるか。ヒントはこの図書館の中さだよ」
そう言うアロエ。
「う、こ、この中から。ジムを?」サトシが苦い顔をする。
「……」トウヤも同意見なようだ。
「それにさ。色々勉強にもなるよ?これとかどう?」
アロエは緑の本を指差した。
「トウヤ、従ってみよう。これもジム戦の1つだ」
「だな。鬼が出るか、邪が出るか……」
2人で一緒に、アロエが言った本を取る。すると本棚が動く。
「さあおいで。こっちだよ」
バトルフィールドに到着した。最初はトウヤだ。
「これより。チャレンジャー・トウヤ。ジムリーダー・アロエのジムバトルを開始します!使用ポケモンを2体!どちらかのポケモンが戦闘不能になったらバトル終了!手持ち交代は互いに認められます。それでは!はじめ!」
「いきな!ハーデリア!」
アロエはハーデリアを出した。
「サンダース!頼む!」それに対し、トウヤはサンダースを繰り出す。
「二度蹴りだ!」
「セオリーで来るみたいだね!睨み付けな!」
サンダースの動きが止まる。
「なら電撃波だ!」
サンダースの技が当たった。ハーデリアは麻痺状態になる。
「よし!」ガッツポーズするトウヤだが、アロエは不敵な笑みを浮かべたままだった。
「アロエさん。状態異常になったのに、どうして……」
『まさか!』サトシはアロエの意図に気付いた。
「空元気だよ!」
状態異常になっている為、威力は倍増している。サンダースは倒れた。
「……チャオブー!」
トウヤはチャオブーを出す。
「火炎放射!」
「シャドーボール」
その瞬間、シャドーボールが4つ現れて火炎放射を相殺した。
「ニトロチャージ!」
「突進だ!」チャオブーとハーデリアがぶつかり合う。
「もっとニトロチャージを続けろ!」
「空元気で一気に仕留めな!」
だがハーデリアは、体が痺れて動けない。その間にチャオブーの攻撃が当たる。
「火炎放射!」
火炎放射がハーデリアに炸裂。ハーデリアは戦闘不能になる。
「ハーデリアお疲れ様。ゆっくり休みな。ミルホッグ!」
アロエはミルホッグを出した。
「チャオブー。ニトロ……」
「敵討ち!」
ミルホッグの技を食らい、チャオブーは既に限界だった。
「敵討ちはね、味方が倒れた時に使うと威力が倍増する技なのさ。空元気も、状態異常になっていると同じような効果になるのさ」
「サトシから言われたのに……まだ心の底で、たかがノーマルタイプだって甘く見ていた!」
「潔いね。前に来た金髪の子も、1度負けているんだけどさ」
『シューティー。ここでも1度負けているのか』サトシが心の中で呟く。
「ミルホッグ、催眠術」
「ニトロチャージで躱すんだ!」だが、チャオブーにそこまでの体力は無く、眠ってしまう。
「岩砕き!」チャオブーは戦闘不能になった。
*
トウヤはジム戦に負けてしまった。
「トウヤ」
「お兄ちゃん」
泣いていた。完全敗北し、心の底から悔しいと思い、声には出してないが泣いていた。
「メイ。トウヤをポケモンセンターに連れて行ってくれ」
「はい!」
サトシは2人を見送った。
「負け犬が泣いてたぜ!」
「ハハハ!こりゃ、傑作だ!」
「あ!田舎者がいるぜ!」
「どうせ無様に負けるだけさ!」
「負け犬のダチは、田舎者ね。クズはクズ同士、仲良くしていれば良いのよ!」
心無い言葉が、サトシとトウヤに容赦なく降りかかって来た。サトシは、ぶんなぐってやりたいという衝動にかられた。ピカチュウも、そんな輩に電撃を浴びせたいようだ。
「……」だが、抑えた。またジムの中へ入って行く。
サトシは、アロエの前に立った。
「来たね。もう1人のチャレンジャー」
「バトル。お願いします。」
サトシはバトルを頼む。だがその目は、怒っていた。
「?怒っている様だけど、私が何かしたかい?」
「いいえ。アロエさんはジムリーダーの責務を果たしています。実は外で……」
外で起こった出来事を伝えた。心無いトレーナー達がバトルに負けて泣いているトウヤの心に更なる傷を与えるような言動を。
「そうかい。アンタは優しいんだね。今でも思うよ。このイッシュも、アンタみたいなトレーナーばかりだったらどんなに救いがあるかって……」
「アロエさん」
「すまないね。愚痴に付き合わせちゃって」
「良いんです」
「それじゃあ、始めようか。ハーデリア!」
「ミジュマル」
「ハーデリア、気を付けな!今回のチャレンジャー、恐らく今までよりも1番強いからね!」
「アクアジェット!」
「突進だ!」
ミジュマルとハーデリアがぶつかる。
「ミジュマル、エアスラッシュ!」空気の刃で攻撃する。
「シャドーボールで相殺しな!」4つのシャドーボールが、エアスラッシュを相殺する。
「アイシクルブレード!」隙を突いてハーデリアに攻撃を当てた。
「ハーデリア、突進!」
「ミジュマル、ハーデリアを引き付けろ!塩水!」
ハーデリアのダメージは半分を切っているので、威力は倍になった。ハーデリアが倒れる。
「お疲れさん、ハーデリア。サトシ、アンタやるね」
「ありがとうございます!」
「さて。いくよ!ミルホッグ!」
「ポカブ、君に決めた!」
アロエはミルホッグ、サトシはポカブだ。奇遇だが、トウヤの時と同じだ。
「催眠術」
「ポカブ、火炎放射!カウンターシールド!」
ポカブは回りながら火炎放射を発射する。催眠術を打ち破った。
「成る程」
「ポカブ、連続でニトロチャージ!」
「ミルホッグ。今はひたすら回避に徹しな」
ポカブはどんどん素早くなっているが、ミルホッグは紙一重で躱し続けた。
「今だ、自己暗示!」
「マズい!ポカブ、距離を取れ!」
「もう遅いよ!敵討ち!」
ミルホッグの素早さは高く、ポカブはダメージを受けてしまう。限界まで体力を削られた。
*
「才能の無い奴は要らねえな。草タイプに負ける様な奴なんてよ」
ポカブは思い出した。謎の草タイプのポケモンに負けてしまい、前のトレーナーに捨てられる時の光景を。
*
「ミルホッグの攻撃で、戦闘不能になった様だね」
「オレ達だって負けません!オレはポカブの強さを知っている。強くなる為に頑張って来たんです!コイツは凄い可能性を秘めているって感じてますから!」
【そうだ。オイラがここで負けたら、本当に弱いままなんだ!オイラの命を救てくれたサトシの為にも、ここで勝つんだ!】
突然ポカブの身体が光りだした。
「これって、進化の光か!?」
ポカブの身体は大きくなる。そして光は収束し、チャオブーになっていた。
「面白くなって来た。でもあたしたちも負けるつもりは無い!ミルホッグ、岩砕き!」
「新しい技行くぞ!チャオブー、突っ張り!」
突っ張りがヒットし、ミルホッグは地面に叩き付けられた。
「チャンスだ!ニトロチャージ!」
チャオブーの攻撃が決まり、ミルホッグはダウンした。
「ミルホッグ戦闘不能!チャオブーの勝ち!よって勝者!チャレンジャー・サトシ!」
審判をしていたキダチが叫ぶ様に言った。勝者、サトシ。
サトシのポケモン
ピカチュウ♂
ガバイト♂
ミジュマル♂
マメパト♀
ポカブ→チャオブー♂
ツタージャ♀
トウヤのポケモン
チャオブー♂
サンダース♂
ワシボン♂
ミジュマル♀