サトシのイッシュ冒険記 ~真実の救世主~   作:純白の翼

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EP15 つまらぬ復讐

サトシとメイは、ヒウンジムの前に立っていた。

 

「いよいよですね、サトシさん」

 

「ああ。それに、新しく捕まえたポケモン達の力も見てみたいしな」

 

トウヤが調べた情報によれば、ヒウンジムは虫タイプのジムで、4体4でのバトルだ。なので今回はハトーボー、クルミル、ペンドラー、ピカチュウの4体で挑む予定になっている。サトシがこのイッシュ地方でゲットしたポケモンは、現在アララギ研究所の預かりとなっている。

 

研究所待機組は、オーキド研究所にから来たサトシのポケモン達によるしごきを受けており、急激なパワーアップを遂げているのである。

 

「よし、行こうぜ!」

 

サトシ達はジムへと入って行った。

 

*

 

その頃、トウヤはというとポケモンセンター付近の海岸線で修行していた。

 

「キバゴ、竜の怒り!」

 

アイリスの元では散々失敗ばかりだった竜の怒りは、トウヤのポケモンとなってからは成功率を上げていたキバゴ。

 

「アイリスの野郎、嘘をつきやがったな。キバゴ、とんでもなく強いぞ」

 

最近は引っ掻くをドラゴンクローにパワーアップさせる特訓をやっているし、サトシのピカチュウからが氷タイプ対策にとアイアンテールを教わっている。元々素質はあったのか、習得も時間の問題だろう。

 

「うん。上々だな……で、何かオレに用か?シューティー」

 

トウヤは、自分の近くにいた人物に声を掛けた。その目は、憎しみで濁り切っている。

 

「ここに来たのは復讐か?だとしたら、本当に笑えねえよ」

 

「田舎者の穢れた血と、その血を引く不純物を潰す。まずはお前から血祭りにしてやる!」

 

シューティーはドテッコツを繰り出した。完全にトウヤを殺すという目をしている。

 

「やるしかねえか」トウヤは、モンスターボールを構えようとする。だが……

 

【トウヤ。絶対に勝つから僕が戦いたい。修行の成果を見て欲しいんだ】

 

キバゴがトウヤに訴えかける様な顔で見た。

 

「分かった、無茶すんなよ」

 

【うん!】

 

「キバゴか……少しはマシなポケモンをゲットしたじゃないか」

 

「相変わらず上から目線なのな、お前」

 

もう怒る気力すら起きないトウヤ

 

「爆裂パンチ!」

 

「ドラゴンクローで応戦だ!」

 

ドテッコツの拳と、キバゴの爪がぶつかり合った。

 

「岩砕き!」

 

「甘いぜ!懐に毒突きだ!」

 

相変わらずのゴリ押し戦法をするシューティー。だが、サトシから機転を学び取ったトウヤからしてみれば、目が曇っているも同然だ。キバゴは小さな体を活かし、ドテッコツの死角になっている場所を見て毒を纏った拳を当てた。

 

「連続で爆裂パンチを当てろ!」

 

「力押しかよ。学習能力低いな、お前。キバゴ、竜の怒りで牽制」

 

「黙れ!」

 

キバゴの攻撃で怯んだドテッコツ。トウヤはそれを見逃さなかった。

 

「ドラゴンクロー!」

 

ドテッコツは倒れた。

 

「戻れ!行け、バニプッチ!」

 

バニプッチが出て来た。

 

「モンメン、頼むぞ!」

 

「相性無視で来たか。相変わらず基本がなってないな」

 

「キバゴほどじゃないが新入りでな。経験を積ませたいんだよ」

 

「冷凍ビーム!」

 

「綿胞子を纏うんだ!」

 

本来であれば、相手の素早さを下げる技を防御に使った。だが、胞子や粉系統の技は草タイプには全く効かない。結果、ノーリスクでバニプッチの攻撃をやり過ごす事に成功した。

 

「今だ、メガドレイン!」

 

一気にバニプッチの体力を吸い取った。バニプッチは倒れる。

 

「相性が普通だっただけだ!それに、あんな攻撃の回避なんて基本じゃない!」

 

「当たらなきゃなんでも良いんだよ。オレは基本を守りながらも、そこから応用に昇華していく。それがサトシとの旅で学び、結論付けたバトルスタイルだ!」

 

*

 

「宜しくお願いします。アーティさん」

 

「こちらこそ。このジムのルールは4対4でチャレンジャーのみ交代が認められるよ」

 

「分かりました」

 

サトシとアーティはバトルフィールドに立った。

 

「これが僕の1体目!行っておいで、イシズマイ!」

 

「頼むぜ、ペンドラー!」

 

アーティはイシズマイを、サトシはペンドラーを出した。

 

「シザークロス!」

 

「ペンドラー、鉄壁で防御しろ!」

 

イシズマイの攻撃を防御したペンドラー。元々群れのボスをやっていた為かレベルが高く、そんなにダメージも負っていなかった。

 

「ペンドラー、毒々!!」

 

「クッ、やるねサトシ君。でもね、守る!」

 

アーティも負けじとイシズマイに指示を出す。

 

「なら……ペンドラー、地面にアイアンテール!」

 

「サトシさん。何を?」エモンガを抱っこしているメイが小さく呟いた。

 

鋼鉄の尾が地面に叩き付けられ、イシズマイは打ち上げられる。これには流石のイシズマイも慌てふためく。

 

「今だ!毒々からのベノムトラップ!!!」

 

イシズマイは猛毒にされ、更には特殊な毒液によって攻撃、特攻、素早さが低下する。

 

「メガホーン!」

 

ペンドラーの攻撃が決まり、イシズマイは戦闘不能になる。

 

「イシズマイ戦闘不能!ペンドラーの勝ち!」

 

*

 

「プルリル!」

 

「行ってこいミジュマル!」

 

シューティーはプルリルを、トウヤはミジュマルを繰り出した。

 

「そのミジュマル。ホタチを2枚持っているそいつは……夢の跡地の!」

 

「そうさ。サンヨウジム対策にゲットしたんだ。今じゃ、オレのポケモンの中でも切り込み隊長を務めているんだぜ」

 

「ふざけるな!僕がゲット出来なかったそいつを、お前が捕まえたっていうのか!?」

 

今までにない位に取り乱すシューティー。

 

「昔からそうだ!田舎者の血が混じった不純物の分際で、僕がどんなに努力しても!お前はいつも、その1つ上を行っているッ!!それでどんなに苦しんだか……分かってたまるか!お前如きに!!」

 

「どうしたんだよシューティー」

 

「もう僕は、今までの僕じゃない!!今こそッ!お前を倒してッ!!引き立て役だった過去に決別してやるッ!!」

 

これまでにない程の怨嗟の言葉をトウヤに吐くシューティー。

 

「あの世で僕に詫び続けろトウヤーーーーーーーーッ!!!!」

 

*

 

「お疲れ様イシズマイ」アーティはイシズマイをボールに戻す。

 

『今までのチャレンジャーとは桁が違うな。流石はリーグ出場者か』

 

「僕の2体目はこの子だよ!デンチュラ!」

 

アーティはデンチュラを繰り出した。

 

「お疲れ様、ペンドラー。ハトーボー、君に決めた!」

 

ペンドラーからハトーボーに交代するサトシ。

 

「燕返し!」

 

「躱して、ハトーボーを蜘蛛の巣で捕まえて!」

 

紙一重で躱すデンチュラ。そのまま蜘蛛の巣を撒き散らして捕らえようとする。

 

「影分身からのエアカッター!」

 

影分身をし、無数のハトーボーが風の刃で蜘蛛の巣を打ち破った。

 

「燕返し!」デンチュラにヒットし、戦闘不能となった。

 

「ホイーガ、行っておいで!」

 

アーティは次にホイーガを繰り出した。

 

「クルミル、頼むぞ!」

 

「ハードローラー!!」

 

ホイーガは体を丸め、回転をしてクルミルを押し潰そうとする。

 

「糸を吐くで回転を弱めろ!その後に回避!」

 

ホイーガに糸を吐いて失速させる。クルミルはこの隙に別の場所へ逃げた。

 

「クルミル、虫食い!」

 

「鉄壁で防御!」

 

クルミルの攻撃は塞がれてしまった。

 

「今だよホイーガ。ソーラービーム!」

 

ホイーガはクルミルを吹っ飛ばす。

 

「クルミル!」

 

何とか立ち上がるクルミル。倒れそうだが、目はまだ死んでいなかった。未だにその目は、闘志に満ち溢れている。

 

【ペンドラーとハトーボーは頑張ってくれたんだ!今度は僕が頑張るんだ!】

 

クルミルの体が光り出した。

 

「ここで進化か!?」サトシも驚いた。

 

クルミルがクルマユに進化した。そして、緑色の球体を生成した。

 

「それって……エナジーボール!」

 

エナジーボールがホイーガに当たり、ホイーガは戦闘不能となった。

 

*

 

「祟り目!」

 

「水鉄砲で相殺!その後に突っ込め!」

 

技を相殺してから、プルリルへと向かうミジュマル。

 

「体当たり!」

 

「気でも狂ったのか!本当に基本がなっていないな!」

 

ゴーストタイプを持つプルリルにノーマル技をぶつける等愚の骨頂と嘲笑うシューティー。だがトウヤは、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「何がおかしい?凡ミスをやらかした癖に」

 

「オレのミジュマルの状態を見てみろよ」

 

ミジュマルは呪われボディに掛かっていた。

 

「フン。技を1つ封じたんだ。分かり切ったことじゃないか。基本だろ?」

 

「その封じた技は何だろうな?」

 

「そんなの体当たりに決まって……!?」

 

ここでシューティーの顔が歪んだ。嵌めたつもりが、実際に嵌められたのは自分の方だったという事実に。

 

「呪われボディは、1回の戦闘で1体のポケモンにつき、1つの技だけを封じる。その対象が元から使い物にならない技にすれば今まで通りってわけだ。アクアジェット」

 

*

 

「やるねサトシ君」

 

「アーティさんこそ」

 

「でもね、僕もむざむざとやられるつもりは毛頭無いんだ。見せてあげよう!このヒウンジムの守護神を!ハハコモリ!」

 

クルミル系統の最終進化系であり、アーティの切札でもあるハハコモリが君臨した。

 

「行くぞ、ピカチュウ!」

 

【うん!久々のジム戦だ!!!】

 

「10万ボルト!!!」

 

「ペンドラーやハトーボー、クルマユとは桁違いの強さを持っている様だね。ハハコモリ、守るんだ!」

 

流石はジムリーダーと言った所か。防御技は持っている。

 

「ハハコモリ、糸を吐く攻撃!」

 

「10万ボルトでカウンターシールド!」

 

回転しながら10万ボルトを放つピカチュウ。糸を吐く攻撃を打ち破った。

 

「やるね、サトシ君。ハハコモリ、破壊光線!」

 

「電光石火!」

 

眼にも止まらぬスピードで破壊光線を回避するピカチュウ。ハハコモリは、反動で動けない。

ピカチュウは、ハハコモリの目の前まで来た。

 

「目覚めるパワー!」ハハコモリは、効果抜群の攻撃が直撃した。

 

「成る程。氷タイプ。地面タイプや草タイプへの相性補完も出来ているんだね」

 

「色んな相手を倒せる様にする為に修得したんです」

 

「ここまで楽しいバトルは初めてだ。ジム戦でもなければ、1人のトレーナーとして手合わせ願いたいものだよ。ハハコモリ、リーフストーム!!」

 

ハハコモリは全力をかけて来た。

 

「ピカチュウ。リーフストームの台風の目に、エレキボールを打ち込め!」

 

シッポウシティで習得した新技『エレキボール』を、リーフストームの台風の目に叩き込む。すると、リーフストームは強制解除された。

 

「今だ!10万ボルト!」

 

ハハコモリに10万ボルトが当たり、戦闘不能となった。ジム戦はサトシが制したのであった。

 

*

 

「止めのシェルブレード!」

 

プルリルを倒したトウヤとミジュマル。すると、ミジュマルの体が光り始めた。

 

「お!」

 

何とミジュマルは、フタチマルに進化したのであった。

 

「おめでとう!これからもよろしくな!!」

 

【……】フタチマルは無言で頷く。

 

「ち……ちくしょう!また……またなのか!」

 

シューティーが狂ったように叫ぶ。プライドは殆どズタズタにされていた状態だった。

 

「3対3のバトルには勝利した。オレは行くぜ。今のお前に勝ったって、ちっとも嬉しくねえからな」

 

トウヤは立ち去ろうとする。

 

「……今のは、まぐれだ!今度こそ基本をその体に刻み込んでやる!!ジャノビー!」

 

明らかにおかしい言い掛かりだった。

 

「マジかよ!」

 

ボールを取り出そうとするトウヤ。だが、ジャノビーは居合切りを発動させながら確実にこちらへ近づこうとしている。万事休す……そう思った。

 

「ブラッキー、サイコキネシス!」

 

ジャノビーの身体が空中に浮いた。

 

「エレキブル、雷パンチ!!」

 

雷を纏った拳がジャノビーを襲い、吹っ飛ばした。そして、勢い余ってシューティーにぶつかり、海に叩き落された。

 

「助かったのか?」

 

トウヤが後ろを振り向いた。そこには、ブラッキーとエレキブルがいた。そして、2人の少年も。1人はツンツン頭で、もう1人は紫の髪をした目つきが鋭かった。

 

「おや。やる事がちょっとばかり過激だね、シーンジ君」

 

「やかましい。それにしても、イッシュのトレーナーは全員あんなものか?100人中100人がそうなら、もう笑えないぞ。尤も、そこの奴は至ってまともそうではあるがな」

 

「あ、あの。ありがとうございます。オレ、カノコタウン出身のトウヤって言います」

 

「別に。礼には及ばないよ。こっちは、アララギ研究所に一定期間所属する事になったんだ。ああ、そうそう。自己紹介がまだだったね。僕はシゲル。ただのポケモン研究者だよ」

 

「――シンジだ。イッシュのポケモンリーグに挑む為に来た」

 

シゲルはフレンドリーな感じがする一方、シンジの方は割とドライだなと感じたトウヤ。それでも、サトシと匹敵する程の実力者だと言うのは一瞬で分かった。

 

『あれ。この2人の名前、どこかで聞いた事がある様な……特にシゲルって人は』

 

カントーに関する情報は、イッシュ地方の人間に比べれば比較的幅広く持っていると自負しているトウヤでも、彼ら2人の事がどこかで聞いた事があるのは確かだが、細かくは思い出せなかった。

 

「あ、それじゃあそろそろオレ行きますね。旅の仲間と待ち合わせていますので」

 

トウヤはそう言って一礼し、走り去っていった。

 

「それじゃあ、行こうか。イッシュリーグに挑むにしても、ジムバッジの前に図鑑のデータを更新しないといけないし」

 

「――そうだな。行くか」

 

シゲル、シンジの2人組はカノコタウンを目指そうとする。だが、シューティーが這い上がって来た。海に突き落とされて、相当頭に来ている様だ。因みにカメラは、海水に浸かってしまい使い物にならなくなっている。

 

「ま、待て……人を海に突き落として、旅の記録に使っていた僕のカメラを壊しておいて。基本のなってない田舎者の分際で良い身分だな!」

 

「ほう。同じ人間を、自分のポケモンをけしかけて殺そうとしたお前に言われる筋合いはないがな」

 

「というか、君の方が基本がなってない。いや、非常識だけどね。走り去っていった彼の方が余程基本的な心構えが出来ているし、常識があるよ」

 

シゲルが呆れた様に言う。

 

「僕が非常識だと!?それに、あの田舎者の血が混じった不純物の方が常識的だと!?ふざけるな!」

 

「人のポケモンを許可なく撮影する。それ、盗撮という名の犯罪だよ。それも分からないのかい?まあ、今はカメラが使い物になってないけど」

 

「盗撮をして我が物顔をするお前のどこが常識人だ。下らん」

 

「──なら、どちらが正しいか、バトルで決めようじゃないか。ルールは技の制限無しのフルバトル。田舎者に基本を教えてやる!僕が勝ったらカメラを弁償して貰うぞ!」

 

「どっちが行く?」

 

「オレがやろう。こういう奴は、実力で分からせた方が手っ取り早い。まあ、それでもバカに付ける薬など無いがな。それに……」

 

シンジは1つのモンスターボールを手に取る。その中には、あるポケモンが入っている。所持こそしているものの、シンジのポケモンではないのだ。

 

「あいつの最強クラスのポケモンの実力も知っておきたいしな」

 

「成る程。シンオウリーグで、そのポケモンを使って来なかった事に対して相当頭に来ている様だってのが分かるよ」

 

「……お前達。出て来い」

 

シンジは、4つのモンスターボールからそれぞれ、フシギダネ、ヒノアラシ、ミズゴロウ、タツベイを出した。

 

「これからやるバトルの観戦をして貰うぞ。オレがこれまで戦ったすべてのトレーナーの中で、最も強い奴のポケモンのバトルをな。お前達には、いい刺激になるだろう」

 

シンジの言葉に、フシギダネ、ヒノアラシ、ミズゴロウ、タツベイは頷く。

 

しばらくして、ポケモンセンターからシューティーが戻って来た。ストレス発散を兼ねたウォーミングアップにはなるだろうとシンジは思っていた。

 

後に、シューティーを過大評価していた事を後悔する羽目になったのだが。

 

「リザードン、バトルスタンバイ!」

 

「行け、プルリル!」

 

シンジとシューティーのバトルが始まったのであった。

 

*

 

今は、ジャノビーとリザードンのバトルになっている。ジャノビーを除くシューティーのポケモンは全滅だ。

 

「リザードン、フレアドライブ!!!」

 

【オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ……オラァッ!!!】

 

サトシのピカチュウ同様、リザードンもまた時を止めたかのような超スピードでジャノビーにラッシュを叩き込んだ。相性の関係上、どう見てもオーバーキルであるが。

 

結果は、シンジの完全勝利だった。シューティーは、リザードンに全くダメージを与えることが出来ずに全滅したのである。

 

「こ、こんな筈じゃ……」狼狽えるシューティー。

 

「言っておくが、リザードンは俺のポケモンじゃない。ちゃんと本来のトレーナーが居る」

 

『酷いね。これは。教科書通りのバトルしか出来ていないじゃん――完全に新人トレーナーだね』

 

「どうしたんだい?さっきまでの余裕な態度が嘘の様に無くなっているけど」

 

「こ、これは何かの間違いだ!インチキをしただろう!」

 

「お前相手にインチキをするまでもないな。する価値すらない。第一、基本ばかりな技や戦術は、俺やシゲル、そしてこのリザードンの本来のトレーナーには全く通用しない」

 

「ハッキリ言っておくよ。君は、現状のレベルに満足してるだけの、只の新人トレーナーだ。強くなりたければ技の応用を考えなよ。使えるものは使って、盗めるものは盗む。そうじゃないと、トレーナーとして成長できないよ」

 

「なっ!?」

 

「尤も、お前はそれ以前の問題だがな。人間として最低だ」

 

言いたい事だけを言って、シゲルとシンジは今度こそカノコタウンに向かう事にした。

 

*

 

その頃、シッポウ博物館では……

 

デューンは、聖杯と古代の王冠を元の場所に戻した。

 

「結局聖杯は偽物だったな。でもまあ、どんなものかだけは分かったし。良しとするかね」

 

そして、またどこかへ行った。後日、アロエが盗まれた筈の聖杯と古代の王冠を見つけて驚愕したという。

 

*

 

「お前達」

 

イッシュ地方某所。ゲーチスは、ダークトリニティを呼び出した。

 

「ポケモン収容所から、脱獄囚を解放し、戦力にしなさい」

 

「ハッ!」

 

ダークトリニティが去ると、今度は白衣を着たメガネの男がやって来た。

 

「相変わらずのようですね」

 

「Dr.アクロマですか」

 

「あなたに頼まれたもの、完成しましたよ」

 

黒いリングの様な物体をゲーチスに渡す。

 

「とうとう完成しましたか。イーヴィルリングが」

 

「これを装着させれば、ポケモンを思いのままに操れますよ」

 

「流石ですね。つい最近、カロス地方から、ネオ神秘科学のメガウェーブの技術も手に入れた事ですしね」

 

「そうですか……私はただ、ポケモンの強ささえ引き出す方法さえ分かればそれで良いのです。それで、話は変わりますが、何故ポケモン収容所に?」

 

「囚人たちの中から精鋭を選出し、エインヘリャル8闘戦士を作り出すのですよ」

 

戦死した勇者の魂(エインヘリャル)ですか。それは大層な事で。ゲーチス。あなた、神にでもなるつもりですか?」

 

「神になどなるつもりはありません。私こそ、この世界の神なのですから!!!」

 

ゲーチスは立ち去って行った。

 

「やれやれ……あんな男の言いなりになるとは。Nも人を見る目が無いようですね」

 

アクロマのパソコンには、英雄候補者の項目があった。そこには、Nの名があった。だが、それだけでは無かった。他にも、メイやトウヤ、そしてサトシの名前も記されていたのだ。

 




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