サトシのイッシュ冒険記 ~真実の救世主~   作:純白の翼

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EP21 理想の帝王(後編)

「炎のパンチ!」

 

「アクアテールで迎え撃て!」

 

パワーは全く互角だった。

 

「蔓の鞭でジャンプだ!そこから勢いに乗ってリーフブレード!!」

 

サトシは続け様にジャノビーに指示を出す。ジャノビーは躊躇う事無く実行し、ヒヒダルマにダメージを与えた。ついでに急所にも当たったようで、何時もの倍のダメージをヒヒダルマは受けたのだ。

 

「やるね、サトシ君。オーバーヒート!」

 

「リーフストーム!」

 

技がぶつかり合う。オーバーヒートがリーフストームを打ち破った。だが、そんな事はサトシは想定済みだ。

 

『デューンの言っている事が正しいとすれば、ジャノビーは隠れ特性天の邪鬼になっているって話だ。リーフストームを使い続けると、特攻が上がる!次の手は……』

 

「ジャノビー、次は竜巻!」

 

リーフストームとの衝突で、多少なりともオーバーヒートの威力は落ちている。竜巻でどこまで抵抗出来るかは分からないが、懸ける事にした。すると、竜巻がオーバーヒートの炎を全てのみ込み、停止した。Nとヒヒダルマは、これに驚いた。

 

「今だ!もう1回リーフストーム!そこからリーフストームに向けて、アクアテール!」

 

水を纏ったリーフストームが完成し、炎を纏った竜巻にぶつける。すると水蒸気を発しながら、ヒヒダルマ目掛けて向かって来た。

 

「仕方が無い!馬鹿力!!」

 

Nも負けじと応戦するも、奮闘虚しくヒヒダルマは戦闘不能となる。

 

「お疲れ様。ゆっくり休んでね」

 

ヒヒダルマを戻し、Nは次にズルズキンを繰り出した。

 

「ガマガル!君に決めた!」サトシはガマガルを出した。

 

「ズルズキン、気合い玉!」

 

「ガマガル、まずは雨乞いだ!」

 

天気が雨になった。

 

「サトシは何をしているんだ?基本勢い重視なのに、補助技を使うなんて」

 

「ガマガルの特性、すいすいだな。天気を雨にする事で、素早さを倍にするんだろう。それで、十八番のバトルスタイルが出来る様にする為だろうな」

 

トウヤの疑問に対し、デューンが自分なりの考察を説明する。

 

「躱せ、ガマガル!!」

 

俊敏な動きで気合い玉を躱したガマガル。デューンの予想は当たった。

 

「怖い顔の後に飛び膝蹴り!」

 

「超音波!」

 

怖い顔でガマガルは素早さが下がった上で少し怯んでしまった。ズルズキンは隙が出来たと言わんばかりに飛び膝蹴りを行おうとするが、何とか体勢を整えたガマガルの放った超音波で混乱。訳も分からずに自分を攻撃する。

 

「ハイドロポンプでとどめだ!」

 

ガマガルの技が決まり、ズルズキンは戦闘不能となる。

 

「シンボラー、行ってきてくれ」

 

Nはすかさず、シンボラーを繰り出した。

 

「チャオブー、頼むぜ!!」

 

「シンボラー、追い風」

 

「火炎放射だ!!」

 

「躱して」

 

一定時間素早さが倍増したシンボラーは、難無くチャオブーの火炎放射を躱した。尤も、雨乞いの効果が続いており、威力が半減しているのもあるわけだが。

 

「エアカッター」

 

「ニトロチャージで回避だ!」

 

「甘いよサトシ君。シンボラー、サイケ光線」

 

エアカッターは避けたチャオブーだが、シンボラーは先回りしてサイケ光線を撃ちこんで来た。それは当たってしまった。

 

「功を焦ったみたいだね。雨も降っている状況でチャオブーを出すとは、君らしくない」

 

【何故お前は、人間を見限らない?1度はトレーナーに捨てられたと聞いているが?それに、今のトレーナーだって不利な状況で戦う事を強いているではないか】

 

シンボラーはチャオブーに問いかける。

 

【確かに、前のトレーナーに捨てられた時は人間は嫌だったよ。もしかすれば、Nの考えに賛同していたかも知れない】

 

【今からでも遅くはない。トレーナーを見限り、Nの側につけ】

 

【でも!サトシがオイラに光をくれた!弱いって理由で捨てられたオイラの為に怒ってくれた!サトシは1度、イッシュのトレーナーの暴言で神経を尖らせ過ぎて倒れた。オイラの命を救ってくれた恩人なのに、力不足だから守れなかったんだ!もうあんな思いはしたくない!プラズマ団がサトシに危害を加えるって言うなら、オイラはサトシを守るんだ!!!!!】

 

チャオブーの身体から火柱が発生した。

 

「これは……」Nの表情が厳しくなった。

 

「ここに来て猛火か!」トウヤは驚いている。

 

「チャオブー行くぞ!岩雪崩!!」

 

「シンボラー、回避を頼むよ」

 

相変わらず、シンボラーは岩雪崩を躱しまくった。だが……

 

「雨が止んだ」デューンが空を見ながら呟く。

 

「それに、追い風も止んだみたいです!」

 

「しまった!このタイミングで!」

 

岩雪崩を食らうシンボラー。効果は抜群だ。

 

「火炎放射だ!」続け様に火炎放射を浴びせるチャオブー。

 

「そしてニトロチャージで近付いて雷パンチ!」

 

ニトロチャージで一気にシンボラーに近付き、雷の拳を当てた。これでシンボラーは戦闘不能になった。だが……

 

【ただでやられる程落ちぶれてはいないのでな。サイケ光線を食らった気分はどうだ?チャオブー】

 

【クソ!ドローか!しくじった】

 

チャオブーも戦闘不能になった。

 

「お疲れ、チャオブー」

 

「シンボラー、よくやったよ」

 

Nはマラカッチを、サトシはタブランを出した。

 

「マラカッチ、ニードルアーム!!」

 

「サイコキネシスで跳ね返せ!」

 

ニードルアームはダブランを襲う。

 

「今だダブラン!シグナルビーム!!」

 

死角を突いた攻撃で、マラカッチは戦闘不能になった。

 

「お疲れ様マラカッチ。ゆっくり休んでね」

 

Nはマラカッチを戻し、次にワルビアルを出した。

 

「次は……」どのポケモンを出そうかサトシが迷っていると、ガバイトが出て来た。

 

「行きたいのか?」

 

【……】コクりと頷くガバイト。

 

「分かった。頼むぞ!」

 

「ワルビアル、噛み付く!」

 

「ガバイト、ドラゴンクロー!」

 

ややワルビアルが押していた。ガバイトは、何とかして体勢を立て直す為に距離を取った。

 

「竜の波導!」

 

「悪の波導!!」

 

竜と悪、双方の波動がぶつかり合う。ワルビアルの方が地力が高いのか、悪の波導が押していき、ガバイトに当たった。

 

「地震!」

 

「ガバイト、ジャンプ!」

 

「そう来るのは分かっていたさ、破壊光線!!」

 

ワルビアルの技が直撃してしまい、ノックダウン寸前に陥るガバイト。

 

「大したものだよ。良く育てられているね。ボクのワルビアルの破壊光線は、大抵のポケモンなら一撃で戦闘不能になるんだけど……直受けて尚、まだ立ち上がって来るとは」

 

「ガバイト」

 

【俺はまだやれる!勝つ為の指示を!】

 

「……そうか。分かった」

 

【ここでやられるわけにはいかない!こんな奴に負けたら、取り返しのつかない事になる!】

 

「そうだ。オレ達には無限の可能性が眠っている。Nさんは強い。だからって、自分の力の底を決めちゃったら、それ以上は成長しない!オレ達は、自分を信じるんだ!」

 

【オレ達自身の手で……】

 

「【無限の可能性を信じるんだ!!!】」

 

ガバイトの体が光り出した。

 

『何故サトシ君は諦めない?どうして彼のポケモンは、逆境に立たされても彼を見捨てずに一緒に付いて行こうとするんだ?理解が出来ない……人間はポケモンを苦しめる存在……そうじゃなかったのか?』

 

光は収束した。ガバイトは、ガブリアスに進化したのだ。

 

「行くぞガブリアス!もっと強く!もっと高く!」

 

その時だった。サトシの持つアロエから受け取った珠と、ガブリアスの持つ珠が共鳴を起こした。

 

「行くぞガブリアス!!」

 

【ああ!!】

 

ガブリアスの身体が再び光に包まれた。

 

「マジかよ。あれって……まさか」

 

「デューン、どうした?」

 

「カロス地方に伝わるポケモンの更なる進化。ポケモンが持つメガストーン、トレーナーの持つキーストーン、そしてここからが重要な事だ。ポケモンとトレーナーとの絆が合わさる事で引き起こす奇跡……その名もメガシンカ」

 

光がやがて終息をした。ガブリアスはメガガブリアスにメガシンカしたのだ。

 

「ワルビアル、気を付けて。さっきまでとは殆ど別のポケモンだ」

 

「ガブリアス、ドラゴンクロー!」

 

メガシンカしたガブリアスの戦闘スペックは先程までとは桁が違った。瞬時にワルビアルに近付き、攻撃を食らわせたのだ。

 

「破壊光線!」

 

「竜の波導!!」

 

竜の波導の威力も上がっていた。破壊光線を一方的に打ち破り、ワルビアルに直撃したのだ。

 

「今だ!アイアンヘッド!」

 

鋼鉄と化した頭部による攻撃をして、ワルビアルを戦闘不能にした。その瞬間、ガブリアスのメガシンカが解除されたのだ。勝者、サトシ。

 

*

 

「まさか、進化だけでなく更なるパワーアップまでして来るとは。やはり強い」

 

「N。メガシンカを見てどう思った?」デューンが問いかける。

 

「……人と共に歩む事を決めたポケモンがあんな力を出せるなんて、狂っている」

 

「まだそんな事を抜かすのか?メガシンカは、トレーナーとポケモンの絆の象徴であり、ポケモンは無限の可能性を持っているって事を表している。それを否定するって事は、ポケモンの持つ無限の可能性を、他ならぬお前自身が認めていないって事になるな」

 

「!?違う!ボクは……」Nはいつになく取り乱した。

 

「サトシはガブリアスとメガシンカを行った。それは、あいつのポケモンとの向き合い方やトレーナーとしての姿勢が正しいって事の証明に繋がるってわけだ」

 

「……今回の敗北は認める。だけど、最終的にはボクが勝たせて貰う。ボクには、変えないといけない未来があるんだ!その為にはポケモンチャンピオンを越えなければなれない!!誰にも負けない、君達にも負けない唯一の存在になり!!ポケモンの解放をする!その先にこそ、ボクの望む理想がある!!だからこそゼクロムの力が必要だ!サトシ君、トウヤ君、メイちゃん、デューン。ボクを止めたいなら、ボクの目指す所まで来ると良い」

 

Nはそう言って立ち去った。

 

「これからどうしましょうか?」メイが口を開いた。

 

「止めるべきだな。プラズマ団の事は抜きにしても」サトシが言った。

 

「ポケモンも人も生きている。結局あいつが言っているのは、ポケモンが幸せになって欲しい。それには離れるべき。それだけだ」

 

「人間と引き離されたくないポケモンもいるからな。Nさんは、ポケモンの言葉が分かるとか言っていたけど、幸せを考えるなら全てのポケモンの心を知らないとダメだな」

 

トウヤが空を見上げながら呟いた。

 

「私も、ビクティニちゃんやエモンガちゃんと別れたくありません!」

 

4人の意見が一致した。ポケモン解放を止めるべき、と。

 

*

 

その光景を遠くから見ていたのは、アクロマだった。

 

「成る程。確かに、私の導き出した計算通りですね。あのサトシというトレーナー、恐らく彼がレシラムに選ばれる可能性が極めて高い。そして次点で、トウヤ君ですね。カノコタウン出身のルーキーの中では頭一つ飛びぬけて実力が高い。もしサトシ君がイッシュに来ていなかったら、彼が真実の英雄になっていたでしょうね」

 

アクロマは、専用のデバイスでレポートを書き上げる。

 

「さて。行きましょうかジバコイル」

 

アクロマは立ち去って行った。

 




ガブリアスへの進化及びメガシンカをだしました。Nとのバトル得そうするのは想定通りなのですが、それではすぐに勝っちゃうなと思い、Nのポケモン達の強さを上方修正しました。この辺りから、ジムリーダーや名有りのプラズマ団等のトレーナー自身の実力及びポケモンのスペックが強化されます。
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