メンバーを考案してくれた如月提督様、金曜日(うんのよさ)様、ぽこまーの様、やさき(魚)様。ありがとうございます!
残りのキャラについても、何らかの形で出していきたいなと思っています。
先日。ムコニャと同盟関係になったサトシ。
「そう言えば……ニャースって喋るポケモンなんですね!」メイが言った。
「イヤ、あれはロケット団のニャースが特殊過ぎるだけだよ」
「数多くのニャースを見て来たが、流石に驚いたぜ」と、デューン。
「だよなあ!それにしたって、ここ最近は平和なもんだなぁ」トウヤが空を見上げる。
「ああ」サトシが同意した。メイとデューンも、大きく頷いた。
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ここは、ポケモン収容所。ポケモンを強奪したり、捨てたりといった罪を犯したトレーナーが受刑をする場所だ。
「何でこんな所に!しかも10年って!!」
ポケモン虐待、強奪の罪でアイリスも服役していた。懲役10年になっているが、それでもアイリスが行った所業を考えれば、大幅に刑は軽くなっているわけなのだが。残念な事に、アイリスは未だに自分の罪に気付いていないわけだ。
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さて、ポケモン収容所での1日をここで見てみよう。
「朝だ!貴様ら起きろ!」
6時半。刑務官の怒声が聞こえた。そして、チャイムも聞こえて来る。ここから朝が始まるのだ。10分の時間をかけて、着替え・掃除・洗面等を行う。
6時40分には点呼を取り、7時に朝食を食べる。味は非常に不味い。というより、栄養バランスを重視しているので相対的に味はそうなっているとも言える。7時半にはいつでも工場に行ける様な状態にしておかなければならない。7時40分にはもう出発だ。
「そこ!私語を慎め!」
工場で仕事をしている間は私語は厳禁だ。バレると、1回は注意を受けるだけで済むが、2回目以降は容赦なく鉄拳制裁が来る。刑務官の鬱憤も溜まっている為か、時には半殺しにされる者も少なくない。
12時になると昼食の時間になる。時間が余り無いので、味わっている暇など無い。その後は、13時まで休憩だ。
13時からは再び作業を始めなければらず、16時半の就業時間まで仕事をしなければならない。
17時に夕食を取り、17時半には掃除をしなければならず、19時になって2時間ほどの自由時間が与えられる。そして、21時には消灯だ。翌朝の起床時間まで、会話は禁止だ。
因みに入浴は、夏は週3回、冬は週2回で、時間はいずれも15分となっている。
ここに服役している者は様々だ。アイリスの様に懲役刑の者もいれば、他の者の様に終身刑や死刑判決を下された者もいるのであるから。
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「それもこれも、皆あの田舎者と三流の新人トレーナーが悪いのよ!!ガバイトさえ素直に渡せばこんな事にならなったのに!!!」
全てはドラゴンマスターになる為。その為に、無理矢理トレーナーからポケモンを手に入れたりした。どんな事だろうと、手段を選ばずにやって来たのだ。
面会で、オババ様とシャガが来た。キバゴとエモンガはトウヤ、ドリュウズはチェレン、モノズはサトシが引き取った事。そして、刑期を終えるまでソウリュウシティのジムリーダー候補から正式に外す事、終わったら再検討する事を報告されたのだ。
更に間の悪い事に、実兄カーネルまで来た。
「どうだ?自分の能力にかまけて自滅した気分はよ」
「うるさい!竜の里の面汚しの分際で、ドラゴンタイプの言葉も分からない癖にアタシの所に来るんじゃないわよ!」
「ああ。確かにオレは、ドラゴンタイプの言葉なんて分からねえな。ましてや、ポケモンの言葉なんて以ての外だ」
「ほーら見なさいよ。あんた自身が良く知ってるじゃないの!分かったらさっさと失せなさいよ!それか、この世から退場してくれた方がアタシとしても清々するわ!!」
「フン。本当に分かってねえのはお前の方だろ?このスカタン!殆どのトレーナーはポケモンの言葉が分からない。だからこそ、普段からコミュニケーションをとるように心がけているんだろうが」
カーネル。彼はアイリスの6つ上の兄である。だが、仲は良いどころか、互いに家族ですらないと思っている。
白より多少色のついた褐色の肌、透き通った銀色の髪、両耳に木で作った魔除けのイヤリングを付けている。里の民族衣装は着用せず、もっぱら洋服を着ているのだ。
カーネルは、竜の里始まって以来の落ちこぼれだった。加えて、ドラゴンタイプの言葉も分からない。
世話も、ポケモンバトルも不器用だ。後者に至っては、素質そのものがアイリスに追い越されている始末だ。それ故、いつも里の大人やオババ様に叱られていた。アイリスはそんな彼を見て、露骨に見下した態度で接した。
ある時の事だ。イッシュのトレーナーがカントーでゲットしたものの、すぐに弱いという理由で里の近くに捨てられた色違いのヒトカゲを保護した。そして10歳になった直後、そのヒトカゲを連れ、家出同然に旅立ったのだ。
その後は、アローラ、カントー、ジョウト、カロスの順に旅をし、リーグでもサトシほどではないが上位入賞しているのだ。尤も、アイリスは出鱈目だと認識しているが。
「お前には、もう家族としての情なんてこれっぽっちも持ってないけどな。もう会う事も無いだろうから、最後位は顔を拝んでも罰は当たらねえなと思っただけだ」
「何ですって!?」
「まあ、オレからすれば寧ろ、ポケモンの虐待や他人のポケモンの強奪をやらかして10年の懲役なんざ寛大だがな」
「黙って聞いていれば、アタシを怒らせる才能だけはある様ね!」
「お前が苦しむところを見るのはメシウマだけどな。まあ、ポケモンに見捨てられるなんてドラゴンマスターどころかポケモントレーナーとして大した事ねえな。これなら、サトシって奴の方が何十倍もマシだぜ。今度、リザードン同士を条件にして、バトルを申し込もうかね?」
「認めない………アタシは絶対認めないわ!!あんなに子供染みた田舎の新人トレーナーがアタシより強いだなんて!この世の全てのドラゴンタイプはアタシのものよ!アタシにはその力がある!能力だって申し分ない!いずれソウリュウシティのジムリーダーを継ぐアタシこそが、最強で偉大なドラゴンマスターに相応しいんだから!」
それを聞いて、カーネルはケラケラと笑った。
「何がおかしいのよ!」
「いやはや。お前が最強で偉大なドラゴンマスター……か。面白いジョークじゃねえか。自信過剰も、ここまで来るともう病気の末期症状だな、おい」
そして、そろそろ面会の時間も限界に近付いていた。
「じゃあな。クズアイリス。そのまま腐り果ててくれ。オレはオレで好きにやらせて貰う。後で、ババアに絶縁状でも突き付けに行ってやるとするか」
カーネルはそう言って、出て行った。余談だがカーネルの言うババアとは、オババ様の事である。
「どいつもこいつも我儘ばっかり言って!アタシは、未来のドラゴンマスターなのよ!そんな未来を約束されたエリートが、クズの掃き溜めで終わる!?冗談じゃないわ!」
全てが憎いと思っているアイリス。特に、自分を裏切ったかつての手持ちポケモン、そして自分より格下の筈の田舎者のサトシと、三流トレーナーであるトウヤ。あいつらさえいなければ……こんな惨めで嫌な思いはしなくて良かったのに……
「くそっ。早く出たいわ!」
「アタシの努力と輝かしい栄光を潰したあいつらが憎い!そして、アタシを散々コケにしたカーネルも!アタシを否定したこの世界にも復讐してやる!その為だったら、何だってやってやるわよ!!」
アイリスはそう願った。それは天に……届いた。
突然大きな爆発音が聞こえた。その直後、刑務官の悲鳴や断末魔が聞こえて来た。
殺ったのは3人組だった。そして、その後ろから壮年の男がやって来た。
「この閉ざされた檻の中で一生を終える夢無き皆様、ごきげんよう。私は、プラズマ団の七賢人ゲーチス」
「!?」
「何だ、あのおっさん」囚人の1人が呟いた。
「中には、死を待つだけの方もいる事でしょう。どうですか?いっその事、今から渡すポケモン達を使ってデスマッチをやってみませんか?」
「ゲーチス様は、強い者を欲している。弱者は不要。強者の糧となるのみだ」
ダークトリニティの1人が言った。
「生き残った強者は、プラズマ団の特殊戦闘部隊として娑婆へ連れ出してあげましょう!」
「……!!!ホントかオイ~~~!!!」
これはチャンス、アイリスはそう思った。やがてポケモンを受け取った。中には、カイリューが入っていた。
「いっけー!カイリュー!」
アイリスは、何やら黒いリングを装着させられたカイリューを出して、この脱獄をかけた殺し合いバトルに参加したのだった。
*
どれだけの時間だ立っただろうか?ポケモン収容所は、血と腐敗した死体の臭いで溢れ返っていた。
「ポケモン達は回収しておくのです」
「「「ハッ!ゲーチス様!!」」」
「これで出られるわ!」
アイリスは生き残った。自分以外の囚人の命を全て奪って。自分にはもう、帰る場所は無い。だったら、プラズマ団として名を上げ、その力でドラゴンマスターになってやるだけだ。
外に出たアイリスは、すぐさまゲーチスの用意した飛行船に乗り込む。
「ようこそ、選ばれし者よ!私は、君を歓迎したい!」
ゲーチスが口を開いた。
「改めて自己紹介させていただきましょう。私の名はゲーチス。このイッシュ地方に革命を起こす者!あなた達は、イッシュの理不尽な制裁で存在そのものを否定されたものばかりだと見受けする。自分は正しい。そう思っている事でしょう」
ゲーチスの言葉に、アイリスを含む、他の収容所で行われた殺し合いで生き残った脱獄囚達、そしてゲーチスに勧誘された者達は無言でそれを聞いていた。
「この世界は理不尽なのです!!秩序と平和を対価に犠牲と被差別者の排出を強要する!本来命とは平等であるにも関わらず!それを良しとしている者がいるのです!!そんな理不尽を私は排除し、あなた方と共に新たなイッシュを創り出したいと思っているのです!我々の手で!かつての独立国家のイッシュを築き上げるのです!!」
そう言い切ったゲーチス。演説を聞いていたものは叫ぶ。それは賛同と歓喜であった。
アイリスは周りを見る。どれもイッシュ及び全世界で、存在そのものを否定された者ばかりだ。その殆どは、自分と同じく自分が正しいと思い込んでいる。
「やってやるわ!復讐とドラゴンマスターになる為に!!その為だったら、悪魔や邪神に魂を売っても良い!!!」
「さぁ!行きましょう!我々の革命と、理想の世界の創造の為に!」
ゲーチスの言葉に殆どの者が賛同した。アイリスは、これを利用してなり上がってやろうと決意したのだった。
「彼女が新入りです」
ゲーチスは、アイリスを他7人に紹介する。
「最後の1人か。まあ良い。足を引っ張らなければ自由にしてくれて構わない。オレはグレイ。行動隊長だ」
傭兵の様な男がアイリスの前に出た。次に、スモウレスラーの様な体格の、ヨーテリーの絵がプリントされたパジャマを着ている巨漢の男だ。
「アタシはリチャード。好きなのはクールなオ・ト・コ♡嫌いなのは、生意気で鬱陶しい女よ」
「我が名はロバート。座右の銘は、『愚者に死を』だ。貴様もそれに該当しなければ良いがな」
レイピアを持ち、左目を髪で隠している貴族風の衣装をした銀髪の男は、アイリスを鋭い目で睨みつけながらそう告げた。
「オレはリュージ。まあ、長い付き合いになるだろうから、取り敢えず宜しく……と、言っておこう」
黒服の、いかにも堅物そうな男は抑揚のない口調で言った。
「スザクだ。好きなものは破壊」こげ茶色の髪、翠色の眼を持つ少年は邪悪な笑みを浮かべる。
「レント」
黒い髪に黒い瞳、さらに黒い服を好んで着用している少女と見まがう線の細い顔立ちの少年が答えた。
「……ドドヒコだ」金髪赤眼の、逆立った髪をしているポーカーフェイスの男が名乗る。
こうして、アイリスはエインヘリャル8闘戦士の1人となった。他のメンバーは、ゲーチスがスカウトした者ばかりだった。
*
血の様に赤い夕焼けが、イッシュの地を照らしていた。
「……」デューンは黙っている。
「何か、嫌な予感がするぜ」
「そうですね、サトシさん」
「今日の夕焼けは、見ているだけで胸糞が悪くなる」
それは、血を吐き続ける悲しいマラソンが引き起こってしまう、かつてない戦いの始まりの前兆に過ぎないのだった。