リザードンとカメックスは、究極技を発動させた。それがトルネロスに襲い掛かる。トルネロスも負けじと、エアスラッシュ、暴風、熱風を複合させた颱風を解き放った。現状、トルネロスの方が押している。それを見ているフシギソウ。
【このままじゃ、埒が明かない!もっと、もっと大きな力が僕にあれば!】
自分の力不足を痛感するフシギソウ。その思いに応える様に、フシギソウの体が光った。
「フシギソウ……お前」流石のシンジも、ここに来ての進化には大変驚いている。
「バナアアアアアアアアアアッ!」
フシギソウはフシギバナに進化した。そして、大きな樹木が出現した。
「やるぞフシギバナ」
「バナ!」
「サトシ、シゲル!オレとフシギバナもいる!ハードプラント!!」
ハードプラントが颱風とぶつかった事で、ようやく互角になった。
「サトシ、リザードンの炎の力を抑えるんだ!」
「シゲル、どうして?」
「今この状況で、究極技に慣れていないのはフシギバナだ。進化したて、覚えたばかりの究極技。反動も大きいし、威力も充分じゃない筈!3つの技の威力が全く同じなら、バランスが良くなってトルネロスの技も打ち破ることが出来る筈!僕も、カメックスのハイドロカノンの出力を抑えるよう指示するからそうしてくれ!」
「そう言う事か。分かった!リザードン、聞こえたな!威力をフシギバナに合わせるんだ!」
【それ位朝飯前だ!】
ブラストバーンとハイドロカノンの威力が、シンジのフシギバナのハードプラントと同じ威力に調整された事で、3つの技が相乗効果を生み出した。容易くトルネロスの颱風を打ち破り、トルネロスに直撃した。
「サトシ、ピカチュウ、今だ!」
「やれ!」
「行くぜピカチュウ、ボルテッカー!!!」
【無駄!】
【グオッ!】
【無駄無駄!】
【無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄……無駄ァ!!】
最後はボルテッカーのラッシュが決まった。トルネロスの撃退に成功した。
「やった!」
トルネロスは退散しようとする。しかし、そこにボルトロスがやって来た。
「ボルトロス!」
「あいつら、負けたのか?」
「2人共。どうやら2体共、僕達を自分達の邪魔をする奴だって認識している様だ」
「奴等、争う前にオレ達を潰す為に休戦と共闘をする気か?」
トルネロスはエアスラッシュを、ボルトロスは雷を放って来た。
「もう1回……」シゲルが言おうとした時、声が聞こえた。
「フライゴン、シグナルビーム。ジャローダ、ドラゴンテール」
2つの技が、ボルトロスとトルネロスの技を相殺した。サトシ達の前に現れたのは、フライゴンとジャローダを連れた少年だった。フードを被っており、目元は見えていない。その後ろには、赤紫の髪の少女もいた。
「久しぶりだな、サトシ。そして、2人のシンオウから来たトレーナー」
「……これは予想外だね」
「お前は……シューティーなのか?」
サトシの問いに、少年はフードを脱ぎ去った。明らかにシューティーだった。だが、小綺麗だった今までとは異なり、服装は同じだが至る場所にファスナーがついている。更に、シューティー自身も全身生々しい傷跡が残っていた。ジャローダも傷跡だらけだった。しかも、左眼は失明してしまっている。
「おい基本厨。貴様に何があった?」
余りの変貌ぶりに、流石のシンジも思わず聞いてしまった。
「……そんなに知りたいなら話すよ」
シューティーは、何があったのか話し始めた。
*
それは、ヒウンシティでサトシのリザードン及びシンジに敗北した時の事だ。プライドをズタズタにされ、ポケモントレーナーとして再起不能寸前に陥ったのだ。
そんな時にアデクに拾われた。結果、事実上アデクに弟子入りする事となったシューティー。
イッシュに密輸された他地方のポケモンを救出したり、アデクからポケモンとの向き合い方を伝授されたりした。
そしてある日、プラズマ団のダークトリニティと対決する事になった。ダークトリニティはプラズマ団の下っ端よりも何十倍も強く、シューティーも苦戦した。何とか撃退したものの、この時にジャローダは敵のキリキザンの攻撃を受け、左眼を潰されてしまった。シューティー自身も、消えない傷が残ってしまった。
*
『僕やジャローダが傷を負った事、それよりも地獄の日々で苦しんだ。それは、アデクさんに更生された事で、僕自身の積み重ねて来た罪や過ち気付かされた事だ』
「今だから分かる。ここにいる3人は本当に強いと。もう他地方のトレーナーとか関係ない。チャンピオンになる為の最大の壁として立ちはだかって来るのは分かっている。だからこそ、僕はポケモン達と共にもっと強くなって倒す……だけど、その前に伝説のポケモンをどうにかするのが先だ」
シューティーは、伝説のポケモン達の方を向く。
「それで、君は誰だい?」シゲルが少女に聞く。
「ショウブです。竜の里から、オババ様の病気を治す復活草を取りに来ました」
「竜の里!?」サトシが過剰に反応した。アイリスの事もあるからだ。
「今は、その女の事なんか後回しにしておけ!それよりも、トルネロスとボルトロスだ!奴等が臨戦態勢に入ったぞ!」
一方の2体は、頭に血が上ったらしく、あろうことか今にも戦いそうな雰囲気をぶつけながら互いを睨んでいた。
「遅かったか……!」
トウヤの付き添いをしていたユウトとラングレーがやって来た。トウヤも、ある程度は落ち着いている様だ。
「これじゃあ、伝説の通りになる。島がめちゃくちゃに!」
「何か手はないのか?」取り乱すユウトに対し、シンジは落ち着いて対応策を聞く。
「ランドロスの……力なら或いは」トウヤは、核心は無いながらも言ってみた。
「儀式は出来ても、巫女がいない。4人も必要なんじゃあ尚更だ」
「それはどうかな?」
上空から声が聞こえた。色違いのリザードンに乗っている青年だ。チェレン、ベル、デント、デューン、メイを回収している。
「カーネル!」
「ショウブか。チッ!テメエもこの場にいたのかよ!しかも、基本だけしか取り柄がねえ坊ちゃんを引っ提げて来やがって!」
「今はそんな事を言ってる場合じゃないでしょ!?」
「お前の顔なんざ見たくも無いんだよ!オレの目的は、リザードンを連れたそいつとバトルする為に来たんだ!」
「まさかアイリスの事で、彼に復讐する気なの!?」
「ハァ!?何寝ぼけた事言ってやがる!あの糞女なんて、オレの家族ですらねえ!あいつがくたばってくれて清々しているんだ!サトシって野郎には寧ろ感謝しているんだよ!オレに妹なんていねえ!家族はオレがゲットしたポケモンだけだ!」
「……」そんな事を言われて、何とも言えない表情になるサトシ。
「とにかく、メイにベル、ラングレー、ショウブに巫女をやってもらうしかない。いがみ合うのは結構だけど、緊急事態なんだ。2人共、この場位協力しろよ!」
トウヤは、カーネルとショウブにそう言い放った。
*
というわけで、女子4人は巫女の衣装になった。
「この衣装、私が着る事になるなんて。時代劇ばかりの話かと思いました」
俳優時代のハチクが主演の時代劇をしょっちゅう見ていたメイは、何だか嬉しそうにしていた。
「悪くないわね。トウヤ、どう?」
「う~ん。ポケキュアの方がマシ」
ラングレーは、物理的にトウヤをフルボッコにした。
「アンタに聞いた私がバカだったわ」
「なあ。何がダメだったんだ?」
「サトシ。君は相変わらずだな。良いかい?幾らトウヤが、2次元の女の子が好きだったとしても、お世辞でも良いから似合うって言うべきだったんだ」
「は、恥ずかしいよぉ~」と、ベル。
「さあ、ランドロスの祠に!」ユウトが先頭になり、目的地まで行く事に。
だが、トルネロスとボルトロスが気付いたようで、攻撃しようとした。
「悪いけどサトシ、これ借りるよ」
シゲルは、ひったくる様にサトシからキーストーンを手に入れた。
「僕が足止めをやる!行くんだ!」
「シゲルだっけか?オレも残る。1人よりは2人の方がやりやすいだろ?」
デューンが名乗り出た。バシャーモが傍らに立っている。
「分かりました。お願いします」
「頼むぜ。ヤバそうだったら、逃げてくれよ」
「何時も無茶ばかりする、君にだけは言われたくないけどね」
サトシとシゲルは、互いに軽く拳をぶつけあい、互いの健闘を祈った。
「バシャーモ行くぞ!メガシンカ!」
バシャーモは、メガバシャーモにメガシンカした。
「カメックス、まだ行ける?」
「ガメッ!」
シゲルの持つ、サトシから借りたキーストーンと、カメックスの持つカメックスナイトが共鳴した。
「この戦いを終わらす鍵となれ!カメックス!メガシンカ!」
*
その頃、サトシ達はというと……
「早速取り掛かるよ!」
東西南北にある巫女が座る場所にメイ、ベル、ラングレー、ショウブを誘導するユウト。そして、ゴミチルのサイコパワーを増幅させる石を置いた。
4人は手を重ねて祈りを捧げる。
「ランドロス。聞こえますか?」
「この島に再び災厄が起こっています」
「どうか現れ、この災厄をお止めください」
「お、お願いします!」
4人が願う様に言った。それと同時に、ゴチミルのサイコパワーが増幅されていく。
*
「カメックス、ラスターカノン!」
「バシャーモ!岩雪崩!」
メガシンカ形態なら、単体でも伝説のポケモンともそれなりに互角に渡り合えることを知ったシゲルとデューン。
「まだか!?」
「サトシやトウヤ君達ならやってくれますよ!もう少しの辛抱です!!」
「バシャーモ!ブレイブバード!」
バシャーモは技を発動させ、サトシのピカチュウやリザードンと同じ様にラッシュ攻撃を行った。
【アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!!】
【
バシャーモは、トルネロスとボルトロスを吹っ飛ばすことに成功した。
*
祈りでも、ランドロスは出てこなかった。
「巫女が4人いれば、ランドロスが来るんじゃなかったのか!?」
シューティーが叫ぶ様に言った。
「ん?ちょっと待て!この文献、まだ続きがあるぞ!」
カーネルが文献を指差しながら言った。
「なんて書いてあるんだ?」シンジが聞く。
「4人の巫女と、1人の器が必要らしい。器の条件は、ランドロスに認められた者が条件と書いてある。その者、どんな困難をものともしない信念と広い心を持ち、新しい風を巻き起こす者、だそうだ」
「そんな奴、本当にいるのか?」シンジが言った。
「そう言えばトウヤ。アンタ、夢見てたって言ってたじゃない。今思えば、目の前に現れたのランドロスじゃないの?」
「何でそう言い切れるんだよ、ラングレー」
「女の勘よ」
「たかが勘如きで性急に決めんのもどうなんだよ」
「いいやトウヤ君。女性の勘は当たる事が多々あるのさ」
デントが女の勘についての説明をする。
「さいですか」
「ならトウヤ、君がやれば良いだけの事だ」
「気は確かかチェレン!こういうのは、サトシかシンジ辺りが適任だろ!?」
「悪いがオレは向いてない。それに、夢とは言えランドロスと接触したお前が、この中では適任だと思うが?」
「オレもシンジの意見に賛成だぜ」
周りに説得され、トウヤは器としての役割を果たす事となった。
「ランドロス。頼む!ボルトロス達を止めて欲しい!この島を……ミロス島を救ってくれ!」
トウヤの願いが叶ったのか、石から光が出現。光は、天に昇って行った。降り注いだ光のカから、ランドロスが降臨した。
「あ、ああ、あああああああああ!!!」
ランドロスを見た瞬間、トウヤが頭を抱えながら大きな頭痛に襲われる。
「大丈夫!?」ラングレーが駆け寄った。
「思い、出した……」
「え?」
「今から7年前、オレは1番道路でボルトロスとトルネロスの争いに巻き込まれて、程無くしてランドロスに助けられた……」
「思わぬところで、トウヤとランドロスの繋がりが分かるなんて」
「嘘をつくのは止せ。お前が僕より凄いのはもう分かってはいるが、それは幾ら何でも有り得ない」
チェレンは戸惑いながらも信じたが、シューティーはまだ信じられない気持ちの方が大きい。
【イヤ。トウヤの言っている事は本当だ】
だが、ランドロスが裏付けの証言をした。当人から言われた以上、納得出来ないながらもシューティーは信用する事にした。
【ようやく思い出してくれたか】
「悪い。あの時の体験が恐ろしかったのか、記憶が無くなっていた」
【あの時は年端も行かぬ子供だった。仕方のない事だ】
「そう言って貰えると助かるよ。こんな事言うのは虫が良過ぎるんだけど、聞いて欲しいんだ。ミロス島がヤバいんだ。ミロス島を救いたい!でもオレだけじゃ力が足りない!ランドロス、助けてくれ!」
【トウヤよ。我はお前の願いを聞こう。それよりも、言っておきたい事がある】
「言っておきたい事?」
【このイッシュの地に危機が訪れている】
「なっ!?それって……」
【心当たりがあるようだな。だが、今はトルネロスとボルトロスが先だ】
「ああ。そうだな」
ランドロスは、トウヤが腰に付けていた空のハイパーボールをトウヤに握らせる。
「トウヤ君!待つんだ!」
ユウトが止める。が、ランドロスは自分が望んだ事だから止めなくて良いと言った。
「プラズマ団なんて言う得体の知れない連中に行き渡るよりはマシだな」
カーネルが賛同した。
「……」トウヤは、ランドロスにハイパーボールを当てる。あっさりゲット出来た。
「『宜しくな。ランドロス……』さあ!反撃開始だ!」