トウヤは、ランドロスを出した。
「行くぜ、ランドロス」
【ああ】
ランドロスは、すぐさまボルトロス達の所へ行った。
「おっ!」
「来たみたいですね」
足止めをしていたデューンとシゲルがそう言った。カメックスとバシャーモは、既に満身創痍寸前だった。
ランドロスは、早速説得を始める。だが、全く聞く耳を持たない。なので、アームハンマーで鉄拳制裁した。
「脳筋だな」
「そんな事言ってる場合!?シューティー!」ベルがツッコむ
「次は神通力だ!ランドロス!!」
神通力が、ボルトロスとトルネロスを拘束する。
「ギガインパクトで止めだ!」
ボルトロスのヘドロウェーブと、トルネロスのエアスラッシュも発動した。ランドロスのギガインパクトを止めてしまう。
「だったら、回転しながら破壊光線!」
トウヤは、咄嗟にランドロスに指示を出す。それは差し詰め、破壊光線のカウンターシールドとも言える。威力の高い攻撃技を受け、流石の2体もノックアウトされた。
「す、凄いわね」
「圧倒的だ」
「まさか、サトシから教わったであろうカウンターシールドを破壊光線でやってしまうとはな。奴も常識外れという事か」
ラングレー、チェレン、シンジの順で言った。
「これなら勝てるかもな」カーネルが呟く。
「凄い凄い!トウヤお兄ちゃんとランドロス!!」メイがはしゃいでいる。
誰もが、ランドロスの活躍で終わる。そう思っていた……
「サザンドラ、竜の波導!」
「カイリュー、ドラゴンダイブ!!」
乱入者の技が、ボルトロスとトルネロスに直撃した。
「何だいきなり!」
「この声、まさか」ショウブが震える様に言う
「何故だ?何でポケモン収容所にいる筈のあいつが!」
その直後、どこからともなく現れた2つのマスターボール。それは、ボルトロスとトルネロスを捕まえてしまった。
「なっ!?」
「クックック……クヒャーッハッハッハッハッハッハ!!!これで、伝説のポケモンが私のものに!!!」
ゲーチスが狂った様な笑い声を上げながら高らかに宣言した。
「凄いわ!ゲーチス様!」
「アイリス!」
拘束された筈のアイリスも、ゲーチスの配下としてここにいた。
「ああっ!田舎のトレーナーに、三流の新人トレーナー!クソ雑魚のカーネルに、弱虫のショウブじゃない!」
「酷いな。僕も一歩間違えていれば、あんな風になっていたのか」
「慰めになるか分からなけど、最初からシューティーの方が何十倍もマシだ」
「サトシ……その言葉、誉め言葉として受け取っておくよ」
「アンタ達みたいな虫けらなんてね、すぐに瞬殺してやるわ!」
「対して強くもねえ癖に、何言ってるんだお前」
「サトシ君に2度、トウヤに1度倒された奴の吐く台詞じゃないな」
「今までのアタシと一緒だと思っていると、痛い目見るわよ!行っけ~!カイリュー!ガブリアス!オノノクス!」
アイリスは、3体のポケモンを出した。因みに、オノノクスは色違いである。だが、問題はそこではない。
「ねえ、皆。アイリスちゃんのポケモン、何かおかしくない?」
ベルの言う通り、アイリスの出したポケモンは全員、禍々しい赤い眼をしている。しかも、カイリューは左腕、ガブリアスは腹部、オノノクスは首に黒いリングの様なものを装着させられていた。
「これ良いわね!イーヴィルリング!!無かったら、カイリュー達言う事聞かないけど、これがあれば言う事聞いてくれる戦闘マシーンになってくれる上に、ポケモン達の生命力を代償に戦闘能力をパワーアップが出来るんだから!」
「何て事を!」ラングレーが憤慨する様に言った。
「もうここまで来ると、救いようがねえな」
【全くだ。ポケモンを虐待するわ、強奪するわ、洗脳するわ、挙句の果てにプラズマ団に加入。どこまで罪を重ねれば気が済むんだ?】
カーネルは至って冷静だ。寧ろ、思う存分潰せる口実が出来たと言わんばかりに、歓喜しているようにも見える位だ。
「おいおっさん!ポケモンを解放して、幸せにする事が目的なんじゃないのかよ!!」
トウヤがゲーチスに問う。
「クックック。何を言い出すかと思えば……あんなものは詭弁ですよ。ポケモンなんて便利な道具など解き払ってどうするのです?あのような役に立つ下等生物など、私だけが使えればいいのですよ!」
【コイツ……】ピカチュウが殺意剥き出しでゲーチスを睨みつける。
「ふざけるんじゃねえ!ポケモンは生きているんだ!お前らの道具なんかじゃない!」
サトシがゲーチスに吠える。一瞬、サトシのバッグにしまわれているスピリット・ジュエルが発光した。
「成る程。あなたはNが見込むだけの事はあるようですね。ですが、あなた方も私と同類なのですよ」
「同類だと?」何言ってるんだコイツと言った感じでトウヤが言う。
「ランドロスを呼び出してボルトロス達を倒そうとした。言わば道具にしていると言っても過言ではないでしょうか?」
「仮にそうだとしても、貴様等の様に自らの欲望の為にはやらない」
シンジが断言した。彼の手には、シゲルが持っていた筈のキーストーンが握られている。フシギバナが傍らに立っている。
「フシギバナ、メガシンカスタンバイ!」
フシギバナは、メガフシギバナにメガシンカした。尚、シゲルのカメックスもそうだが、初めてのメガシンカにも関わらず暴走の兆候すら見せない。
「こっちもやらないと!」
アイリスは、左腕の装着しているものを掲げる。
「ガブリアス、メガウェーブ!」
突然、ガブリアスが苦しそうにした。
「な、何だ!?」
それは、サトシからすれば有り得ない事だった。苦しそうにしているアイリスのガブリアスを、禍々しいマゼンダの光球が包み込む。そこから、メガガブリアスが現れたのだから。
「まずは、アタシを裏切ったポケモン達を血祭りにしてやるわ!」
アイリスは、ドリュウズとエモンガを指差した。
「させるか!」
ガブリアスの猛攻を、フシギバナが止めた。
「カイリュー、オノノクス!裏切り者に制裁しなさい!」
「ポケモンを裏切ったのはお前の方だろ!アイリス!ピカチュウ、リザードン!行け!」
トルネロスとの戦いで、ピカチュウとリザードン以外はとてもバトル出来るような状態じゃなくなっていた。ジュカインとガブリアスは、メイを護衛しているのでノーカウントだ。
「行くのです。ボルトロス、トルネロス、サザンドラ」
「ランドロス。頼むぜ。後は……」
オノンドが勝手に出て来た。アイリスやゲーチスを強く敵視している様だ。
「私だって!」メイはビクティニを出す。ランドロスとオノンドに加勢する。
「そんな田舎のポケモンなんてアタシたちの敵じゃないわ!ガブリアス、ドラゴンダイブ!」
「蔓の鞭で捕まえろ!」
フシギバナはガブリアスを捕らえた。
「ヘドロ爆弾!」
至近距離で毒タイプの技を食らわせるフシギバナ。ガブリアスは毒状態となる。
「何なのよ、図体がデカいだけのノロマの分際で!ダブルチョップ!!」
「受け止めてギガドレイン!」
重量級ポケモンの戦いは、シンジの十八番だ。現状、サトシの完全上位互換とも言える。フシギバナは、着実にガブリアスを劣勢に追い込んでいく。
「ドラゴンクロー!!」
「フン。女、貴様目が曇っているな」
「何ですって田舎者!」
「力を得るだけなら誰だって出来る。ナイフでも銃でもミサイルでも……得るだけならな」
「だから何を言って……」
『デカいだけで隙だらけの力に負ける事はない。ましてや、偽りで得た力など以ての外だ』
アイリスのガブリアスの技を悉く無効化していくシンジのフシギバナ。
「同じメガシンカなのに、彼のフシギバナの方が終始圧倒している。相性はガブリアスの方が良いのに」
「それが、シンジさんやサトシ君のバトルのやり方なんだろう。相性なんて覆してしまう……それが強みなんだろうね」
シューティーの疑問に対し、チェレンは自分なりの推量を語った。
「火炎放射!」
「受け切れ」
ガブリアスの放った火炎放射を、フシギバナは受けた。だが、全く倒れる気配がない。
「何で炎技をぶつけたのに倒れないのよ!さっさとくたばりなさいよ!」
「無駄だ。メガシンカしたフシギバナの特性は厚い脂肪になっている。炎と氷の技は半減されるんだよ。使えない奴め」
『シロナさんのガブリアスは無論、サトシのガブリアスの方がやり応えがある位だ。そろそろケリを付けるとするか』
「何で……何でなのよ!力も相性も、アタシの方が勝っているのに!何でアイツとあのポケモンは勝ち誇った目をしていられるのよ!怯えなさいよ!逆鱗!!!」
だが、ガブリアスは跪いてしまう。
「どうしたのよガブリアス!立ちなさいよ!」
「無駄だ。毒を食らってある程度の時間が経過した。全身に毒が回って来たんだろう」
「この役立たず!アタシはドラゴンタイプの言葉が分かる女なのよ!こんな無様な負けなんて許さないわ!」
この言葉を聞き、遂にシンジがプッツンとした。尤も、サトシみたいに感情を表に出す事はないが。
「貴様、いい加減にしろ」
「ヒィィィッ!」アイリスを震え上がらせるのには十分過ぎる程の殺気を放つシンジ。
「フシギバナ!ポケモンを無理矢理操って戦わせる様なクソ女相手に遠慮はいらん!ハードプラント!!」
無数の植物が、ガブリアスに襲い掛かる。ガブリアスは戦闘不能となった。
「つ、強過ぎる!アイリスちゃんのドラゴンポケモンを、一方的に倒しちゃった」
先程のバトルを見て、ガクブルしながらベルが言った。同じような状態となったチェレンとシューティーも同意見だった。