サトシのイッシュ冒険記 ~真実の救世主~   作:純白の翼

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今回のピカチュウのパワーアップについては、賛否両論になるかも知れません。


EP33 スピリット・ジュエルの真の力

少し離れた場所では、トウヤとメイがゲーチスと戦っていた。

 

「おい!自分だけがポケモンを使えればいい。それがゲーチス、お前の理想だってのか?」

 

トウヤが問いかける。

 

「理想だと!?戯言だ!!」

 

ゲーチスは、トウヤの問いに対してそう切り捨てたのだった。

 

「話は終わりですか?サザンドラ、大文字!ボルトロス、10万ボルト!トルネロス、エアスラッシュ!」

 

「ランドロス、岩雪崩で攪乱!オノンド、アイアンテール!」

 

「ビクティニちゃん、オーバーヒート!」

 

各々の技がぶつかり合い、相殺した。

 

「無名の新人トレーナーと、出来損ないの欠陥品如きにここまで押されるとは!!」

 

「ゲーチス!それって、お前が弱いって事なんだろう?」

 

「黙れ!サザンドラ!その、礼儀のなってないガキ共を黙らせなさい!波乗り!」

 

サザンドラが波乗りを出す直前に、オノンドがドラゴンクローで阻止した。

 

「良いぞ!オノンド!」

 

【フン!】相変わらずトウヤに心を開かないオノンド。そっぽを向いた。

 

「ハア。今だけはこの状況を乗り切る為に協力して貰うぞ」

 

「随分と躾けのなってないオノンドですね。トレーナーと未熟さが滲み出ていますねえ」

 

「黙ってろキチガイ!」

 

【技を止めたくらいで調子乗っちゃってよぉ。ベイビーちゃんは反抗期なんだなぁ】

 

サザンドラがオノンドを煽る煽る。

 

【弱くて言う事の聞かないポケモンなんて。お前のトレーナーには同情しちまうぜ】

 

【黙れ!オレは弱くない!!】

 

コンプレックスを抉られ、怒り狂うオノンド。その瞬間、オノンドの身体が光り輝いた。

 

「これは!」

 

「進化の光……」

 

オノンドはオノノクスに進化した。

 

「オノノクス!」

 

「サザンドラ、悪の波導です!!」

 

「竜の怒り!」

 

指示が通った。というよりは、アイリスやゲーチスの事がトウヤ以上に嫌いで、利害が一致しただけというだけなのだが。

 

「上空へ逃げなさい!」

 

「サザンドラを引っ掴め!馬鹿力!!!」

 

逃げようとするサザンドラを引っ掴み、至近距離で格闘タイプの技を発動させた。効果は抜群だ。サザンドラは戦闘不能となった。

 

「ボルトロス!トルネロス!その生意気な子供を殺しなさい!!破壊光線!」

 

余裕が無くなったゲーチスは、荒々しく指示を出した。

 

「破壊光線!」

 

ランドロスは、破壊光線で応戦する。だが、拮抗しているだけだった。

 

「単体ならどうにかなるけど、2体同時は流石にキツイな……ん?」

 

トウヤは、ポケットから鏡の破片を取り出した。

 

「これって、まさか……ランドロス!!」

 

それをランドロスに掲げる。すると、ランドロスの姿が変わった。夢で見た彪の姿だ。

 

「成る程な。そう言うわけか。神通力!」

 

2体の放った破壊光線を、神通力で破壊。ランドロスの破壊光線は、そのまま2体めがけて発射される。だが、躱された。

 

「弾ける炎!!」

 

ビクティニの技が、ボルトロスとトルネロスを牽制する。

 

「サンキュー!メイ!ランドロス、ギガインパクト!!」

 

ギガインパクトがボルトロスとトルネロスに襲い掛かる。そのまま2体は戦闘不能となった。

 

「分が悪いですね。まあ良いでしょう。目的自体は果たしたのですから!」

 

ゲーチスは、ダークトリニティに連れられて脱出した。ボルトロスとトルネロスが入ったボールを回収して。

 

「クソ!逃げられた!!」

 

*

 

視点は変わり、サトシはピカチュウとリザードンを率いて、カイリューとオノノクスとバトルしていた。

 

「それにしても、何故だ?何故あいつがメガシンカ出来るんだ?メガシンカは、トレーナーとポケモンの絆が1番大切な筈なのに!」

 

カイリューのドラゴンダイブと、リザードンのドラゴンテールがぶつかる。

 

【おい!しっかりしろ!あんな女に負けてんじゃねえよ!自分が何者なのかを思い出すんだ!】

 

リザードンはどうにかして、カイリューを説得する。

 

【……】だが、無反応だった。

 

【駄目だ!通じねえ!!】

 

【リザードン。僕もオノノクスに語り掛けているけど、無理だ。声が届いてないんだ】

 

【クソが。イーヴィルリングって奴を取り外すか壊すしかねえようだな。だけど、オレ達の究極技でも壊せなかったぞ】

 

【なら、一点に集中するしかない様だね】

 

【だよな。おい。来るぞ】

 

【分かってるよ】

 

「リザードン、竜の舞からの岩雪崩!ピカチュウ、電磁波の後に波乗り!」

 

リザードンは攻撃と素早さを上げ、岩雪崩で一気にカイリューを仕留めに掛かる。ピカチュウは電磁波でオノノクスを麻痺にし、波乗りでオノノクスの動きを制限する。

 

「決まった!!」ショウブがガッツポーズをとる。

 

だが、大して効いていない。イーヴィルリングの力により、個体値を始めとする潜在能力が極限までに高められているからだ。

 

「そんな田舎のポケモンじゃ、アタシのポケモンなんて倒せやしないわ!カイリュー、雷パンチ!オノノクス、ドラゴンテール!!」

 

2体の技がピカチュウとリザードンに襲い掛かる。吹っ飛ばされてしまった。

 

「ピカチュウ!リザードン!!」

 

「これ良いわね!あの田舎の新人トレーナーを、ここまで甚振ることが出来るんだから!!ガブリアスはやられちゃったけど、アンタにだけは復讐出来るわ!アタシの全てを奪ったアンタが憎いわ!ぶっ殺してやる!!!」

 

アイリスはサトシを殺そうと、ポケモン達をけしかける。だが、ピカチュウとリザードンはサトシを守る様に立ち塞がった。

 

「しつこいわね!いい加減やられなさいよ!!」

 

「……何でだ?何で、キーストーンやメガストーンが無いのに、シンジとフシギバナにやられたガブリアスはメガシンカ出来たんだ?」

 

「フン。何を聞くかと思えばそんな事?まあ良いわ、冥土の土産に教えてあげる。簡単な事よ。絆など関係無くポケモンを強制的にメガシンカさせる。それが、メガウェーブの力の恩恵なんだから!最高よ!これ!それに、イーヴィルリング!プラズマ団の最高傑作じゃない!これでレベルの高いポケモンも意のままに操れる!ついでに、戦うこと以外の感情まで消す事が出来る!!!」

 

「……!!!」

 

「ほら、ポケモンの中にはバトルを嫌ったり、人間嫌いの強い子もいるじゃない?それに臆病だったり、情け深かったり。そんなポケモン達にも、アタシ達に忠実な戦闘マシーンになって貰わないと困るじゃない。だから、戦いや相手を殺すのに邪魔な感情は消したわけ。そうすれば、アンタみたいな田舎の新人トレーナーだって簡単に跪かせる位に強く……」

 

「黙りやがれ!アイリス!自分が何をしているかが分かっててやっているのか!?」

 

サトシが大声を上げる。サトシもピカチュウもリザードンも、これ以上にない位に激怒している。それは、余裕の表情だったアイリスを黙らせて恐怖心を植え付けるには十分だった。

 

「な、何よアンタ!ボロボロの癖に、まだ未来のドラゴンマスター様に歯向かう気!?」

 

「ふざけるなよ。ポケモンを無理矢理操って、戦闘マシーンにするだと!?」

 

【クソ野郎が!まだそんな奴がいたのかよ!だったら尚更負けられねえな!!】

 

【僕は今まで、人間の身勝手な振る舞いの犠牲になったポケモンを何度も見て来たんだ。そして、1番辛い涙まで流した。お前はそれだけ酷い事をしているんだぞ!!】

 

「負けられるか……絶対に負けられない!お前らにイッシュは渡してたまるか!!!」

 

「サトシ!これをお前に返す!完璧なまでに、その女を叩きのめせ!」

 

シンジがキーストーンをサトシに投げ渡した。サトシは、しっかりとそれをキャッチする。

 

サトシは、持っていたキーストーンを掲げる。それは、リザードンが持っているリザードナイトと共鳴する。

 

「リザードン、燃え上がれ!!メガシンカ!!!」

 

リザードンはメガシンカした。その色は黒い。アイリスを睨みつけている。

 

「!?まさか……」サトシは、バッグが虹色に光っている事に気付いた。

 

予想通り、スピリット・ジュエルだ。アルセウスの声が聞こえた。

 

「私が寄越したスピリット・ジュエルが反応したか。誰かを守る、他人を思いやる。そう思った時、人やポケモンは真の強さを発揮する」

 

サトシとピカチュウだけにしか見えていないアルセウスの幻影は、そう優しく語り掛ける。そして、アイリスを見る。怒りもあるが、それと同時に憐れんでいるようにも見えた。

 

「あの娘の様に、己しか案じない力など、脆く、醜い。だが、サトシよ。お前は違う。敵である筈のあの娘のポケモンの為に怒った。誰かの為に力を使って戦う、それこそが勇ましい。それこそ、お前達の絆の成せる業だ。だからこそ、初めてのメガシンカでも暴走しなかった」

 

「アルセウス……」

 

「さあ、行くのだ。友よ。今ならば、ジュエルの力を十二分に使える筈。トランス・オンと叫べば使う事が出来る。4つのプレートの力を使っているから、4つの形態になれる」

 

アルセウスの幻影は消えた。サトシはスピリット・ジュエルを握っている右手を心臓部分に当て、叫んだ。

 

「トランス・オン!!!」

 

アイリスは、否。このバトルを見ていた全員が目を疑った。サトシが叫んだ瞬間、ピカチュウが光り輝いたのだ。

 

「進化?」

 

「イヤ。ライチュウは雷の石で進化する。だから違う」

 

ベルの問いに、シンジが答える。

 

「フォルムチェンジ……なのか?」デューンが呟いた。

 

光が収束すると、ピカチュウがいた。だが、先程までは黄色だったのに対して今は水色の体色だ。そして、どことなく魔法使いの様にも見える姿になっている。

 

「あのピカチュウの周囲に氷が出来ているぞ!」シューティーが指をさした。

 

「本当だ。サトシ君のピカチュウちゃん、今は氷タイプになっているのかな?」

 

「ひぃ~~!氷タイプ!」

 

「ピカチュウ、ブリザードアロー!!」

 

即座に、電撃の弓を生成するピカチュウ。そこから、氷を矢のような形に形態変化させ、弓から放つ。電気と氷の複合技を食らい、オノノクスは苦しそうになる。

 

「更にもう1発!!」

 

「火炎放射!」

 

ブリザードアローと火炎放射がぶつかり、炎が電撃付きの氷を蒸発させた。

 

「見えない!どこにいるの!?」

 

【ここだよ!】

 

「ショットガンアイス!」

 

「躱しなさい!」

 

オノノクスは躱す。だが、氷の弾丸はすぐ後ろにあった壁にぶつかったと同時に5つに分裂。内1つがオノノクスに当たった。

 

「何よ……何なのよ、もう~~~~~!!!反則じゃないのよ!!」

 

「やるぞピカチュウ!マジカルアイスエイジ!!」

 

オノノクスのいる場所の真下に水色の魔法陣が出現した。そこから冷凍ガスが噴き出て来て、瞬時にオノノクスを冷却した。

 

「あのピカチュウの形態、まるで魔法使いね」ラングレーが言った。全員が同意する。

 

氷の魔法使い(アイス・ウィザード)……」メイが言った。

 

「オノノクス~~~!!!アンタ、何て事すんのよ!オノノクスが可哀想じゃない!!」

 

「イーヴィルリングでポケモンを洗脳したお前に言われる筋合いはないな」

 

「カイリュー、オノノクスの仇を取りなさい!」

 

「リザードン!行くぞ!」

 

「ドラゴンダイブ!」

 

「ドラゴンテール!!」

 

先程まではカイリューが優勢だった。何故かというと、イーヴィルリングで極限まで個体値等の能力が高まっており、本来であれば1枚も2枚も上手で数多もの修羅場を潜り抜けて来たリザードンが有利だったのを、それで覆しているからである。だが、今はメガシンカして地力が上昇していて、尚且つ特性の影響で直接攻撃の技がパワーアップしている為、終始リザードンが優勢だった。否、これが本来あるべき形に収まったと言っても良い。

 

「ドラゴンタイプなら、これが効く筈!冷凍ビーム!」

 

「火炎放射!」

 

当てずっぽうではあるが、アイリスはリザードンがドラゴンタイプだと見抜いた。いや、正確には今のメガシンカ形態のタイプに関して正解だ。だからこそ、冷凍ビームを指示した。

 

それでも、ぶつかって来るのが火炎放射だった。相性が有利、戦闘能力や経験値の差で瞬時にリザードンの技が勝った。そのままカイリューにぶつかる。その瞬間、爆風が発生した。カイリューは後方に吹っ飛ばされる。

 

「カイリュー!!!」

 

吹っ飛ばされたカイリューは、身を縮めて体制を立て直した。そして、空中に滞空。

 

「ドラゴンダイブよ!」

 

「鋼の翼で押し返せ!」

 

リザードンの翼が鋼鉄と化し、竜のエネルギーを纏って体当たりして来たカイリューを後方に飛ばす。

 

「何でよ!アタシのカイリューは強いのよ!」

 

「……」サトシは、アイリスを睨みつける様に見ている。

 

「そのすかした面!ドラゴンタイプが偉大だって形ですぐに恐怖で歪ませてやるんだから!!」

 

「来るぞ、リザードン」

 

【ああ】

 

「「火炎放射!!!」」

 

同じ技。だが、タイプ一致というアドバンテージもあってリザードンが勝った。爆風が吹き荒れる。

 

「避けて!」

 

少し反抗の兆しを見せつつも、リングの力に抗う事は出来ず、カイリューはアイリスの命令に従った。

 

「その調子よ!」

 

言う事を聞いたので、アイリスは歓喜する。だが、ガシッと音がした。

 

「え?」

 

何とリザードンは、カイリューを真上から掴み上げた。

 

「カイリューを掴みながら飛び上がれ!そのまま地球投げ!!!」

 

リザードンは、カイリューの腕を掴みながら天高く翔る。宙を縦に旋回し、滑空する。その勢いのまま、カイリューを地上に叩き落とす。だが、それでもカイリューはフラフラになりながらも立ち上がる。

 

「良いわよカイリュー!」

 

「しぶといな」

 

【イーヴィルリング。思った以上にポケモンを強化するみたいだな。仕方がねえ。オレの究極奥義でやるしかない様だ】

 

リザードンは、ジェスチャーでブラストバーンの指示を出す様に伝える。

 

「もうそれしかないのか?」

 

【あのカイリューがこれ以上、あの女に苦しめられるところは見たくねえんだ。サトシ、ブラストバーンの指示を出してくれ】

 

「分かった。オレも腹を括るよ。リザードン……いくぞ!」

 

【オレのこの口が真っ赤に燃えるうううっ!!】

 

【お前を倒せと輝き叫ぶうううっ!】

 

【ひっ!さあああつ!】

 

「ブラストおおお!」

 

【バアアアアアアンッ!】

 

地面から現れた無数の火柱が、カイリューに襲い掛かる。急所に命中し、カイリューは目を回した。

 

「そんな!」

 

カイリュー、オノノクス、ガブリアス。3体共全滅したのだった。アイリスの逆恨み同然の復讐は失敗に終わったのだった。

 

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