サトシのイッシュ冒険記 ~真実の救世主~   作:純白の翼

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EP48 堕ちた波導使い

「なんて奴だ!アイリスとは比べ物にならない位に強い!!」

 

トウヤは、バージルと共にスザクに挑んでいるものの、既に4体のポケモンを失っていた。残るはエンブオーと、オノノクスのみ。バージルに至っては、イーブイ1体のみという状況である。それに対してスザクは、まだグライオンがピンピンだ。

 

スザクは、平気で外道戦法を利用して来る。しかも、こちらが苦しみの表情をする度に、恍惚に満ちた表情になるのだからタチが悪い。

 

「フン、アイリスだぁ?あんな雑魚女と同格に見てんじゃねえ!!奴はエインヘリャル8闘戦士の中でも最弱!面汚し!!使い捨ての駒だ!!!大して強くもねえ癖に、高圧的な態度を取りやがる!挙句、オレやリュージ、ドドヒコ、レント、グレイを田舎者呼ばわりするんで、1人ずつポケモンバトルで袋叩きにしてやったぜ。どちらが上かをハッキリさせる為にな!」

 

『あいつ、脱獄してエインヘリャル8闘戦士になっても、居場所なんて殆ど無い様なもんかよ』

 

自業自得とは言え、流石に可哀想だなとトウヤは思った。

 

「仲間なのに、平気でそんな事が言えるのか」バージルは、心の中で狂っていると言った。

 

「元はと言えば、あの女が弱いのがいけないんだよ!弱いってのは罪だ!悪だ!」

 

「弱い事は決して悪い事じゃねえ!悪いのはプラズマ団だ!」トウヤがすかさず反論する。

 

「下らねえな。所詮、理想だけしか見ていない新人トレーナーの戯言だ!良いか、世の中ってのはなぁ、勝てば官軍、負ければ賊軍だ。歴史はいつも、勝った奴の都合の良い様に作られている!お前が正義?オレ達が悪?違うな……勝者こそ正義なんだよ!!!」

 

スザクは、グライオンを戻し、ペンドラーを繰り出す。そして、自分の近くに来る様に合図した。トウヤは、この状況を打破する為に、賭けに出た。

 

「オノノクス、行け!!!」

 

一か八か……トウヤは、オノノクスを出した。相変わらず、トウヤの指示を実行する気は無い様だ。やる気が無い様にも見える。

 

「だらしのねえ野郎だ。その態度、雑魚の分際でクソムカつくぜ。よっぽどオレ達に瞬殺されてえらしいなぁ!良いだろう、望み通りにしてやるよ!!!ペンドラー、遠慮はいらねえ!毒突き!!!」

 

「オノノクス、ドラゴンクローで応戦してくれ!頼む!」

 

オノノクスは当然のごとくトウヤの命令を無視し、眠たそうにしながら素手でペンドラーの攻撃を受け流し、逆に有り余る力でねじ伏せた。

 

「なっ!?」これには、流石のスザクも言葉を失ってしまった。

 

「イーブイ、捨て身タックル!」

 

バージルは、チャンスが出来たと言わんばかりに、新たにイーブイを繰り出してペンドラーに攻撃を仕掛けた。

 

「続けて、つぶらな瞳!!」

 

可愛い目でグライオンを見るイーブイ。グライオンの攻撃力が若干下がった。

 

「オレを忘れて貰っちゃ困るよ」バージルが言った。

 

「オレ自身に言われてるようで、どうもやる気が落ちる!」

 

『本当、バージルさんとスザクって、声がそっくりだな。それだけに限定すりゃあ、兄弟か親戚でも違和感が無いぜ』

 

「チッ、ゴミ共が。調子に乗りやがって。戻りな、グライオン!」

 

スザクはグライオンを元に戻す。

 

「フワライド、敵を駆逐しろ!!」

 

フワライドが出て来た。

 

「イーブイ、噛み付くんだ!」

 

【ええ!分かったわ、バージル!!】

 

イーブイは、バージルの命令に従い、フワライドに噛み付いた。だが、スザクは不敵な笑みを浮かべていた。

 

『ん?何でアイツ、笑っているんだ?』

 

悪タイプの技を受け、大ダメージをフワライドは確かに受けた。だが、その代わりに攻撃と特攻が2段階上昇した。

 

「まんまと引っ掛かりやがったな。目覚めるパワー!」

 

至近距離から、氷タイプの目覚めるパワーを受けたイーブイは、そのまま吹っ飛ばされた。

 

「イーブイ!!」

 

「フワライド、バトンタッチ!」フワライドは、スザクの元に戻った。

 

「さて。ここから始まるのは、只のフルボッコじゃねえ。蹂躙……イヤ、殺戮だ。行ってこい、ゲノセクト!奴等を血祭りにしろ!!!」

 

トウヤ達も知らない、明らかに異質な、紫の体色のポケモンが出て来た。見たところ、虫タイプの様ではある。だが、メカニカルな外見だ。

 

「そいつは……プラズマ団が改造した……3億年前に君臨していたポケモンだ」

 

「何っ!?」

 

「従わせるのは容易じゃなかったがな。だが、実力を示したら忠実になったぜ」

 

そう言ってスザクは、カセットの様なものをゲノセクトに装填した。

 

「テクノバスター!」

 

ゲノセクトの攻撃は、オノノクスに直撃した。そのままオノノクスは戦闘不能になる。

 

「フン。寄りにも寄って、言う事を聞かねえポケモンにコケにされたんだ!落とし前を付けさせてやる!テクノバスターを、PPが尽きるまでオノノクスに連射しろ!!」

 

「やめろ!もう、勝負は付いただろ!!」バージルが叫ぶ様に言った。

 

「ハッ!何を言い出すかと思えば……良いか、弱い奴なんざ、この世から退場すべきなんだよ!!!」

 

ゲノセクトの攻撃は、イーブイも標的にされた。イーブイは倒れた。それでも攻撃をやめないゲノセクト。テクノバスターのPPが尽きるまで、トウヤとバージルは只々自分のポケモン達が戦闘不能になっても尚、容赦のない攻撃を受け続ける事を見ているしかなかった。

 

やがて、PPが尽きたのか、テクノバスターの連射が終わる。

 

「ここまでか。命拾いしたな。今のお前らなんざ、殺す価値すらねえな」

 

スザクは、ゲノセクトを戻して立ち去ろうとする。

 

「あ?メスガキ。そこをどけ」

 

だが、メイが立ち塞がっていた。両手いっぱいに手を広げて。エモンガとビクティニも一緒だ。

 

「ここは、通しません!ここであなたを通したら、取り返しのつかない事になる!」

 

「オラァッ!」

 

スザクは、まずエモンガとビクティニを蹴り飛ばして瞬殺した。そして、メイの腹部に拳を力いっぱい叩き込み、彼女を地面に這いつくばらせた。メイの口からは、血が出ている。そして、メイの頭を右足で踏み付ける。

 

「親と兄弟……家族がいねえ癖に……あのおっさんが育ててやったってのに……あまつさえ反乱分子共と行動して反旗を翻すとはな」

 

「……確かに、プラズマ団に私はいた。でも、あそこは本当に私の居場所じゃなかった。敵の筈なのに……トウヤお兄ちゃんとサトシさんは助けてくれた。トウヤお兄ちゃんのパパとママも、私を受け入れてくれた。血は繋がってはいないけど……私に繋がりが出来た!光を照らしてくれた!」

 

「……こんな状況になっても、光だの希望だの捨てねえとはな。つくづく虫唾の走る女だ」

 

踏み付けをやめ、スザクは立ち去って行った。すぐさまトウヤはメイに駆け寄る。

 

「大丈夫か?」

 

「うん。大丈夫」

 

「応急処置しか出来ないけど、オレがやるよ」

 

バージルは、メイに応急処置を施した。

 

「オレ達……負けたんだな」

 

改めて、エインヘリャル8闘戦士の恐ろしさを実感したトウヤ達であった。

 

*

 

ネジ山の最深部。

 

「なあ、デューン。本当に抜く気か?何か、取り返しのつかない事になるんじゃないか?」

 

「欲しいものは手に入れる。それが、トレジャーハンターであるオレの流儀だ。ここまで来たら、やるしかねえ」

 

デューンは覚悟を決め、デュアルブレードを引き抜いた。

 

「よし、念願のデュアルブレードを手に入れたぞ!」

 

デューンが喜んだその時だった。強力過ぎる波導を撒き散らしながら、デュアルブレードは暴走を起こした。

 

「何だこれは!?止まれ!止まれってんだ!!」

 

デューンは、どうにかしようと足掻くものの、一向に収まる気配はない。

 

『波導使いのアーロンは、あの剣を使いこなしていた……』

 

アーロンの相棒だったルカリオは、サトシとアーロンの波導は全く一緒だと言っていた。

 

『もしかしたら……考えても仕方ないな。やるしかないんだ!』

 

意を決したサトシは、デュアルブレードの柄を掴んだ。

 

「サトシ!?何を?」

 

「波導は我にあり……!」

 

自らの波導と、デュアルブレードの波導を共鳴させる。ある程度は収まったが、それでも暴走は止まらない。

 

「ハア……ハア……波導は……我にあり!!!」

 

最後の力を振り絞り、共鳴を行う。やがて、デュアルブレードの暴走は止まった。その余波で、デューンは吹っ飛ばされた。

 

「サトシ……お前……波導使いだったのか?」

 

「カントーのバトルフロンティア制覇をかけて旅をした時、ローターに立ち寄った。そこで、大昔からやって来たルカリオと出会ったんだ」

 

「まさか……アーロンの」

 

「ああ。ルカリオから、オレとアーロンの波導は全く一緒だって言われたんだ。アーロンが使いこなせたって事は、オレの波導なら制御出来るんじゃないかって……賭けに近かったけどな。上手くいったよ」

 

「成る程な。お前がデュアルブレードを使いこなせるのも納得だ。波導使いでもないオレには、過ぎた代物だって事だな。悔しいが、イッシュでの成果は、聖杯だけで妥協するぜ」

 

取り敢えず、デュアルブレードを元の場所に戻そうとするサトシとデューン。

 

だが、状況は一変した。デュアルブレードが青白い光を放ったかと思えば、サトシの手から消えていたのだから。

 

「デュアルブレードが!」

 

「成る程な。お前も、波導を使えるのか」

 

冷たい声が聞こえて来る。ネジ山の最深部に来たのは、エインヘリャル8闘戦士の1人、リュージだ。

 

「お前は!」

 

「だが、オレに比べれば……まだまだ不安定で、途轍もなく弱いな」

 

リュージの手には、デュアルブレードが握られていた。

 

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