サトシのイッシュ冒険記 ~真実の救世主~   作:純白の翼

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EP49 脱出

「オレの名はリュージ。エインヘリャル8闘戦士の1人……オレもまた、波導使いだ」

 

「お前も……」

 

サトシは言葉を続けようとしたが、波導の力を使い過ぎて座り込んでしまった。

 

「まさか。こんな所で、同じ波導使いに会うとはな。だが、まだまだだな。現に、デュアルブレードはオレの元に来た」

 

「波導使いアーロンが使っていたから、正義の剣じゃなかったのかよ!?」

 

デューンが荒げる様な口調で質問する。

 

「愚問だな。デュアルブレードに正義も悪もあるものか。時代や、それを持つ者によって自在に形を変え、違うパワーを発揮する。デュアルブレードが何を引き起こすのか、それはオレでも予測は全く出来ない!」

 

「何か、とんでもねー剣だな」

 

「今更怖気付いたのか?まあいい、貴様等をデュアルブレードで試し斬りするのも良い。恨みはないが、死んで貰おう!」

 

リュージはミロカロスを出した。

 

「サトシは動けねえからな。オレがやるしかねえ!クワガノン!!」

 

デューンは、クワガノンを繰り出した。

 

「ほう。アローラのポケモンか。Zリングがあるのも納得だな」

 

「10万ボルト!」

 

「……ミロカロス、ミラーコートで跳ね返せ」

 

「そう来たか!ラスターカノン!」

 

ミロカロスが10万ボルトを跳ね返して来たので、デューンはすぐさまラスターカノンで相殺しに行く。が、完全には出来ずに、クワガノンは大ダメージを受ける。

 

「すぐZ技を使うものかと思ったが、そうじゃないらしい」

 

「甘く見るなよ。確かに、新人トレーナー時代だったらそうするだろうさ。だがな……「使いどころを考えるんだよ、オレはな」なっ!?」

 

途中から、デューンの言いたい事を同じタイミングで言ってのけたリュージ。

 

「クワガノン、戻りな。ミミッキュ、行ってこい!」

 

「厄介なのが来たな。ミロカロス、交代。ムクホーク」

 

クワガノンが事実上の敗北をしてしまい、デューンはミミッキュを出す。実の所、バトル用のポケモンはそんなにいない。今はネジ山を突破する為、サバイバルに特化したポケモンが殆どなのだ。

 

「ウッドハンマー!」

 

ミミッキュは、素早く動いてムクホークに攻撃を仕掛けようとする。

 

「そこだ!ブレイブバード。ギリギリのところで体をひねろ!」

 

寸での所で体をひねり、攻撃を躱したムクホークは攻撃をやり過ごすと同時に、ブレイブバードを叩き込んだ。

 

「無駄だ。化けの皮でブレイブバードは効かねえよ」

 

「それはどうかな?一撃ならな」リュージはニヤリと笑う。

 

すると、ミミッキュの背後からムクホークのブレイブバードの第2撃が展開された。

 

「ブレイブバードの維持時間を延長するトレーニングを行って来たからな。最大5回連続攻撃が出来る」

 

「なっ!?」流石のデューンも、これには動揺した。

 

「やれ!」

 

「じゃれつく攻撃!少しでもいい!ダメージを減らせ!」

 

最初の一撃は、攻撃技で何とか相殺出来たものの、残る2回の攻撃はどうしようも出来ず、ミミッキュは戦闘不能となった。

 

『ジュナイパーはバトル出来る様な状況じゃねえし、残る3体もこの山でのサバイバルを乗り切る為に編成したポケモン達。バトル用に育成したわけじゃない』

 

「どうした?他にもポケモンはいると思ったが?」

 

「生憎、バトル専門のポケモンは全滅したからな。オレの負けだ。だが、それは構わない。オレは飽く迄時間稼ぎだ……だろ、サトシ」

 

「ああ。デューン。時間を稼いでくれてありがとうな。もう大丈夫だ。ここからはオレに任せてくれ」

 

サトシは、リュージの相手をデューンから引き継いだ。

 

*

 

その頃、トウヤ達は……

 

「ありがとうございます。ハチクさん」

 

バージルは、ある人物に礼を言っていた。その人物とは、セッカシティのジムリーダー『ハチク』である。

 

「礼には及ばない。寧ろ、こちらは謝罪したい位だ。この山で、プラズマ団の暗躍を許し、一般トレーナーである君達を巻き込んでしまって」

 

「トウヤお兄ちゃん、大丈夫ですか?」

 

スザクのポケモンの攻撃の余波に巻き込まれてしまい、左腕を負傷していたトウヤは、メイとハチクから手当てを受けた。

 

「!?どうした、フリージオ!」

 

突然、トウヤのフリージオがモンスターボールから、ハチクの前に出て来た。

 

「そのフリージオ、良い目をしているな。トウヤ君。もし良ければ、私がどのように育成するかを伝授しよう。どうする?」

 

「『フリージオはやる気みたいだな。なら、オレも』はい!お願いします!!」

 

*

 

「行け、ミジュマル!」

 

【おっしゃあ!思い切り暴れてやるぜ!!】

 

リュージのムクホークに対して、サトシはミジュマルを出す。

 

「デュアルブレードの力、使ってみるか……ウェーブモーション!!」

 

リュージはデュアルブレードを一振りした。すると、ムクホークの身体はたちまち回復し、それどころかあらゆるステータスが大幅に上がった。

 

「ポケモンの能力を、体力以外2段階上昇させる力があるのか!」

 

「ムクホーク、ミジュマルを引っ掴んで空を飛ぶ!」

 

先制攻撃と言わんばかりに、ムクホークはミジュマルを掴み、急上昇した。

 

「ミジュマル、熱湯を混ぜたハイドロポンプ!!」

 

【しゃぶしゃぶ肉にしてやる!!】

 

高温のハイドロポンプを食らい、余りの熱さで思わずミジュマルを離すムクホーク。ミジュマルは華麗に着地し、ムクホークも態勢こそ立て直したが火傷状態になった。

 

「インファイトで一気に仕留めろ!『サトシはこの後、アイシクルブレードで応戦して来るだろうな』」

 

「ミジュマル、こっちもアイシクルブレードで応戦だ!」

 

『……だが、手数の多さでオレ達の勝ちになる』

 

ムクホークは、すぐさまミジュマルに近付いた。そして、翼や足、嘴で容赦ない攻撃を仕掛けて来た。

 

だが、ミジュマルの方も負けていない。アイシクルブレードでムクホークの猛攻を迎え撃つ。

 

【ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ!!!】

 

【何だこれ!?まるで、ピカチュウのボルテッカーやリザードンのフレアドライブのラッシュ攻撃みたいだ!!】

 

ミジュマルは防戦一方だった。しかも、次第に押されている。

 

「エンドだな」

 

ボラーレ・ヴィーア(飛んで行きな)

 

【グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!】

 

遂にミジュマルは吹っ飛ばされた。

 

『ここでサトシが助けに入る』

 

「ミジュマル!」吹っ飛ばされたミジュマルを、サトシがキャッチ。

 

「大丈夫か?」

 

【ああ。平気だ!まだやれる!!】

 

「……分かった。やろうぜ。オレ達の力、見せてやるんだ!」

 

【おう!】

 

「全く進化していない状態で、あの攻撃でも倒れないとはな。大したものだ。良く育てられているよ。どこかのバカ女にも見習わせたいものだ。だが、これで終わらせて貰おう!ブレイブバード!!」

 

「こっちも行くぞミジュマル!アクアジェット!そこから更に冷凍ビーム!氷のアクアジェットで迎え撃つんだ!」

 

【了解!!!】

 

ミジュマルとムクホークがぶつかり合う。結果は相打ちだった。

 

「相殺だったか……イヤ、どうやらそうでもないらしいな」

 

【ここで負けて堪るかよ!!】

 

ミジュマルのシェルブレード持つ反対の、左手に光の剣のような物が現れた。密かにサトシ達を監視していたコバルオンは、ミジュマルに起こった現象について驚愕する。

 

【まさか、聖なる剣だと!?本来、聖剣士しか習得出来ない技を!】

 

「ミジュマル!右手にシェルブレードも発動だ!それでムクホークに攻撃!」

 

【食らいいいいいいいいいいい、やがれえええええええええええええっ!!!】

 

ミジュマルの光の剣はそのままムクホークの懐に入り、強烈な一撃を食らわした。体勢を立て直したばかりのムクホークではどうする事も出来ず、戦闘不能になる。

 

「やったぜ!ミジュマル!」

 

【か、勝てた!……でも、ここまでみたいだな。すまねえ、サトシ】

 

ミジュマルも倒れた。

 

「ミジュマル!……よくやった。ゆっくり休んでくれ」

 

「ムクホーク、よくやった『なんてこった。ミジュマルが新しい技を覚える事は完全に想定外だ。やはり、波導の力を使った未来予知も、万能じゃないと言うわけか。まだまだ精度を上げないとな』エルレイド、行ってこい!」

 

【御意!】

 

「ゴウカザル、君に決めた!」サトシはゴウカザルを出した。

 

「厄介なのが来たな『メガシンカは控えておこう。あいつに回すだけだ』サイコカッター」

 

「ゴウカザル、猫だまし!」

 

ゴウカザルが先制をし、エルレイドに猫だましをする。エルレイドは、怯んで動けなかった。

 

「エルレイド、剣の舞『キツイ一撃を食らわせてやろう。早くアンコールを指示してこい』」

 

「ゴウカザル、アンコール!」

 

エルレイドはしばらくの間剣の舞以外の技が出せなくなった。

 

「ゴウカザル、インファイト!」

 

強烈な格闘技がエルレイドを襲う。相性の差でダメージは小さい筈だが、それでもエルレイドは苦そうな顔をそていた。

 

「フレアドライブだ!!」

 

剣の舞を続けるエルレイドをよそに、ゴウカザルの容赦ない攻撃は続いた。

 

『来たか!』エルレイドにかけられたアンコール状態が解除された。

 

「更にもう1発!」

 

「見切りだ」

 

2発目のフレアドライブは見切りによって躱される。

 

「振り向いてサイコカッター!」隙をつき、エルレイドはゴウカザルに技を叩き込む。

 

「そしてリーフブレード」

 

「ゴウカザル、躱せ!」

 

「無駄だ、ゴウカザルは2回連続でフレアドライブを使った。態勢を整える事は容易じゃない」

 

ゴウカザルは、背中にリーフブレードを食らった。この際、X状の傷が出来た。ゴウカザルは、うつ伏せで地面に横たわっていた。

 

「ゴウカザル!起きろ!」

 

《……》

 

「勝負あったな『マズいな。波導の力なんて無かったら、どうなっていたやら。ヒヤリとしたぞ』」

 

「ギギギ……!」

 

「何だと!?『何が起こって……!?これは!とんでもない化け物じゃねえか!』」

 

リュージの顔色が悪くなった。未来予知で、彼にとっては最悪の事態を見たようだ。ゆっくりと膝をつきながら、立ち上がるゴウカザル。

 

「これは……そうか、来たんだな!」

 

ゴウカザルの目は赤く輝いており、身体には地獄の業火というべき燃え盛る火炎を纏っている。

 

「猛火……なのか?それにしちゃあ、そんな度は越えてるぞ!まるで地獄の業火だ!!」

 

デューンは、サトシのゴウカザルにこんな力があったなんてと驚いている。しかも、ゴウカザルは自在にコントロールしている。

 

「あの強大な炎を……操れるのか?」

 

「チッ!速攻でケリをつけるしか無いようだ!サイコカッター!」

 

「躱して間合いを詰めろ、ゴウカザル!!!そしてインファイト!」

 

ゴウカザルの燃え上がる闘志に戦慄を覚えるリュージ。未来予知で見たとは言っても、間近で見ると恐い様だ。

 

高速で間合いを詰めるゴウカザル。インファイトを叩き込む。膝を折るエルレイド。

 

「フレアドライブ!!」

 

ゼロ距離で最大の技を叩き込まれたエルレイドは倒れた。

 

「!?『分が悪いな!デュアルブレードのもう1つの力ゼロ・ディバイドを発動して態勢を立て直すか?』」

 

一転して窮地に追い込まれたリュージ。

 

「仕方がない。イッシュにかつて存在した、研究機関が生み出した実験体を使うか」

 

リュージはマスターボールを投げる。そこからは、二足歩行の尻尾を有する人型に近いが、体色は白で無毛、四肢は細長く、宇宙人じみた容姿のポケモンが出て来た。例によって、イーヴィルリングが装着されている。正確には、ポケモンの生命力を奪う事無く思いのままに操れる半面、強度はやや低くなった新型である。

 

「何だアレ?」デューンは首をかしげる。

 

一方でサトシは、ピカチュウ共々大きな頭痛が襲い掛かられていた。

 

「はっ……!?う、うぐぁっ!?アアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

「ピッカァ!?ピイイイイカアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

「サトシ!ピカチュウ!どうした!しっかりしろ!!」

 

デューンは、頭痛に苦しむサトシに駆け寄る。

 

「思い、出した……」

 

「何をだ?」

 

サトシとピカチュウは、リュージが出したポケモンを真剣な眼差しで見つめ、その正体を口にする。

 

「あいつは……ミュウツー。人間によって……ミュウのまつ毛の細胞から造り出されたポケモンだ!」

 

「ほう。コイツを知ってるのか?オレでも知らなかったぞ」

 

リュージが涼しく答える。そして、メガウェーブを行う為の装置を起動する。

 

「ミュウツー、メガウェーブ……」

 

ミュウツーは苦しみの声を上げながら、強制的に絆の無いメガシンカを行った。更にミュータントの様な異形の姿になるミュウツー。

 

「サイコブレイクだ。ここにいる全員を始末しろ!」

 

リュージは、ミュウツーに命令を出した。

 

だが、ミュウツーはリュージの方を向く。完全に殺意に満ちた目をしていた。

 

【私は……戦いたくない!私は、人間の道具じゃない!!私に……私に……命令をするなあああああああああああああ!!!】

 

ミュウツーは波導弾を撃ち、リュージを吹っ飛ばす。この時、ミュウツーの入っていたマスターボールも破壊された。

 

「ぐあっ!み、ミロカロス!」

 

リュージはミロカロスを出す。ミュウツーはサイコブレイクを発動した。

 

「ミラーコートで跳ね返せ!!」

 

ミュウツーの技に対し、ミラーコートで応戦するミロカロス。だが、サイコブレイクの威力が強過ぎてミラーコートが破壊される。そのままミロカロスの技が直撃し、ミロカロスは戦闘不能となる。

 

「ここは分が悪い。撤退だ。ゼロ・ディバイド!!」

 

リュージは、デュアルブレードの能力を使い、自分以外の時を一定時間止めた。その隙に逃走した。やがて、時間が動き出す。

 

「リュージの野郎がいねえぞ!」

 

デューンが叫ぶ様に言った。ミュウツーは、次のターゲットをサトシとデューンに定めた。

 

「デューン。今はミュウツーの方が優先だ!イーヴィルリングで操られて、メガウェーブで強制的にメガシンカさせられて、自分を見失っている!ジュカイン!!ピカチュウ!一緒に戦ってくれ!!」

 

【勿論さ!】

 

【当たり前だ!】

 

「ジュカインはリーフブレード!ピカチュウはアイアンテール!」

 

ジュカインとピカチュウは、スピードにものを言わせて攪乱しつつ、接近技をミュウツーに叩き込もうとする。

 

【ワタシハ……ワタシハ……ダレノイイナリニモナラナイ!ドウグデハナイ!!】

 

サイコキネシスで2体の動きを止め、容赦なく叩き付けた。

 

「メガシンカして、ただでさえ強力なエスパー技がパワーアップしているのか?」

 

サトシは考える。通常形態では成す術がない。通常のポケモンでもメガシンカ形態のポケモンに勝つ事は出来るが、状況が全く違う。ならば、こっちもより強力な力で対抗するしかないと判断した。

 

サトシはそう決意し、キーストーンとスピリット・ジュエルを取り出した。

 

「ジュカイン!メガシンカ!!」

 

先にジュカインをメガシンカさせる。ドラゴンの意匠が追加されたメガジュカインとなった。

 

「ピカチュウ、トランス・オン!シャイン・エンジェル!!」

 

サトシは、次にピカチュウを、フェアリータイプが追加される虹色の天使の様な姿『シャイン・エンジェル』にパワーアップさせる。

 

ミュウツーは雷をジュカインに放った。だが、ジュカインはダメージを受けておらず、それどころか特攻が上昇した。

 

「メガジュカインの特性は避雷針。電気は効かず、逆に特攻を上げるのか。事前にデューンに教わっておいて正解だな」

 

「ウガアアアアアアアアアアッ!!」

 

ミュウツーは吹雪を使って来る。

 

「ピカチュウ、波乗り!ジュカイン、岩雪崩!!」

 

球状の水を吹雪に撃ち込み、威力とスピードを落とすピカチュウ。次にジュカインは、岩を砕いてミュウツーごと吹雪を岩で粉々にした。ミュウツーもそれに巻き込まれて、深手を負う。

 

「ジュカイン、ハードプラントの蔓でミュウツーを縛り上げろ!」

 

ジュカインのハードプラントが発動し、無数の蔓がミュウツーを締め上げる。

 

「今だピカチュウ!ミラクルレーザーだ!!」

 

最大出力の光線をピカチュウは撃ちこみ、ミュウツーを瀕死に追い込む。ミュウツーは蔓から解放されると、力無く地面に落下した。この時、新型のイーヴィルリングも破壊された。それでも、操られていた怒りからなのか、まだ暴走は続けようとしていた。

 

サトシは、そんなミュウツーを見て、前に進む。ミュウツーの頭に手を当てた。

 

「波導は我にあり……」

 

波導の力を送り込み、ミュウツーを正気に戻そうとする。

 

限界以上の波導の力を使い、遂にミュウツーを正気に戻す事に成功した。その直後、倒れ込むように倒れた。

 

「サトシ!」

 

【サトシ!しっかりしてよ!】

 

「!?……私は……」

 

記憶は全部覚えていた。プラズマ団とかいう薄汚い連中に良いように操られ、したくも無い悪事をやらされて来た。そして……今の戦いで、1人の少年によって完全に自由の身になった事も。

 

「ミュウツー、良かったよ」

 

【ミュウツー、それが……私の名前?何故知っている?】

 

「お前とは……別のミュウツーに会った事があるんだ。イヤ……正確には、思い出したって言った方がいいかな?ああ、眠い。力を使い過ぎた」

 

サトシの身体が、緑青色のオーラと電撃を放ち続けていた。

 

既にデュアルブレードの暴走を止める為に殆どを消費していた為か、肉体は緑青の結晶に変わり始めている。

 

「おい!嘘だろ!サトシ!起きろ!!お前、ポケモンマスターになるんだろ!?だったら生きて、その夢を叶えろよ!!死んだら……元も子も無いんだぞ!!!」

 

デューンは、必死になってサトシに語り掛ける。そして、聖杯に水を入れ、それをサトシにかける。だが、効果は薄かった。

 

「クソが!何か、何か手はないのか!?」

 

すると、そこに漆黒のローブを羽織った男がやって来た。

 

「サトシを救う方法は唯1つ。サトシと同等の波導を持ち、尚且つ波動使いならば命は助かるだろう」

 

「オレじゃ無理なのか?アンタ」

 

「アンタではない。私には、レッドという名前がある。話を戻そう。サトシの波導は極めて純度が高い。デューン。君では、それに釣り合わない。だが、私は波導使いだ。そして、奇遇にもサトシと酷似した波導の形を持っているのでね」

 

男はそう言って、手を掲げる。

 

「波導は我にあり!!」

 

男が波導を流し込む。すると、サトシの体の傷がどんどん修復されていった。サトシは徐々に緑青色の波動のオーラが解け、元の姿に戻る。

 

「あ、あれ?オレは、一体どうしたんだ?」

 

「サトシ……心配させやがって!」

 

【ルカリオの時の二の舞になるかって、オレはヒヤリとしたぜ】

 

【僕も】

 

「あの、ありがとうございます」

 

「礼には及ばない。だが、1つだけ言っておく事がある」

 

「?」

 

「サトシ。お前の命はもう、お前だけのものじゃない。母親や、友人、仲間、親しい者、そしてお前のポケモンの物でもあるんだ」

 

「レッドさん……」

 

「これからの戦い、救えなかった命を間近で見る事で、更に絶望する事になるかも知れない。だが、それでもお前は負ける事は無論、死ぬ事すらも許されない。プラズマ団の脅威が完全に過ぎ去るまで」

 

「1人で突っ走ったり、無茶をするのは勝手だが……命を粗末にする行為だけは、いかなる理由があっても許さない。私が言いたいのはそれだけだ。幸運を祈る」

 

レッドはそう言って立ち去って行った。

 

「まあ、あのレッドって人の言う通りだな」

 

「オレは、ポケモンマスターになるまでは死ぬ気は無いよ」

 

【あなたには助けられましたね】ミュウツーがサトシに話しかけて来る。

 

「ミュウツー」

 

【とはいえ、まだ私は人間という種族を信用したわけではありません。それでも、あなたのような心優しい人間もいると言う事は心に留めていきます】

 

ミュウツーは立ち去ろうとする。

 

「そこへ行くんだ?」

 

【世界を巡り、見聞を広めます。上手くいけば、あなたの言っていた、私と同じミュウツーにも出会えるかもしれませんからね】

 

「そうか。気を付けてな」

 

【あなたこそ……キチンと生き残って下さいね】ミュウツーは立ち去って行った。

 

「さあ。トウヤにメイちゃん、バージルと合流するぞ」

 

*

 

サトシとデューンは、トウヤ、メイ、バージル、ハチクと合流した。しばらくして、ハチクは一足早くセッカシティに戻って行った。この時に、サトシとトウヤのジム戦を約束した。

 

そして、バージルも別の場所でポケモンレスキューをすべく、ネジ山を後にした。ただ、それと同時にジム巡りもするようだ。

 

ネジ山を下山し、セッカシティへ向かおうとするサトシ、トウヤ、メイ、デューンを陰ながら見送るレッド。

 

「ああは言ったが……思うがままに生きろ、サトシよ。いずれ我々は、再会するだろうからな。その時まで、私も楽しみにしているよ」

 

フードを外すと、茶髪で赤眼の、中性的な顔の男性の姿が露わとなった。

 

「さて。息子の安否も確認出来たし、ハナコに連絡を入れるとするか」

 

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