サトシのイッシュ冒険記 ~真実の救世主~   作:純白の翼

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EP50 アイス・マスクVSフィールド・マジシャン

セッカシティに到着したサトシ一行。

 

「クソ!デュアルブレードが、エインヘリャル8闘戦士の1人、リュージを選ぶなんて!」

 

デューンが憤慨する。

 

「あれ、波導使いじゃないとまともに使いこなせない代物じゃないのかな?」

 

「ですよね、コバルオンが、サトシさんと波導の勇者アーロンの波導は全く一緒だって言ってましたし、サトシさんだけですよね。現に、持つ事が出来たんですから」

 

「でもプラズマ団に奪われたのはマズいな」考え込むサトシ。

 

「まあ、取り敢えずはジム戦をやりに行こうぜ!」

 

「そうだな、トウヤ!」

 

4人はすぐにポケモンセンターへ向かい、部屋を確保して明日に備えた。

 

*

 

セッカジムにやって来た4人。事前に予約を入れている。

 

「サトシ君、トウヤ君。君達と戦うのを楽しみにしていたぞ!」

 

「ジム戦をお願いします!」

 

「宜しくです!師匠!」

 

「私は君の師になった覚えはないが……」

 

「何言ってるんですか!フリージオの育成方法を教えてくれたし、特訓も付けてくれたじゃないですか!」

 

「まあ、そうだが……とにかくジム戦を始めよう」

 

まずはトウヤからだ。ハチクはバニリッチ、フリージオ、ツンベアーを出して来た。それに対して、トウヤはネジ山でゲットしたカムカメとゴルーグ、エンブオーで応戦した。厳しい戦いが続いたが、カムカメはカジリガメに進化した。結果はトウヤの辛勝だ。アイシクルバッジを渡された。

 

「ではサトシ君。君には特別ルールで挑ませて貰おう。強いトレーナーと認めた上で」

 

「どんなルールですか?」

 

「まずはダブルバトル。そこで君が勝利、或いは引き分けだった場合は3対3のバトルを行う。変則的な5対5のバトルだ」

 

「分かりました『何かルネジムみたいだな』」

 

そう思いながらもバトルに臨むサトシ。

 

「ゆくぞ!キュウコン!トドゼルガ!ハァ~い!」

 

「コマタナ!ペンドラー!君に決めた!」

 

ハチクはアローラキュウコンとトドゼルガ、サトシはコマタナとペンドラーを繰り出した。何故か雪が降り始めた。

 

「わあ!雪だ!綺麗!」メイが目を輝かせながら言った。確かに幻想的ではある。

 

「キュウコン!?師匠もリージョンフォームのポケモンを持っていたのか!」

 

トウヤが驚く。

 

「アローラのラナキナマウンテンに生息するんだよ。まさか、ハチクのおっさんが持っていたとはな。しかも、隠れ特性の雪降らしとは『ただ、トドゼルガはどれなんだ?確実に鈍感は無いだろう。チャレンジャーが出す炎タイプ対策に厚い脂肪か?イヤ、水タイプがあるから元より半減される。ならば、雪状態とのコンボを狙ってアイスボディなのか?』」

 

デューンは無言で考察をする。

 

「キュウコン、オーロラベール!トドゼルガ、腹太鼓!」

 

「コマタナ、キュウコンにアイアンヘッド!ペンドラー、トドゼルガに毒々!!」

 

【サトシ様!御意に!】

 

【任せな!!】

 

コマタナはキュウコンに攻撃。4倍ダメージを負った。だが、倒れない。対してペンドラーは、トドゼルガを猛毒にした。

 

「コマタナが進化前でパワー不足ってのもあるが、オーロラベールは攻撃技の威力を半減させた。だから倒れない」

 

「そんな事が」

 

「師匠。このダブルバトルは、とことん耐久寄りの構成で行ってるのか」

 

キュウコンは食べ残しで体力を少し回復させ、トドゼルガはアイスボディによって体力を回復させる。それと同時に、トドゼルガは猛毒のダメージを受ける。

 

だが一方で、加速によってペンドラーの素早さは上がった。

 

「……ペンドラー、キュウコンにヘドロ爆弾!コマタナはアイアンヘッド!まずがキュウコンから片付ける!」

 

「トドゼルガ、眠る。キュウコン、ムーンフォース!」

 

ダメージの大きさから、キュウコンから先に倒そうとするサトシ。幾ら技が半減されているからと言っても、効果抜群の技の影響は少なくない筈だと判断したからだ。その読みは当たった。

 

2体の連続攻撃を食らい、キュウコンは戦闘不能となる。だが、トドゼルガは体力回復と同時に目を覚ました。

 

「何でだ?眠るは、しばらくの間は眠り状態になるのに!」

 

「カゴの実か、ラムの実を持ってるのかな?毒を治さなかった辺り、前者なんだろうが」

 

『マズい。キュウコンは後一撃で倒れたけど、攻撃が極限まで高まったトドゼルガの攻撃が即座に来る!』

 

「トドゼルガ、圧し掛かり!」

 

「ペンドラー、コマタナの前に行って守る!コマタナ!剣の舞!!」

 

ペンドラーは自分の身を守った。また、コマタナの前にも出る事で、彼をも守った。コマタナは、その間に積み技をかける。

 

「う~む。一筋縄ではいかないか。流石、複数のリーグに出ているだけの事はある」

 

「ありがとうございます、ハチクさん!」

 

「だが、私も負けるわけには行かない!トドゼルガ、コマタナに絶対零度!!」

 

厄介な事になる前に、鋼タイプを持つコマタナから一気に仕留めようと決めたハチクは、早速実行に移した。

 

あらゆる氷技を上回る冷気が、コマタナに襲い掛かる。

 

「コマタナ!!『レベルはトドゼルガの方が高い!』」

 

まさか、一撃必殺技が来るとは思わなかった。どうしようかと決めていると、ペンドラーはサトシの方を見ていた。

 

【……】

 

「ペンドラー、お前……」

 

【……】コクリと頷く。

 

『ゴメンな。こんな判断を下しちゃって』心の中で謝罪するサトシ。

 

コマタナを、またもペンドラーが庇う形で救った。レベルは僅かにトドゼルガの方が上だったようで、一撃必殺の餌食になってしまった。

 

【ペンドラー、何故私を助けた!?】

 

【このダブルバトルの中核を担うのはお前だとサトシな判断した。だったらオレは、最終的な勝利を手に入れられる為ならば、戦闘不能になる覚悟がある!コマタナ、後は頼んだぞ!】

 

【分かった。お前のその犠牲は無駄にしない。全ては、サトシ様の勝利の為に!!】

 

ペンドラーは倒れ、ボールに戻った。

 

「『シングルであったなら、圧倒されていたな。ペンドラーだったのは予想外だったが、まずはサトシ君のポケモンを1体戦闘不能に出来た。今はこれで良しとしよう』トドゼルガ、冷凍ビーム!!」

 

「コマタナ、氷のフィールドを利用して躱しつつ、剣の舞!!」

 

冷凍ビームを、アイススケートの要領で軌道を逸らすコマタナ。その間に、攻撃力を2段階上昇させる。

 

「今だ!辻斬り!!」

 

一瞬のスキを突いて、トドゼルガを斬り払った。

 

「動きが良いな。コマタナ」トウヤが感心する。

 

「ヒットアンドアウェイ戦法だな。しかも鮮やか」

 

「サトシさん。このような経験があったのでしょうか?」

 

3人は知る由もないが、サトシは過去にホウエンリーグの決勝トーナメントにてカエデのトドゼルガと戦った事がある。当時ジュプトルだったジュカインの行ったヒットアンドアウェイ戦法で、壮絶な戦いの末に撃破したのだ。コマタナにもその戦い方をさせているのだ。

 

 

「アクアテール!」

 

「アイアンヘッドで受けろ!」

 

コマタナとトドゼルガがぶつかり合った。

 

【しぶといな】

 

【私は負けない!否!ここで負ける事は許されない!私を信じて出してくれたサトシ様の為!ペンドラーは私に全てを託したのだ!仲間から受け継がれた意志、断じて無駄にするわけには行かないのだ!!!】

 

コマタナは咆哮を上げる。すると、コマタナの身体が光り始めた。

 

「ここに来て進化か!」

 

コマタナはキリキザンに進化した。

 

「コマタナ……イヤ、キリキザン!そのままの態勢でリベンジ!!」

 

アイアンヘッドの衝突で軽減したとはいえ、アクアテールのダメージを既に受けていたキリキザンは、リベンジを発動。トドゼルガに大ダメージを与える。それと同時に、霰も止んだ。

 

「よし!これでもう、アイスボディによる体力回復が発動する事は無いぜ!」

 

デューンがガッツポーズを取る。トウヤは、少々複雑な表情だった。

 

「ならば、絶対零度で一気に行け!トドゼルガ!!」

 

「キリキザン、不意打ち!」

 

トドゼルガが攻撃技を出して来たので、不意打ちで先制攻撃する。この攻撃でトドゼルガは戦闘不能となった。

 

「やるな。サトシ君。大したものだ」

 

「大した事があるのは、ポケモン達の方ですよ」

 

「そうか……では30分の休憩を取ろう。その後に、3対3のシングルバトルだ」

 

「はい。分かりました!」

 

*

 

そして、ジム戦は後半戦に突入する。

 

「ゆくぞ!ロトム!ハァ~い!」

 

ハチクはロトムを繰り出した。

 

「フロストロトムか……『シンオウの、森の洋館を思い出すな……』ギガイアス、君に決めた!!!」

 

それに対し、サトシはギガイアスを出した。

 

「吹雪!!」

 

「受けながら呪い!」

 

ロトムは吹雪でギガイアスを攻撃する。だが、ギガイアスはそれを難無く受けつつ、呪いでスピードを犠牲にしながら物理ステータスを上げた。

 

「本来サトシは、スピードと勢い重視のバトルスタイルが十八番だ。だが、今やっているのは、それとは程遠いスピードは無いがパワーがある重量級の体格を生かしたバトル。普通にこなせているな」

 

「元々、カビゴンやラグラージみたいに、腕があって、その上見た目によらず俊敏な奴の勝率は高いんだけどなぁ」

 

「一気にダメージを与えようとしつつ、隙を作ったり、隙を作らせたるするのを狙っているって事ですよね」

 

「砂嵐だ!」

 

天気を砂嵐にする。これで岩・地面・鋼以外のポケモンはダメージを食らう。だが、サトシの狙いはそれだけじゃなかった。

 

「そうか。特殊防御を倍増させたのか」と、ハチクは分析する。

 

「はい。それにオレ、ギガイアスに関しては重量級のバトルでやろうと決めました。だからスピードの代わりに、防御と特防に特化した育成をしたんですよ」

 

「面白い。ならば受けて立つまで。目覚めるパワー!」

 

ロトムはエネルギーの塊をぶつける。少々苦い顔をするギガイアス。

 

『あのロトムの弱点は、炎に格闘、地面、岩の4つ。目覚めるパワーのタイプは、水か草だな。恐らくは』

 

「今だ!シャドーボール!」

 

「アイアンヘッドでシャドーボールを撃ち返すんだ!」

 

ギガイアスはシャドーボールをロトムに返してダメージを与える。

 

「『隙が出来たな』今だギガイアス!ストーンエッジ!!」

 

石の刃を発動するギガイアス。シンジのドダイトスの様に、軌道を自由自在に変えながらロトムにぶつける。この攻撃でロトムは戦闘不能となった。

 

「戻れロトム。ゆくぞ!ユキノオー!ハァ~い!」

 

「ギガイアス、戻ってくれ。ガブリアス、君に決めた!」

 

サトシはガブリアスで対抗する事にした。

 

「ドラゴンタイプだけど、炎や鋼、格闘技を覚えているからか。ガブリアスを出したのは」

 

今までのバトルから、相性最悪な筈のガブリアスを出した理由を考察するトウヤ。そう言っている間に、ユキノオーの特性で天気が霰状態になった。

 

「ガブリアス、炎の牙!」

 

「ウッドハンマーだ!」

 

お互いの技がぶつかり合う。力は全くの互角だった。

 

「あのユキノオー。凄いな。炎タイプの技にも顔色一つ変えずに対抗してきやがった」

 

「力は全くの互角ですね……」

 

「イヤ。力だけならユキノオーの方が上だ。ガブリアスは、ユキノオーに相性の悪い技をぶつけているから辛うじて互角になっているだけに過ぎないんだよ」

 

「そのまま氷の礫!」

 

「ガブリアス、そこから離れるんだ!」

 

追尾ミサイルの如く追いかけて来るユキノオーの技を、どうにかして躱す。

 

「そのまま冷凍ビーム!」

 

空中にいる瞬間を見計らい、ハチクはすかさず技の指示を出す。冷凍ビームは直撃した。

 

「ガブリアス!!」

 

それでも、ガブリアスはどうにかして立ち上がった。

 

「行くぜガブリアス!」

 

【ああ】

 

「穴を掘るで移動しろ!そして地面に炎の牙を繰り返し続けるんだ!」

 

ガブリアスは、早速穴を掘って別の場所に行き、近くの地面に炎の牙をぶつけた。氷が解けた。それを十数回続けた。

 

「!?熱いな。炎の牙でフィールドの氷が融かされているのか?」

 

「えげつねえな、あいつ。地面が熱くなるなんて、あんな戦い方されたらユキノオーがすぐに倒れちゃうぜ」

 

「ユキノオー、雪雪崩でフィールドを冷やせ!」

 

大量の雪が、熱くなったフィールドを冷やした。この時に水蒸気はが発生。視界が奪われた。そんな中サトシは眼を閉じる。

 

『波導は我にあり……そこにいるのか!ガブリアス!』

 

サトシは波導の力を駆使して、ガブリアスに思念を送る。

 

『オレの指示した場所にアイアンヘッド!』

 

【分かった】

 

ガブリアスは即座にアイアンヘッドで突っ込む。そこには、ユキノオーがいた。

 

「視界が悪いのは、ガブリアスも同じ……何かサトシ君にも力があると言うのか?」

 

「続け様に炎の牙!」

 

「冷凍ビームで応戦だ!!」

 

だが、スピードはガブリアスの方に分があり、4倍のダメージを受けたユキノオーをそのまま戦闘不能となった。ハチクは、お疲れ様と労いの言葉を掛けつつ、ユキノオーをボールに戻した。

 

「これで最後か。ゆくぞ!ツンベアー!ハァ~い!」

 

ハチクはツンベアーを出した。

 

「ガブリアス、戻ってくれ。行くぜ、ズルッグ!」

 

【ようやくオレの出番だ!!】

 

「ツンベアー、冷凍パンチ!」

 

ツンベアーが冷凍パンチをする瞬間、足を滑らせた。

 

「今だ!飛び膝蹴り!」

 

体格の良いツンベアー。だが、動かないのであれば格好の的である。ツンベアーの腹部に膝蹴りを叩き込むズルッグ。

 

「そうか……あの時、ガブリアスの炎の牙でフィールドが熱くなり、雪雪崩で冷やしたら水になった箇所があったのか」

 

「諸刃の頭突き!」

 

「次はこうは行かない!氷柱落としで防御!!」

 

ツンベアーは、氷柱落としで諸刃の頭突きを防いだ。

 

「燕返し!」

 

「気合い球で防ぐんだ!僅かでも良い!直撃を避けろ!」

 

コントロールがまだなっていない気合い球で燕返しのダメージを軽減するズルッグ。

 

「睨みつける!」

 

ズルッグはツンベアーを睨みつける。一瞬だが、ツンベアーはズルッグの気迫と凄みに怯んでしまった。

 

「そこから気合球を叩き込め!!」

 

至近距離で気合球を叩き込んだ。ツンベアーは吹っ飛ばされ、そのまま戦闘不能となった。勝者、サトシ。

 

「おめでとう、サトシ君。これが、このジムを制覇した証『アイシクルバッジ』だ!」

 

「ありがとうございます!アイシクルバッジ、ゲットだぜ!」

 

【ゲットだぜ!】

 

【後1つでリーグ出場だ!】

 

サトシ、ピカチュウ、ズルッグが喜んだ。ただ、今回のメンバーはダメージが大きかったのでこのままアララギ研究所で療養する事となったのであった。

 

*

 

そして、サトシのジム戦から1週間後。龍螺旋の塔では……

 

「……遂に、ここまで来た」

 

Nは、持っていた発行するダークストーンを手放す。ダークストーンは、独りでに浮き初めて、ロボットのように変形を始めた。

 

それから5分が経過した。ダークストーンは、1体のポケモンの姿となった。イッシュ建国伝説に登場する、理想を司る黒き竜、ゼクロムだ。

 

【お前の理想は何だ?】ゼクロムがNに問う。

 

「ボクはトモダチの、ポケモンの自由と平和を目的にしている。だからこそ、ポケモンは人々から解放されなければならない。ゼクロム、あなたの力をボクに貸してほしい」

 

Nは真剣な目つきで言った。ゼクロムは凝視する。だが、Nは怯んでいない。良い目だ、ポケモン達の事は本当に大切に思っていると感じた。

 

【よかろう。我は、お前に力を貸す】

 

「ありがとう!」礼を言ったN。

 

「さあ。ここかは始まるんだ。ポケモンによる革命と、人間からの解放が。そしてそれは、人間にもいい影響を与えるだろう」

 




今執筆しているリーグ編が終わるまで、休止いたします。ご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません。

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