ポケモンを回復させているサトシとトウヤ。2人は今、雑談している。
「そう言えばサトシってさ……」
「?何だ?」
「フカマルがいるって事は、カントー以外にも旅した事があるのか?少なくともシンオウに行ったんじゃないかと思って」
「ああ!最初はカントーで、オレンジ諸島、ジョウト、ホウエン、シンオウの順で旅したぜ!」
「やっぱりか!にしても多いな。ここまで来ると、もうベテランなんじゃないの?」
「さあな。オレ自身がベテランかどうかは分からない。でもオレにはポケモンマスターになるって夢があるんだ。その為にひたすら頑張るだけだよ!ポケモン達と一緒に!」
『オレからすれば寧ろ、もうポケモンマスターでも良くないかと思うんだけどな』
飽く迄も謙虚な姿勢を見せるサトシに対して、トウヤはそう思った。
*
その夜。トウヤは一旦サトシと別れて家に戻った。母親にポカブを見せた。その時に分かった事だが、カントー出身の父はゼニガメを、イッシュ出身の母はツタージャを最初のポケモンにしたという話を聞いたのであった。
そして寝る直前、ふとネットでサトシの事をググった。何かしら情報があるだろうと思ったからだ。
「マジかよ!カントーリーグベスト16、オレンジリーグ優勝、ジョウトリーグベスト8、ホウエンリーグベスト8、バトルフロンティアは完全制覇した上にフロンティアブレーンの候補者になっていて、シンオウリーグはベスト4。しかも、優勝者のポケモンを倒したのはサトシ唯1人だから、実質準優勝!道理で高度なバトル戦術を使って来る上に、ポケモンのレベルも相当高い筈だ!……よし!決めたぜ!オレは……」
何かしらの決意をして、トウヤは就寝した。
*
一方のサトシ。アララギ研究所で夕食を食べていた。
「ママ!オレ、イッシュ地方を旅するよ!」
「え?」
サトシの第一声にハナコは驚いた。だが、その決断をして来るのではと思っていたのか、すぐに微笑んだ。
「そう言うと思ったわ。分かっていたわ。行ってきなさい。貴方の思うように。でも約束して。無茶だけはしない様に。そして、無事に帰って来てね」
ハナコはそう言った。サトシは笑顔で頷いた。
「それならサトシ君。あなたにこれを渡さないとね!」
そこ現れたのはアララギ博士だ。ポケモン図鑑とモンスターボールを渡す。
「ありがとうございます!」
「あ、そうそう。イッシュでも、バッジ集めは変わらないわよ。その後に、リーグ戦も開催されるわ」
「やる事は本当に変わらないんですね。よ~し!今度こそ優勝を目指そうぜ、ピカチュウ!フカマル!」
「あなたってやっぱり面白いトレーナーね」
アララギ博士が言った直後、ミジュマルがサトシの胸に飛びついて来た。
「ミジュマ~♪」
「ミジュマル!?」しっかりとキャッチするサトシ。
「あらら。この子、サトシ君の子を気に入った様ね」
何かを考えこむような仕草を見せるアララギ博士。しばらくして、閃いた様にサトシに向き合った。
「そうだわ!ねぇ、サトシくん」
「はい。何でしょうか?」
「そのミジュマル、連れていってくれないかしら?この子、どうやら貴方の事を気に入っちゃったみたいなの」
「お前はどうしたい?ミジュマル」
サトシはミジュマルに問いかける。ミジュマルは即座にサトシに付いて行きたいという表情になった。
「分かったぜ。一緒に行こう!」
「これが、ミジュマルのモンスターボールよ」
モンスターボールを受け取り、ミジュマルを戻すサトシ。
「ミジュマル、ゲットだぜ!」イッシュでの最初の仲間が加わった。
「出て来い!ミジュマル!」早速ミジュマルを出す。
「宜しくな!」
「ミジュ!」
*
そして翌朝。サトシは研究所前にいた。ハナコとアララギ博士が見送りに来ていた。
「サトシ。ハンカチ持った?着替えは?忘れ物はないでしょうね?」
「平気だよ!昨日最終確認もしたからさ!それに、オーキド博士が頼んで特注で作ってくれたポケギアも持ったし!」
サトシはそう言う。
「それじゃあ、ママ!行って来ます!」
「サトシ!」1番道路へ向かおうとしたサトシを呼び止める者がいた。トウヤだ。
「トウヤじゃないか!!」
「もし良かったらさ、オレも一緒に旅をさせてくれないか?昨日のバトルを見たのと、サトシの過去3年間の経歴を知ったんだ。それで、サトシから学んでいきたいと思ってるんだ」
「勿論大歓迎だぜ!宜しくな、トウヤ!」
サトシとトウヤは握手した。サトシのピカチュウ、フカマル、ミジュマルも、トウヤのポカブとサンダースに挨拶した。特にポカブとミジュマルは、同期の為かまた一緒にいられるので互いに嬉しそうにしていた。
「それじゃあ、貴方達の旅がとても有意義な物であることを心から祈るわね」
「「はい!」」
2人はしっかりと返事をして、カノコタウンを出発した。
*
1番道路。サトシとトウヤは、最初のジムがあるサンヨウシティを目指して歩いていた。
「次がサンヨウシティなのか?」
「イヤ。ここを抜けると、カラクサタウンに着くんだ。で、そこから西に2番道路へ行って、抜けるとサンヨウシティだよ」
「そっか。じゃあ、焦らず行こうぜ!油断せずにな!」
その時だった。草むらが揺れた。
「な、何だ!?」
すると現れたのは羽の生えたポケモンが出てきた。しかも2体。一方は鳩の様なポケモンで、もう一方は鷲の子供の様なポケモンだった。
「あれは!」
サトシが図鑑を掲げる。そこにはマメパト、そしてワシボンと出ていた。
「マメパトか」
「ワシボンかよ!」
「どうしたんだ?トウヤ」
「ああ。実はワシボンは、主にソウリュウシティの周辺にいるポケモンなんだ。この近くには生息しているのは有り得ない」
「成る程な。まあ、細かい事は気にしないで、トウヤはどっちを狙う?」
「ワシボンで」
「それじゃあオレはマメパトだな。ピカチュウ、頼むぜ!」
「行くぞ、ポカブ!」
サトシはピカチュウを、トウヤはポカブを繰り出した。
*
まずはサトシの方から見てみよう。
「よし!ピカチュウ、10万ボルトだ!」
「ピ~カ~チュウゥゥゥゥ!」
電撃を放つが、マメパトは自慢のしなやかな飛行能力で華麗に躱す。
「やるな」
マメパトが風起こしを起こす。
「ピカチュウ。風起こしに向かって10万ボルトだ!」
10万ボルトが風起こしを打ち破ろうとしている。マメパトはそうはさせないと、更に力を上げた。
「隙を見せたぞ!電光石火からアイアンテールだ!」
電光石火で地面を蹴り、滑空する様な態勢でアイアンテールを叩き込む。流石のマメパトも、反応が遅れて直撃を受けてしまう。
「いっけぇ!モンスターボール!!」
サトシはモンスターボールをマメパトに当てる。すると、その中へ吸い込まれるようにマメパトが入っていった。3回揺れた後、ポンッ!という音を立てて止まった。
「やった!マメパトゲットだぜ!」
更にサトシに仲間が加わった。
*
続いてトウヤ。
「ポカブ!体当たり!」
ワシボンは燕返しを、ポカブは体当たりを仕掛ける。両者の攻撃は激突し、互いに弾かれた。
「こいつ、相当戦闘慣れしてやがるぜ」
トウヤがワシボンに抱いた印象はそれだった。
「火の粉!」
ポカブの攻撃を、あろうことかワシボンは突っ込んでいった。
「玉砕する気か!?」
だが、ワシボンは炎を纏った状態で特攻して来たのだ。
「嘘だろ!?……こうなったら、ポカブ、ニトロチャージ!」
ポカブとワシボンが再び衝突した。炎を纏った状態のワシボンは、ダメージを受け続けているらしく、ポカブの攻撃で吹っ飛ばされた。地面に平伏すワシボン。
「行け!モンスターボール!」
ボールの中にワシボンが吸い込まれる。数回揺れた後、ポンッ!という音を立てて止まった。
「やったぜ!ワシボンをゲットしたぞ!」トウヤはガッツポーズを決めた。
「トウヤ。オボンの実をワシボンに」
サトシはトウヤに、オボンの実を手渡した。
「ありがとうサトシ。出て来い、ワシボン!」
トウヤはワシボンを出した。
「これを食べてくれ。オボンの実だ」
ワシボンは木の実を食べた。満足したらしく、トウヤに笑顔を見せた。
「さあ。ポケモンをゲットした事だし、メシにしようぜ!」
サトシは、30分ほどでサンドイッチを作った。
「美味いな!」
「まあ、オレん家ってさ、ママが食堂やってるんだ。だから習って、家庭料理は出来る様にしたんだぜ」
「へえ!」
ポケモン達も、サトシが特別に調合したポケモンフーズを食べていた。
昼食を食べ終え、2人はまた歩き出したのだった。
サトシのポケモン
ピカチュウ♂
フカマル♂
ミジュマル♂
マメパト♀
トウヤのポケモン
ポカブ♂
サンダース♂
ワシボン♂