旅を続けるサトシ一行。遂にカラクサタウンへ到着した。
「今日中に着いて良かったぜ!」サトシが嬉しそうに言った。
「ようやく半分だな」
「トウヤ。今日はゆっくり休んで、明日サンヨウシティに行こうぜ!」
「ああ!」
ポケモンセンターに行き、ポケモンの回復をした。そして、宿泊の手続きも済ませた。
「イッシュではタブンネがジョーイさんのサポートしてるんだな」
ショートケーキを頬張りながら話すサトシ。
「まあな。カントーやシンオウだと、ラッキーかハピナスだろ?」
トウヤも、パフェを食べながら会話している。
「そうだぜ。それにしても、暇だな」
「暇……だな。今はデザート食ってるし……!そうだ!バトルクラブに行かないか!?」
「バトルクラブ?」
「イッシュ地方独自の文化でさ、トレーナーと戦う為の施設なんだぜ!」
「そう言うのが、イッシュにはあるのか」
「それにさ、ポケモンの特訓をする為の部屋もあるんだ。そこで鍛えるのも良いかも」
「じゃあ、ポケモンの回復終わったら行こうぜ!」
しばらくして、ピカチュウ達の回復が終わった。すぐさま、サトシとトウヤはバトルクラブを目指した。モンスターボールのマークがある大きな建物を見つけて、そこに入って行った。途中、ジャノビーとフタチマルのバトルが行われていた。セオリーだとジャノビーだが、フタチマルが勝利した。
「サトシの読みが本当に当たっちゃったよ」
「フタチマルのトレーナーの方がレベルが高いからな。そうなれば、相性なんてあって無い様なものさ」
バトルクラブの管理人であるドン・ジョージに2人は自己紹介した。特にサトシは、カントーから来たという事もあって歓迎された。
「ここでバトルが出来ると聞いたのですが……」トウヤが話を切り出した
「確かに。だが今は、希望者はいなかったりする」
「それじゃあ、トレーニングさせてください」
「うむ。では2人共、ついて来なさい」
案内がてら説明を受けた。それによれば、技の命中率を上げる練習用の的、体力作りの為のランニングマシーン、そしてスイミング用のプールも設置してあるとの事。とは言え、それは代表的なものになるので、もっと他のもあるという。
サトシとトウヤは早速ポケモンを出した。戦闘経験豊富なピカチュウとフカマルが指導する立場になった。結果、各々の成果はある程度出て来た。
「ここまでかな」サトシが呟く。
すると、建物全体にアラームが鳴り響いた。
「!?」
「何だ?」
「またか」ドン・ジョージが呟いた。
「何か事情があるみたいですけど、どうしたんですか?」
「実は……」
それは、サトシにとっては許し難い事だった。つい最近、ポカブが捨てられたという。しかも、謎の草タイプのポケモンに負け、弱いというレッテルを張られて、杭に繋いで去って行ったのだ。バトルクラブ総出で救出しようとしたが、自力で縄を噛みきって何処かへ行き、口に絡まってまともな食事が摂れていないだろうとの事。このままでは、本当に餓死する。
「何て事を……」サトシは、握り拳を作った。
【リザードンをヒトカゲの時に捨てたダイスケって奴と同じ、イヤ、それ以上のクズだ!】
ピカチュウは、顔を歪ませて、頬から電気をバチバチと鳴らした。
「本当にいやがったのか。ポケモンを捨てるトレーナーが」
トウヤは、信じられないという表情になっていた。
「探しに行こう!」
しばらくして、身体が真っ黒に汚れ痩せ細ったポカブを見つけた。サトシは隙を見て抱き上げ、ポカブに負荷が掛からない様にしつつ縄を解いた。そしてトウヤが持っていたポケモンフーズを受け取り、ポカブに差し出した。
ポカブは、出されたポケモンフーズを勢い良く食べ始めた。満足したポカブは安心したのか、寝てしまった。
「これからどうしようか。研究所に送ろうかな?」
「オレ、思ったんだけどさ」
「?」
「サトシがゲットすれば良いじゃないか?」
「え?オレ?」
「うん。このままだと死んでしまう所だったポカブを、サトシは救ったんだ。だから、強くすることが出来るんじゃないかと」
ポカブが目を覚ました。空のモンスターボールを指差す。
「え?ゲットしろって?」
「カブ!」
「分かった。強くなって、お前を捨てた奴を見返してやろうぜ!」
ポカブは自分からボールに入った。あっさりとゲット出来た。
「ポカブ、ゲットだぜ!」
*
翌朝、サンヨウシティに向かって出発しようとするサトシ一行。すると、人だかりが出来ていた。
「何だ?あれ。」
「聞いてみるか!」
サトシは近くの男性に話し掛ける。
「すみません。何の人だかりですか?」
「あぁ。いや、なんだか分からないが何かが始まるみたいなんだ。お!話をしていたら」
すると、近くにいた灰色のフードの謎の集団が見事な連携で動き、その奥からそのリーダーの様なオカルト教団の教祖の様な感じの男が現れ、話し出した。
「ワタクシの名はゲーチス。プラズマ団のゲーチスです。」
軽くお辞儀をする男ゲーチスは語り始める
「今日皆さんにお話ししするのは、ポケモン解放についてです」
すると周りはざわつき始める。
「え?!何?」
「ポケモン解放?」
「皆さん、我々人間はポケモンと共に暮らしてきました。お互いに求め合い、必要としあうパートナー。そう、思っておられる方が多いでしょう。ですが、本当にそうなのでしょうか?」
ゲーチスは話を続ける。
「我々人間がそう思い込んでいるだけ……そんな風に考えたことはありませんか?トレーナーはポケモンに好き勝手命令している……仕事のパートナーとしても、こき使っている……そんなことはない、と誰がはっきりと言い切れるのでしょうか?」
ゲーチスはそう言う。周りの大人はみんな動揺している。もしかしたら自分等は本当なはそう使っていると思ってしまっているから。
「いいですかみなさん!ポケモンは人間とは異なり未知の可能性を秘めた『生き物』なのです!我々が学ぶべき所を数多く持つ存在なのです!そんなポケモン達に対してワタクシ達人間がするべき事はなんでしょうか?」
「それは1つ!!ポケモンを解放する事なのです!そうして人間とポケモンは初めてお互いに手を握り合える、対等の存在になれるのです!皆さん!ポケモンと正しく付き合うためにどうするべきかよく考えてください!」
そう力説するゲーチス。
「という所でワタクシ、ゲーチスの話を終わらせていただきます。ご清聴感謝致します。それでは。」
そう言うとゲーチスとプラズマ団は去っていった。それから、町はざわついていた。しかし、各々の考えを決めてその場は去っていった。
「ん~何か考えさせられるな~サトシがゲットした、捨てられたポカブの一件もあるし」
「ああ。でもオレは気にしない。あれがあの人達の考え、理想なんだ。どうこう言えるもんじゃないよ」
サトシの言葉に頷く様に、既に外に出ているピカチュウを除き、フカマル、ミジュマル、マメパト、ポカブが出て来た。
【僕は仮に解放されたとしても、サトシの元に戻るよ】
【俺も……】
【お、オレだって!オレが見込んだ最強のトレーナーなんだ!何としてでも戻ってやる!】
ゲットされたばかりとは思えない程の懐きぶりを見せるミジュマル。
【私もです。サトシを守る為に戦います】
【お、オイラも!サトシに恩を返すんだ!!】
全員、サトシの元にいるという決断を下した。トウヤのポケモン3体も、同じなようだ。
「――やぁ。君達」
そんなサトシとトウヤの前に、1人の青年がフランクに話しかけて来た。青年は高身長だ。髪は長く、薄い緑色をしている。ハイライトの無い瞳で、頭には白黒の帽子を被っており、特徴的なアクセサリーを身に付けている。
「話があるんだけど、良いかな?」
別に急いでいるわけではないので、2人は了承した。
「あなたは?」サトシが問いかける。
「ボクの名はN。通りすがりのポケモントレーナーさ」
「オレはサトシです。カントーのマサラタウンから来ました」
「オレはカノコタウンのトウヤです」
「成る程ね。道理でピカチュウとフカマルがいるわけだ。良く育てられている」
ポケモンに対して慈悲深い顔を見せるN。
「君達に1つ聞いておきたい事があるんだ」
「何ですか?」
「モンスターボールについて」
「?」首を傾げるサトシ。
「ボクはね、正直トモダチ。ああ、ポケモンには親しみを込めてトモダチって呼んでいるんだ。そのトモダチを無理矢理捕らえて、閉じ込め、自由を奪う。モンスターボールは、僕からすれば人間に都合の良い道具にしか見えないんだ」
「それは……」トウヤは反論しようとするが、サトシが制した。
「それが、あなたの意見ですか?」
「ああ」
「否定は出来ないと思いますよ。だけど、それだけじゃないともオレは思ってるのも事実です」
「サトシ……」
「続けて」不思議とサトシの話を聞きたくなったようだ。
「怪我をしたポケモンを安全に運んだり、危険から守るためにも活用出来ます」
「成る程ね」
「そして、転送装置を使えば、離れた場所の救助が出来ます」
「……」
「それに、モンスターボールに入ったからって、自由にならないわけじゃありません」
「!?それは、どういう事かな?」
「勝手に出ることや、出ないことだって出来ますし、オレのピカチュウみたいに入る事を嫌がるポケモンだっています」
「嘘だろ!?」
「本当の事だよ、トウヤ」
「そうか。そのような考え方も出来るのか。でも、結果的に狭めているのでは?心無いトレーナーが居たとしよう。ポケモンを放ったり、捨てたりする事もある。勝手に捕まえておいて、トレーナーの都合で手放すなんて、それはポケモンに失礼だとボクは思っている」
「オレもそう思ってます。昨日、それに関係する件に遭遇しましたから」
サトシの前にポカブが出て来た。
「君達が話していたポカブかい?」
「はい。弱いという理由で捨てられてたんです……しかも、杭に紐で縛り付けられた状態で。少しでも遅かったら、死んでいただろうって位までに」
ポカブを撫でるサトシ。
「酷いトレーナーだ。トレーナーどころか、人間の風上にも置けない」
穏やかだったNの雰囲気が一変した。心底軽蔑しており、漆黒の殺意まで纏っていた。
「ただ、そんなトレーナーばかりじゃないのは確かです。さっき言ったポケモンを手放すトレーナーの中には、その人なりに悩みに悩んで葛藤した結果、別れた方が互いに良いと思って実行したという例もあります」
サトシは、シンオウでのライバル『シンジ』の事を思い浮かべながら話した。
「サトシ君……本当に失礼だけど、ボクにとっては、その人は良いトレーナーとは思えないのが本音だ」
「オレも最初はそうでしたよ。でも、勝つ為に妥協はしないし、最善の戦術を練ったり、ポケモンの鍛錬に余念がありませんでした。それに、そいつなりにポケモンとどう向き合って行こうかを模索していたんです。オレも、そのトレーナーに会って、心に来た言葉も少なくないですから」
「自他共に厳しいトレーナー……か」
嫌悪感こそ消えないものの、ポカブを捨てた奴よりは遥かにマシだという結論に達したようだ。
「ポケモンと人間、それぞれに付き合い方があるって事だ。成る程」
Nは、話を通して収穫があった様だ。
「サトシ君、トウヤ君。急いでいるのに申し訳ないね。でも、色々話は聞かせて貰ったよ。ありがとう」
「いいえ、オレの方こそ」
「また会おう」Nは、町の向こうへと去って行った。
「モンスターボールの話か。これは考えた方が良いな」
「トウヤ。それで良いと思うぜ。これからポケモンとどう向き合っていくかが、課題だからさ」
「でもやっぱり、いつまでも一緒にいたいな」
トウヤは、サンダース、ポカブ、ワシボンを見てそう言った。
「オレもだよ」
色々と会ったカラクサタウンを旅立って行った。
*
夢の跡地。
「ああ!ジャノビー!」
シューティーは、夢の跡地でポケモンを捕まえに来ていた。だが、それは手持ちの全滅と言う形で幕を下ろした。
「なんて奴だ!進化前、しかもこっちが相性で勝ってるのに!!悔しいが、別の水タイプにするか」
逃げる様にポケモンセンターに向かった。
Nと遭遇。但し、原作と違ってバトルは無しでお互いの意見交換に留まっています。