焦土に立ち尽くすもの   作:ペンギン隊長

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数日後


戦場という場所

 

 

 

とりあえず江雪左文字を振るいながら敵を狩りまくってみた。大分、刀を振るうということに慣れた気がする。何度か、刀がドロップしたが、複数の刀を扱える程器用というわけではないので、とりあえず降ろさないまま回収だけして放置している。…本丸に誰がいるのか、ちゃんと把握してないしな。

『…この世から争いがなくなることは、ないのでしょうか…』

「人が人である限り無理なんじゃね。そもそも、全く争わねー生物なんていないしな」

生きることとは、戦うことだ。戦わぬというのは、緩やかな自殺に等しいのではないか。まあ、戦いの仕方を変えることはできるだろうが。

俺は血振(といっても、あいつらを斬ってもあまり血は付かないのだが)をして江雪を鞘に収める。このエリアの主力部隊は倒した。一度中継地点(ターミナル)まで戻るべきだろう。馬が落ちていた刀を咥え上げ、私に投げ渡してきた。私はそれを受け取って収納にしまう。

「一度戻るよ」

 

 

 

拾った刀を置いてきた後、僕は再び中継地点《ターミナル》に立っていた。引き継ぎであるため、既に五つの時代、十三の戦場に向かうことができるようになっている。これまで僕が行ったことがあるのは1-3までだ。だが、一度、何処までならどうにかなるか、見ておこうと思う。

『…無理に一人で進む必要はないと思いますが』

「何処までは無茶じゃないのか、それを知るために行くのさ」

幸い、この防護服《きぐるみ》は本丸のある空間に戻って少し休憩していれば自動的に修復される仕様になっている。休憩を挟みながら行けばなんとかなるだろう。

「なんにしても、向上心を持たないと堕落するだけだからな」

 

 

 

「…此処が限界、ってところか」

僕は、江雪左文字の鞘を支え代わりにして立ち上がる。一際大きい敵の攻撃を、障壁で受け止めたのは良かったのだが、馬から落とされてしまった。死ぬかとも思ったが、とっさに江雪が"代わりに俺の躯を動かして"くれたので何とか敵を殲滅することができた。

今までに見たことのない短刀がドロップしていた。僕に丁度いい、使いやすい大きさに見えるので、守刀代わりに懐に入れておいてもいいかもしれないと思う。江雪を隠し持つのはどう考えても無理だしな。

『…無事、ですか』

「一応、命に別条はない。…今日はこれ以上の出陣はやめた方が良さそうだが」

俺は審神者であって刀剣ではないので、かすり傷でさえ手入れでパッと治す、というわけにはいかない。…本丸は一種の神域のようなものであるため、中にいる者を良い状態に近付けようとする力がある。それで、本丸の中にいれば病にかかりづらいし、怪我もすぐ治る…らしい。

「俺が死んだ方が良かったか?」

『…まさか。私も、主の死を望むような心根は持ち合わせていません』

「そうか」

主、ねぇ。少なくとも、持ち主としては認めてくれてる、ってことかな。担い手としてはダメダメだろうけど。

「…しっかし、帰ったらちょっと手入れした方がいいかもな」

『その前に、あなた自身の手当が必要なのでは?』

「…まあ、ぱっくり切れてるとこは縛るくらいはしといた方がいいかな」

消毒というか、傷口を洗うぐらいはしてもいいかもしれない。敵の刀剣って何か不潔そうだし。破傷風とか、怖いもんね。詳しく知らないけど。

『…女性が己の躯の傷に頓着しないのは、どうかと思いますが…』

溜息を吐かれた。

「そういうの、男女差別って言うんだぜ。…どうせ俺には嫁に行く予定もないし、誰に肌を見せるつもりもないからいいんだよ。見えなければ、あってもなくても同じことだ」

寧ろ、俺はそう長生きできるとは思っていないしな。親不孝者になるだろうが、親孝行は妹たちに任せるつもりだ。きっと私よりまともに孝行してくれるだろう。

『…同じでは、ないでしょう』

「気付かなければ共感のしようがない。共感を得ない事象は大した影響を与えられない」

理解のできない言語で訴えられても何も伝わらないのと同じことだ。共感や共通認識がなければ理解には程遠い。

『…あなたはいつも、悲観的ですね』

「現実主義者《リアリスト》だと言ってくれ」

馬がいつものように俺の襟首を掴んで自分の背に乗せる。少し優しめだった気がするのは、俺が怪我人だからか。

「あー、うん、そろそろ戻るか」

血を流しすぎれば貧血になる。それで気絶したりしたら危ないしな。

 

 

馬は、何故か離れに居着いている。離れを改造して土間を作る羽目になったのは誠に遺憾である。…まあ、いちいち厩に行くのは確かに面倒ではあるのだが。多分、普通に厩の方が快適だと思うんだが…まあ、この馬、馬っていうかUMAだからな。ある程度己でできるんだろう。

 

 

 

 

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