焦土に立ち尽くすもの   作:ペンギン隊長

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復帰初日
悪意はない、悪意は

レベル換算でじじいコンビは50レベル代、獅子王は30レベル代、小鳥は20ぐらいで江雪は10ぐらい、骨喰は当然1レベル


一歩、一歩

 

 

 

前任者について問合わせてはみたが、梨の礫、回答がない。まあ、聞いて教えてくれるんなら最初の時点で教えてくれたよね、多分。

ただし、俺が前任者に会う可能性はほぼゼロ、らしい。どういう意味なんだか…全くゼロ、ではないってことは、生きてはいるのかね。

傷もなく完治したので、僕はノルマをこなすために戦場に向かう。休んでた分、多く狩った方がいいんだろうか。一応、ノルマが増えたり繰り越されたりはしないっぽいけど。…まあ、狩りながら調子を見て考えよう。

「お、来た来た。おーい小鳥ー」

「おはよう、主」

「…獅子王と骨喰、か。骨喰はわかるが、何故獅子王が此処にいるんだ」

「何故って、俺たちは戦うためにいるからな。小鳥は今から戦場に出るんだろ?」

「…俺に手を貸してくれるってことか」

「そういうこと」

ニカッと獅子王は笑う。

「…それは助かるな。今日はよろしく頼む」

「任しとけ」

 

 

 

「小鳥、つえぇ…」

「江雪左文字は、太刀ではなく大太刀だったのか?」

『私は、太刀です…』

「どうした、もう疲れたのか?」

「大丈夫だ」

「これぐらい、運動の内にも入らないっての。っていうか、俺が一体倒す間に三体倒すとか、どうなってるんだよ…」

「ダメージを受けないで倒すためには、相手が攻撃してくる前に首を飛ばすのが一番だろう」

俺痛いの嫌いなんだよね。

『所謂、喧嘩殺法にも等しい、我流の剣術…いえ、剣術とも言えない何かですね』

「しょうがないだろ、俺武道を習ったこともねーもん」

体育でもやらなかったしな。正直、刀の握り方すら江雪に訂正されるまで間違ってたみたいだし。

「つまり、小鳥は適当に刀を振り回してるだけなんだな」

「間違ってないな」

「…適当に振り回してるだけで強いってズルいだろそれ…」

 

 

 

「主、短刀だ」

「ああ、そうだな」

「それ、本丸にいないやつじゃないか?だったら、降ろしてもいいんじゃないか?」

何だその期待の目は。…まあ、いいか。

『かなうことなら、俺の声に応えてくれ』

目の前に小柄な人影が降り立つ。

「…僕は小夜左文字。あなたも、僕に復讐を望むの…?」

「別に復讐はいい。小夜左文字、ってことは…江雪の兄弟刀、ってことか?」

『私に兄弟など、おりませんが』

お、おう…。

「そういえば、小鳥は江雪を降ろさないのか?」

「降ろしたら俺が振るう刀がなくなるだろ」

「…審神者は普通、自分では刀を振るわないんじゃないの?」

「主は普通じゃない」

「そうなんだ…」

あ、なんか納得されてしまった。釈然としないものを感じる。

『このまま主の手で振るわれようと、刀剣男士として実体を得ようと、私のすることは変わりません…』

だろうな。変わるのは俺のすることだ。

 

 

 

「…ん、また短刀だな」

一応、見覚えが有る…ような気がする。前、光忠たちに本丸に持ってってもらったやつの中に同じのがあったかな。

「…弟、のような気がする」

「でも、そいつ多分うちの本丸にはいないと思うぜ」

降ろせ、と?…いや、いいけどさ。

『できれば、俺に力を貸してくれ』

「前田藤四郎と申します。藤四郎の末席にあるものです。これから末永くよろしくお願いします」

「…ああ、よろしく」

「後一口で部隊一つ分の刀が揃うな」

もう一本降ろせと?

「…まあ、本丸にいないやつがいたらな」

もっとも、俺には判断できないんだが。

 

 

 

「…えーと、脇差、か、打刀?」

「打刀だな。見覚えないし、うちにはいないやつなんじゃないか?」

「近いような気がする」

「同じ流派の方でしょうか」

…降ろせばいいんだよな、多分。

『俺に、力を貸してくれないか?』

「やあやあ、これなるは鎌倉時代の打刀、鳴狐と申します。わたくしはお付の狐でございます!」

「…よろしく」

「よろしく」

…しかし、狐、か。小狐丸と会ったらどういう反応するんだろうか。

「…随分賑やかだね」

狐がな。まあ、別にいいと思うけど。…後で触らせてくれないかなあ。

「ところで主殿、随分変わった姿をしておられるようですが、もしや人ではないのでございますか?」

「いや、これは着ぐるみであって中身はちゃんと人間だから」

「そうなのですか!体格からして、まだ幼い方のようですし、わたくしたちで主殿をお守りせねばなりませんね、鳴狐」

「いや、この着ぐるみは箱猫理論を応用して内側を観測させないことで単なる物理障壁以上の防御を誇るものだから、誰が着てもこの体格になるし、ある程度大きさは可変なんだよね」

ただし各部の比率は変わらない。

「…っていうか、小鳥は下手な刀剣より強いからなぁ」

「装備補正だけどな」

着ぐるみと江雪の力である。

「主は小柄だが子供ではない」

事実だがお前はそれを一体何で判断したんだ。

「主君は馬に乗っておられますから、体格がよくわかりませんね…」

「少なくとも、大柄な人間ではないよね…」

『主は小柄な人間ですよ。この馬にも踏み台なしに自力で乗れませんし』

 

 

 

「部隊一つ分の刀剣が集まったんだからさ、もう小鳥が直接戦わなくてもいいんじゃないか?」

「…それは、江雪を降ろせってことか?」

…あまり、気が進まない。流石に、実体化したら離れにいてもらうのは…うん。いや、体格とかだけじゃなくてだね?短刀ならいいとかでもなくてね?

『…私は、どちらでも構いませんが』

「…あー、うん。俺の我儘でごめんな」

俺みたいな人間と四六時中ほとんど一緒ってのは嫌になるよな。…まあ、江雪も若干面倒くさいやつだが。

『あなたが危なっかしいのは、今に始まったことではありません…』

「主はいくら強くても人間だからな」

「私たちはまだ弱くて頼りないかもしれませんが、主君を守るため、精一杯頑張りますので」

「そもそも、主殿は何故己で戦おうと思われたのですか?」

「…まあ、俺は今本丸にいる刀剣とあまり折り合いがよくないからな。やってみたらできたからとりあえずノルマ分だけやってただけだ」

「折り合いが良くない…ですか?」

「俺たちを喚んだ審神者がいなくなって、代わりに小鳥が派遣されてきてるんだよ。まあ、今此処にいる刀剣で小鳥が喚んでないのは俺だけだけど」

…そういえば、前任が外れた経緯とどんな接し方をしてたかは彼らに聞くって手もあるんだよな。…地雷臭がするけど。それも特大の。人によって地雷度が違いそうではあるけどさ。獅子王は比較的低そう?でも、聞くなら他の刀剣がいない場の方がいいかな。

「で、俺以外に小鳥に手を貸そうってやつがいなかったってわけ。…まあ、手は貸さなくても気にかけてたり割と友好的なのはいるけど」

光忠とかは単純に世話焼きなだけだと思うけどな。

「俺は急いで関係改善しようとは思ってないからな。焦ってどうなるもんでもないだろうし」

 

 

 

一応、隠し持ってる短刀はあるし、江雪は咄嗟の時に振るえるような大きさじゃないから、守刀代わりとしてなら置く必要ないんだよな。…あんまり、口数が多いわけでもないし。でも、何となく江雪を抱えてる方が安心できるんだよな。本人には言えないけど。

『…あなたの思うようにすれば良いのです。あなたが求めているのは、私と同じく戦の誉れではないものなのですから』

「…いや、俺、大家族育ちで、昔っから誰の気配も感じられない場所ってのが苦手なんだよ」

あ、UMAはノーカンだから。猫とかならともかく、UMAはな…。

『…それはつまり、寂しいので私を手元に置いておきたい、ということですか』

「…うん」

『…妙齢の女性と男性を同じ部屋で寝起きさせるわけにはいきませんからね』

「ぶっちゃけ、江雪たちの時代の基準だと年増かもしれないけどな」

現代基準ではまだ一応若いと言われる年代だが。

『…そのようなことは、年相応の色気と落ち着きを身につけてから仰ってください』

「色気はないだろうけど、俺そんな落ち着きもないか?」

解せぬ。

 

 

 

 

 

「あ、鳴狐」

「おや、どうかなされましたか?主殿」

「別に何がどうした、ってことはないけど…あ、そうだ」

「?」

「狐、ちょっと撫でていい?」

「わたくしを、ですか?」

「うん。…ダメだったら、いいんだけど」

「いえいえ、私の毛並みでよろしければ、どうぞ」

「ありがとう」

もふもふ…癒される。久しぶりの友好的獣成分…しあわせ。可愛いなあ。

「・・・」

「?どうした、鳴狐」

「僕も」

「ふぇ?」

「…僕も、撫でて」

「え」

「どうやら鳴狐が嫉妬してしまったようですよ、主殿。鳴狐のことも撫でてやってくださいまし」

「え、その…俺が触るの、嫌じゃない、の?」

「主殿、刀剣が主に触れられることを嫌がることなどあるわけがないでしょう。刀に触れずに刀を振るうことなどできないのでございますからね」

「そ、そうなんだ…」

鳴狐の頭を撫でる。…なんか、これは照れるなあ。なんというか、うん、経験したことのない感じというか。

「…僕を撫でるの、嫌?」

「否、俺、あんまり他人に触れないで過ごしてきたから…人に触れるのは慣れないというか」

寧ろ、触れないようにしていたくらいだ。…触れるのを嫌がる人はいても、自ら触れてくる人も、触れて欲しがる人もいなかったからな。犬猫なら気にせず触れるけど。

「主殿は照れていらっしゃるのでございますね?」

「うん、そう」

それであってる、はず。

ぎゅう、と鳴狐が僕を抱きしめてきた。

「?!」

「いい子、いい子」

そのまま、頭を撫でられる。

「ふ、ふぇっ…」

どう反応すればいいのかわからない。だって、こんなふうに抱きしめて、頭を撫でてもらったのがいつのことなのか、俺は覚えてない。否、僕にそんな経験があるかどうかすらわからない。少なくとも、ここ数年でそんなことなんてなかったのは確かだと思う。

「…嫌?」

「…いや、じゃない、けど…」

ただ、どうするのが正しいのかがわからない。

 

 

 

混乱から泣き出し、最終的に泣き疲れて眠ってしまった主を抱え、鳴狐は迷っていた。廊下は寒いので何処か暖かい場所に連れて行きたいが、主は刀剣たちと折り合いが良くないと聞いている。実際、主が私室として使っているのは小さな離れだ。

彼の自室は獅子王と同室だ。主へのあたりは悪くないが、若干騒がしい刀剣である。

「…お前、そんなところでつっ立って何してんだ?」

 

 

室内の空気は重苦しい。というか、沈黙が重い。普段口数が多いを通り越して騒がしい狐まで沈黙しているのだから相当だ。

室内に居るのは同田貫、大倶利伽羅、鳴狐と狐、小鳥だ。小鳥は鳴狐に膝枕された状態で眠っているが。

「…そいつ、何で寝てるんだ?」

「おそらく、お疲れだったのでございます。午前《ひるまえ》には元気に刀を振り回してらっしゃいましたので」

狐のセリフに鳴狐も頷いて同意する。

「その貧弱そうな腕じゃ、敵の短刀も殺せなさそうだがなあ」

「いえ、主殿は江雪左文字で敵の大太刀を一刀両断してらっしゃいました」

「…マジか」

「大マジでございます」

「このちっこいのが、なぁ…」

同田貫も練度の高い短刀が大太刀を一撃で破壊するところを見たことがある。だから理屈としてはわからないではないのだが…小鳥は刀など振るえない儚い人間に見える。端的に言うのなら、少し力を込めれば腕の一本も簡単に折ってしまえそうなのだ。

「…一人で戦場に行ってたらしいってのは聞いたが、人は見た目によらないもんだな」

 

 

 

「目を覚まされましたか、主殿」

「うにゃ…?」

小鳥はしぱしぱと目を瞬かせた後、狐を抱き上げて頬を摺り寄せた。

「あ、主殿?!」

「もふもふ…」

「確かにわたくしの毛並みの気持ちよさはわたくしの自慢でございますが、わたくしをもふもふする前にすべきことがあるのではございませんか?」

「すべきこと…?」

小鳥はきょとんとして首を傾げた後、薄く微笑みを浮かべる。

「おはよう、鳴狐」

「…おはよう」

「おはよう、という時間ではありませんが…」

「…すっとぼけたやつだな」

同田貫が思わずそうこぼすと、小鳥はびくりと肩を震わせ、鳴狐の後ろに隠れた。そして、マントのフードを深く被って、鳴狐の背中越しに同田貫を見る。

「別にとって食ったりはしねぇよ」

「…びっくりした。ええと…どういう状況だっけ?」

「主殿は、鳴狐の腕の中で泣きつかれて眠ってしまわれたのでございます」

「ごめん全く記憶にない」

 

 

「お前、俺たちと俺たちの主についてはどの程度知ってるんだ?」

「前任者については何も。軍の方もお前が会う可能性はほぼゼロだ、としか言わないし…お前らのことも聞いたやつの名前くらいしかわからないな」

「俺たちも、お前のことはお前が名乗った呼び名しかわからねぇんだよ」

「…そりゃあ、知らん奴が自分のこと知ってたらキモイけどな」

「お互い、相手のことを知ろうともしてなかっただろ」

「まあ、それは…」

こういうのは俺の役目じゃねぇんだがな、と同田貫はぼやく。そして頭をかいて、言った。

「ずっとこのまま、ってわけにはいかねぇだろうからよぉ、お互い相手の行動方針、どうしたいと思ってるかくらいは知っとくべきなんじゃないか?」

「そんなこと言われても、僕はそう深く物事を考えて此処にいるわけじゃないからな。高潔な理想や使命感、俗っぽい欲望、切実な義務感なんかを持って審神者になったわけじゃない。修正主義者と戦うのはそれが俺の仕事だからだし、鳴狐たちを降ろしたのはその方がいいと言われたからだ。特に方針はない」

「何の目的もないってことはねぇだろ。戦う術も知らずに育ったような人間が、躊躇わずに己で刀を振るって大太刀を倒せるわけがない」

「…まあ、何の目的もなく審神者になることを選んだわけじゃないが…別にそれは、審神者を続けてれば多分その内達成できるだろうし」

「何だ?」

「………俺が審神者と刀剣男士を知るきっかけになった映像があって…それに出てた刀…太刀、なのかな?名前とか全然知らないけど、その人と一回会って話してみたいな、と」

「会って、話す」

「あの人はどんな声で、どんな風に話す人なんだろう、って、それが気になってて…それだけ知れればとりあえず、もう悔いはないかな、って」

「…そりゃアレか、そいつに一目惚れしたとかそういう話か」

「僕に三次元と恋をする趣味はない」

「そいつと話せたら悔いがなくなるんだろ?」

「俺は」

小鳥の瞳は、目の前を見ているようで何も見ていない。

「自分が長生きできるとは思ってないし、"外側"の事象には興味がなかった。久方ぶりなんだ、目の前にないものに興味を抱くのは。…死ぬのが怖くないわけじゃないが、どうせ死ぬなら悔いは残したくない」

「…何か、患ってるのか」

「持病がないわけじゃないが、確実に死に至る病じゃない。けど…20を越えた頃には、干支を二巡する頃には死ぬんじゃねーかな、と思ってた。実際はまだ死んでねぇけど…三巡はできねぇんじゃねぇかな」

刀剣たちには、小鳥を蝕む呪いが見えている。だから、小鳥の言葉がただの妄想とも言い切れない。それは、放っておけば必ず、数年の内に小鳥を死に至らしめるだろう。おそらく、10年かからないはずだ。審神者となり、神力を身近に感じるようになったことで余計にそれが早まるだろうことも予想できる。

「死にたくねぇとは、思わねえのか」

「人はいずれ死ぬもんだ。やりたいこと…否、描きたいものは山程あるが、そんなものは尽きるもんじゃねぇし、自ら死を選ばない理由にはなっても、いずれ至る死を拒む理由にはならない。生きることそのものには特に執着はねぇしな」

「…お前本当に人間か?」

「人外として生まれた覚えはないが」

小鳥は心外そうな顔をする。

 

 

 

「そろそろ夕餉の時間だよ。折角だから、小鳥ちゃんも一緒に食べないかい?」

「何故だ?」

「そりゃあ、ご飯は皆で食べた方が美味しいだろう」

「息が詰まるような状況で味覚が働かなくなるというのは聞いたことがあるが、逆のパターンもあるのか?」

「そうだよ。同じものでも、状況によって違うように感じる…つまり、そういうことだね」

小鳥は僅かに首を傾げる。

「それは、気安い仲だからじゃないのか」

光忠は苦笑した。

「短刀の子たちは喜ぶと思うよ?」

「…?」

「主殿、鳴狐は主殿と過ごす時間が増えれば喜びますよ!」

「…そうなのか」

「そういうことだよ」

「…なら、今日はお邪魔させてもらおう」

その言葉に光忠は僅かに苦笑した。

 

 

 

騒がしい食卓だった。

短刀たちは、小鳥に対して友好的と言っていいと思われる。身近にいる人間、としてだが。

「ことり、みつただのりょうりはおいしいでしょう?」

「ああ。光忠は料理上手だな」

「だったら、あるじさまがかえってきたら、ことりはあるじさまのおよめさんになってくれますか?」

「ごめん、ちょっと意味がわからない」

「あるじさまは、じぶんにかのじょがいないのは、であいがないからだー、っていってたんですよぅ」

「だからって、俺みたいなのを恋人にしたいとは思わないだろ。顔がいいのは幾らでもいるし、女性的でもないしな」

「そんなのは、あってみないとわかりませんよ」

「そもそも俺はそいつがどんなやつなのか知らないし」

「そもそも、あの人が戻ってこないことにはどうにもならないだろ」

獅子王が口を挟む。

「現代じゃ嫁取りは双方の意思が大切らしいしさ」

 

 

 

「…あ、何で本丸の方に来たんだったか思い出した」

「何かありましたか?」

「眼鏡が何処にあるかわからなくなっちまったから、誰か知らねーかな、と聞こうと思って」

「眼鏡、ですか…?」

「そういえば菓子作ってる時とかは眼鏡してたな。目が悪いのか?」

「ああ。実はこの状態だと手が届く位の距離しかちゃんと見えねぇんだ。着ぐるみの方には視覚補正機能もあるから問題ないけど」

「ことり、ことり、なんぼんにみえますか!」

「二本と一本…いや、見えないっつっても、ガウスぼかしがかかる感じだからそれは見える。文字とか読めなかったりするけど、後、月が幾つもあるように見えたりするけど、形はわかる」

「そうなんですか」

「…あ、後この距離だと今剣がどんな顔してるのかよくわからないな」

「それはいちだいじです!」

「いや、別にそんな大袈裟に言うことでもないだろ」

「どうかしたのかい?」

「みつただ、ことりのめがねがないと、ことりはみんなのかおがみえないんです!」

「眼鏡…?」

「俺は決まった位置においておいたつもりだったんだが、見当たらなくってな。探して見つからない時は自分じゃ見つけらんねぇから、誰か見てねーかな、と」

「うーん、僕は記憶にないかな…」

「そうか」

「あんまり、焦ってないんだな」

「探し物が見つからないのは、大体精神的に視野狭窄になってる時だからな。時間を置くか視点を変えるとかすれば見つかる…時もある」

見つからない時もある。

「あれ被っとけばとりあえず書類仕事は出来るし、見えるし。…あんまりずっと裸眼のままだと余計に視力が悪くなるかもしれないけど」

まあ、少なくとも手元が見えれば困らない。

「今でもあんまり見えてないんだろ?これ以上見えなくなったら何も見えなくなるんじゃないか?」

「ものがはっきり見えないのと、何も見えないってのは全然違う話だよ。これ以上悪くなったって、眼鏡の度を強くしなきゃならないだけだ」

 

 

 

 

 




びぃえる的なのを主としてたのはじじいと宗三だけ。小狐はロスト組思い出してダメだった。元は悪夢にうなされて眠れなくて添い寝してたのが、じじいが手を出した
 
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